11年ぶりに標準生命表が改定されました。
これにより生命保険各社が標準生命表を元に計算をしている生命保険は値下げ、医療保険や年金保険は値上げの方向に動いているようです。
あんまり関係ないや、って思う方も多いかもしれません。
しかし、標準生命表を見ると自分の老後についても見えてきます。
今回は標準生命表について考えてみたいと思います。
※:一部加筆修正、追記をしております。
標準生命表とは
標準生命表とは日本アクチュアリー会が金融庁からの委託で作成しているの表で、保険業法により標準を定められている保険会社の積立金「標準責任準備金」の計算に用いられます。
保険会社は何かあったときにでも保険契約者に保険金が支払えるようにお金を準備しておく必要があります。
それを標準責任準備金といい、その計算に使われているのが標準生命表です。
つまり、保険の基礎になる大変重要なデータなのです。
これが変わればそもそも計算の根本が変わりますので保険の価格が大きく変わります。
標準生命表になにが書いてあるのか
標準生命表は男女別、年齢別に生存数、死亡数、死亡率、平均余命(あと何年生きるか)などが統計学、確率論を元に予想されています。
例えば今60歳の男性の平均余命は23.68歳となっています。
つまり、今60歳の人は平均すると83.68歳まで生きるということです。
その最新版は下記のリンク先にありますので興味が有る方はどうぞ。
標準生命表が11年ぶりに改定
2018年度からこの標準生命表が改定になりました。
改定は2007年以来ですから実に11年ぶりです。
今回の改定の発表で例示されていたのが40歳の死亡率ですが
●40歳女性の死亡率が「1000人に0.98人(2007年)」から「同0.88人」に
と大きく改善しています。
死亡率が男性で1000人中0.3人減、女性は1000人中0.1人減となっています。
全世代を平均した改善率は、男性で24.4%、女性で15.0%の改善とかなりのレベルといえます。
平均寿命も2007年版ですと男子81.15歳、女子87.83歳であったのに対し2018年版では男子83.47歳、女子89.59歳と男性で2.32歳、女性で1.76歳伸びています。
それだけ医療技術が進展したということなのでしょうね。
標準生命表改定の影響
それでは標準生命表が改定されたことで何がどのように変わるのでしょうか?
1番影響があるのが保険です。
各社方針によって対応はバラバラですが、基本的に終身保険や定期保険などの死亡保険は死ぬ人が減るので保険金を出すのが遅くなる、つまり、標準責任準備金を積む金額が少なくて済むということで値下げの方向。
逆に医療保険、がん保険や年金保険は長生きすればそれだけ支払いリスクは増えるということで値上げの方向ということです。
とくに下記のトンチン年金あたりは結構な値上げ(もしくは支払いを減らす)になる可能性が高そうな気もします。
長生きする人が増えれば増えるほど標準責任準備金を積む必要がありますからね。
あまり聞き慣れないかもしれませんが「トンチン年金」(トンチン保険ともいう)という保険商品があります。個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)と少し毛色は違いますが老後に備えるという点では同様の商品です。今回はこの「トンチン年[…]
生命保険各社の対応
主だった保険会社の今回の標準生命の改定による保険料の対応をみていきましょう。
今回の改定により販売停止するものもあります。
また条件により値上げも値下げもありとなっているものは年齢や性別、保証内容によってどちらもありえるパターンです。
まずは、自分の加入している保険が値上げなのか値下げなのか確認すると良いでしょう。
保険会社にもよりますが、既存の保険は保険料そのままの場合もあります。
その場合は入り直したほうが安くなったりするケースも・・・
逆に高くなる場合もありますのでこの機会に現在の保険でよいのかを見直してみても良いかもしれませんね。
日本生命
定期保険、終身保険、養老保険、継続サポート3大疾病保障保険、継続サポート3大疾病保障保険は値下げ(2018年4月から)
総合医療保険、就業不能保険は値上げ(2018年4月から)
三井生命
定期保険ーM、グランドクルーズ(5年ごと利差配当付終身保険)、ドリームグルーズワイド(無配当外貨建終身保険016(予定利率更改型))値下げ(2018年4月から)
大樹セレクト(無配当保障セレクト保険)、ザ・らいふ-M(無配当養老保険)条件により値上げも値下げもあり(2018年4月から)
ソニー生命
家族収入保険、生活保障特則14付家族収入保険、逓減定期保険、無解約返戻金型平準定期保険、無解約返戻金型平準定期保険(障害介護型)条件により値上げも値下げもあり(2018年2月から)
平準定期保険、平準定期保険(喫煙リスク区分型)、低解約返戻金型平準定期保険(障害介護型)条件により値上げも値下げもあり(2018年4月から)
終身保険 販売停止(2018年4月1日まで)
三井住友海上あいおい生命
新総合収入保障 Ⅱ型 Ⅲ型、新収入保障 Ⅰ型、逓減定期保険、定期保険、無解返定期保険、特定疾病保障定期保険、特定疾病保障終身保険、養老保険、こども保険値下げ(2018年4月から)
新ガン保険α 条件により値上げも値下げもあり(2018年4月から)
&LIFE 新医療保険Aプラス、&LIFE 積立利率変動型終身保険(低解約返戻金型)販売停止(2018年4月1日まで)
自分の老後資金も考えてみよう
今回の標準生命表の改定内容をみていただければわかりますが、平均余命が伸びています。
つまり、ご自身も長生きする可能性が高くなるということです。
長生きするということは喜ばしいことですが、それだけ老後資金も必要となるということです。
標準生命表をみればあと平均してどれくらい生きられるかも分かりますし、老後資金も考えてみてみましょう。
特に個人型確定拠出年金(iDeCo)あたりはおすすめですよ。
詳しくは下記記事をご覧ください。
日本では年々生活保護世帯が増え続けています。しかもそのうち半数以上が高齢者の世帯です。昨日の記事にも書きましたが平成28年度厚生年金保険・国民年金事業の概況によると国民年金の一人あたり月額の老齢年金は55,464円です。[…]
まとめ
今回は標準生命表が11年ぶりに改定されたお話でした、
もちろん直接影響を受けるのは保険の金額です。
しかし、それ以外にもご自身が長生きすることを考えて老後資金も合わせて考えてみるきっかけとしてみても良いかもしれませんね。
読んでいただきありがとうございました。
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