最近の株高もあるのかFIRE(経済的に独立した早期リタイア)がテレビに取り上げられたり、本屋なんかでも特集スペースが設けられていたなど人気となっています。
そんなFIREですが、意外な盲点になりそうな点があります。
それが社会保険です。
日本の社会保険は会社員にはかなり手厚いですが、無職の方(リタイアした人)や自営業者の方にはそうでない部分もあるんですよ。
今回はFIREを目指すなら知っておきたい社会保険制度について解説していきます。
FIREってなに?って方はこちらの記事で解説していますので合わせて御覧ください。
FIREした場合の国民年金はどうなる?
それではFIREした場合の社会保険がどうなるのかを見ていきましょう。
まずは国民年金です。
年間1人約20万円必要
国民年金は会社勤めのころの厚生年金と少し仕組みが違うんですよ。
会社員の方が加入する厚生年金は本人と会社が折半で納付します。
また、厚生年金は所得に応じて金額が変わってくる仕組みです。
一方、国民年金は所得金額に関係なく決まった金額を自分で納付する制度となっています。
具体的には令和3年度は1月あたり16,610円です。
これは一人あたりですので夫婦ふたりでFIREする方はこの倍必要となります。
サラリーマンの方の扶養となっている主婦の場合は第三号被保険者となり国民年金の納付は必要ありませんので結構大きな差ですね。
1年あたりで考えると
- 1人の場合:203,760円
- 夫婦の場合:407,520円
必要となります。(※令和6年度基準:年により多少前後)
なお、国民年金の納付は義務です。最近は督促も結構ありますし、後述するようにお得な制度ですから未納は辞めましょう。
また、2年前納のクレジットカード払いなんかをすればもう少しお得に支払うことも可能です。
年金保険料免除制度も
なお、国民年金には保険料免除制度という仕組みがあります。
本人・世帯主・配偶者の前年所得が一定額以下の場合に申請書を出して認められると受けられる制度です。
所得が少なく本人・世帯主・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請される場合は前々年所得)が一定額以下の場合や失業した場合など、国民年金保険料を納めることが経済的に困難な場合は、ご本人から申請書を提出いただき、申請後に承認されると保険料の納付が免除になります。
免除される額は、全額、4分の3、半額、4分の1の4種類があります。
出典:日本年金機構「保険料を納めることが、経済的に難しいとき」
FIREする際に配当金等のみで生活する場合にはこの保険料免除制度が使える可能性があります。
保険料免除制度の対象となれば保険料を全額もしくは一部免除できるのです。
ただし、大きなデメリットもありますのでそれらを踏まえて検討する必要があります。
例えば全額免除だと以下の条件を満たした場合に対象となります。
全額免除の条件(所得条件)
前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
上記の条件を満たす場合には全額保険料が免除されます。
その他の保険料免除の条件等はこちらの記事を御覧ください。
免除を受けるとデメリットも
株の配当だけで生活する場合のFIREだと上記条件を満たす場合も多いでしょう。
しかし、年金保険料免除制度はいくつかデメリットもあるんですよ。
それは国民年金の免除を受けると国民年金の加入が前提になっている制度が利用できなくなるのです。
「個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)」、「付加年金」、「国民年金基金」です。
ですからこれら制度を利用している方は免除を受けるかどうかは慎重に検討しましょう。
詳しくはこちらの記事を御覧ください。
付加年金の加入がおすすめ
前述した保険料免除制度を使うと利用できなくなりますが、FIREの方は付加年金に加入するのをオススメします。
付加年金とは簡単にいえば国民年金に少し上乗せして支払うことで将来もらえる年金が増える制度です。
これ設計ミスレベルでお得な制度となっているんですよ。
FIREすると所得が少なくなり所得税も住民税も少なくなるでしょうから、節税がメリットであるイデコ、国民年金基金はそれほどオススメできません。
しかし、付加年金は保険料免除制度と天秤に掛けて真剣に検討をすべき制度なのです。
具体的には付加年金に加入すると国民年金は1月400円プラスされます。
すると
40歳から20年間掛けた付加年金に加入した例
例えば40歳から20年間付加年金を掛けたとしましょう。
そうすると納付した月数は240月となります。
ですので200円掛ける240月ですから48,000円毎年もらえるってことです。
この場合支払った金額は月に400円を240月ですから合計96,000円です。
もらえる48,000円は毎年です。
つまり、2年付加年金を貰えば払った金額の元が取れちゃうのです。
それ以降はずっと利益。
100歳まで生きたとすると付加年金として168万円もらえます。
しかし、掛けた金額は96,000円だけという設計ミスレベルでお得な制度なのです笑
付加年金について詳しくはこちらの記事を御覧ください。
厚生年金と比較してもらえる金額が少なくなる
また、厚生年金に加入していた方と比べると明確に国民年金だと老後にもらえる金額が少なくなります。
厚生年金と国民年金では払う金額も違うので当然といえば当然なのですが・・・(会社負担分も含んで)
ですから老後生活の資金も含めてFIREを考える必要があるでしょう。
具体的な金額はこちらの記事を御覧ください。
FIREした場合の健康保険はどうなる?
それではFIREした場合の健康保険がどうなるのかを見ていきましょう。
FIREした場合に加入する健康保険は基本的に国民健康保険です。
それでは国民健康保険はいくら必要なのでしょう?
国民健康保険はいくら必要?
国民健康保険は自営業者や無職の方が加入する健康保険ですが、サラリーマンの方が入る健康保険組合などと比較して会社負担もありませんし、加入者層に無職や高齢者が含まれるためかなり割高なんですね。
なお、国民健康保険は地域により金額も計算方法も異なります。
例えば世田谷の場合で見てみましょう。
世田谷の国民健康保険は以下の計算式で求められます。
区分 | 所得割額 | 均等割額 |
---|---|---|
基礎(医療)分(最高限度額63万円) | 加入者全員の賦課基準額×7.13% | 加入者数×38,800円 |
支援金分(最高限度額19万円) | 加入者全員の賦課基準額×2.41% | 加入者数×13,200円 |
介護分(最高限度額17万円) | 40歳~64歳の方の賦課基準額 ×2.41% | 40~64歳の方の加入者数 ×17,000円 |
なお、賦課基準額とは、所得割額を計算するもとになる額です。
全額免除・一部減免も
なお、国民健康保険にも免除や一部減免される制度があります。
国民健康保険は基本的に前年の所得を元に計算されますので、FIREしたての時点ではかなりの負担となる可能性があります。
その場合は一部免除等の申請をすると金額を抑えることができる可能性があります。
ただし、国民健康保険の免除や減免は市町村ごとに条例で定められた制度となります。
そのため管轄の市町村によってルールが違う点がありますので注意が必要です。
市町村によってはそもそもWEB上にすら記載がなく問い合わせてようやく教えてくれるような運営をしているところもあったりするんですね・・・
特に全額免除はなかなか条件が厳しいと思います。
詳しくはこちらの記事を御覧ください。
傷病手当、労災、有給がない
もう一つ知っておきたいのが国民健康保険は傷病手当がないことです。
傷病手当とは病気や怪我などで会社を休んだ際に一定の金額が支給される制度です。
国民健康保険の場合は自営業者や無職の方が対象の制度であることのあり、傷病手当金がでないのです。
また、当然、労災(労働災害)もありませんし、有給休暇もありません。
そのあたりもFIREする前に知っておきたいところですね。
任意継続についても知っておこう
また、FIREを始める年、その翌年については任意継続という制度が使える可能性があることもしっておきたいところ。
任意継続とは今いる会社の健康保険に退職後も任意的に継続できる制度です。
条件によっては任意継続したほうが得の可能性もあります。
詳しくはこちらの記事を御覧ください。
まとめ
今回は「FIREを目指すなら社会保険についても知っておこう」と題してFIRE後の社会保険についてみてきました。
社会保険の金額は馬鹿にできませんので、FIREを志している方は社会保険についてもしっかり配慮して検討してくださいね。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。