SNSを中心に最近インボイスの廃止を求める声が大きくなっています。
インボイスは2023年10月1日から新たに始まる制度でこんな間近な時期に騒いでも・・・って気がしないでもありませんが・・・
そんな反対派の方が最近引用しているデータがあります。
事務コストは年間4兆円掛かる
っていうものです。
この数字だけ見たらたしかに反対したくなるのもわかります。
しかし、この数字は本当なのでしょうか?
今回はそんな話を考えて見ましょう。
なお、インボイスってなんぞやって方はこちらの記事からお読みください。
事務コストが年間4兆円も掛かる???
私の考え、認識として事務コストがインボイスを導入したくらいで年間4兆円も増えるとはとても思えないんですよ。
まずはこの数字の根拠から見てみましょう。
事務コストは年間4兆円の根拠
こちらの数字の根拠は株式会社LayerXが企業が制度対応に要する追加の作業時間を独自に算出したものを根拠としています。
具体的には同社の提供する「インボイス制度対応 体験キット」を使用した研修を40社へ実施。200名の参加者が作業に要した時間をもとに算出されているようです。
その結果をまとめると以下のとおり。
経理1人あたり約1〜2営業日/月、従業員(非経理)1人あたり約7分/月、日本全体で約1.4億時間/月の負担増
その結果に対して生労働省発行の賃金統計をもとに制度対応にかかる人件費を算出したところ、日本全国で毎月約3,413億円の人件費がインボイス対応コストとして発生すると算定
インボイスでそれほど負担が増えるわけではない・・・
元経理としての感想はこの数字めちゃくちゃおかしな話なんですよ。
そもそもインボイスが導入されたくらいで請求書支払処理15分、経費精算処理5分なんて増えるとは考えにくいのです。
単なる請求書ではなく請求書支払処理とありますので、受け取った請求書の支払い処理の話だと思われますが、なぜインボイスが導入されると支払処理に掛かる時間が増えるのかまったく理解できません。
もしかしたらその都度、請求書に書いてある登録番号(インボイス用の番号)を確認するという話なのかもしれませんが、基本的に番号は一度確認すればよいですので、手間が増えるのは初回だけで毎回やることは今までの請求書支払処理ととなんら変わらないんですよ。
また、インボイス対応の会計ソフトの場合はその番号チェックもやってくれます。
請求書発行の話だとしてもは登録番号を書く必要があるなど一部変更があるだけです。
ですから初期設定やフォーマットをインボイス対応に変えてしまえば、請求書にかかる時間は基本的に同じはずです。
もしかしたら変更したばかりのときはその程度増える可能性もありますが・・・
また、手書きで請求書を出しているような場合は各項目が増えますが、それでも15分も余分に掛かるとは思えないです。
経費精算処理もインボイス対応の会計ソフトならインボイスに対応した書類か否かをチェックする項目が増えるだけですから5分なんて絶対増えません。
ですから請求書支払処理15分、経費精算処理5分なんて増えるとは考えにくいのです。
注意書きには手作業で行った場合とあり
ちなみに元々の株式会社LayerXが出した調査資料をよくみると
事務負担の影響が大きいのは本則課税事業者だけ
それでは実際どれくらい負担が増えるのでしょうか?
まず、インボイスで事務負担が増えるのは消費税課税事業者のうち「本則課税」を選択されている事業者です。
「簡易課税」の方は自分が出す請求書のルールが変わるくらいなもので事務負担への影響はないんですよ。
本則課税とは支払い部分もちゃんと消費税を計算が必要な方法で、選択しているのは全体の25%程度と言われています。
ですからインボイスで事務コストが影響があるのはそもそも25%程度の企業です。
さらにその25%は基本的に大きな企業が大きく、ほとんどがインボイス対応の会計ソフトを入れているでしょう。
インボイス対応の会計ソフトを入れていれば、初期の設定が終わればそれほど負担が増えることは想定しずらいです。
事務コストが増えるのはゼロとは言いませんが、どう考えても約4兆円の負担が増えるなんてことはありえません。
むしろインボイスを機会に会計ソフトを入れ替えクラウド化したりすれば、労力は減りますからむしろ事務コストの削減につながるんですよ。
まとめ
今回は「インボイスで増える税収は年間2500億円なのに事務コストは年間4兆円ってホントなの??」と題してインボイスの事務コストの話を見てきました。
反対派にうまくデータを使われてしまっているようですが、元データも含めなんだかな。。。って感じしかしません。
今回の教訓としてSNSで回ってくるような話は鵜呑みにせず元データを確認することが大事ですね。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。