先日、妹夫婦がケンカしたとのことで、内容を聞いていたら夫が「換気扇を切らない」ことが原因とのことでした。
これって冷静に考えると夫が正解の可能性も・・・
そこで今回は換気扇つけっぱなしのメリット・デメリット、実際の電気代、そして節約術まで解説していきます。
換気扇はこまめに消すのが正解なのか?
それでは順番に解説していきましょう。
建築基準法で義務付けられた24時間換気
2003年7月1日に施行された改正建築基準法により、すべての新築住宅に24時間換気システムの設置が義務付けられました。
この背景には、シックハウス症候群という健康被害の問題があります。
昨今の高気密・高断熱化が進んだ現代の住宅は、昔の家と比べて自然換気が大幅に減少しています。
その結果、建材や家具から発生する揮発性有機化合物(ホルムアルデヒドなど)が室内に蓄積し、めまい、頭痛、吐き気などの症状を引き起こすようになりました。
これを防ぐため、法律で24時間換気が義務化されたのです。
投資家として住宅関連の法規制を見る際、これは居住者の健康を守るための重要な規制だと評価します。
換気扇は連続運転を前提に設計されている
製品設計の観点から説明すると、一般家庭用の換気扇は24時間連続運転を前提に設計されています。
具体的には、以下のような設計上の配慮がなされています。
ホコリ付着防止剤 換気扇のモーター部分には、ホコリの付着を軽減する防止剤が使用されています。これにより、長時間運転してもモーターが過熱しにくくなっています。
ショート防止設計 電気系統には、ショートや過熱を防ぐ安全装置が組み込まれています。長時間の連続運転でも火災のリスクは極めて低いです。
耐久性の確保 換気扇の設計寿命は、一般的に10年から15年程度です。この期間、24時間運転し続けることを想定して設計されています。
つまり換気扇をつけっぱなしにしても、製品の安全性や寿命の面では問題ないと言えます。
換気扇つけっぱなしのメリット
それでは換気扇をつけっぱなしにするメリットはどのような点にあるのでしょうか?
カビの抑制効果
換気扇つけっぱなしの最大のメリットは、カビの抑制だと考えます。
日本は高温多湿の気候で、特に梅雨から夏にかけては湿気がこもりやすい環境です。
湿度が70%を超えるとカビが繁殖しやすくなり、一度発生すると除去が非常に困難です。
特にお風呂は最もカビが発生しやすい場所です。
入浴後、浴室内は高温多湿の状態になります。
換気扇を回さずに放置すると、数日でカビが発生します。
資産価値で考えるとカビによる住宅の劣化は深刻です。
賃貸物件であれば退去時の原状回復費用、持ち家であれば資産価値の低下につながります。
月数百円の電気代で、数万円から数十万円のカビ除去費用や住宅劣化を防げるのであれば、極めて費用対効果が高い投資だと言えます。

空気質の改善
健康への投資という観点から空気質の改善も重要です。
建材、家具、塗料、接着剤などから放出される揮発性有機化合物(VOC)は、長期的に健康被害を引き起こす可能性があります。
特に新築やリフォーム直後は、VOCの放出量が多いため、積極的な換気が必要です。
ダニの死骸やフン、カビの胞子などのハウスダストは、アレルギーや喘息の原因となります。換気によって室内のハウスダストを外に排出できます。
健康は最大の資本です。
医療費や仕事の生産性低下を考えれば、換気による健康維持は極めて重要な投資だと言えます。
臭いの防止
快適性という無形の価値も評価します。
キッチンの調理臭 料理の匂いは部屋に残りやすく、壁紙やカーテンに染み付きます。
換気扇を適切に使用することで、調理臭が部屋中に広がるのを防げます。
トイレの悪臭 トイレの換気扇を常時運転することで、悪臭が他の部屋に広がるのを防ぎます。
来客時にも安心です。
浴室の湿気臭 浴室を換気せずに放置すると、湿気による独特の臭いが発生します。
換気扇の連続運転で、常に清潔な空気を保てます。
快適な住環境は生活の質(QOL)を高めます。
ストレスの少ない環境で過ごすことは、長期的な健康維持や仕事の生産性向上にもつながります。
換気扇つけっぱなしのデメリット
一方、デメリットもあります。
電気代の負担
最大のデメリットは電気代の負担です。
電気代が高騰している現在、固定的な電気代の増加は家計に直接的な影響を与えます。
後述しますが、場所によって電気代は大きく異なるため、費用対効果を正確に把握する必要があります。
電気代というランニングコストと、換気によって得られるメリット(健康維持、カビ防止、住宅劣化の防止)を天秤にかけて判断することが重要です。
換気扇の定期的な掃除が必要
メンテナンスコストも考慮すべきデメリットです。
換気扇は使用するほど汚れが蓄積します。
ホコリ、油汚れ、カビなどが付着し、放置すると換気効率が低下します。
換気効率が落ちれば、同じ換気効果を得るためにより多くの電力を消費することになります。
特に1種換気の場合にはこまめなフィルター交換が必要となります(詳しくは後述)
外気温の影響
夏や冬の時期には外気温の影響も無視できません。
冬場、換気によって暖房した空気が外に逃げ、暖房効率が低下します。
逆に夏場は、冷房した空気が外に逃げます。
換気扇の電気代だけでなく、冷暖房費の増加も考慮する必要があります。
ただし、熱交換式というタイプがあります。
これは、排出する空気の熱を回収して、取り入れる新鮮な空気を予熱・予冷する仕組みです。
熱交換型であれば、冷暖房費の増加を最小限に抑えられます。
また、換気扇を使ってないと壁に穴が空いているような状況なので、そこから暑い、寒い空気が入るケースがあります。
こういった使っていないときは蓋が閉じるタイプにするのも有効だったりします。
「換気扇 つけっぱなし 電気代」は本当に高い?
電気代の計算式はシンプルです。
電気代 = 消費電力(kW)× 時間(h)× 単価(円/kWh)
家庭の目安単価を31円/kWhとすると、代表的な機器の“つけっぱなし”コストは次の通りです(メーカー公表値から代表例を採用)。
浴室・トイレ用の小型換気扇
近年の省エネ機種は約5~20W。
・10Wを24時間×30日 ⇒ 0.01kW×720h×31円=約223円/月
・20W ⇒ 約446円/月
三菱電機のFAQでも、「平均4.9Wで24時間運転して1日約3.5円」の目安が示されています。
浴室換気扇(13~20W)を1か月つけっぱなしで約290~446円と試算。
大きな負担ではありません。
レンジフード(キッチン)
常時風量(弱)で4~10W級の製品例があり、“常時”での電気代は数十~数百円/月のレンジ。
ただし強運転は20~50W前後と跳ね上がります。
代表例としてパナソニックFY-75DE3-Sの消費電力は「常時4.1W/弱5.6W/中11.4W/強24W」。
重要:レンジフードは“油煙を確実に排気するための局所換気”。調理時+後運転が基本で、24時間つけっぱなし前提の機器ではありません。
換気扇にも種類がある:第一種換気・第三種換気とは?
また、一概に換気扇といっても方式がいくつかあります。
それらによって多少考え方も変わるんですよ。
第一種換気(給気も排気も“機械で”やる方式)
第一種換気は家の中に空気を入れる側・出す側の両方がファンで動くものです。
さらに第一種換気には熱交換(HRV/ERV)という仕組みがつくことが多く、冬は捨てるはずの室内の熱を回収して外から入る冷たい空気を少し温めて入れてくれます。
夏はその逆です。結果として、冷暖房のムダが減りやすいのが強みです。
花粉やPM2.5は給気フィルターである程度ブロックできます。
ただし、デメリットもあります。
入る方も出す方も機械なので電気代が余分にかかること。
初期費用が高いこと
フィルター掃除などの頻度が第三種換気よりかなり早いこと
などです。
第三種換気(“排気だけ機械”、給気は“給気口”から)
次は第三種換気です。
出す側だけファンで吸い出し、入ってくる空気は自然に(壁の給気口などから)入れます。
仕組みが単純で機器も安く、初期費用・電気代が軽いのがメリット。
ただし外気をそのまま入れるため、熱は回収できず、寒冷地や猛暑時は冷暖房の損失が大きくなりやすいのがデメリットです。
方式別:“つけっぱなし”の考え方(電気代と快適性のバランス)
つけっぱなしが良いのかは方式でもかなり変わってきます。
第一種換気の家
第一種換気は常時運転(弱)が前提設計です。
止めると、熱交換が効かないだけでなく、計画換気(0.5回/h)の達成が崩れます。
熱交換で冷暖房の損失を大幅に圧縮できるため、つけっぱなしの電気代<冷暖房の節約になりやすいのが実務感覚
併用のコツ:キッチンのレンジフードは“調理時+後運転”だけ強にし、第一種換気の本体は止めない。
これが最も効率的です(レンジフードは局所排気で別系統)
第三種換気の家
トイレ・浴室の換気扇=家全体の排気の要になっている場合が多いです。
ですから常時“弱”で回し続けるのが基本。
とくに夜間や在宅時は停止しないほうが、ニオイ戻りや湿気滞留を防げます。
ただし第三種は熱が逃げやすいため、寒冷地や厳冬期は風量“弱”維持+すき間風対策(給気口フィルター清掃・建具の調整)で必要最小限の連続換気に寄せるのが現実解。
長時間“強”でつけっぱなしは冷暖房費の増大に直結します。
よくある疑問への答え
よくある疑問も見ておきましょう。
Q. 24時間換気は止めていい?
A. 基本NGです。
法制度の趣旨は“常時”で空気を入れ替えること。
スイッチは切らずに弱で回すのが前提です。
Q. 電気代が不安…
A. 31円/kWh目安でも月数百円です。
意外と安いんですよ。
カビ取りや体調不良のコストを考えると、最も費用対効果が高い予防策です。
Q. レンジフードを24時間回すのは?
A. 推奨は調理時+後運転。
常時モードの低消費電力(例:4.1W)がある機種はそれをつけておくのも選択肢
機種によってはコンロと連動して自動で止まりますので、あらかじめそういう機種を選択するのも手です。
まとめ
今回は「換気扇は24時間つけっぱなし?こまめに消す?メリット・デメリットを解説」と題して換気扇の話をみてきました。
第一種と第三種で多少代わりますが、基本的には換気扇は弱で常時つけておくのが正解なんですよ。
キッチンは使うときだけ「強」
使わないときは「常時」か「切」です。
月数百円の電気代で、カビ・臭気・健康リスクという“大損”を未然に避けられます。
換気扇のつけっぱなしの費用対効果は悪くないんですよ。
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