人出不足、インフレがあることから政府からの賃上げ要請もあってか、最近初任給を大幅にアップする企業が増えています。
一昔前の正社員ではありえなかった初任給が月額40万円超えているという会社も多くなっており、報道があってもそれほど驚かなくなりましたね。
しかし、募集要項をしっかり読んでみると実際はそこまで高くないケースが多かったりします。
今回は初任給40万の落とし穴について解説していきましょう。
初任給40万の落とし穴
それでは具体的な大きな落とし穴についてみていきましょう。
この落とし穴あはすべての会社が当てはまるわけではありません。
こういうケースに該当するかしっかり踏まえたうえで比較するのがよいでしょう。
固定残業代が含まれるケースが多い
まず、最近増えているのが固定残業代が含まれているというケースです。
固定残業代とは一定時間の残業を想定し、あらかじめ月給に残業代を固定で記載し、残業時間を計算せずとも固定分の残業代を支払うという制度のこと。
つまり、初任給40万円でもその中には残業代も含まれているということになります。
例えば新入社員の初任給を42万円にしたと話題になったサイバーエージェントは初任給に固定残業が以下の通り含まれます。
固定残業代の相当時間:時間外80.0時間/月、深夜46.0時間/月
出典:サイバーエージェント 新卒採用募集要項
つまり、残業80時間、深夜残業46時間分を含んだ金額なのです。
これを超えれば別途残業代は支給されますが、それ以内の残業だと残業代は支給されないということですね。
ちなみに長時間労働での健康への悪影響で労災(労働災害)が認定されるケースがありますが、その目安(過労死ライン)が、「1か月あたり100時間以上、もしくは2~6か月の平均が80時間以上」とされています。
そのギリギリまでは残業代が別途支給されないということなんですよ。
実際、サイバーエージェントの残業がどれくらいなのかはわかりませんが。。。
一方、トヨタ自動車の初任給の大卒初任給は22万8千円ですが、残業代は含まれていませんので残業をすれば別途支給されます。
ちなみに残業代は
- 時間外労働:割増率1.25倍以上
- 休日:割増率1.35倍以上
- 深夜残業:割増率1.5倍以上
- 休日+深夜残業:割増率1.6倍以上
と定められており、通常に働いた時間よりも割増で支払われるんですよ。
ですから残業代をはじめから含んだ初任給のパターンと、残業代が別途のパターンで実際の給料がどちらが高くなるのかは残業時間次第ってことです。
賞与が含まれるケースも(年俸制)
また、初任給に賞与が含まれてしまっているというパターンも多いです。
年俸制ですね。
例えば前述したサイバーエージェントは初任給42万円となっていますが、募集要項には「年俸制504万円」と書いてあるんですよ。
年棒制とは従業員に支払う賃金を年単位で決定する給与体系のことで、年で支払う金額を決めているのです。
実際に504万円を12ヶ月で割るとちょうど42万円です。
つまり、42万円は年俸制の1ヶ月分なんですよ。
年俸制は一般的に賞与が含まれた金額です。
ですから一年間で貰えるのが504万円ってこと。
つまり、初任給42万円には賞与も含まれているということですね。
一方、トヨタ自動車は年俸制の表記ではありませんので別途賞与がでます。
例えばトヨタ自動車の賞与は2023年で6.7カ月分となっています。(新卒の方は満額はでないと思いますが・・・)
その部分が含まれていないんですよ。
ですから賞与分の扱いがどうなっているかを確認しないと初任給の額面金額だけでは単純比較できないところがあります。
額面の給料だけで比較しない
ポイントなるのは額面の初任給だけで比較しないということです。
比較する際には以下の点を意識しましょう。
初任給に残業代や賞与はどこまで含まれているか
前述のサイバーエージェントのように初任給の額面金額には80時間の残業代や賞与が含まれているケースもあれば、全く残業代や賞与は別途の会社もあります。
単純に額面だけで比較するとミスリードとなっているケースがあるのです。
ですから最低限、残業代、賞与は初任給に含まれているのかはしっかり比較することが重要です。
各種手当、福利厚生も比較しよう
また、基本給に含まれない各種手当も会社によってかなり違います。
例えば
- 扶養手当
- 家族手当
- 住宅手当
- 通勤手当
- 出張手当
- 資格手当
といった手当が多くの企業であります。
しかし、会社によってどのような手当があるのか、それらの金額や条件もかなり違うんですよ。
例えば出張手当。
一回出張をするたびに日当が出る会社もあれば、実費精算で使った分しかでない会社もあります。
このあたりは地味に差になりますね。
私が元いた会社は日帰り出張1回3,000円、泊まり1日1万円の手当がありました。
さらに宿泊費も固定金額であったため、うまく出張すれば馬鹿にならなかったんですよ。
毎日出張しているような営業マンだと手当が基本給を超えてしまっているようなケースも実際ありました。
こういった部分も比較すべきでしょう。
また、福利厚生も会社によりかなり違います。
たとえばサイボウズなんかは持株会への拠出金と同額を会社が補助してくれるそう(給料の10%が上限)
つまり、会社の株をタダでもらってると同じってことですね。
ストックオプション制度なんかも同様です。
こういう制度も初任給の額面には含まれませんが、隠れた給料みたいなもんですからしっかり比較が必要です。
まとめ
今回は「初任給40万の落とし穴。額面の給料だけで比較しては駄目」と題して初任給40万円の落とし穴についてみてきました。
たしかに賃上げの傾向で初任給が上がっていますが、しっかり比較しないと実はそれほど。。。なんてこともありえます。
特に固定残業、賞与、各種手当、福利厚生の部分についてはしっかり比較してみてください。
お知らせ:You Tubeはじめました。
You Tube「お金に生きるチャンネル」をはじめました。
You Tubeでも少しでも皆様のお役に立てる動画を定期的に発信していきますのでチャンネル登録をぜひよろしくお願いいたします。
最後まで読んでいただきありがとうございました。