楽天銀行と旭化成ホームズ(ヘーベルハウス)、一般社団法人移住・住みかえ支援機構(JTI)が組んで面白い住宅ローンを販売します。
残価設定型住宅ローンです。
車ではおなじみで利用者がかなり増えているローン形式となります。
今後は家の分野でも広がっていくのでしょうか?
今回は残価設定型住宅ローンについて詳しく見ていきましょう。
楽天銀行とヘーベルハウスの残価設定型住宅ローン
まずは発表された内容を確認してみましょう。
楽天銀行株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:永井 啓之、以下「楽天銀行」)は、旭化成ホームズ株式会社(本社:東京都千代田区、社長:川畑 文俊、以下「旭化成ホームズ」)および一般社団法人移住・住みかえ支援機構(本社:東京都千代田区、代表理事:大垣 尚司、以下「JTI」)と提携し、「残価設定型住宅ローン」の取扱いを開始しました。
本サービスは、旭化成ホームズ「ヘーベルハウス・アフォーダブルプラン」の戸建住宅を対象とし、楽天銀行の住宅ローンに、「返済軽減オプション」と「買取オプション」の 2 つのオプションを付与した住宅ローンになります。
簡単に言えば旭化成ホームズ(ヘーベルハウス)の条件を満たした戸建て住宅について残価設定型住宅ローンを販売するというものです。
残価設定型とは
今回の住宅ローンは少々わかりにくい仕組みです。
簡単に言えば借入金額から住宅の将来価値分(残価)を差し引いた差額部分を対象として返済額が計算されるため、毎月返済額を低く抑えることができる住宅ローンです。
車などでは最近多く利用されている仕組みですね。
しかし、家の価値は耐用年数と比較してかなり落ちが早いです。
ですから従来であれば残価設定型ローンにしにくい商品のはずです。
しかし、今回の場合は対象をヘーベルハウスという人気のハウスメーカーに限定することでその部分をカバーしているのでしょう。
ちなみにヘーベルハウスはセミオーダースタイルのmy DESSIN限定で、買取保証していたりもしますからリセールがよいのでしょうね。
ちなみにヘーベルハウスは2019年11月からSBI新生銀行でも今回の楽天の商品に似た支払額軽減住宅ローンを一部エリア限定で発売しています。
住宅ローンを軽減or住宅ローン残高で買取り
具体的にはJTI が設定する残価設定月以降、「返済軽減オプション」を行使すると「死亡時一括返済型のローン」に切り替わり、毎月の返済額が軽減されます。
また、「買取オプション」を行使すれば、その時点での住宅ローンの残高と同じ金額で、JTIまたはその関連法人に対象住宅(建物・土地)を買い取ってもらえるため、住宅売却時にローンが残りません。
出典:楽天銀行 楽天銀行、旭化成ホームズおよびJTIと残価設定型住宅ローンの取扱いを開始
つまり、将来のライフステージに合わせた切り替えがしやすいっていう感じですね。
今回の楽天銀行の商品は具体的な数字の提示が有りませんので、SBI新生銀行とヘーベルハウスの支払額軽減住宅ローンの例でご紹介しましょう。
おそらく似た仕組みになると思われます。
SBI新生銀行の支払額軽減住宅ローンの例
6,000万円の住宅ローン(販売価格6,500万円 頭金500万円) / 借入期間29年 / 金利年1.5%の場合のシュミレーションとなります。
- 一般的な住宅ローン:毎月の返済元本6,000万円、348回払い(月21.3万円)
- 支払額軽減住宅ローン:毎月の返済元本4,050万円、最終回一括返済1,950万円、348回払い(月16.8万円)
住宅ローン終了時の価値分を差し引いてくれているので、月々の負担がかなり少なく済むのです。
なお、最終回の1,950万円の支払いは選択肢が4つ提示されています。
売却、自己資金で支払い(1,950万円)、80歳まで延長、リバースモゲージに借り換えです。
なお、売却する場合は1,950万円以上で売れるならそれで売却して1,950円支払えば良いですし、それ以下でしか売れないようなら旭化成不動産レジデンス(旭化成の不動産部門)が最終回一括返済元本での買い取りを保証しているので、売却後に住宅ローンが残ることはないようになっているそう。
住宅ローンを返し終わったころに自分のライフスタイルがどうなっているのかはなかなか予想が難しいです。
それを計画しやすくなるという面では面白い仕組みの商品ですね。
大手ハウスメーカーを中心に増えはじめている
実はこの残価設定型住宅ローンはまだまだ一般的では有りませんが、他にも三菱UFJ銀行、モーゲージバンクで採用があります。
ただし、残価設定型住宅ローンを利用できるハウスメーカーはかなり限られています。
今回ご紹介したヘーベルハウスの他にダイワハウス、住友林業、ミサワホームですね。(長期優良住宅などの条件を満たす必要があります)
今後、残価設定型住宅ローンの普及が進むようなら大手ハウスメーカーは採用するところが増えてくるでしょう。
大手ハウスメーカー10社(ヘーベルハウス、住友林業、セキスイハイム、積水ハウス、ダイワハウス、トヨタホーム、パナソニックホームズ、ミサワホーム、三井ホーム、ヤマダホームズ)は共同して、耐震性やデータベースの保有など共通の基準を満たす家を「スムストック」と認定しているので中古で売りやすいというのもありそうです。
住宅ローン終了時の買取価格の問題があるので、大手ハウスメーカー以外に広げるのはなかなか難しい部分もあるかもしれませんが、都心や都市部なら土地の部分で採用とかリセールが良さげな場所のマンションで採用というのはありそうです。
残価設定型ローンはまだまだデメリットもあり
ただし、現状はまだまだ残価設定型ローンにはいくつかデメリットがあります。
まず大きいのが金利が高めなことです。
取り扱い金融機関や対象となるハウスメーカーが限られていることもあり、競争が働かないこともあり金利が高いんですよ。
いくら住宅ローン終了時の価値分を差し引いてくれているといってもそもそもの金利が高ければその分が飛んでしまいますからね・・・
このあたりは今後、普及が進んでこれは変わってくる可能性もあります。
また、これはデメリットというよりも利用上の注意ですが、メンテナンスをしっかりやる必要があるという点もあります。
ヘーベルハウスなど大手ハウスメーカーは定期点検がありますのでそれをちゃんと行い、補修が必要ならそれをしておかないと対象から外れてしまうというケースも有るようですからお気をつけください。
まとめ
今回は「家も残価設定型ローンの時代か?楽天銀行とヘーベルハウスが残価設定型住宅ローンの取扱いを開始」と題して残価設定型ローンについて見てきました。
すでに住宅価格がかなり上がっています。
さらに金利が今後上がってくるようだと住宅を買うのがなかなか難しくなってしまいます。
そんな時、残価設定型ローンはかなり面白い仕組みですから普及してくる可能性はありそうです。
ただし、残価設定型ローンの金利は高めですし、使えるハウスメーカーもかなり限定されています。
ですからまだまだこれからの仕組みと言ってもよいでしょう。
楽天銀行の参入で競争が激しくなると条件も緩和され利用しやすくなるでしょうね。
例えば10年など短期間で残価設定型ローンが組めるようになれば、住宅も気軽に乗り換えられるようになりますので魅力はさらに上がりそうです。
期待したいところ。
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