財形貯蓄とは

財形貯蓄とは。メリット・デメリットを理解して加入していますか?他の制度との比較をしてみた。

財形貯蓄」ってご存知ですか?

従業員持株会と並んで古くからある会社の福利厚生の代表的な制度ですよね。

もうすでに始めている人もいるかもしれませんね。

しかし、多くの方が財形貯蓄のメリット・デメリットをしっかり理解しないままに加入しています。

また、財形貯蓄と他の制度との比較も行われていないのが現状です。

会社のルールによりますが、そろそろ4月入社の方が財形貯蓄に加入できる時期に来ているでしょう。

そこで今回は財形貯蓄のメリット・デメリット、また他の制度との対比をみていきます。

財形貯蓄とは

財形貯蓄は従業員の財産づくりを事業主と国が⽀援する制度です。

給料から貯める金額を天引きされますので確実にお金を貯めることができます。

また、⽼後資⾦や住宅取得を⽬的とした貯蓄の場合、その利⼦が⾮課税となる税制上の優遇措置も⾏われています。

なお、財形貯蓄は「勤労者財産形成促進制度(財形制度)」の中の一つの制度となります。

勤労者財産形成促進制度には「財形貯蓄制度」、「財形持家融資制度」、「財形給付金・基金制度」などの制度があります。このうち「財形貯蓄制度」が俗に財形貯蓄と呼ばれています。

ちょっとややこしいですが、簡単に言えば財形貯蓄とは従業員がお金を貯めやすくする制度と考えればよいでしょう。

老後の生活資金が年金だけでは2000万足りない問題もありましたのである意味時流にも合った制度かもしれません。

ちなみに厚生労働省が平成29年から配布している財形年金貯蓄のリーフレットには下記の通り、老後資金年金だけでは足りないぜ、財形貯蓄で貯めようって書いてあるんですよ・・・

年金だけでは足りないから財形貯蓄
年金だけでは足りないから財形年金貯蓄

出典:厚生労働省 リーフレット「老後の財産作りのために財形年金貯蓄をはじめませんか」より

財形貯蓄に加入できる人

財形貯蓄は誰でも加入できる制度ではありません。

個人では加入できませんから、勤め先の会社がこの制度を導入していないと利用することができないのです。

自社が財形貯蓄を利用できるのかは会社の総務や人事などにお尋ねください。大手企業では多くが採用していますが、中小企業では1/4くらいしか採用されていないようですね。

なお、財形貯蓄は勤め先の会社に制度があっても加入は任意です。

ちなみに私がいた会社も制度はありましたが、加入していませんでしたね。

財形貯蓄の種類

財形貯蓄は目的に応じて一般財形貯蓄財形年金貯蓄財形住宅貯蓄の3つの種類があります。

それぞれ見ていきましょう。


勤労者財産形成貯蓄(一般財形貯蓄)

まずは一般財形貯蓄です。

特徴として目的を問わない使途自由な貯蓄であることです。

また、契約時の年齢制限はありませんし、複数の契約もできます。

ただし、税制面での優遇措置はありません。

勤労者財産形成年金貯蓄(財形年金貯蓄)

次は老後資金として積み立てることを目的とした財形年金貯蓄です。

文字通り年金制度となっており、60歳以降の契約所定の時期から5年以上の期間にわたって年金として支払いを受けることを目的とした貯蓄となります。

60歳で退職して65歳の年金をもらい始めるまでの繋ぎとして、また、年金をもらうのを送らせてその分たくさんもらう繰り下げを利用するときなどに有効な制度ですね。

こちらは利子等に対する非課税措置があります。

勤労者財産形成住宅貯蓄(財形住宅貯蓄)

次は住宅の取得を目的とした財形住宅貯蓄です。

こちらも文字通り住宅取得向けの制度となっており、利用できるのは住宅の取得や増改築費用等に限られます。

こちらも利子等に対する非課税措置があります。

財形貯蓄のメリット

それでは財形貯蓄にはどのようなメリットがあるのでしょうか?

特に大きいのが財形持家転貸融資ですね。


給料天引きで貯蓄がしやすい

まずは給料天引きでお金が貯められることでしょう。

どうしても一度自分の財布に入ってしまうと貯められない方がいます。

しかし、給料天引きで自動で貯めることができればお金は貯めやすくなります。

財形持家賃貸融資を利用できる

もう一つが「財形持家賃貸融資」を利用できることです。

「財形持家転貸融資」は、財形貯蓄を行っている勤労者が利用できる住宅ローンです。

財形貯蓄の残高に応じた融資を、事業主を通じて、長期・低利で受けることができます。

つまり、通常よりも低金利で融資を受けられる可能性があるってことですね。

財形持家転貸融資の利用条件

ただし、この制度の利用には事業主側、従業員側双方に条件があります。

(1) 「一般財形貯蓄」「財形住宅貯蓄」「財形年金貯蓄」のいずれかの制度を導入していること
(2) 勤労者に住宅資金を転貸するにあたって負担軽減措置を行っていること
(3)「財形持家転貸融資規程」(社内融資規程)を作成していること
(1) ご自分で所有および居住するための住宅を建設・購入・リフォームしようとする方
(2) 融資の申込日において50万円以上の財形貯蓄残高(「一般財形貯蓄」「財形住宅貯蓄」「財形年金貯蓄」それぞれの残高の合算が可能)を有している方
(3) 借入申込日の2年前の日から借入申込日までの期間内に、財形貯蓄契約に基づく定期の積み立てを行ったことがある方
(4) 上記定期の積み立てを行った日まで継続して1年以上にわたって、「一般財形貯蓄」「財形住宅貯蓄」「財形年金貯蓄」のいずれかを行っている方、または行っていたことのある方
(5) 事業主から負担軽減措置を受けられる方(リフォームの場合を除きます)
(6) 申込日現在、70歳未満の方、完済時年齢が80歳までの方
(7) 廃止前の財形持家分譲融資を受けていない方
50万円以上の財形貯蓄残高が必要となりますのでお気をつけください。

財形持家転貸融資の融資条件

融資の条件は以下のとおりです。

融資額財形貯蓄残高の10倍相当額以内(最高4000万円)、かつ実際の所要額の90%相当額以内
※ 融資の額は50万円以上。10万円未満の端数があるときは端数切り捨て
利 率5年間固定金利制、毎年1月・4月・7月・10月に改定
返済期間最長35年(住宅の種類、構造等によって異なります)
返済方法1カ月払い、6カ月払い、1カ月払いと6カ月払いの併用
元利均等または元金均等返済
保証人連帯保証人(転貸を受ける社員でも可)または金融機関の保証
担 保不動産(融資対象物件も可)または有価証券(国債に限る)
※ ただし、住宅リフォーム資金で融資額が200万円以下の場合は担保不要
借入申込先財形持家転貸融資業務取扱店となっている金融機関

出典:独立行政法人勤労者退職金共済機構 勤労者財産形成事業本部 「財形持家転貸融資のご利用に関する条件」より

非課税

通常、預金の金利等には税金がかかります。

しかし、財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄に関しては金利部分が非課税となるメリットがあります。(一般財形貯蓄には税制面のメリットはありません)

非課税の条件は以下の通りです。

財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄とあわせて元利合計550万円(財形年金貯蓄のうち、郵便貯金、生命保険又は損害保険の保険料、生命共済の共済掛金、簡易保険の掛金等に係るものにあっては払込ベースで385万円)から生ずる利子等が非課税とされます。

財形貯蓄のデメリット

それではデメリットはどうでしょうか?


目的外の利用に制限

まず1つ目は目的外の利用に制限がかかってしまうことです。

一般財形貯蓄は払出しの制限はありませんので、理由によらず払出しをすることが可能です。

しかし、財形年金貯蓄、財形住宅貯蓄の場合は基本的に目的外での払出しは利子等課税の対象となり、遡って5年分までの利子分が「利子所得」として課税対象となってしまいます。

ただし、以下の条件を税務署から確認を受けることができれば非課税で払出しをすることが可能です。

・本人または生計を一にする親族が所有する家屋が災害等による被害を受けた場合
・本人または生計を一にする親族に対して支払った医療費の年間合計額が200万円を超えた場合
・本人が所得税法上の一定の寡婦又は寡夫に該当することとなった場合
・本人が所得税法上の特別障害者に該当することとなった場合
・本人が雇用保険の特定受給資格者または特定理由離職者に該当することとなった場合

元本割れの可能性

財形貯蓄は会社が運用方法を決めます。預金、投資信託、国債、保険など様々です。

その商品によっては元本割れの可能性があります。

また、インフレリスクもありますから預金なら安心という問題でもありません。

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預金はインフレ対応なし

商品変更が困難

一般財形貯蓄は3年以上財形貯蓄を保有していれば、任意に別の金融機関の財形商品に預け替えることができます。

しかし、財形年金貯蓄、財形住宅貯蓄の場合には保有期間に関わらず、任意に別の金融機関の財形商品に預け替えることはできません

この辺りはかなりのデメリットとなりますね。

始めの時点でしっかり選択をしておく必要があるのです。

退職時

また、退職時にちょっと面倒となります。

退職や、役員になるなど、勤労者でなくなった場合は、新たな積立はできなくなります。

また、財形年金貯蓄、財形住宅貯蓄においては、退職後一定期間が経過すると、課税扱いとなります。メリットがなくなってしまうってことですね。

この場合には目的外の利用と同じく遡って5年分までの利子分が「利子所得」として課税対象となります。

ただし、再就職先にも財形貯蓄制度があれば手続きをすれば持ち運ぶことも可能です。

財形貯蓄と個人型確定拠出年金(iDeCo)との比較

財形貯蓄と似た制度で個人型確定拠出年金(iDeCo)というものがあります。

こちらと比較するとどうなのでしょうか?

個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)を簡単に言えば自分の老後生活のために老後資金を自分で作るための制度です。

ちょうど財形年金貯蓄と似た制度になります。

ちなみに個人型確定拠出年金(iDeCo)も会社によっては給料天引きで支払うことが可能です。(一般的には口座引落)

具体的に個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)はこんな感じの流れになっています。

60歳までの間に自分で決めた金額を積み立てをする

その積み立てたお金で投資信託や定期預金、保険などの商品を選択して運用

60歳以降にその運用した資産を受け取ることができる。

国民年金や厚生年金と合わせた年金制度の上乗せ部分を自分で運用できる制度として考えると良いでしょう。

個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)の最大のメリットは掛けた金額が全額所得控除の対象となり、掛ければ掛けるだけ所得税と住民税の節税効果があるところです。(種別により掛けられる上限があり)

また、運用で利益がでてもその部分について非課税となります。

つまり、税金面でかなり優遇された制度ってことですね。

財形年金貯蓄も利益部分については非課税(上限あり)となりますが、所得税と住民税の節税効果がありませんのでその点が大きな違いとなります。

この辺りは財形貯蓄と比較して大きなメリットになります。

ですから基本的には財形貯蓄よりも個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)をおすすめしますね。

ただし、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)の場合には運用する商品を自分で選択する必要がありますのでそのあたりをどう考えるかでしょう。

また、退職金が多い会社などにお勤めの場合には受け取る際に税金がかかる場合もあります。

このあたりも加味して検討する必要があるでしょう。

個人型確定拠出年金(iDeCo)について詳しくは下記の記事を御覧ください。

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財形貯蓄とつみたてNISAとの比較

もう一つ財形貯蓄と同様にお金を貯める制度につみたてNISAという制度があります。

つみたてNISAを簡単に言えば少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。

個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)に似た部分もありますが、大きく違うのは途中で解約が可能という点でしょう。

この辺りは財形貯蓄と比較しても大きなメリットになるでしょう。

ただし、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)にある所得控除がありません。

また、大きな特徴として投資できる対象となる商品が金融庁が選別してくれている点があります。

金融機関等は顧客の利益よりも自社の利益を優先する傾向があり、地雷と呼ばれる悪徳商品を売りつける事案が多数発生していました。それを防ぐ意味もあり、金融庁が厳しい条件の元に長期、積立、分散投資に適した商品を選んでくれているのです。かなり初心者にもやさしい投資制度なんですね。

ただし、つみたてNISAの場合にも運用する商品を自分で選択する必要がありますのでそのあたりをどう考えるかでしょう。

つみたてNISAについて詳しくは下記の記事を御覧ください。

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財形貯蓄まとめ

今回は「財形貯蓄とは。メリット・デメリットを理解して加入していますか?他の制度との比較をしてみた。」と題して財形貯蓄について見てきました。

財形貯蓄は強制貯金と考えるとメリットがある制度ではあります。

しかし、財形貯蓄にはデメリットがそれなりにあること、同じく強制貯蓄的に利用できる個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)やつみたてNISAといったお得な制度があることを考えて検討しましょう。

基本的に財形貯蓄よりも個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)やつみたてNISAの方がおすすめですね。

ただし、マイホームの購入を検討していて一般で借りるよりも財形持家転貸融資で融資条件がかなり良い場合は検討の余地があります。

そのあたりも含めて検討してみてくださいね。

財形貯蓄と並んで導入されている企業が多い従業員持株会についてはこちらの記事をご覧ください。

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