最近、金融庁が問題視していると言われる金融商品が2つあります。一つは法人の経営者向けの保険。もう一つが外貨建て保険です。
少し前は「毎月分配型投資信託」、「ファンドラップ」などが問題視されていました。
両方買っては駄目な商品としてこのサイトでも特集したこともあります。
この2つは規制をするというよりも銀行や証券会社に共通KPIを発表させることで牽制する感じに収まりました。詳しくは下記記事を御覧ください。
先日、金融庁が投資信託を販売する銀行・証券会社に対して比較可能な共通KPIと考えられる3つの指標を公表することを発表しました。3つの指標は以下の通り。・ 運用損益別顧客比率・ 投資信託預り残高上位20銘柄のコスト・リターン[…]
そして金融庁の次のターゲットが経営者向けの保険と外貨建て保険の2つと言われています。
先日も生命保険会社などを呼び出して規制を説明したとのニュースが流れていましたね。
経営者向けの保険が問題視されているのは基本的に行き過ぎた節税目的の加入であり契約者が損をする類のものではありません。(そもそも節税効果はまやかしなクソ商品ですが・・)対して外貨建て保険は契約者などから国民生活センターなどへの苦情が多いことから問題視されています。
つまり、契約者が損をする可能性が高い商品なのです。結論を先に言えば外貨建て保険はかなり損な商品で買ってはいけない商品なのです。
今回はなぜ「外貨建て保険」を買ってはいけないのかをみてみましょう。
外貨建て保険が駄目な理由
それでは外貨建て保険が駄目な理由について見ていきましょう。
実は外貨建て保険は銀行や生命保険会社を中心にかなり力をいれている商品ではあるんですよね。
理由は商品が分かりづらいため惑わされて加入する人が多いこと、手数料が高く儲かるからです(笑)
為替リスク
まずわかりやすいところから行きましょう。
外貨建て保険には為替リスクがあります。今の日本はかなりの低金利となっています。
そのため日本の金融商品も金利が安くならざる得ません。
そこで海外の金利のいい国建てで保険を運用しようってのが外貨建て保険です。
アメリカドル(米ドル)建て、オーストラリアドル(豪ドル)建ての2つが多いですね。
例えば満期まで持てば120%になるものだとしましょう。
単純にみれば20%増えるわけですから悪くはないですよね。
しかし、為替が120円のときに買ってもらうときに100円と円高に動けばその利益が飛んでしまうのです。
長い目でみるとアメリカドルは80円〜120円くらい行ったりきたりしているわけですから有り得る話なのです。
ただし、これは逆に円安になる可能性もあるわけです。
報道ではこの為替リスクが大きく扱われていますが、実はこれが一番の問題ではありません。他に大きな問題を抱えているのです。
購入時、運用時、為替の手数料が高すぎ
外貨建て保険の最大の問題は手数料です。他の金融商品ならボッタクリと言われるレベルで手数料が掛かっているのです。
これの大きな問題は複雑な商品設計にしているため手数料が見えにくいところにもあります。(あえてそうしているのでしょう)
積立利率と利回り
あえて分かりづらくしているのが積立利率という言葉のトリックによるものです。
保険は加入者が支払ったお金がすべてが運用に回る仕組みになっていません。
一部は会社の経費部分に充てられるのです。この部分が手数料です。
積立利率とは簡単に言えばこれらの手数料を除いた部分の利回りを示します。
つまり、積立利率3%と言っても実際に自分の手元にくる利回りとはぜんぜん違うのです。
外貨建て保険の手数料は下記のようにかなり高いですからね。
投資信託などで表記されている利回りと違って、実際の利回りが見えにくい売り方をしているのです。
これ知っていないと騙されますよね・・・
この辺りは金融庁がかなり問題視されていますので今後改善される可能性は高そうですが・・・
先日、国民年金を払うよりも民間の個人年金保険に入ったほうが得ってホント?という記事を書いたところ、反響が大きく、質問メールを何件もいただきました。いただいた質問はすべて○○○って個人年金保険はどうでしょう?○○○年金共済って[…]
外貨建て保険の手数料はボッタクリレベル
例えばある外貨建て保険では契約時に7%の手数料が引かれます。
さらに毎年運用している資産の0.75%の手数料が引かれます。
さらに保険を支払う都度1ドルあたり50銭の為替手数料が取られます。
1ドル100円で50銭なら0.5%ですね。
さらに年金として保険を受取る際にも1.3%差し引く(日本円なら追加で0.3%)とされています。(保険の種類によってはもっと手数料が高いものもあるようです)
こんなに手数料を取られて運用して増やすのはかなり厳しいことは投資をしている方なら分かると思います。
つまり、はじめから損をする可能性がかなり高い投資商品であるとも言えるのです。
外貨建て保険と同じように外貨建ての商品として人気の商品に海外ETFがあります。(ETFとは上場している投資信託のことです。)これと比較してみましょう。
海外ETF(VT)の場合の手数料
海外ETFの購入時の手数料はSBI証券の場合、約定代金の0.45%です。
毎年の手数料は商品によって異なりますが、例えば人気の世界全体の株式へ投資をするバンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)の場合、年0.11%です。為替手数料は25銭。
かなり違うのが分かると思います。
例えば1ドル100円のときに100万円分を一括で購入して20年運用するケースで比較してみましょう。(計算がわかりやすいように成長なし、分配金等なし、為替変動なしの場合)
外貨建て保険 加入時手数料70,000円、毎年の手数料150,000円(7,500円☓20年)、為替手数料5,000円
海外ETF 加入時手数料4,500円、毎年の手数料22,000円(1,100円☓20年)、為替手数料2,500円
外貨建て保険の場合ははじめから225,000円の手数料が掛かる計算なのです。率にすると22.5%です。
対して海外ETFの場合には29,000円だけなのです。
つまり、10倍近く手数料が違うんですよね・・・これではなかなか勝てないのがわかっていただけると思います。
もちろん利回り分がありますのでこの手数料分損をするわけではありませんが、海外ETFと比較してかなり不利な商品であることはわかるでしょう。
ちなみに外貨建てでない保険も10%くらい実質手数料が掛かっていますので、外貨建てよりはましですが投資商品と比較して考えるとおすすめしかねます。詳しくは下記の記事を御覧ください。
投資対象となる商品はたくさんあります。その中でも意外?に選ばれているのが保険の投資商品です。もちろん保険にもよい商品、悪い商品がありますし、それぞれメリット、デメリットがありますが、個人的には保険の投資商品よりも他を選ぶべきだと考えます。[…]
解約時の手数料が高い(解約控除費用)
また、解約時の手数料もかなり高いです。これも商品によってことなります。
例えばある商品だと1年未満の解約だと10%とられます。
そこから徐々に解約控除費用は減っていき10年を超えてようやく解約控除がなくなるのです。
ですから外貨建て保険の加入しまった・・・と思っても10年は手数料なしに解約もできないのです。
この辺りも海外ETFや投資信託と比較してかなり損な部分ですね。
投資信託などでも解約時に取られるものもありますが、高くて0.5%ですね。
外貨建て保険に入るならiDeCo(個人型確定拠出年金)やNISAを使おう
今まで見てきたように外貨建て保険はかなり不利な商品です。
正直これでプラスになる方はどれだけいるのだろう・・・ってレベルです。
海外の方が金利がよいのは事実ですから為替リスクをとってでも海外に投資をしたいならば外貨建て保険を選ぶのはおすすめしません。
それなら節税効果が大きいiDeCoや、節税効果はありませんが利益に税金がかからない税制優遇されているつみたてNISA、NISAなどを使って投資をしたほうが良いでしょう。
NISAなら前述の海外ETFなんかも買えますし、つみたてNISAやiDeCoはかなり手数料の安い投資信託を通じて海外投資が可能となっています。
海外ETFでなくても最近はかなり低コストのインデックス型の投資信託もたくさん出てきていますよ。
まとめ
今回は「【外貨建て保険】を買ってはいけない理由。」と題して外貨建て保険を買ってはいけない理由について見てきました。
手数料が海外ETFや投資信託などと比較して高く損な商品であることがわかっていただけたと思います。
外貨建て保険にはいるよりもまずはiDeCo(個人型確定拠出年金)、余裕があればつみたてNISAかNISAをおすすめしますね。
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