新NISAも短期売買(デイトレードなど)での利用がかなり多い件。

昨年までの一般NISAやジュニアNISAでもそうでしたが、NISAをデイトレードやスイングトレード等の短期売買に利用している人は一定数いるようです。

今回はSBI証券の2024/1/29 ~ 2024/2/2のNISA(成長投資枠)の株の週間買付金額ランキング、週間出来高ランキング等に着目してみたいと思います。

大前提:新NISAとは

まずは、今回の話の大前提として新しいNISAの仕組みを見ておきましょう

新しいNISAの概要

新しいNISAは以下のような仕組みです。

新NISA概要

出典:金融庁 新しいNISA より

ポイントとなるのはNISA制度の恒久化と非課税で投資できる金額も増えていることですね。

  • つみたてNISA年40万円→120万円(つみたて投資枠)
  • 一般NISA年120万円→240万円(成長投資枠)

つみたてNISA部分は「つみたて投資枠」とされ今まで年間40万円だったのが120万円まで可能となります。

ただし、生涯投資上限額1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)があり、そこまでが新しいNISAで投資ができる上限ということです。

独特のデメリットもある

これだけみるとかなりメリットがある制度に見えます。

しかし、NISA枠には独特のデメリットもあるんですよ。

損益通算ができない

まずはNISA枠で取引した株の損益は、他の口座(一般口座や特定口座)と損益通算ができないということ。

損益通算とは、同一年分の利益と損失を相殺できる制度です。

例えばA口座では100万円の利益。

B口座では20万円の損失がでていた場合に、確定申告すればAーBの利益で税金が計算されるようになるのです。

しかし、B口座の20万円の損失がNISA内の話だとそれは損益通算に使えず、A口座の100万円にそのまま税金が掛かることになります。

繰越控除もできない

もう一つがNISA枠で取引した株は繰越控除もできません。

繰越控除とは損益通算で引ききれなかった損失を最大3年繰り越して、利益と相殺できる制度のこと。

例えばA口座では20万円の利益

B口座で100万円の損失が出たとします。

その場合、損益通算するとマイナスとなりますので、確定申告すれば株の売買での税金はかかりません。

更にマイナス分の80万円を繰り越すことができます。

次の年に50万円利益出ても繰越分のマイナスいないですから税金かからず。

更に次の年に30万円利益が出ても繰越分で丁度ですから税金かからずといった具合になります。

しかし、NISA枠で購入していて損失が出た場合には損益通算の対象外ですからこの繰越控除も使えないのです。

つまり、NISA枠で利益が出れば非課税で有利ですが、損失がでた場合にはNISA枠で買った方が不利になる可能性があるってことですね。

この2つのデメリットがあるので、あまり短期売買に向いていないと思うですよ。

ですから私は個別株ではなく基本的には長期で期待値がプラスになるであろうインデックスファンドへの投資をおすすめしています。




SBI証券のNISAランキング(成長投資枠)

それでは本題のSBI証券の2024/1/29 ~ 2024/2/2時点のNISAのランキング(成長投資枠)をみてみましょう。

多くの銘柄が短期思考なんですよね。

週間買付金額

まずは週間買付金額です。

※スマートフォンの方はスクロールしてお読みください。

順位コード銘柄名現在値前日比
19432187.5+0.3
+0.16%
283042,150-407
-15.92%
345031,680-12
-0.71%
429143,906+3
+0.08%
545024,279-27
-0.63%
683061,392+3
+0.22%
772032,951.5+6.5
+0.22%
880582,545-16.5
-0.64%
983167,620-19
-0.25%
1065263,713+288
+8.41%

出典:SBI証券

注目は2位の「あおぞら銀行」です。

今期(2024年3月期)の連結業績見通しが最終赤字に転落すると発表。

高配当で人気だったのに無配にすると発表したことで大幅下落している状況でのランクインです。

前述したようにNISA枠で取引した株は利益がでても非課税ですが、損失がでたら損を損益通算に回せません。

つまり、損切しにくいのですが、ここから挽回するとの見解の方が多いということなのでしょう。

また、10位の「ソシオネクスト」は聞き慣れない方が多いと思いますが、半導体銘柄でここ1ヶ月位で急激に上げている銘柄です。

面白いことにyahooの株式カテゴリーのアクセスランキングは1位は日経平均株価ですが、2位が「あおぞら銀行」、3位が「ソシオネクスト」なんですよ。

それだけ個人に注目されている銘柄が上位に入ってきているということです。

NISAでも短期的な見方をしている人が多いってことなんでしょうね。

週間出来高

次は週間出来高です。

※スマートフォンの方はスクロールしてお読みください。

順位コード銘柄名現在値前日比
19432187.5+0.3
+0.16%
2939950
0.00%
34005332.7+4.4
+1.34%
483061,392+3
+0.22%
583042,150-407
-15.92%
645031,680-12
-0.71%
76740200
0.00%
84506348-6
-1.69%
94755632+7.8
+1.25%
109973200
0.00%

出典:SBI証券

こちらもかなりおもしろい傾向が見て取れます。

株価が5円の「ビート・ホールディングス・リミテッド」、20円の「ジャパンディスプレイ」、同じく20円の「小僧寿し」がランクインしています。

出来高ですから1株が安いほうが有利ですがこちらもかなり短期思考が見て取れます。

とくに「小僧寿し」は完全にデイトレ銘柄でこの手のランキングには毎回入っていますね。

こちらにも「あおぞら銀行」が入っています。

週間保有残高

最後は週間保有残高です。

※スマートフォンの方はスクロールしてお読みください。

順位コード銘柄名現在値前日比
129143,906+3
+0.08%
29432187.5+0.3
+0.16%
383061,392+3
+0.22%
480582,545-16.5
-0.64%
545031,680-12
-0.71%
645024,279-27
-0.63%
772032,951.5+6.5
+0.22%
883167,620-19
-0.25%
954013,550+4
+0.11%
1084733,637-2
-0.05%

出典:SBI証券

こちらは保有残高のランキングです。

このランキングだけみるとかなり真っ当な長期投資にふさわしい?銘柄が並んでいます。

「あおぞら銀行」などは買付金額が2位で入っていて、この保有残高に入っていないってことは短期で売買された可能性が高そうですね。。。




まとめ

今回は「新NISAも短期売買(デイトレードなど)での利用がかなり多い件」と題してSBI証券のNISAランキングに着目してみました。

損益通算ができないなどデメリットも有ることから短期の個別株の売買にはあまり向いていない制度なのに、かなり短期売買をしている方が多いことがわかりました。

短期売買が悪いとは言いませんが、制度の趣旨的にはあまりうまく行かなかったといえるのかもしれませんね。。

こういう利用が増えて改悪されないことをお祈りします。

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最後まで読んでいただきありがとうございました。

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