「顧客本位の業務運営」を金融機関が行っているのかを客観的に確認するため金融庁が求めている「運用損益別顧客比率」など共通KPI。
金融機関の顧客のうち損益割合がどうなっているかの比率です。
つまり、顧客が儲かってる金融機関、損している金融機関がわかるってことです。
その「運用損益別顧客比率」の2022年3月末のまとめ資料が発表されましたのでご紹介しましょう。
顧客によって良い金融機関はどこで悪い金融機関はどこなのでしょう?
運用損益別顧客比率は悪化
まずは全体の数字から見てみましょう
投資信託の運用損益別顧客比率
出典:金融庁「顧客本位の業務運営に関する原則」に基づく取組方針等を公表した金融事業者リスト(令和4年10月末時点)及び
投資信託・外貨建保険の共通KPIに関する分析(令和4年3月末基準)の追加掲載等について」より
全事業者で見ると2021年3月末では84%が運用損益がプラスだったのに、2022年3月は79%と4%落ち込んでいます。
ちなみに2022年3月末までの1年間の市場動向は、国内外の株式、債券の代表的な指数を見ると国内債券は下落したものの、他は上昇又は横ばいとなっています。
外貨預金の運用損益別顧客比率
次に外貨預金です。
出典:金融庁「顧客本位の業務運営に関する原則」に基づく取組方針等を公表した金融事業者リスト(令和4年10月末時点)及び
投資信託・外貨建保険の共通KPIに関する分析(令和4年3月末基準)の追加掲載等について」より
外貨預金は2021年3月時点のデータはありません。
2022年3月は70%が運用損益プラスですね。
金融機関別の投資信託:運用損益別顧客比率
次は金融機関別で見てみましょう。
かなり差が開いていますね。
主要行の投資信託運用損益別顧客比率
出典:金融庁「顧客本位の業務運営に関する原則」に基づく取組方針等を公表した金融事業者リスト(令和4年10月末時点)及び
投資信託・外貨建保険の共通KPIに関する分析(令和4年3月末基準)の追加掲載等について」より
まずは主要行です。
最も運用損益別顧客比率が高かったのはソニー銀行で89.2%
最も低かったのはオリックス銀行で55.9%
両行ではかなりの差が出ていいますね。
地方銀行の投資信託運用損益別顧客比率
次は地方銀行です。
こちらもかなりの差が出ていますね。
出典:金融庁「顧客本位の業務運営に関する原則」に基づく取組方針等を公表した金融事業者リスト(令和4年10月末時点)及び
投資信託・外貨建保険の共通KPIに関する分析(令和4年3月末基準)の追加掲載等について」より
ちょっと字が細かいので見にくいかもしれません。。
興味ある方は元のPDFをご覧ください。
重要な部分はピックアップしてご紹介しております。
トップ5は以下です。
2位:埼玉りそな銀行 90.9%
3位:山陰合同銀行 90.7%
4位:山梨中央銀行 89%
5位:きらやか銀行 88.9%
最も高いのは島根銀行で94.9%とかなり高い比率となっています。
次にワースト5を見てみましょう。
2位:宮崎太陽銀行 64.9%
3位:仙台銀行 65.7%
4位:愛知銀行 65.9%
5位:武蔵野銀行 67.8%
最も低いのは北國銀行で57.5%となっています。
共同組織金融機関の投資信託運用損益別顧客比率
次は信用金庫等です。
出典:金融庁「顧客本位の業務運営に関する原則」に基づく取組方針等を公表した金融事業者リスト(令和4年10月末時点)及び
投資信託・外貨建保険の共通KPIに関する分析(令和4年3月末基準)の追加掲載等について」より
最も高いのは新潟県信用農業共同組合連合会でなんと100%となっています。
最も低いのは岐阜信用金庫で66.9%ですね。
証券会社の投資信託運用損益別顧客比率
次は証券会社です。
出典:金融庁「顧客本位の業務運営に関する原則」に基づく取組方針等を公表した金融事業者リスト(令和4年10月末時点)及び
投資信託・外貨建保険の共通KPIに関する分析(令和4年3月末基準)の追加掲載等について」より
こちらも件数が多いのでトップ5とワースト5をみてみましょう。
まじはトップ5です。
2位:楽天証券 95.2%
3位:SBI証券 94.5%
4位:野村證券 92.4%
5位:GMOクリック証券 90.5%
最も高いのは大万証券で95.8%
楽天証券は95.2%で2位、SBI証券が94.5%で3位とネット証券が強い形ですね。
自分たちで選ぶ系のネット証券の方が手数料が安いこともあるのでしょうが有利なんでしょうね。
次はワースト5です。
2位:OKB証券 47.6%
3位:めぶさ証券 48.7%
4位:池田泉州証券 55.9%
5位:九州FG証券 61.3%
逆に最も低いのは七十七銀行で39.2%です。
かなりひどい数字となっています・・・
次点がOKB証券が47.6%ですから差がかなりあり独走に近いです・・・
その他の投資信託運用損益別顧客比率
独立系運用会社なのその他を最後に見てみましょう。
出典:金融庁「顧客本位の業務運営に関する原則」に基づく取組方針等を公表した金融事業者リスト(令和4年10月末時点)及び
投資信託・外貨建保険の共通KPIに関する分析(令和4年3月末基準)の追加掲載等について」より
こちらはもっとも高いのはセゾン投信の99.7%です。
ここは安定して成績を残していますね。
金融機関別の外貨保険:運用損益別顧客比率
次が外貨保険です。
主要行の外貨保険運用損益別顧客比率
出典:金融庁「顧客本位の業務運営に関する原則」に基づく取組方針等を公表した金融事業者リスト(令和4年10月末時点)及び
投資信託・外貨建保険の共通KPIに関する分析(令和4年3月末基準)の追加掲載等について」より
まずは主要行です。
こちらはあおぞら銀行が最も高く92.3%
もっとも低いのはゆうちょ銀行で64.8%となっています。
あおぞら銀行は投資信託では下から二番目の65.3%でしたから面白い結果となっています。
地方銀行の外貨建保険運用損益別顧客比率
次は地方銀行です。
こちらもかなりの差が出ていますね。
出典:金融庁「顧客本位の業務運営に関する原則」に基づく取組方針等を公表した金融事業者リスト(令和4年10月末時点)及び
投資信託・外貨建保険の共通KPIに関する分析(令和4年3月末基準)の追加掲載等について」より
ちょっと字が細かいのでトップ5を見てみましょう。
2位:仙台銀行 96.7%
3位:スルガ銀行 92%
4位:宮崎太陽銀行 90.1%
5位:山口銀行 86.6%
最も高いのは北國銀行で99.7%とかなり高い比率となっています。
興味深いのは北國銀行は投資信託ではワースト1だったんですよ。
また2位の仙台銀行 、4位の宮崎太陽銀行 ともワースト5入りしています。
もしかしたらかなりリターンもリスクも高い商品を進めているのかもしれません。
外貨建ての方はそれがうまくいっていたという感じでしょうか。
次にワースト5を見てみましょう。
2位:東和銀行 38.7%
3位:福島銀行 40.1%
4位:西京銀行 40.6%
5位:島根銀行 42%
最も低いのは静岡中央銀行で38.2%となっています。
外貨建保険はどうしても手数料割合が大きいためマイナスとなりやすい性質があります。
それが出てしまっていますね。
共同組織金融機関の外貨建保険運用損益別顧客比率
次は信用金庫等です。
出典:金融庁「顧客本位の業務運営に関する原則」に基づく取組方針等を公表した金融事業者リスト(令和4年10月末時点)及び
投資信託・外貨建保険の共通KPIに関する分析(令和4年3月末基準)の追加掲載等について」より
こちらは最も良いのは愛媛信用金庫で98.8%
最も低いのは大川信用金庫で31.5%となっています。
こちらもかなり低い数字ですね。
証券会社の外貨建保険運用損益別顧客比率
最後は証券会社です。外貨建保険は扱っている証券会社はそれほど多くありません。
出典:金融庁「顧客本位の業務運営に関する原則」に基づく取組方針等を公表した金融事業者リスト(令和4年10月末時点)及び
投資信託・外貨建保険の共通KPIに関する分析(令和4年3月末基準)の追加掲載等について」より
最も高いのは大和証券で88.6%
最も低いのは東海東京証券で56.3%です。
どうしても投資信託と比較して低めになる傾向はありますね。
そもそも私の意見としては外貨建保険はあまりおすすめできない商品なんですよ。
詳しくはこちらの記事を御覧ください。
まとめ
今回は「投資信託の金融機関ごと運用損益別顧客比率(2022年)が発表。儲からない金融機関はどこ??」と題して金融機関ごとの運用損益別顧客比率の最新データを見てきました。
金融機関によってかなり投資信託の成績に差があることがわかったと思います。
特にワーストとなっている証券会社・銀行・信用金庫から投資信託を買うときは慎重にすべきですね。
ただし、基本的に証券会社も銀行も商売ですから儲けが優先になってしまうことは仕方ない部分もあります。
ですから自分自身でその投資が良いのかをちゃんと判断できるようにするのが最大の自己防衛でしょうね。
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