昨今の円安もあり海外旅行の両替、日本と現地のどちらがお得か迷っていませんか。
実はその二択で悩む時代は終わりました。
2025年にクレジットカードの海外手数料が一斉値上げされ、勝負は「出発前の仕込み」で決まる構図に変わったのです。
最新データで正解をお伝えします。
「日本か現地か」で悩む時代は終わった
結論から言うと、2026年現在の海外旅行の両替は「日本と現地のどちらでするか」よりも「出発前にどのカードと手段を仕込んでおくか」でコストの9割が決まります。
なぜ問いの立て方が変わったのでしょうか?
理由は2つあります。
カード決済+最小限の現金
1つ目は、両替の主戦場が「現金」から「カード決済+最小限の現金」に移ったことです。
海外ではキャッシュレス決済が広く普及し、現金は屋台やチップ、ローカル交通など限られた場面で使うものになりました。
つまり、両替所選びより先に「どのカードで払うか」を決めるほうが、金額インパクトが大きいのです。
カード払いの常識が激変
2つ目は、その「カード払い」の常識が2024年から2025年にかけて激変したことです。
三井住友カードは2024年11月に海外事務手数料を2.20%から3.63%へ引き上げ、楽天カードも2025年3月に3.63%へ改定しました。
「とりあえずカードで払えば安い」という10年前の常識は、もう通用しません。
だからこそ、この記事では「どこで両替するか」だけでなく、決済・現金調達・保険用現金の3つを分けて設計する方法まで踏み込んで解説します。
かつて有力だった両替手段が次々と姿を消したことも、情報のアップデートが必要な理由です。
FX会社マネーパートナーズの空港外貨受取サービスは2021年4月に終了し、同社自体も2025年6月にサービスを外為どっとコムへ統合して幕を下ろしました。
LINE Payの外貨両替に至っては、LINE Pay自体が2025年4月30日で日本国内サービスを終了しています。
数年前の記事に書かれた「お得な両替術」の多くは、今では使えなくなっているのです。
空港の両替はなぜ高い?レート表を見れば一目瞭然
「空港の両替は高い」とよく言われますが、本当なのでしょうか。
私自身、以前出国する際に、両替カウンターのレート表とスマホで調べた市場レートを見比べたことがあります。
米ドルで1ドルあたり約3円の差。当時のレートで約2%です。
10万円分を両替すれば、それだけで2,000円前後が消える計算でした。
「まあ空港だから仕方ない」と流しそうになりましたが、電卓を叩いてみると、家族数人分の空港ラウンジ代くらいは軽く飛ぶ金額だったんですよ。
この体感は、調査データとも一致します。銀行や空港の両替店では、米ドルで1ドルあたり約3.25円、率にして約2.0%の為替手数料がかかっていました。
さらに驚くのはマイナー通貨です。
同じ調査で韓国ウォンは手数料率が約14.4%。エポスカードの公式試算でも、両替手数料は台湾ドルで7.6%、韓国ウォンで11%、タイバーツで9.3%とされています。
10万円両替して1万円以上が手数料で消える。
お金を借りたわけでもないのに、です。
なぜここまで高いのでしょうか。
答えはシンプルで、外貨の現金は「輸送・保管・保険・在庫リスク」のコストがすべてレートに上乗せされるからです。
特に流通量の少ない通貨ほど在庫リスクが大きく、手数料率が跳ね上がります。
空港はさらに、家賃の高い一等地で24時間近い営業体制を維持するコストも乗ってきます。
では、空港両替は絶対に使ってはいけないのでしょうか。
私はそうは考えていません。
この点は後半のフレームワークで詳しく説明しますが、先に一言だけ。
空港の両替は「損」ではなく、最低限だけ買う「保険」です。
到着直後のタクシー代やチップのために1〜2万円分だけ両替するなら、2%の手数料は200〜400円。深夜到着で他に手段がない状況を考えれば、十分に合理的な「保険料」といえます。
問題なのは、旅行資金の全額を空港で両替してしまうことなのです。
なお、空港で両替する場合でも、レートは事前にウェブで確認できます。
成田・関空・セントレアなど主要空港の両替事業者は、当日の適用レートをサイトで公開しています。
出発前にスマホで市場レートと見比べておけば、「いくら保険料を払うのか」を把握したうえで納得して両替できるわけですね。
同じ空港内でも事業者によってレートが異なることがあるため、余裕があれば複数のカウンターを見比べてみてください。
【2026年版】両替・決済手段の手数料を比較
それでは、現在使える主な手段のコストを比較してみましょう。
| 手段 | コストの目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 空港・銀行の両替(米ドル) | 約2% | 手軽だが割高。マイナー通貨は7〜14%も |
| 街の両替専門店 | 店舗により差が大きい | 好レート店もあるが要事前調査 |
| クレカ決済(値上げ組) | 3.63〜3.85% | 楽天・三井住友など大手の多くが該当 |
| クレカ決済(低率組) | 1.60% | JCBプロパー、イオンカードなど |
| 海外キャッシング | 実質1.5〜3%程度+ATM手数料 | 繰上返済でさらに圧縮可能 |
| Wiseなどのデビット | 為替実費+0.7%前後 | 事前チャージ式。ATM引出は月額上限あり |
(出典:各社公式サイトおよびmoneybank調査、2024〜2026年。率は代表例で変動あり)
この表から読み取れるポイントは3つあります。
「カードなら何でも安い」は誤り
第一に、「カードなら何でも安い」は誤りだということ。
値上げ組のカードで払うと3.63%かかり、米ドルの現金両替(約2%)より高くつく逆転現象が起きています。
実際、海外事務手数料が1.60%以下でなければ、現金両替のほうが安くなるケースがあると指摘されています。
低率のカードを選べばカード払いが最有力
第二に、それでも低率のカードを選べばカード払いが最有力だということ。
JCBのプロパーカードやイオンカードは1.60%を維持しており、ポイント還元まで考えれば実質負担はさらに下がります。
海外キャッシングが強い
第三に、現金が必要な場面では海外キャッシングが依然として強いということ。
金利は年18%と聞くと身構えますが、30日で約1.5%。繰上返済を使えば日数分だけの利息で済みます。
あなたの財布に入っているカード、海外手数料は何%か把握していますか?
出発前にやるべきことの1つ目は、まさにこの確認作業です。
カード会社の公式サイトで「海外事務手数料」を検索するだけ。5分で終わります。
クレカ海外手数料の値上げラッシュという落とし穴
前のセクションで触れた値上げの話を、もう少し深掘りします。ここが2026年の両替戦略で最大の落とし穴だからです。
2024年から2025年にかけて、主要カード会社の海外事務手数料は次のように動きました。
- 三井住友カード: 2024年11月に2.20%→3.63%へ
- 楽天カード: 2025年3月に2.20%→3.63%へ(全ブランド共通)
- 三菱UFJニコス・エポス・セゾンなど: 3.63%または3.85%へ改定
- アメックス(プロパー): 2025年8月に2%→3.5%へ
(出典:各社公式発表)
一方で、値上げに踏み切っていない例外もあります。
JCBのプロパーカードは1.60%を維持し、イオンカードも1.60%で据え置きです。
同じVisaやMastercardのマークがついていても、発行会社によって手数料は2倍以上違う。ここを知らないまま「いつものカード」で旅行すると、10万円の決済で2,000円以上余計に払うことになります。
なぜ一斉値上げが起きたのでしょうか。
背景には、円安による外貨処理コストの増加や、国際ブランドへ支払う手数料の上昇があるとみられます。
円安で日本人の海外旅行コストが上がっているところに、手数料率まで上がる。
旅行者にとっては二重の逆風です。
だからこそ、逆にいえば「手数料の低いカードを1枚仕込んでおくだけ」で、周りの旅行者より確実に安く旅ができる状況ともいえます。
値上げラッシュは、準備した人としない人の差を広げたのです。
なお、特定のカードをここで推奨することはしません。
手数料率は今後も改定される可能性が高く、年会費や還元率、旅行保険まで含めた総合判断はあなたの利用状況によって変わるからです。
確認すべき項目は「海外事務手数料」「ポイント還元率」「海外旅行保険の有無」の3点。
この3点を公式サイトで見比べてから選んでください。
現地でクレジットカードを使うときの3つの注意点
カードを軸にすると決めたら、現地での使い方にも注意点があります。
知らないと、せっかくの低手数料カードでも損をします。
DCCの罠
1つ目は、DCC(ダイナミック・カレンシー・コンバージョン)の罠です。
海外の店やATMで決済するとき、「日本円で払いますか?現地通貨で払いますか?」と聞かれることがあります。
日本円と表示されるとつい安心して選びたくなりますが、これが落とし穴。
日本円決済(DCC)を選ぶと、店側が設定した不利なレートが適用され、数%の上乗せになるケースが多いのです。
現地では必ず「現地通貨決済」を選ぶ。
これだけで無駄なコストを避けられます。
海外キャッシングの繰上返済
2つ目は、海外キャッシングの繰上返済です。
現金が必要になったら、現地ATMでクレジットカードを使って現地通貨を引き出す「海外キャッシング」が使えます。
金利は多くのカードで年18%ですが、これは年率の話。
締め日のタイミングにもよりますが、通常の引き落としを待った場合の利息は1.5〜3%程度に収まります。
さらに、アプリやペイジー(ネットバンキングの支払サービス)で繰上返済できるカードなら、利用データ確定後すぐ返済することで利息を数十円レベルまで圧縮できます。
台湾で5万円分の現地通貨を用意する場合、空港両替より2,000円以上安くなるという公式試算もあるほどです。
ただし注意点もあります。
キャッシングには審査時にキャッシング枠の設定が必要ですし、リボ払いのまま放置すれば年18%の金利がフルにかかります。
返済管理が苦手な方、借入という形式に抵抗がある方には向きません。
その場合は次の3つ目の選択肢を検討してください。
マルチカレンシー型デビットカード
3つ目は、Wiseなどのマルチカレンシー型デビットカードです。
事前に日本円をチャージし、良いレートで外貨に転換して使うタイプのカードで、手数料は為替実費+0.7%前後。海外ATMでの現金引き出しも月25,000円までは無料枠があります。
チャージ式なので使いすぎの心配がなく、キャッシングに抵抗がある方の現金調達手段としても機能します。
弱点は、事前の口座開設とチャージの手間がかかること。
出発直前に思い立っても間に合わない場合があるため、これも「仕込み」の一部です。
最後に、コスト以前の安全面も押さえておきましょう。
現地のATMは銀行の店舗内や空港など、管理された場所にある機械を使うのが原則です。
路上の独立型ATMはスキミング(カード情報の不正読み取り)被害の報告があるほか、悪質な両替店では紙幣の枚数をごまかされたり偽札を混ぜられたりするケースも指摘されています。
レートの良し悪しに気を取られて、安全性を犠牲にしては本末転倒。
カードは決済用と予備の2枚以上に分け、別々に保管しておくと紛失・盗難時のダメージも抑えられます。
保存版:「両替の3層設計」で旅のお金を組み立てる
ここまでの内容を、1つの考え方にまとめます。
名付けて「両替の3層設計」です。旅のお金を役割別に3つの層に分けて準備します。
| 層 | 役割 | 手段 | 目安 |
|---|---|---|---|
| 第1層: 決済の主役 | 買い物・食事・ホテル | 海外手数料の低いクレカ(1.6%台) | 支出の7〜8割 |
| 第2層: 現金の調達 | 屋台・チップ・交通 | 海外キャッシングまたはWise系デビット | 支出の2〜3割 |
| 第3層: 保険の現金 | 到着直後・緊急時 | 出発前に空港等で最小限両替 | 1〜2万円分 |
この設計の肝は、「どこで両替するか」という一点勝負をやめて、役割ごとに最適な手段を割り当てることです。
第1層で支出の大半を低手数料カードに寄せれば、両替所のレートに悩む必要自体がほぼ消えます。
第2層は現地で必要になった分だけ調達するので、余った外貨の再両替(ここでも手数料がかかります)を避けられます。そして第3層は、あえて割高な空港両替を「保険」として少額だけ使う。
冒頭の問いに戻りましょう。
「日本と現地のどちらで両替すべきか」。
3層設計の視点で答えるなら、こうなります。
メジャー通貨の少額の保険現金は日本の空港で。それ以外の現金は現地ATMのキャッシングで。
そして支出の主役はそもそも両替せずカードで。
日本か現地かの二択ではなく、両方を役割分担させるのが2026年の正解です。
なお、行き先によって微調整は必要です。
キャッシュレスが進んだ国(韓国・シンガポール・北欧など)なら第3層はさらに少なくてよく、逆に現金社会の国や、カードが使える場所が限られる地方部へ行くなら第2層を厚くします。
マイナー通貨の国では日本での両替レートが極端に悪いため、現地調達の比重がより高まる点も覚えておいてください。
3層設計を実行に移すための、出発前のスケジュールもまとめておきます。
- 出発1か月前: 手持ちカードの海外事務手数料を確認。3.63%組しかなければ低率カードやWise系デビットの申込みを検討
- 出発2週間前: カードのキャッシング枠の有無を確認。必要ならデビットへのチャージも済ませる
- 出発3日前: 渡航先のキャッシュレス事情を確認し、第3層(保険の現金)の金額を決める
- 出発当日: 空港で保険の現金だけ両替。レートは事前にウェブで確認済みの状態で
カードの新規発行には1〜2週間かかることがあります。
両替の勝負が「出発前の仕込み」で決まる以上、この準備は旅程を決めたらすぐ着手するのが理想です。
この表とスケジュールをスクリーンショットして、旅行準備のチェックリストにしていただければ嬉しいです。
よくある質問
- 海外旅行では日本円をいくら両替すればよいですか?
-
旅行代金全体ではなく、到着後24時間以内に現金で支払う交通費、食費、チップなどを合計してください。
その1.5倍程度を初期資金とし、残りはカードや現地ATMで補う方法なら、外貨を余らせにくくなります。
- 海外でクレジットカードを使うときは円と現地通貨のどちらを選びますか?
-
原則として現地通貨を選びます。日本円を選ぶとDCCとなり、店舗やATMが独自に設定した割高な換算レートが使われる場合があります。
「Decline conversion」や「Without conversion」が現地通貨処理を意味することもあります。
- 空港での両替は避けるべきですか?
-
全額の両替は避けるべきですが、到着直後の交通費用に1〜2万円分だけ両替するのは合理的です。
米ドルの手数料は約2%なので、少額なら数百円の負担で済みます。
深夜到着や現地ATMトラブルへの保険と考えれば十分に価値があります
まとめ:今日やることは「カードの手数料確認」だけ
今回は「海外旅行の両替、日本か現地かはもう古い」と題して、2026年時点の両替とお金の持って行き方を見てきました。
まとめると以下のとおりです。
- 両替のコストは「どこで両替するか」より「出発前の仕込み」で決まる
- 空港両替は約2%(マイナー通貨は7〜14%)。ただし少額なら合理的な「保険」
- 2024〜2025年にクレカ海外手数料の値上げラッシュ。多くが3.63〜3.85%に
- 低率カード(1.6%台)・海外キャッシング・Wise系デビットが現在の主力
- 現地でのカード決済は必ず「現地通貨建て」を選ぶ
- 旅のお金は「決済の主役・現金の調達・保険の現金」の3層で設計する
投資と同じで、旅のお金も「知っているかどうか」だけで結果に差がつく世界です。
しかもこの分野は、数年前の常識が通用しなくなるスピードが上がっています。
マネーパートナーズもLINE Payも、かつて私がおすすめした手段は姿を消しました。
だからこそ、この記事も最新の一次情報で全面的に書き直しています。
今日やることは1つだけ。
お手持ちのカードの「海外事務手数料」を公式サイトで確認してみてください。
3分で終わります。もし3.63%のカードしか持っていなかったら、それが次の旅行までに仕込むべき課題です。
浮いた手数料で、現地の食事を1回増やしてきてくださいね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

