先日、知り合いが勤めている会社宛に税務署から「扶養控除等の見直しについて」という通知が届いて妻が扶養から外されてしまったそうです。
妻は働いておらず専業主婦なのにです。副業もしてないそう。
なぜこんなことが起こったのでしょう?
結論としては「妻が株で儲けていたから」なのです。
実は株式投資も口座の種類や得た利益によっては扶養の有無に影響がある可能性があるんですよ。
ここ数ヶ月の株価の乱高下で大きく儲けが出た方も多いでしょう。
また今年から新たに株を始めた方も多いと思います。
今回はそんな方にぜひ知っていただきたい扶養と株式投資の関係について見ていきます
NISA、特定口座(源泉徴収あり)以外で取引すると・・・
まず一番気にしたいのがどういった口座で取引していたのかということです。
株式投資をするための口座は以下の種類があります。
- 一般口座
- 特定口座(源泉徴収あり)
- 特定口座(源泉徴収なし)
- NISA口座
- つみたてNISA口座
- ジュニアNISA口座
このうち、つみたてNISA口座は投資信託やETFのみで株式投資はできませんし、ジュニアNISA口座は子供の名義です。
ですからそれ以外の一般口座、特定口座(源泉徴収あり)、特定口座(源泉徴収なし)、NISA口座を主婦の方が株式投資をする際には開設します。
このどの口座を利用して株式投資をしていたかによって扱いが大きく変わってくるのです。
結論から言えば確定申告が必要な一般口座、特定口座(源泉徴収なし)だと株式投資で利益が出た場合に扶養から外れる可能性あり。
確定申告が不要な特定口座(源泉徴収あり)、NISA口座なら株式投資で利益が出た場合でも扶養から外れません。
それぞれの制度の概要は下記を御覧ください。
NISA口座
NISAとは少額投資非課税制度のことです。
簡単に言えば一定の金額、一定の期間、利益が非課税で投資ができる制度です。
NISA口座はそもそも株で利益がでても非課税対象です。
そのため、どれだけ利益がでようが扶養から外れることはありません。
特定口座(源泉徴収あり)
特定口座(源泉徴収あり)(正式名称:源泉徴収選択口座)は証券会社などが売却損益、配当等の計算を自動で行ってくれます。
入金されるのは所得税・住民税が引かれた金額となります。
つまり、税金は自動で納める形となります。
ですから、源泉徴収あり口座は原則的に確定申告が不要です。
そのため、納税はそこで完結する形となり他の制度への影響は与えないのです。
つまり、こちらもどれだけ利益がでても扶養から外れることはありません。
特定口座(源泉徴収なし)
一方、特定口座の源泉徴収なし(正式名称:簡易申告口座)は証券会社などが売却損益、配当等の計算を自動で行ってくれます。
しかし、所得税・住民税は自動的には引かれません。
証券会社から発行される特定口座年間取引報告書などをつかってご自身で確定申告が必要です。
そのため、確定申告によりほかの制度への影響がでてくるのです。
つまり、特定口座(源泉徴収なし)で株式の売買をしていると利益がたくさん出た場合には扶養から外れる可能性があるのです。
なお、源泉徴収なしとありの特定口座についてのメリット・デメリットについて詳しくはこちらの記事を御覧ください。
一般口座
最近はあまり使う方はすくないですが、売却損益、配当等の計算を含めてすべて自分でやりますよって口座になります。(計算は結構面倒なのでおすすめしません)
上場株式等(投資信託や公社債なども含む)の譲渡による所得は、申告分離課税の対象となっています。
そのため、原則として、自身によりその年1年間の譲渡損益・譲渡所得等の金額の計算や確定申告などの手続きが必要です。
確定申告をすることになりますので利益がたくさん出た場合には扶養から外れる可能性があるのです。
一定の利益を超えているか?
株式投資で利益がでても扶養から外れるとは限りません。
一定の金額を超えなければ扶養からは外れません。
ちなみに株の利益には株の売買時の価格差で得られる「売却益」と配当で得られる「配当金」があります。
ここで注意が必要なのは「売却益」の方です。
「配当金」は振り込まれた時点で税金は控除されていますので確定申告は不要。(確定申告をすると所得税の還付が受けられるケースもあります)
売却益が一定の金額を超えてくると確定申告が必要で扶養から外れることになります。
それではどれだけの利益が基準なのでしょう?
ちょっとややこしいですが、扶養といっても所得税、社会保険では少し金額や考え方が違うんですよ。
所得税の扶養
まずは所得税法上の扶養です。
こちらは俗に「103万円の壁」と言われるものですね。
ある意味一番有名な主婦の働き方の壁かもしれませんね。
じゃあ103万円までの株の売買益なら扶養から外れないかというとそうではありません。
これはパート・アルバイトをしていることを前提とした数字なのです。
正確には「合計所得金額が38万円以下(令和2年分以降は48万円)」です。
パートやアルバイトの給料のみ受け取っている方は「給与所得控除」というものがあり、合計所得金額が38万円以下(令和2年以降は48万円)になる数字を逆算すると「年収103万円以下」ということになるんですよ。
ですから株の売買の場合には売却代金から株の取得費と手数料を引いたものが38万円(令和2年分以降は48万円)を超えていると配偶者控除は受けられなくなります。
パートもやりつつ、株で利益を得ている場合も同様ですね。合計所得金額を計算して38万円(令和2年分以降は48万円)を超えているか否かということで判断されます。
また、合計所得金額が48万円超133万円以下が条件となっている配偶者特別控除も同様ですね。
社会保険の扶養
社会保険の扶養は130万に壁があります。
社会保険とは年金や健康保険のことで以下が扶養の条件となります。
扶養の方が株式投資を始めるなら知っておきたいこと
今まで見てきたように一般口座、特定口座(源泉徴収なし)で株式投資で売買益が38万円を超えると(令和2年分以降は48万円)扶養から外れる可能性があります。
その点を踏まえて扶養されている方が株式投資を始めるならあらかじめ知っておくべきことを見ておきましょう。
特定口座(源泉徴収あり)かNISAでやるのが安心
基本的には扶養の方が株式投資をするなら特定口座(源泉徴収あり)もしくはNISAでやりましょう。
確定申告も不要ですしどれだけ儲けても株式投資が原因で扶養から外れる心配はありません。
安心して取引できますよね。
年間利益が少ないなら特定口座(源泉徴収なし)もあり
ただし、もう一つ考え方があります。
本来、給料等以外の所得(株等の譲渡益を含む)が年間20万円以下である場合には申告・納税は原則として不要(申告不要制度)となっています。※住民税の申告は必要
つまり、税金が見逃されているのです。
しかし、特定口座(源泉徴収あり)の場合には税金(所得税・住民税)があらかじめ引かれてしまうのです。
ですからそれ以下ならばあえて特定口座(源泉徴収なし)にしておくのもありです。
20万円以下なら扶養にも当然影響しませんからね。
また、株式の売買益以外に収入がない方は基礎控除以内なら所得税が掛かりません。
ですから年間38万円(令和2年分以降は48万円)以下(住民税は33万円)なら特定口座(源泉徴収なし)がお得ですね。
ただし、こちらを選択する場合には突発的に大きな利益が出てしまったときに扶養から外れるという事故も起こることは承知しておく必要があるでしょう。
まとめ
今回は「株で儲けたら扶養から外れてしまった。。。そうならないために知っておきたいこと」と題して扶養と株式投資の関係についてみてきました。
今回の扶養から外れてしまった方はおそらく一般口座、特定口座(源泉徴収なし)で多くの利益を出したのでしょう。
こういった面倒なことを考えるのが嫌な方は扶養のことを全く意識せず取引できる特定口座(源泉徴収あり)がおすすめですね。
株式投資をこれから始める方にはSBI証券がおすすめですよ。
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