先日、安倍首相が消費税増税を正式に表明しました。そもそもすでに決まっていたことではありますが、すでに2回延長されていることから、もう延期しませんっていう宣言をしたってことですね。それと合わせてポイント還元なる新しい制度が導入される事になりそうです。
今回はこの消費税増税対策について見ていきましょう。
※一部内容を加筆、修正を加えました
消費税増税の概要
まずは消費税増税の概要から見ていきましょう。
消費税増税は下記のスケジュールで行われます。
出所:国税庁「軽減税率説明資料」に基づき著者作成
2019年10月1日から消費税が10%に増税されます。合わせて軽減税率が導入され対象となる商品は8%に据え置きとなります。また、消費者の方にはあまり関係ないかもしれませんが、2023年10月1日からインボイス(適格請求書等保存方式)も導入されることが決まっています。
軽減税率とは
軽減税率とは消費税の弱点である逆進性を解消するために一部の商品だけ税率を8%に据え置きする制度です。
逆進性とはお金持ちの方と、そうでも無い方を比較するとそうでも無い方の方が収入に占める支出の割合が多いため、相対的負担割合が高くなる事を言います。
そのため生活に絶対必要な外食やお酒を除いた食料品を8%に据え置くことにしたのです。
政治的な絡みがあるのかなぜか新聞も軽減税率対象に入ってますが(笑)
具体的な軽減税率の対象商品は下記の図をご覧ください。
出所:国税庁「軽減税率説明資料」より
ややこしい軽減税率
ややこしいのがケータリングや外食、酒類などの適用外ですね。
本みりんとみりん風
たとえばみりんです。みりんは種類により税率が10%のものと8%のものに分かれます。本みりんは酒税法上では酒類という扱いになりますので消費税は10%となります。対してみりん風は酒税法上では酒類という扱いになりませんので軽減税率対象の8%となるのです。
税率が分かれる栄養ドリンク
また、栄養ドリンクもややこしいです。例えばユンケルという栄養ドリンクは医薬部外品となっていますので軽減税率対象外つまり消費税10%となります。対してオロナミンCなどは清涼飲料水という扱いなので軽減税率対象(税率8%)となるのです。同じようにリポビタンDなどはユンケルと同じく軽減税率対象外つまり消費税10%となりますが、タフマンはオロナミンCと同じく清涼飲料水という扱いなので軽減税率対象つまり、税率8%となります。
持ち帰りや出前と外食
さらにややこしいのが持ち帰り、出前と外食です。同じ商品でも扱い方で税率が変わるのです。例えば中華料理屋で餃子を食べれば税率は外食なので軽減税率対象外で10%となります。しかし、その中華料理屋でお土産で餃子を買えば軽減税率対象となり8%となります。さらに出前で持ってきてもらっても軽減税率対象で8%なんですよね。この辺りはややこしそうです。
また、コンビニで弁当を買った場合もイートインコーナーで食べれば外食扱いで10%、持って変えれば8%となります(ややこしいのでイートインコーナーで飲食禁止となる可能性が高そうだという話です)
持ち帰りと嘘付く人がいた場合
フードコートなどでの食事も基本的に外食という扱いになりますので税率10%となります。しかし、中には持ち帰りますといって軽減税率対象にして8%で購入して実はこっそり席で食べる人がでてくる可能性があります。この場合には店舗側はレジで判断すればそれでOKというルールがつきます。嘘ついた人の勝ちってことですね。
そこで飲食店などは持ち帰りや出前を2%値上げして両方金額を同じにすることを検討している企業が多いようです。持ち帰れば8%、その場で食べれば10%ですが税抜き金額が違っていて総額にすると両方共同じ金額になるようにするってことですね。たしかにこれはいいと思いますが値上げですからね・・・
ケータリング
ケータリングもややこしいです。出前との線引きが調理、火を使う、給仕があるな否かになります。例えば弁当の仕出しを頼むケースなんかはどちらになるのかややこしそうですね。
また、ケータリングではあるけど学校給食や老人ホームなどは軽減税率の対象となります。対して大学の学食は軽減税率の対象外となります。ほんとややこしいですね。
新聞
新聞もややこしいです。駅売りやコンビニ売りの新聞は軽減税率対象外(税率10%)となります。また、日経新聞などは電子版をかなり押していますが電子版も軽減税率対象外(税率10%)となります。対象となるのは定期購読契約(紙の新聞)のみです。また、週2回以上発行との条件もついていますので大半の業界新聞も対象外となります。
そもそも新聞が対象となるのが不思議ではあるのですが・・・
軽減税率はほんとややこしいですね。なぜこんなややこしくする必要があるのかわかりません・・・
ヨーロッパはもっとややこしいといえばそうなのですが・・・
企業への影響
この軽減税率が導入されることで大半の小売店、飲食店がレジの交換を余儀なくされます。レジ購入のための補助金(軽減税率対策補助金)はありますが、持ち出しも1/3は発生します。
そうなれば結局価格に反映されるでしょうから軽減税率の意味はあるのか・・・って気がしないでもありません。レジメーカーなどはおいしいのでしょうが・・・
消費税ポイント還元とは
まだ具体的な内容は発表されていませんが、買い物をクレジットカードや電子マネーのキャッシュレスで購入すると増税分の5%還元する制度が導入されそうです。狙いとしては他国と比べてかなり遅れているキャッシュレス決済の比率を上げたいという狙いがあるようですが・・・
私も基本的にキャッシュレスで生活していますのでありがたい話ではありますが・・・キャッシュレスのメリット・デメリットはこちらを御覧ください。
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対象となる買い物
具体的な内容はそれほどでていませんが、現状の話だと対象となるのが中小の小売店で、クレジットカードや電子マネーなどです。現金を使わずにキャッシュレス決済で買い物をした場合に、購入額の5%分をその後の買い物で使えるポイントとして還元してその費用は国が負担することになります。中小の小売等の条件は資本金1億円未満の企業とのことです。ってことは大手コンビニチェーンなどの買い物などは対象外となりそうです。もしそのコンビニがFC(フランチャイズ)の場合にはどちらで判断するのでしょうかね・・・
また、買い物する側が相手先の資本金なんて知ってるわけありませんので、外から対象なのかどうか分かるようにするのでしょうか。。。このあたりも気になります。
どこのポイントに付くのかが問題
まだ現状では詳しい流れがでていませんのでわかりませんが、ポイント還元といってもどういったポイントを還元するのかが問題でしょう。クレジットカードをつかったならそのクレジットカードのポイントが増えるのか、それとも独自のポイントサービスを構築するつもりなのか・・・独自のポイントだと使い勝手は悪そうですよね・・・システム構築にいくらかかるのか・・・
中小小売の負担
もしその制度を中小小売が導入するならクレジットカードや電子マネーの決済装置を入れる必要があります。最近はSquareのように無料で導入できてiPhoneやiPadで簡単に決済できるサービスもありますけどね。
ただし、その場合でもクレジットカードや電子マネーで決済をするとその企業が3.5%くらいの決済手数料を負担することになります。
また、ポイントの付け方によってはさらに専用端末が必要なんて話にもならないとも限りません・・・
前述のレジの交換の話でもそうですが、そうなれば結局価格に反映されるでしょうから軽減税率の意味はあるのか・・・って気がしないでもありません。
ポイントキャッシュバックの期間
いま出ている情報だとオリンピックが始まるまでの9ヶ月となっています。
個人的には9ヶ月間消費税の増税を遅らせばよいだけのような気もしないでもありませんが・・・
まとめ
今回は「消費税増税の対策【ポイント還元】、【軽減税率】とは」と題して消費税ポイント還元と軽減税率についてみてきました。どちらも微妙な制度だなってのが個人的な感想です。
軽減税率はかなりややこしいです。やるなら食料品は全部8%とすべきでしょうし、財源的に問題あるならそもそも全部10%で軽減税率を導入しなければよいと思うのですが・・・小売店や飲食店の負担だけが大きくなんだかな・・って思うところがあります。
消費税ポイント還元についてはキャッシュレス化がなかなかすすまない日本では急激に進展させるための方策としては面白いですけどね・・・まだ詳しい情報がでていませのでなんとも言えませんが。
また今回ご紹介した以外にもかなり買える方が限定されたプレミアム商品券の発行なんて話もありますね・・・
消費税増税や駆け込み購入についてはこちらを御覧ください。
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