あなたは大丈夫?45歳定年制で考えなくてはならない働き方や老後資金

サントリーホールディングスの新浪剛史社長が、45歳定年制が必要という発言をして大きな話題となっています。

以下のような発言をされているんですよ。

日本企業が企業価値を向上させるため、「45歳定年制」の導入によって、人材の流動化を進める必要がある

出典:朝日新聞デジタル サントリー新浪社長「45歳定年制」を提言 より

今回は大きな話題となった45歳定年制で起こるであろう働き方や老後資金の変化について考えてみましょう。

新浪剛史社長は政府の方針に大きな影響を与える立場

一企業の社長の話でなんでこんな話題になっているの?って疑問に思っている方もみえるでしょう。

しかし、これサントリーホールディングスが「45歳定年制」を導入するというだけではとどまらない可能性があるのです。

新浪剛史社長は単なる大企業の社長という立場ではなく「政府の経済財政諮問会議の民間議員」となっており、政府の方針に大きな影響を与える立場です。

その方の発言ですから大きな影響があるんですよ。

実際に新浪剛史社長が発言をしてすぐに実現した例もあります。

新浪剛史社長の中小企業診断士についての発言で・・・

新浪剛史社長が中小企業診断士について以下の発言をしたことで大きく制度が変わったのです。

「例えば、中小企業診断士について、非常に意味のある資格だと思うが、中小企業診断士は1次試験では7科目全てに合格しないと試験に通過できないなど、大変難易度が高いものとなっている。中堅・中小企業の経営を担うことのできる人材の裾野を広げていくためにも、例えば、中小企業診断士の科目にデジタル入れるとともに、全ての科目を合格しなくとも、税理士のように一つ一つの科目で合格しても何らかの位置付けを付与することを考えてみてはどうか

出典:令和2年度 第14回経済諮問会議記事要旨 より

この発言をしたのは2020年6月です。

そして2021年4月20日に制度変更を発表したんですよ。

この発言で決まったのか、元々そういう計画があって偶然発言したのか、元々の計画を諮問会議で決めたことにするために新浪剛史社長が言わされたのかはわかりませんがすごいスピード感です。

中小企業診断修得者という謎名目

中小企業診断士は1次試験に合格すると2次試験筆記が受けられ、2次筆記試験に合格すると口述試験があり、それに合格してその他の要件をクリアすると中小企業診断士として登録できます。

今回、一次試験の合格者に「中小企業診断修得者」という謎な名目が与えられることになったのです。

例えば令和3年度に一次試験は突破して2次試験に落ちた方は令和3年度 中小企業診断修得者となるのです。

さらに令和3年度に中小企業診断士の一次試験7科目のうち財務会計だけ合格したとすれば令和3年度 中小企業支援科目合格者(財務・会計)となります。

これらの科目(一次試験7科目)は、企業経営等に関する基本的分野を網羅しており、受験者に対して経済・経営分野を中心に多岐にわたる分野において知識を有することを求めております。中小企業庁としましては、上記7つの科目の一部でも科目合格することは、その当該科目の知識を修得していると評価されるべきと考えております。

出典:中小企業庁 中小企業診断士 第一次試験合格者(科目合格者含む)の皆さまへ より

導入理由は新浪剛史社長の話そのままですから新浪剛史社長の発言で導入されたと考えるのが自然でしょう。

思いつきレベルが実現する怖さ

ただし、これ中小企業診断士の私から見るとなにこのひどい愚策・・・ってレベルなんですよ。(私だけではなく多くの中小企業診断士が同じことを言ってますね)

新浪剛史社長言う話と違って中小企業診断士の一次試験はちゃんと勉強した人にとってはそこまで難易度高くないんですよ。

中小企業診断士の一次試験には「経営情報システム」というIT系の科目があるのに科目にデジタル入れろとか見当違いな発言もされていますし、新浪剛史社長は試験を受けたことないのだろうと思います。。。

実際、私の認識では中小企業診断士は2次試験が本番で1次試験は足切りのための試験みたいなもの・・・

その一次試験合格者に資格を与えてもなんなんだ?って感じしかしません。

そもそもこんな中途半端な名称が与えられたからって役に立つの??って感じもありますしね。

こんな思いつきレベルの話が実現してしまう政府の経済財政諮問会議はかなり怖いですが、その議員の発言ですから45歳定年制は一企業だけの話で終わらない可能性があるです。



45歳定年制が実現したらどうなるのか?

それでは45歳定年制が実現してしまったらどうなるのでしょう?

企業側からみた45歳定年制

企業側からみたら45歳定年制はかなり魅力的な仕組みになるでしょう。

多くの企業では給料の高い中高年が足かせとなっているケースが多いからです。

そうなれば45歳で使えないメンツだけは合法的に首が切れ、優秀な人は別の方法で活用できる形となります。

当然、全体の給料は削減できますし、その余裕資金で優秀な若い方を高い給料で採用するなんてこともできる可能性もでてくるでしょう。

そのため企業からすればメリットがかなり大きい制度となりそうです。

デメリットとしては優秀な社員が逃げる可能性が高くなることと、情報や技術が流出しやすくなったり、企業への忠誠心的なことが薄れることでしょうね。

従業員側からみた45歳定年制

従業員側から見れば二極化がより進みそうな予感があります。

優秀な能力をもった従業員は45歳定年後も今の企業に残れる可能性は高いでしょうし、他の企業へ高待遇で転職できる可能性も高いです。

一方、優秀でない従業員は45歳以降の給料等はあまり期待できない、そもそも就職先に困る可能性もでてきます。

つまり、二極化が進んでしまう可能性が高いのです。

従業員が企業に頼って生きるのではなく自分の能力を高めていくという事が要求されることになりそうですね。



45歳定年制で生き残るには・・・

それでは45歳定年制が始まっても生き残っていくためにはどうすればよいのでしょう?

エンプロイアビリティを高める

45歳定年制が始まるとすると大事になることはエンプロイアビリティを高めることでしょう。

エンプロイアビリティはあまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、employ(雇用する)とability(能力)を組み合わせた造語で雇用される能力のことを指します。

簡単に言えば企業に欲しがってもらえる能力のことです。

これからAIやRPAがどんどん賢くなってきています。

単純作業ならば殆どの場合、人間がやるよりもAIやPRAのほうが正確になってしまうでしょう。

そのあたりも踏まえて企業に欲しがってもらえる能力を今のうちに磨いておく必要があるのです。

今自分が持っているスキルはどういうものがあり、それはどう活かせるのかを考えてみる整理してみるのもよいでしょう。

自分のスキルの評価を知るにはおすすめは人材紹介会社なんかに登録してみることです。有望なスキルがあれば引き合いがたくさん来ます。

逆にあまりいい引き合いがなければ自分のスキルを必要としている会社が少ないってことなのです。

もしそうならば何を伸ばせば良いのかを考える必要がありますけどね。

また、資格の勉強なんかもおすすめですね。

私もたくさん資格を持っていますがその殆どは社会人になってから自己啓発で勉強したものです。

朝仕事行く前のカフェとか昼休みの時間、通勤時間などに無駄な時間を勉強に充てて取得することができました。

自分の時間を振り返ってそのような無駄な時間はないのかを考えてみることも大事でしょう。

エンプロイアビリティを高めておけばそもそもリストラにあってしまう確率も低くなりますし、もしリストラにあってしまったとしても転職や独立も容易になります。

45歳定年制になればそのような話がより顕著になってくると思われます。

実際、新浪剛史社長は以下のような発言もされています。

45歳にすれば、30代、20代がみんな勉強するようになり、自分の人生を自分で考えるようになる

出典:朝日新聞デジタル サントリー新浪社長「45歳定年制」を提言 より

つまり、45歳定年制の導入で各従業員の成長を期待している部分もあるのです。

会社以外での活動、収入が大事に

もう一つが今勤めている会社以外で収入を得たり人間関係を作っておくことも重要です。

例えば副業ですね。

昔と違いいろいろな副業手段がでてきています。

それらをうまく使いある程度会社に頼らなくても生活できる環境を作っておくことも大事でしょう。

副業してある程度の基盤ができれば仕事でも強気に動けますからね。

また、副業でなくても複数の会社に勤めたり起業したりというのも手です。

週末カレー屋や週末コンサルタントなんて働き方をする方もいますがそういうことですね。

キャリアを分散させるのです。分散投資のように仕事の上でも分散させた方が保険になりますね。

ただし、複数の勤務や起業は許可してない会社もあると思いますのでそのあたりは就業規則をご確認ください。

強制的にFIRE?老後資金の準備が必要

老後資金を考えることも重要となりそうです。

ある意味、45歳定年制が導入されれば、強制的にFIREになってしまうような状況となりますからね。

FIRE(ファイア)とは「Financial Independence, Retire Early」の言葉の略です。

つまり、経済的に独立した早期リタイアのことです。

お金や労働に縛られずに自分のやりたいことだけやって生きていくということですね。

しかし、強制的に早期リタイアになるだけで経済的にFIREできるだけの状況になっていなければ悲惨な老後が待っているだけとなります。

ちなみにFIREの発祥であるアメリカでは一応FIREを実践する際の目安があります。

FIREを始めるときの資産が「年間支出の25倍」というものです。

例えば年間200万円で生活できる人だとすると25倍ですから5,000万円の資産を用意しておきたいよってことですね。

また、「4%ルール」というものもあります。

生活費が投資元本の4%以内なら資産を減らさず生活できるという考え方です。

例えば5,000万円が元本なら4%で200万円です。

年間200万円以内で生活すれば元本を減らしませんから生活が可能ということです。

このあたりを目安に45歳までにその状況を作っておく必要も出てきそうですね・・・




まとめ

今回は「あなたは大丈夫?45歳定年制で考えなくてはならない働き方や老後資金」と題して大きな話題となっている45歳定年制についてみてきました。

今の時点では一大企業の社長が発言しただけの話ですが、「政府の経済財政諮問会議の民間議員」の発言ですから実現する方向に進んでいく可能性もありえます。

そうなってもよいようにエンプロイアビリティを高めたり、会社以外での収入、つながりをつくったり、老後資金の準備をしておく必要がありそうですね。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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