eMAXIS Slim オールカントリー(全世界)はTracers MSCIオール・カントリーに追随しない方針

先日お伝えしたTracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)

全世界株を投資対象としたライバル投資信託と比較して半分近い信託報酬で大きな話題となっています。
そこで注目されていたのが「業界最低水準のコスト」を掲げて他社に対抗してきたeMAXIS SlimシリーズのeMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)が対抗してくるかでした。
どうやら追随しない方針のようです。
これには訳があるんですよ。。。。
今回はeMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)が、Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)に追随しない方針についてみていきましょう。

eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)が追随しない訳

eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)が、Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)に追随しない方針との報道が下記の通りありました。

 「弊社ファンドでは、指数の標章使用料は信託報酬率に含めており、信託報酬水準が公正な比較対象とならないため、現時点では追随しない方針」(三菱UFJ国際投信)

出典:ITmedia NEWS eMAXIS Slim”オルカン“、Tracers対抗の信託報酬引き下げは行わず 「公正な比較対象とならない」

ちょっとわかりにくい内容ですが、同じベンチマークだけど公正な比較対象じゃないってどういうことでしょう。

指数の標章使用料を別途徴収可能

三菱UFJ国際投信の言い分としては「Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)」は「指数の標章使用料」が信託報酬に含まれておらず、別途徴収ができる仕組みになったいるとのこと。

指数の標章使用料とはおそらく「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」の名前を利用する際に支払う必要があるお金のことで、eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)はそれは別途請求する仕組みになっていません。

つまり、実質的に信託報酬率に含まれているということです。

対して、Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)別途徴収できるということで、単純比較はできないということなのです。

MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスの指数の標章使用料がいくらなのかは非公開ですが、それ次第によっては実はTracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)の方が実質的な手数料(信託報酬)は高かったということにもなりかねないのです。

ちなみに「Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)」と同じく、信託報酬とは別に「指数の標章使用料」が必要なある投資信託の交付目論見書には指数の標章使用料はファンドの純資産総額に年0.033%(上限)の率を乗じた額と明記してありますね。(MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスではありませんが)

登場したときに大きな話題になったSOMPO123先進国株という投資信託が先進国株を対象とした投資信託で最安値の信託報酬となっているのは指数をベンチマークとしていないため、指数の標章使用料がかからないからなんて話もありました。

あまり意識していない方も多いと思いますが、この部分は馬鹿にできないんですよ。

隠れコストや運用時のトラッキングエラーに注意

ちなみにある調査では実際の経費の方が公表されているものより0.03%〜0.15%くらい高い投資信託が多いとの情報もあります。

今回のTracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)は信託報酬率が0.05775%。

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は0.1133%以内と単純な数字比較だと倍くらい違います。

そうやって聞くと差は大きい気がします。

しかし、実際の差は0.0555%しかありません。

隠れコストの差や運用の差で逆転してしまう可能性があるレベルなんですよ。

同じベンチマークの商品ですから運用差なんて起こるのか?なんて方も見えるかもしれません。

これは実際よくあります。

バッシブ運用の投資信託でもトラッキング・エラーといってベンチマークと乖離が発生することがあるのです。

eMAXIS Slimシリーズやたわらノーロードシリーズは規模が大きいことも有り、トラッキング・エラーが少ないことでも定評があります。

Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)はまだこれからですからわからない部分ですね。

どちらを選択すべきか

今回の発表を受けて意見が分かれるところです。

個人的な見解としては「Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)」の実際のコストがどれくらいになるのか、実際の運用がどうなるのかを確認してから判断したいと考えています。

なお、実際のコストの見方などはこちらの記事で解説しておりますので合わせて御覧ください。

それを見なくても隠れコストは実際の成績にも影響してきますのでそちらを比較してみても良いでしょう。




まとめ

今回は「eMAXIS Slim オールカントリー(全世界)はTracers MSCIオール・カントリーに追随しない方針」と題してeMAXIS Slim オールカントリー(全世界)の方針についてみてきました。

追随してくれることを期待していた部分もありますが、「指数の標章使用料」の話を聞くと納得できるものもあります。

最近は引き下げ競争が再び激化していますが、見せ方は共通化してほしい、ルール決めをしてもらいたいものですね。

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最後まで読んでいただきありがとうございました。
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