最近、「入院の保証人になってくれ」と保証人になってほしいという依頼が立て続けに来ました。
そこで今回は保証人について考えて見ましょう。
保証人はかなり怖い部分もありますので、「印鑑を安易に押印」するのはやめてちゃんと内容を理解をしておくのがおすすめですよ。
保証人には種類がある
それでは保証人について詳しく見ておきましょう。
保証人といってもいろいろなパターンがあります。
まず知っておきたいのが、単なる「保証人」なのか「連帯保証人」なのかです。
問題になりやすいのは「連帯保証人」の方ですね。
単なる保証人とは
まず、単なる「保証人」とは内閣府によるとこのようなものです。
債務者が債務を履行しない時にその履行の責任を負う。
出典:内閣府 保証人とは
簡単に言えば、保証した相手(債務者)が払わない(払えない)場合に責任を負うのが通常の「保証人」です。
ですからまずは債務者からというのが基本的な考え方です。
また、単なる「保証人」には以下の2つのルールがあります。
検索の抗弁:債務者に弁済するだけの資力があり、執行が容易であると証明した時は、債務者の財産から弁済をする
さらに保証人が複数いる場合には「分別の利益」といって人数で割った金額が保証する範囲となります。
このあたりも知っておくとよいでしょう。
連帯保証人とは
次に「連帯保証人」です。
保証人と同様に、債務者が債務を履行しない時にその履行の責任を負う。ただし、保証人とは異 なり、催告の抗弁と検索の抗弁はないため、保証人よりも責任が重い。
出典:内閣府 保証人とは
連帯保証人は、債務者とともに 債務返済の責任を負うこととなります
つまり、債務者と連帯保証人は同じ義務が生じるということです。
連帯保証人には、前述した保証人に与えられている「催告の抗弁権」、「検索の抗弁権」がありませんので、債権者からいついかなる場合に請求を受けても拒否できません。
つまり、請求されたら払わないといけなくなるということです。
また、「分別の利益」がありませんので、債権者が取りやすい相手に全額請求することもできますから、いきなり連帯保証人に多額の請求が来てしまう可能性もあるのです。
ですから連帯保証人になる場合はかなり慎重に検討をする必要があります。
私が実家に住んでいたときの隣の人は弟の連帯保証人になったことで、家を売らないと行けない羽目になっていました。。。
極度額について知っておこう
次に知っておきたいのが極度額という考え方です。
これは120年ぶりに改正された民法(2020年4月1日から)で盛り込まれた内容なので、まだ新しいルールです。
極度額の定めのない個人の根保証契約は無効に
個人が根保証契約を締結する場合には, 保証人が支払の責任を負う金額の上限となる「極度額」を定めなければ,保証契約は無効となるようになります。
出所:法務省「2020年4月1日から保証に関する民法ルールが大きく変わります」より
つまり、いくらまでは保証するという上限を定める必要があるってことでね。
なお、根保証契約とは以下のような保証契約のことを指します。
つまり、根保証契約では保証人になった時点ではまだ発生していない未来の債務も保証することになります。
例えば,アパートなどを借りるときの賃貸借契約の保証人となる契約などは根保証契約に当たるケースがあります。
アパートで火災を発生させてしまって、火災保険にその人が入っていなかったとしたら保証契約によってはそのアパートの建て替え費用なんかを請求される可能性もあるのです。
保証人になる時は家賃の滞納くらいの金額をイメージしていると思いますが、思いがけない高額を請求されるなんてケースもありますから怖いですよね・・・
ですからこのような保証契約を結ぶ際には責任を負う上限を設けないと駄目とされたのです。
なお、極度額は書面等により当事者間の合意で定める必要があります。
ただし、2020年4月前に締結された保証契約に係る保証債務については、現行法のルールが適用されます。
極度額までなら払う可能性があることを知ってサインしよう
例えば私が実際依頼された「入院の保証人になってくれ」というのは連帯保証人で
入院者の診療により生じる診療費、損害賠償その他の債務に従たるすべての債務につ いて極度額 30 万円を上限として、入院者と連帯して支払いの責任が生じます。
との文言が書いてありましたね。
つまり、最大で30 万円は請求される可能性があるってことです。(極度額や条件等は病院や入院の内容によると思われます)
ですから 家族、親族、友人等から「絶対に迷惑をかけないから 保証人になって欲しい」と言われた場合でも極度額の金額を確認して、もしものときにその金額は払っても良いと思えた場合だけサイン・印鑑を押して良いってことになります。
基本的にもし払えと言われて生活が破綻するようなレベルの場合の金額が極度額になっている連帯保証なら、いくら家族、親族、友人でも受けないほうが良いでしょう。
まとめ
今回は「ちょっと待って。保証人になる前に知っておきたい法律」と題して保証人について見てきました。
民法改正で以前よりはリスクが減りましたが、連帯保証人になるのは慎重に・・・
なお、印鑑を押す強さについてはこちらの記事も御覧ください。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。