2020年4月から民法が120年ぶりに変わる

2020年4月から民法が120年ぶりに変わる。お金に関わる重要ポイントをまとめてみた。

2020年4月1日から120年ぶりに民法が改正されます。それに伴い「2020年4月から「敷金」のルールが変わる。」という記事を書いたところ、ありがたいことに大反響をいただいております。

記事は「敷金」の取り扱いが明確化された内容を解説した内容です。

読者様から敷金と同じ様にその他の民法改正の内容について解説してほしいとのご連絡をいくつかいただきました。

今回120年ぶりの改正ということで「契約や金銭の支払いに関するルールを定めた民法の規定(債権法)を見直す改正法案」で見直された項目は200項目近くあります。

そのため、全ての解説は難しいですが、敷金以外で本サイトのテーマである「お金」に関係ありそうな内容のうち特に一般消費者に影響がありそうな重要な変更をいくつかピックアップして解説していきましょう。

法律は知っているかいないかで大きな差が出てしまうケースが多いです。

こういう法律があったな」とか「民法でこれ変わったんだよな」くらい知ってるだけでも全然違いますからぜひ頭の片隅に置いておいてくださいね。

保証人についての改正

まずは保証人についての改正から見ていきましょう。

保証人とは借金などをするときに返せない場合の代わりに返済をする立場の人のことです。簡単に言えば借金した人と同じ責任を負ってしまうかなり怖い仕組みなんですよ。

そのため、いろいろな問題が発生してきました。

よく話題にあがるのが連帯保証人ですね。

頼まれて深く考えずに印鑑を押してしまったら、借金をした本人が返済せず、借金を背負わされて大変なことになってしまったという話はよく聞く話ですよね。

私の周りでも隣に住んでいた人が弟の借金背負わされて買ったばかりの家を売って借金を返済していました・・・

今回そのような問題が多い保証人制度について改正が加えられました。

保証人になってしまったばかりに人生が変わってしまった・・・って人は少なからずいますから良い改定ですね。

極度額の定めのない個人の根保証契約は無効に

個人が根保証契約を締結する場合には, 保証人が支払の責任を負う金額の上限となる「極度額」を定めなければ,保証契約は無効となるようになります。(貸金等はすでに平成16年に改正されその定めあり)

根保証の上限を設ける

出所:法務省「2020年4月1日から保証に関する民法ルールが大きく変わります」より

つまり、いくらまでは保証するという上限を定める必要があるってことでね。

なお、根保証契約とは以下のような保証契約のことを指します。

根保証契約とは一度の契約でその後に発生する債務にまでも保証責任を負う制度のことです。

つまり、根保証契約では保証人になった時点ではまだ発生していない未来の債務も保証することになります。

例えば,アパートなどを借りるときの賃貸借契約の保証人となる契約などは根保証契約に当たるケースがあります。アパートで火災を発生させてしまって、火災保険にその人が入っていなかったとしたら保証契約によってはそのアパートの建て替え費用なんかを請求される可能性もあるのです。保証人になる時は家賃の滞納くらいの金額をイメージしていると思いますが、思いがけない高額を請求されるなんてケースもありますから怖いですよね・・・

ですからこのような保証契約を結ぶ際には責任を負う上限を設けないと駄目とされたのです。

なお、極度額は書面等により当事者間の合意で定める必要があります。

ただし、2020年4月前に締結された保証契約に係る保証債務については、現行法のルールが適用されます。

公証人による保証意思確認の手続が必要に

自分に掛かってしまう責任をよく理解しないまま頼まれたから仕方なくとか安易に保証人になってしまうケースが多くあります。

特に多いのが事業に関わる保証です。

会社がお金を借りるときに保証人が必要な場合でも通常は社長や役員が保証をします。しかし、すでに保証をいくつか抱えていたりすると他の人を付けてくれと言われるケースも。そうなると全く事業に関係ない友人や親戚を保証人につけるのですが・・・

ほとんどの場合にはあまりことの重大さを理解せずに印鑑押してしまうんですよね。

それを防ぐためにそのようなケースでは公証人による保証の意思確認が必要になります。この手続を経ないでした保証契約は無効となります。



法定利率についての改正

次は法定利率についての改正です。

現在、法定利率は商事年利率6%、民事年利5%とされています。

法定利率は契約の当事者間に貸金等の利率や遅延損害金(金銭債務の支払が遅れた場合の損害賠償)に関する合意がない場合に適用される利率のことで、交通事故の損害賠償などの遅延損害金の算定などに使われます。

しかし、現状の低利率を考えるとあまりにも高い水準ですからこれが以下のように見直されることになりました。なお、商事と民事で法定利率が分かれていましたが統一することになりました。

○法定利率の引下げ
・施行時に年3%
○緩やかな変動制の導入
・3年ごとに法定利率を見直し。貸出約定平均金利の過去5年間の平均値を指標とし、この数値に前回の変動時と比較して1%以上の変動があった場合にのみ、1%刻みで法定利率が変動

つまり、まずは3%でスタートしてあとは今までのように固定でなく金利の変動に応じて変動するようにするよってことですね。

交通事故による損害額算定に大きな影響

今回の法定利率の引き下げで大きな影響があるのが交通事故の際の損害額の算定です。

例えば交通事故で死亡した場合などは将来の逸失利益(将来取得するはずであった利益)を含めて事故時から請求が可能です。その計算をする際にも影響があるのです。

ちょっとややこしいですが、「中間利息控除」という制度があります。「中間利息控除」とは、不法行為等による損害賠償において死亡被害者の逸失利益を算定するに当たり、将来得たであろう収入から運用益を控除することを指します。

今までは法定利率である5%でそれを計算していました。簡単に言えば5%で運用する前提で現在価値に戻していたのです。それを今回の改定で当初3%(その後は変動)になりますから現在価値算定は有利となるのです。

例えば22歳サラリーマンが交通事故で死亡した際の事例です。中間利息控除の計算が変わるので逸失利益が大幅に増えていますね。逆に遅延損害金は法定利率が下がることで減少しています。

交通事故事案における損害額算定の一例

出所:法務省民事局「民法(債権関係)の改正に関する説明資料」より

消滅時効についての改正

次は消滅時効です。

消滅時効とは,債権者が一定期間権利を行使しないことによって債権が消滅するという制度のことです。

今までの時効は職業別などになっていてかなりややこしかったのですが、今回はシンプルに統一化されることになります。

消滅時効の改正

出所:法務省「民法(債権法)改正」より

基本的に5年が消滅時効となります。なお、5年というのはを権利が行使できるのを知った時からです。



消滅時効が最長10年となるケース

なお、最長10年となるのは以下のようなケースです。

ちょっとややこしいですが、例えばよくCMでやっている消費者ローンの過払い金などは返してもらえる権利があるのを知るのが遅いですね。自分が該当しているのか知らないですから・・・

そのような場合、ケース②のように最長10年までは時効にならないってことですね。

過払い金の消滅時効の例

出所:法務省民事局「民法(債権関係)の改正に関する説明資料」より

 

まとめ

今回は「2020年4月から民法が120年ぶりに変わる。お金に関わる重要ポイントをまとめてみた。」と題して120年ぶりに変わる民法のお金に関わる重要ポイントを見てきました。

特に消滅時効の件などは知っておいて損はないでしょうから頭の片隅に残しておいてくださいね。

敷金や民事執行法の変更点についてはこちらの記事をご覧ください。

なお、今回の民法改正の他の項目などもっと詳しく知りたい方は法務省の下記ページが詳しいです。合わせてごらんください。

>>法務省「民法の一部を改正する法律(債権法改正)について

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