金融広報中央委員会の知るぽるとが2007年から毎年実施している「家計の金融行動に関する世論調査」の2020年(令和2年)バージョンが発表されました。
新型コロナウィルス渦ではありましたが、金融資産の保有額が大幅上昇しているという興味深い結果に。
今回は「家計の金融行動に関する世論調査」の2020年(令和2年)バージョンの中から金融資産に関する内容を詳しく見ていきます。
なお、元の統計資料はこちらからご覧いただけます。
>>金融広報中央委員会の知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査」
2人以上世帯の金融資産保有額は過去最高
それでは「家計の金融行動に関する世論調査」の2020年(令和2年)バージョンを元に日本人の金融資産保有額をみていきましょう。
2人以上世帯では新型コロナウィルス渦ではありましたが、過去最高を更新しているんですよ。
出典:金融広報中央委員会の知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査」
なお、調査は2020 年 8/7 日(金) ~9/15 日(火)に郵送にて行われていますので新型コロナ渦真っ只中の結果です。
2人以上世帯金融資産の保有額の平均値、中央値
二人以上世帯における金融資産の保有額2020年は
となっています。
2019年調査では平均値が1,139万円、中央値が419万円でしたから両方とも大幅上昇となります。
平均値、中央値とも過去最高となっているんですよ。
ちなみに後述する金融商品を全く保有していない世帯を除いて集計すると平均値1,721万円、中央値900万円となります。
2極化が進んでいるといえるのかもしれません。
なお、平均値、中央値の違いってなんだけ?って方はこちらの記事を御覧ください。
金融資産の内訳(平均)
なお、金融資産の内訳は以下のとおりです。
- 預貯金:678万円
- 金銭信託:6万円
- 生命保険:280万円
- 損害保険:41万円
- 個人年金保険:94万円
- 債券:39万円
- 株式:152万円
- 投資信託:96万円
- 財形貯蓄:41万円
- その他:8万円
出典:金融広報中央委員会 「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]より
株や投資信託も以前と比べて増えていますが、まだまだ日本人の金融資産の大半は預貯金ですね。
率にすると47%あります。次点は生命保険が19.5%。株10.5%、投資信託6.6%と続きます。
2020年に金融資産保有額平均が一気に増えた
出典:金融広報中央委員会 「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]を元にお金に生きるで作成
注目なのは2020年に金融資産の保有が一気に増えたことです。
2019年は1,139万円でしたから平均で297万円も増えているんですよ。
この統計が始まった2004年からみても最高値となっています。
過去からの時系列は以下の通り。
出典:金融広報中央委員会 「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]を元にお金に生きるで作成
今までは1,000万円〜1,200万円で上下していた金融資産保有額の平均ですが、2020年には1,436万円と一気に上昇しています。
金融資産を保有していない世帯が大幅に減った
また、2020年は今までと比較して大きな変化がありました。
それは金融資産を保有していない世帯の割合が大幅に減ったことです。
時系列でみると以下の通り。
出典:金融広報中央委員会 「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]を元にお金に生きるで作成
今まで20%後半から30%前半で推移していた金融資産を保有していない世帯の割合ですが、2020年では16.1%と大幅に低下しています。
2017年には31.2%まで増えていましたので3年程度で半分になった計算となります。
多くが預金に回ったと言われている国民一人当たり一律で10万円の現金給付した特別定額給付金の影響も大きいのかもしれませんね。
調査方法が多少変わった影響も?
今回の調査は多少調査方法が変わっているのには注意が必要です。
前回までは調査が6月〜7月、今回は 8/7 日(金) ~9/15 日(火)でした。(8月だと多くの企業が賞与支給後になりますしね。)
また、前回は訪問調査で今回は郵送調査になった影響で回答率が25.7%と前回(40.3%)よりも大幅に低下しています。
このあたりは結果にある程度の影響がありそうですが・・・
ただし、調査参加者の年間手取り収入の平均は541万円(前年534万円)、中央値は450万円(前年450万円)と大きくは変わっていません。
金融資産が増えた理由
なお、増えた理由としては
「定例的な収入からの貯蓄割合の引き上げ」(29.9%)
「株式・債券価格の上昇による評価額の増 加」(11.4%)
出典:金融広報中央委員会の知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査」
があげられていますね。
世界的金融緩和による株価上昇だけが理由ではないようです。
特別定額給付金の影響も?
金融商品保有額の平均も中央値も増えているのは国民1人に10万円を配った特別定額給付金の影響がありそうです。
多くが預金に回ってしまったって話もありますしね。
金融商品を全く保有していない世帯は減少
また、2020年は今までと比較して大きな変化がありました。
それは金融資産を保有していない世帯の割合が大幅に減ったことです。
時系列でみると以下の通り。
出典:金融広報中央委員会 「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]を元にお金に生きるで作成
今まで20%後半から30%前半で推移していた金融資産を保有していない世帯の割合ですが、2020年では16.1%と大幅に低下しています。
2017年には31.2%まで増えていましたので3年程度で半分になった計算となります。
多くが預金に回ったと言われている国民一人当たり一律で10万円の現金給付した特別定額給付金の影響も大きいのかもしれませんね
保有している金融資産内訳
なお、具体的に保有している金融資産の平均保有金額の内訳は以下のとおりです。
- 預金 678万円(487万円)
- 金銭信託 6万円(4万円)
- 生命保険 280万円(265万円)
- 損害保険 41万円(36万円)
- 個人年金保険 94万円(83万円)
- 債券 39万円(28万円)
- 株式 152万円(120万円)
- 投資信託 96万円(76万円)
- 財形貯蓄 41万円(29万円)
- その他 8万円(11万円)
出典:金融広報中央委員会の知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査」
かっこは前年を表していますが、全体的に増えていますね。
昨今の株高の影響もあるのでしょう。
株式と投資信託が特に伸び率が高く過去最高となっていますね。
それでも預金や生命保険と比べるとかなり少ないのですが・・・
外出自粛などの影響でお金を使わなかった分を定期預金に回したって感じなのでしょうかね?
つみたてNISA、iDeCoなどの保有額
NISAなどの税制優遇のある制度を利用している方の平均保有金額も出ていますのでご紹介しましょう。(保有している人だけの集計)
- 一般NISA 161万円(226万円)
- ジュニアNISA 77万円(117万円)
- つみたてNISA 52万円(52万円)
- iDeCo(個人型確定拠出年金) 164万円(202万円)
出典:金融広報中央委員会の知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査」
かっこは2019年を表していますが、これら制度の利用金額は比較するとむしろ減っていますね。
外国建金融商品残高
昨今の米国株人気もあるのでしょう。
外国建金融商品の残高も増えています。(保有している人だけの集計)
外国建金融商品 662万円(522万円)
出典:金融広報中央委員会の知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査」
前年と比較して100万円以上増えています。
単身世帯の金融資産保有額はほぼ横ばい
出典:金融広報中央委員会の知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査」
次に単身世帯をみていきましょう。
なお、単身世帯の調査は2020 年 8/21 日(金) ~9/2 日(火)にインターネットモニタ調査にて行われていますので新型コロナ渦真っ只中の結果です。
2人以上の世帯調査と方法が違いますのでご注意ください。
なお、調査参加者の年間手取り収入の平均は260万円(前年262万円)、中央値は239万円(前年220万円)と二人以上世帯と比較して少なくなっています。
単身世帯金融資産の保有額の平均値、中央値
単身世帯における金融資産の保有額2020年は
となっています。
2019年調査では平均値が645万円、中央値が45万円でしたから多少増えたもののほぼ横ばいですね。
ちなみに単身世帯の最高値は平均値が2017年の942万円、中央値は2012年、2013年の100万円です。
金融商品を全く保有していない世帯は減少
ちなみに金融商品を全く保有していない単身世帯は5.1%でした。
2019年調査は5.4%でしたから0.3%改善していますね。
保有している金融資産内訳
なお、単身世帯の方が具体的に保有している金融資産の平均保有金額の内訳は以下のとおりです。
- 預金 276万円(285万円)
- 金銭信託 4万円(5万円)
- 生命保険 55万円(54万円)
- 損害保険 6万円(5万円)
- 個人年金保険 51万円(50万円)
- 債券 37万円(32万円)
- 株式 135万円(105万円)
- 投資信託 68万円(82万円)
- 財形貯蓄 9万円(9万円)
- その他 12万円(18万円)
出典:金融広報中央委員会の知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査」
単身世帯の特徴としては株が大幅に増えて、預金が減っていることですね。
投資信託もなぜか減っています。
それ以外はそれほど大きな変動は見られません。
面白いのが株式の金額だけ見れば2人世帯とそれほど変わらない水準なことですね。
つみたてNISA、iDeCoなどの保有額
次にNISAなどの税制優遇のある制度を利用している方の平均保有金額も出ていますのでご紹介しましょう。(保有している人だけの集計)
- 一般NISA 171万円(181万円)
- つみたてNISA 32万円(20万円)
- iDeCo(個人型確定拠出年金) 99万円(133万円)
出典:金融広報中央委員会の知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査」
かっこは2019年を表していますが、つみたてNISA以外は減っていますね。
外国建金融商品残高
最後は外国建金融商品の残高を見てみましょう(保有している人だけの集計)
外国建金融商品 322万円(355万円)
出典:金融広報中央委員会の知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査」
単身世帯の方は外国建金融商品の保有も減っていますね。
まとめ
今回は「2020年金融資産保有額は平均値1,436万円、中央値650万円と大幅上昇で過去最高へ」と題して2020年金融資産保有額を見てきました。
新型コロナ渦でありながら、昨今の株高の影響もあるのか2人以上世帯の2020年金融資産保有額は過去最高となっています。
特別定額給付金や様々な政策。世界的な金融緩和の影響による株高が大きいのでしょう。
一方、単身世帯はほぼ横ばいという結果ですね。
平均値と中央値の差も大きくなっており、2極化がより加速している感も大きいです。
まずは自分の金融資産と比較してみてくださいね。
なお、こちらの記事の2021年バージョンはこちらでお読みいただけます
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