ウクライナ侵攻の経済制裁でロシアの投資環境が悪化しているため、ロシア株が主要株式指数から排除されることになりそうです。
今回は主要株式指数からロシア株が排除された場合の影響について考えてみたいと思います。
ロシア株が主要株式指数から排除の概要
まずはロイターの報道を元にロシア株が主要株式指数から排除される話の概要からみていきましょう。
株価指数を算出するFTSEラッセルとMSCIは2日、全ての指数からロシア株を除外すると発表した。
FTSEラッセルは7日から適用するとした。一方、MSCIは9日の取引終了時に適用すると明らかにした。
MSCIはまた、MSCIロシア指数を新興国市場からスタンドアローン市場ステータスに分類変更すると発表した。
出典:ロイター ロシア株を全指数から除外へ、FTSEラッセルとMSCI
FTSEラッセルの全ての株価指数から3月7日にロシア株を排除します。
また、MSCIは3月9日からロシア指数を新興国市場からスタンドアローン市場ステータスに分類変更されます。
ちょっとわかりにくい部分もありますので詳しくみていきましょう。
FTSEラッセル:ロシア株排除
まず3月7日から全面的に株価指数からロシア株を排除するFTSEラッセルです。
FTSEラッセルでは全世界株を対象としたベンチマーク「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス」なんかは有名ですね。
人気ETFの「VT」のベンチマークとなっています。
日本の投資信託でも「SBI・全世界株式インデックス・ファンド」や、VTを買う「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」、「SBI・V・全世界株式インデックスファンド」のベンチマークになっています。
また、新興国株を対象とした「FTSE・エマージング・インデックス」やより幅広い銘柄を対象とした「FTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ」なんかもあります。
FTSE・エマージング・インデックスは「SBI・新興国株式インデックス・ファンド」や「EXE-i新興国株式ファンド」などが対象ですね。
また、FTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップはETF「VWO」やVWOを買う「楽天・新興国株式インデックス・ファンド」がベンチマークとしています。
つまり、これら投資信託は今回の変更の影響を受けるということになります。
MSCI:ロシア株をスタンドアローン市場に分類変更
MSCIは新興国株扱いであったロシア株をスタンドアローン市場に分類変更を3月9日に行います。
スタンドアローン市場ってあまり馴染みの無い方が多いでしょうから、簡単に説明をしておくと「MSCI ワールド・インデックス」、「MSCI エマージングマーケット・インデックス」、「MSCI フロンティアマーケット・インデックス」のいずれにも入っていない株式市場のインデックスのことです。
「MSCI スタンドアローン・インデックス」に分類されます。
つまりその他という扱いです笑
現在、スタンドアローン市場に分類されているのはパナマ、レバノン、パレスチナ、ポツワナ、ジンバブエなどなかなか投資対象とはなりにくそうな国・・・・
そこにロシアが加わることになるということですね。
なお、新興国株から外されれば新興国株が対象となっていた投資信託等がロシア株を対象外にするということになります。
例えば人気の高い「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は全世界株を対象とした「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」をベンチマークとしていましたのでそのから外れることになります。
また「eMAXIS Slim新興国株式インデックス」は新興国株を対象とした「MSCIエマージング・マーケット・インデックス」をベンチマークとしていましたのでここからもロシア株は外れます。
ロシア株が主要株式指数から排除されることの影響は?
それでは今回の決定でどのような影響が予想されるのでしょう。
新興国株や全世界株を対象とした投資信託への影響
まず考えられるのが新興国株や全世界株を投資対象とした投資信託への影響です。
FTSEラッセルもロシア証券を株価指数から除外すると発表した。同社はモスクワ取引所上場のロシア指数構成銘柄を3月7日の取引開始時からゼロ値で除外すると説明した。
出典:ロイター ロシア株を全指数から除外へ、FTSEラッセルとMSCI
FTSEラッセルはロシア株分はゼロ値で除外することになるそうでその分下がることが予想されます。
しかし、ここ数ヶ月でロシア株はかなり下げていましたし、投資比率は減っており影響は限定的かと思われます。
例えばMSCIの方ですが、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)には0.2%、eMAXIS Slim新興国株式インデックスには1.71%含まれていましたので、これらの投資信託を持っている方はその部分価値が減ると考えればよいでしょう。
一日の値動きでもこれよりマイナスとなる日もありますのでそこまで大きい影響ではないんですよ。
ゼロにすることないじゃんと思われる方も見えるかもしれません。
しかし、すでにロシア株は売却が困難となっていましたし、主要株式指数から除外されるとなればもし市場が開いていても大暴落は必須(日本株ならそもそもしばらく値がつかないレベル)ですから仕方ない部分かもしれません。
資産運用会社ヴァンエック・アソシエーツの投資・資本市場責任者ラッセル・チェスラー氏(シドニー在勤)は、「保有するロシア株を売却できない。ブローカーは市場が開いていた先週でさえ売れなかった。投資家にとって状況はさらに悪化するだろう」と述べた。
出典:ロイター ロシア株を全指数から除外へ、FTSEラッセルとMSCI
ロシア株、ロシア経済への影響
当然主要株式指数から除外されるロシア株にはかなり大きな影響があります。
今までロシア株を買っていたファンドなどが一斉に資金を引き上げることになるためです。
MSCIの措置だけでもアクティブ運用型とパッシブ運用型のファンドで最大320億ドル(約3兆7000億円)の資金引き揚げを招く恐れがあるとの試算
出典:ロイター ロシア株を全指数から除外へ、FTSEラッセルとMSCI
そうなればロシアの経済へのダメージも当然計り知れません。
日本ではそれほど人気がなかったので多くは無いでしょうがロシア株を持っている方や、一時期ブームとなっていたBRICs関連の投資信託を持っている方は厳しい状況ですね・・・
BRIC関連の投資信託はロシア比率がかなり高くなっています。
HSBC BRICs オープンの場合は27.2%がロシア株なんですよ。(2021年12月のデータですからもう少し減っている可能性もあります)
出典:HSBC BRICs オープン 目論見書(2021年12月)より
まとめ
今回は「 ロシア株が主要株式指数から排除へ。影響はどうなる?」と題してロシア株が主要株式指数から排除される話をみてきました。
いきなりきた話でもないのですが、戦争ともなればこのような大きな影響になるんですね。
1つの国に投資をすることのリスクを見せつけられた気もする今回の話でした。
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