最近、マイナンバーカードと健康保険証を一つにするという話題で盛り上がっていますが、健康保険と一括に言っても実は種類がいくつかあるのです。
今回は非常にややこしい健康保険制度についてわかりやすく解説していきます。
その他の健康保険の問題についてはこちらの記事を御覧ください。
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健康保険の種類
健康保険は大きく分けて3種類。
さらに運営母体などにより細かく分かれています。
それぞれ解説していきましょう。
会社員や公務員対象の健康保険
まずは会社員や公務員が対象となる「健康保険」です。
後述する国民健康保険と区分するために「被用者保険」や「被用者健康保険」と呼ばれることもあります。
被用者保険も運営母体の違いによりいくつかに種類が分かれています。
下記は平成24年時点と少し古いデータですが結構バラけているんですよ。
出典:厚生労働省「わが国の医療制度の概要」より
組合健保とは
まずは「組合健保」からみていきましょう。
組合健保は大企業もしくはそのグループ企業、業界団体などが共同して保険者となって設立された組合が母体となった被用者保険です。
全国に約1,400の健康保険組合が存在し、約10万社、2,914万人が加入しています。(平成28年3月時点)
健康保険組合ごとにそれぞれ運営していますので、健康保険料率が違ったり、付加給付や福利厚生なんかも組合によりかなり違うんですよ。
組合健保は単独企業の場合には常時700人以上の従業員が、複数で共同設立の場合には合算して3,000人以上の従業員が設立に必要となります。
そのため、比較的大規模な会社の従業員とその扶養者が対象の健康保険となります。
赤字の健康保険組合が7割
ただし、組合健保は7割程度の健康保険組合が赤字というデータもあり厳しい経営のところが多くなっています。
そのため、解散するところも出てきています。
2019年4月には国内2位の規模の人材派遣健康保険組合が解散していますね。
協会けんぽとは
次は「協会けんぽ」です。
協会けんぽは「全国健康保険協会」が運営する健康保険のことです。
平成20年10月1日からこの名前となりましたが、その前は政府管掌健康保険として社会保険庁が運営していました。
しかし、様々な問題が発生したことで社会保険庁が解体され、現在の全国健康保険協会が運営を任される事になったのです。
こちらの加入者は上記の組合健保に加入していない会社に勤務している会社員とその扶養者の方となります。
ですから中小企業に勤務されている方が中心ですね。
全国で3,715万人が加入しています。(平成28年3月時点)
また、都道府県ごとで保険料がかなり違います。
詳しくはこちらの記事を御覧ください。
共済組合とは
次は「共済組合」です。
こちらは公務員の方が対象となった組合です。
国家公務員とその扶養者が対象の「国家公務員共済組合」、地方公務員とその扶養者が対象の「地方公務員共済組合」、私立学校の職員とその扶養者が対象の「私立学校職員共済組合」などに分かれています。
全国に85あり877万が加入しています。(平成28年3月時点)
自営業者などが対象の健康保険
上記の被用者保険の対象とならない自営業者やそこに勤めている方などが対象の健康保険もあります。
こちらは「国民健康保険」と言います。
国民健康保険も大きく2つの種類があります。
国民健康保険組合とは
1つ目が「国民健康保険組合」です。
国民健康保険組合は同じ業種や職業の人達ごとに組織される組合となります。
現在、国民健康保険組合は全国に165組合あります。(建設32組合、一般40組合、三師92組合、全国土木1組合)
例えば、弁護士、理容、芸能、税理士、食品、青果卸売などなど職業ごとに様々な組合があります。
それぞれの国民健康保険組合毎に仕事内容や地域の制限がありますが、それらを満たしていれば加入することができます。
一般的に都道府県や市町村が運営する国民健康保険と比べて負担金額は低くなるケースが多いです。
ちなみに国民健康保険組合の新規設立は原則として認められていません。
そのため今後も減ることはあれど増えることはないでしょう。
比較的古くからある業種しか設立されていないんですよね・・・
都道府県・市町村の国民健康保険とは
一般的には国民健康保険と言えばこちらを指します。都道府県・市町村が保険者である国民健康保険です。
平成30年度から「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律」の成立(平成27年5月27日)により、国民健康保険の財政運営の責任主体が市町村から都道府県に変わりました。
国民健康保険の加入者は「自営業」、「社会保険に加入していない事業所に勤務する労働者」のうち国民健康保険組合に加入していない人、「無職」、「高齢者」となります。
無職の方や高齢者の方が多いため相対的に見ると所得が少ない方や所得のない方が多いのです
また、高齢者は無職の方も多いため医療費が掛かる金額が多くなります。
そのため、財政面が組合健保や協会けんぽと比べるとあまり良くなく自営業者など所得がある人の負担が大きくなってしまうという問題があります。
また、都道府県ごとで保険料がかなり違います。
後期高齢者医療制度
75歳以上の方と65歳以上75歳未満で一定の条件を満たした方が加入するのが「後期高齢者医療制度」です。
都道府県ごとに広域連合が設立され、保険料の徴収は市町村が行います。
後期高齢者(75歳以上)の患者の医療費負担は現役世代並みの所得者を除き、窓口負担は原則1割となっています。(令和4年10月から一定の所得の有る方はは2割)
さらに自己負担限度額はかなり低く設定されており、低所得者で1月最大8,000円、普通の方でも1月最大14,000円(年間144,000円上限)となっています。
つまり、かなり負担が少なくなっているのです。
保険料はこちらも地区ごとで保険料が異なります。
健康保険の種類の見分け方
自分がどの健康保険に加入しているかわからないぞ、って方もお見えかもしれません。
実は健康保険証をみれば一発でわかります。
に書いてあるんですよ。
例えばこんな感じです。
組合健保:○○保険組合(加入してる健康保険組合の名前)
国家公務員共済組合:○○共済組合(省庁名等が入る)
地方公務員共済組合:○○共済組合(都道府県・市町村名が入る)
私立学校職員共済組合:私立学校職員共済組合
国民健康保険組合:○○国民健康保険組合(加入してる国民健康保険組合の名前)
国民健康保険:市町村名(都道府県名)
後期高齢者医療制度:○○県後期高齢者医療広域連合会
健康保険の種類による違い
実はこの健康保険の種類によってかなり違いがあります。
健康保険料がぜんぜん違う
一番大きな違いは健康保険料でしょう。
組合健保は恵まれている
被用者保険は基本的に半分を会社が半分が本人が負担をします。
健康保険料率も一般的に組合健保が安くなっているところが多いです。
特にIT系など加入者が比較的若いところは余裕があるため保険料率も低く抑えられていますね。
さらに大企業など福利厚生が充実している組合は会社負担を増やしている場合もあり自己負担4割なんて恵まれた健康保険組合もあります。
協会けんぽは都道府県で健康保険料率に相違あり
協会けんぽは都道府県ごとに定められていますので相違がありますね。
組合健保と比較すると多少高めの設定となっています。
国民健康保険は全額自己負担
国民健康保険は会社負担がありませんので基本的に全額自己負担となります。
会社を辞めて独立した方などは国民健康保険に加入した際に会社のありがたみが分かるとよく言いますね。
半額負担してくれていたのが全額となるわけですからね。
国民健康保険のうちでも組合の方が一般的に健康保険料率は低く抑えれれています。
ただし、これも組合によります。
また、自治体の国民健康保険も都道府県ごとに定められていますので相違がありますね。
結構驚くような差があるんですよ・・・
給付の違い
また、保険料だけでなく給付も結構相違があります。
健康保険組合は付加給付が充実
健康保険組合によっては法定給付と言われる法律で決まった給付以外に追加の給付(付加給付)が充実しているところもあります。
例えば出産一時金の金額が上乗せされてたりとかそんな感じですね。
こちらも特にIT系など加入者が比較的若いところは余裕があるため付加給付も充実しています。
例えば下記の死亡時に出る給付なども健康保険組合によっては付加給付があるケースが多いです。
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また、傷病手当金などの支給期間も追加されていたりする健康保険組合もあります。
国民健康保険
国民健康保険では病気等で仕事ができない時に支給される「傷病手当金」や産休中に支給される「出産手当金」など協会けんぽなどの被用者保険では当たり前にある給付が任意給付となっています。
そのため組合や都道府県・市町村によっては対象とならないところが多いです。
むしろ給付がある方が少ないです・・・
ですから基本的に他と比較して不利な制度と言えるでしょう。
この辺りは加入者層からして仕方ない部分もありますけどね。
下記の対策などを知っておきましょう。
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扶養の違い
協会けんぽや組合健保では扶養者という考え方があります。
会社勤めの方の扶養者も健康保険に加入できます。
しかし、国民健康保険には扶養者という概念がありません。夫に扶養されている妻であっても別で国民健康保険に加入しなくてはならないのです。
健康保険の種類まとめ
今回は「「協会けんぽ」、「組合健保」、「国民健康保険」などややこしい健康保険の種類について解説」と題してややこしい健康保険の種類について学んできました。
加入している健康保険によって健康保険料はもちろん、給付される制度などがかなり違います。
自分が加入している健康保険はなにでどんな給付があるのかくらいは予め知っておきたいですね。
特に健康保険組合に加入している方は、ぜひWEBページなどを確認してみましょう。
あまり知られていない割引が受けられる制度があったり、給付があったりなどお得な話も結構あるんですよ。
一度確認してみてくださいね。
この辺りは結構の差がありますので転職や就職の際にはその会社がどの健康保険組合かどうかってところも実はポイントなんですよ。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。