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「30代・40代の貯蓄ゼロが23%」というデータは正確なのか?他の統計と比較してみた

先日、SMBCコンシューマーファイナンス株式会社が発表した「30代・40代の金銭感覚についての意識調査2019」というアンケート結果がかなり話題となっています。

30代・40代の貯蓄額 「貯蓄ゼロ」23%

つまり約4人に1人は貯蓄がないというデータだったからです。

また、貯蓄の平均額もかなり落ちているという内容でした。

今回はこのアンケート結果がどこまで信憑性があるのかについて他の統計と比較して考えてみます。

SMBCコンシューマーファイナンス株式会社の調査


まずはSMBCコンシューマーファイナンス株式会社の「30代・40代の金銭感覚についての意識調査2019」の結果から見ていきましょう。


30代、40代の貯蓄

貯蓄額平均値(万円)
30歳代194万円
40歳代196万円

30代、40代の貯蓄額の平均額は195万円、30代194万円、40代196万円となっています。

2018年の調査だと40代の平均は316万円でしたから大きく下がっていますね。

一年でこんなに平均貯蓄額が落ちるのか?って疑問が残る結果です。

貯蓄の金額0万円1万円〜50万円
30歳代、40歳代合計23.1%24.6%

さらに注目されているのは貯蓄ができていない人(「0万円」)の割合です。

23.1%の方が貯蓄0と回答しています。

さらに貯蓄が1万〜50万円以下も24.6%いますから貯蓄が50万円以下が47.7%という結果となります。

元の調査結果はこちらを御覧ください:30代、40代の金銭感覚についての意識調査2019

30代・40代の金銭感覚についての意識調査2019の調査方法

このアンケートは全国の30歳~49歳の男女1,000名(全回答者)にとった内容となっております。

発表されている概要ではアンケート対象となった方の属性や地域性がわからないのでどのくらい全体を把握できているのか疑問はあります。

また、SMBCコンシューマーファイナンス株式会社は無担保ローン(消費者金融)の会社ですからその顧客にアンケートを取った結果の可能性も高そうです。そうなるとかなりバイアスの掛かった結果となってしまうでしょう。

日本銀行の調査(家計の金融行動に関する世論調査)


次に日本銀行の調査を御覧ください。こちらは二つの調査がありました。家計の金融行動に関する世論調査の二人以上世帯調査と単身世帯調査です。

家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯調査)

金融資産(保有してない世帯を含む)平均値(万円)中央値(万円)
全国1,430609
20歳代249111
30歳代660382
40歳代942550
50歳代1,481900
60歳代1,8491,000
70歳代以上1,780700

出所:日本銀行「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査」(平成30年版)より

こちらの調査結果で見ると平均金融資産は30歳代で660万円(SMBC調査194万円)、40歳代で942万円(SMBC調査196万円)となっています。これだけみるとSMBCコンシューマーファイナンス株式会社の調査とはだいぶ違いますね。

ただし、こちらの統計は貯蓄だけでなく金融資産となっていますので注意が必要です。

金融資産ですから株や債券なんかも含んで考えられたデータになります。ほとんどの方が貯蓄以外の金融資産を持っていないというデータも同じ資料でありますのでそれほど気にしなくても良いと思われますが・・・

この違いを見るとSMBCコンシューマーファイナンス株式会社のアンケートをした方が消費者金融利用者である可能性が高そうな気がします。それだけ二極化が進んでいるといえるのかもしれませんが・・・

ちなみに中央値でも30歳代で382万円、40歳代で550万円、最頻値は0です。

金融資産の有無保有している保有していない
全国77.3%22.7%
20歳代67.8%32.2%
30歳代82.5%17.5%
40歳代77.4%22.6%
50歳代82.6%17.4%
60歳代78.0%22.0%
70歳代以上71.4%28.6%

出所:日本銀行「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査」(平成30年版)より

金融資産の有無で確認すると全体で保有していない人が22.7%、30歳で17.5%、40歳代で22.6%という結果となっています。こちらに関してはSMBCコンシューマーファイナンス株式会社の調査とかなり近いですね。

元の調査結果はこちらを御覧ください:家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]

家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯)の調査方法

ちなみにこちらの調査もアンケート方式ですが、全国から500の調査地点を選び、各調査地点から無作為に16の世帯を選ぶことによって計8,000の調査対象世帯(標本)を抽出してのアンケート調査となります。

SMBCコンシューマーファイナンス株式会社のアンケートと比べると層はかなりバラバラになってそうな感じですね。

家計の金融行動に関する世論調査(単身世帯調査)

金融資産(保有してない世帯を含む)平均値(万円)中央値(万円)
全国1,234350
20歳代23985
30歳代533250
40歳代1,177500
50歳代1,762711
60歳代2,2181,100

出所:日本銀行「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査」(平成30年版)より

こちらの調査結果で見ると平均は30歳代で533万円(SMBC調査194万円)、40歳代で1,177万円(SMBC調査196万円)となっています。これだけみるとSMBCコンシューマーファイナンス株式会社の調査とはだいぶ違いますね。

ただし、前述の二人世帯と同じくこちらの統計は貯蓄だけでなく金融資産となっていますのでお気をつけください。金融資産ですから株や債券なんかも含んで考えられます。

40歳代になると単身世帯の方が金融資産が多いんでですね。子育て費用等がないからなんでしょうね

ちなみに中央値でも30歳代で350万円、40歳代で500万円、最頻値はこちらも0です。

金融資産の有無保有している保有していない
全国61.4%38.6%
20歳代54.6%45.4%
30歳代60.3%39.7%
40歳代57.4%42.6%
50歳代60.5%39.5%
60歳代73.3%26.7%

出所:日本銀行「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査」(平成30年版)より

金融資産の有無で確認すると全体で保有していない人が38.6%、30歳で45.4%、40歳代で39.7%という結果となっています。単身世帯になると金融資産を保有していない層が大幅に増加しているのがわかりますね。

元の調査結果はこちらを御覧ください:家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]

家計の金融行動に関する世論調査(単身世帯)の調査方法

全国2,500世帯(20歳以上70歳未満で、単身で世帯を構成する者)(インターネットモニター調査)

総務省の調査


次に総務省の調査を御覧ください。

こちらは2種類あります。一つは世帯別の家計を調査した「家計調査報告」。もう一つが単身世帯のみを調査した「単身世帯の家計収支及び貯蓄・負債に関する調査」です。

家計調査報告

日本人の貯蓄額
出所:総務省「家計調査報告」

こちらは年齢層別になっておらず日本国民全体ですが、貯蓄現在高が100万円未満の世帯は10.5%となっています。また、貯蓄額の平均値は1820万円、中央値は996万円となっていますね。

こちらは金融資産を含まず貯蓄のみですね。

それでも上記二つのアンケートとかなり違った結果となっています。(こちらの調査自体が2016年ですから時期がちょっと前なのもあります)

元の調査結果はこちらを御覧ください:家計調査報告

家計調査報告の調査方法

こちらもアンケート方式ですが、以下の方法で行なわれています。

層化三段抽出法により,全国で約9,000世帯を無作為に抽出して調査。層化三段抽出法とは,3段階に分けて調査世帯を選ぶ方法です。家計調査の場合,

まず,第1の段階では,全国の市町村をいろいろな特性によりグループ(層)に分け,それぞれのグループから一つずつ合計168市町村を選びます。

次に第2の段階では,各市町村から調査地区(単位区)を無作為に選びます。

第3の段階では,調査地区内のすべての世帯のリストを調査員が作成し,その中から乱数表を用いて調査世帯を無作為に選びます。

単身世帯の家計収支及び貯蓄・負債

単身世帯の金融資産
出所:総務省統計局「平成26年全国実態調査 単身世帯の家計収支及び貯蓄・負債に関する結果」

こちらも世代別になっておらず単身世帯のみ抜粋した調査ですが、貯蓄が100万円未満は男性19.8%、女性16.2%となっています。

また、男性の貯蓄額の平均値は1118万円、中央値は480万円となっています。女性はの貯蓄額の平均値は1279万円、中央値は679万円です。意外なことに女性の方が高いんですね。

こちらでも30歳代、40歳代がわかりませんのであれですがちょっとSMBCと相違がある結果となっています。(こちらの調査自体が平成26年ですから前なのもあります)

ちなみにこちらのデータ中央値は貯蓄を保有している世帯のみの分布となりますのでご注意ください。

元の調査結果はこちらを御覧ください:「平成26年全国実態調査 単身世帯の家計収支及び貯蓄・負債に関する結果

単身世帯の家計収支及び貯蓄・負債に関する結果の調査方法

こちらもアンケートによるものです。平成26年1月1日現在の全ての市(791市。東京都区部は1市とみなす。)を調査市とし,町村については,平成26年1月1日現在の929町村から212町村を選定した。

各調査単位区から1世帯を抽出し,全国で4,696世帯を選定した。

まとめ


今回は「30代・40代の貯蓄ゼロが23%」というデータは正確なのか?他の統計と見比べてみたと題してSMBCコンシューマーファイナンス株式会社のアンケート結果について他の統計データと見比べてみました。

かなり統計による結果がマチマチなのが分かると思います。

統計を見るときは下記の点を注意してみないと騙されてしまいますのでお気をつけくださいね。

特にテレビ局などは自分たちが都合のよいような統計資料を使っていたり、魅せ方をしているケースが多いんですよね。

平均値、中央値、最頻値を理解
調査方法を確認
出所を確認
足りないデータはないか確認
いつの統計か
見せ方のトリックはないか

詳しくはこちらの記事を御覧ください。

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