HEROZが4月20日上場
4月20日に東証マザーズに新規上場するHEROZの財務分析をしてみたいと思います。
HEROZは本年度上場企業の中でも注目度ピカイチの銘柄となります。
HEROZが4月20日に上場決定IPOの新情報(上場承認)が出ました。HEROZです。新年度4月の5社目の上場情報になります。少し間が空いての上場となりますね。事業内容としては人工知能(AI)を活用したインターネ[…]
上記記事でもご紹介しましたが、AI将棋で世界ではじめてプロ棋士に勝ったり、
レオスのひふみ投信の藤野英人氏や元従業員だった片山晃氏(現シリウスパートナーズ社代表取締役)が株主にいたりと話題性も高いです。
なお、財務分析は目論見書で掲載されている直近2年によります。
HEROZのビジネスモデル
HEROZは人工知能(AI)活用したビジネスを行っています。
AIは儲かるといろいろな企業が参入をはじめてますがHEROZはすでに将棋電王戦で世界で初めてプロ棋士に勝利したponanza開発者、電王戦トーナメント2位のツツカナ開発者、世界コンピューター将棋選手権優勝のApery開発者、最大手IT企業の研究所出身の開発者などトップレベルの技術力を持つ優秀なエンジニアが揃っており、技術力は折り紙付きです。
今現在はスマートフォンアプロの「将棋ウォーズ」などが収益の中心となっていますが、今後そのAIのノウハウを活かしたビジネスを創出できればかなり面白いと考えられますね。
出所;HEROZ目論見書より
HEROZの経営理念
それではまず経営理念から見ていきましょう。
経営理念は「世界を驚かすサービスを創出する」です。
テクノロジーの力でプロダクトを創り世界を驚かすことを証明していきます。
ビジョン
「人工知能革命を起こし、未来を創っていく」
将棋で培った人工知能関連の手法を固有のコア技術に人工知能革命を推進し、新たな未来を創っていきます。
バリュー
「驚きを心に、何事も楽しむ」
自らが常に驚き・楽しむことを心がけて行動をすることをコアバリューとし、以下の行動指針の下、取り組んで参ります。
行動指針
行動指針は5つ設定されています。
No.1
何事もNo.1になる
何事も一番を目指し大胆にチャレンジングに行動します。
尖る
尖ることに誇りを持つ
尖ることに誇りを持つ、究め続け、お互いに謙虚に尊重し合って力を発揮します。
挑戦
可能性に挑戦し続ける
常に疑問を抱き、リスクをいとわず自由な発想で可能性に挑戦し続けます。
スピード
素早く行動する
素早い行動で、より早くより良い成果と新たなチャンスを獲得します。
粘る
粘り強く全力を尽くす
主体的に情熱を注ぎ込み、時間を忘れるくらい没頭し、諦めずに全力でやり抜きます。
HEROZの内容
HEROZはAI将棋で培ったAI構築ノウハウを蓄積することでAI技術の標準化をすすめています。
現在はBtoCサービスとBtoBサービスを提供しています。
出所;HEROZ目論見書より
BtoCサービスは企業対個人でスマートフォンアプリなどで
「将棋ウォーズ」
「ポケモンコマスター」
「CHESS HEROZ]
「Backgammon ACE」
を提供しています。それぞれAIのノウハウを活かしたゲームアプリです
BtoBサービスでは既に金融分野、建設、人材、品質管理、ロボット、エンターティメントなどの分野でAIサービスを提供しています。
機能別エンジンをカスタマイズや組み合わせたりすることで顧客ニーズに応じたAI活用をすることができます。
出所;HEROZ目論見書より
出所;HEROZ目論見書より
一応2つの分野がありますが、セグメントはAI関連事業とまとめられており、それぞれの比率はわかりません。
おそらくですが既存のBtoCサービスが大半かと思われます。
取引先比率を見るとアップル、グーグル、株式会社ポケモン、ディー・エヌ・エーの合計で81%となっていますので・・・
HEROZの収益性
売上高総利益率
まずは本業の儲けを表す売上高総利益率から見ていきましょう
2017年4月期1.08%
2018年4月期21.87%
と大きく改善しています。
しかし、2017年4月期の売上高総利益率はIT系の企業としては異例に低いですね。
売上原価を見ると労務費(人件費)と経費が減っています。
減っている経費は支払手数料が半減していますが詳しい内容はわかりませんね。
目論見書だけではこれ以上の詳細はわかりませんがちょっと気になるところ。
売上高営業利益率
まずは本業の儲けを表す売上高営業利益率から見ていきましょう
2017年4月期ー1.98%
2018年4月期10.09%
とこちらは大幅に伸びています。
売上げは大幅に落ちているのですが売上高総利益大幅に伸びたことが大きいです。
また、経費削減を行ったのか販売費及び一般管理費も30%くらい減っています。
この2年の違いはなんなんでしょうかね?
こちらも目論見書だけでは詳細はわかりませんがちょっと気になるところ。
売上高経常利益率
次に利息や営業外収益を含めた売上高経常利益率をみていきます。
2017年4月期ー1.99%
2018年4月期10.75%
こちらも大きく上げています。
こちらは前述までの売上高営業利益が増加したことが最大の理由となっています。
売上高営業利益率と比較して良くなっているのは出資分配金と助成金収入が大きいですね。
売上伸び率
売上げの伸びはこんな感じです。
2016年4月期ー9.23%
2017年4月期ー3.22%
2018年4月期ー24.07%
と3年連続で落ち込んでいます。
このあたりどう見るかでこの会社の評価が大きく変わりそうですね。
収益性まとめ
売上の伸びはマイナス成長です。また利益も直近1年で大きく改善しているだけで心配な状況
HEROZの安全性
流動比率
次に短期的な支払能力をみる流動比率です。
2017年4月期169.03%
2018年4月期246.03%
とこちらは改善しています。
また、2/3は現金預金であり直近の資金面では大きな問題はなさそうな感じですね。
自己資本比率
2016年3月期23.0%
2017年3月期20.6%
と少し悪くなっています。
元々の水準も悪くありませんし、大きな問題はないでしょう。
キャッシュフロー
キャッシュフローは2017年4月期は
営業活動によるキャッシュフローはマイナス
投資活動によるキャッシュフローはマイナス
財務活動によるキャッシュフローもプラス
となっています。フリーキャッシュフローもマイナスになっています。
2018年4月期は
営業活動によるキャッシュフローはプラス
投資活動によるキャッシュフローはプラス
財務活動によるキャッシュフローも・マイナス
となっています。フリーキャッシュフローはプラスとなっています。
こちらからも直近の2018年4月で一気に改善した感じですね。
上場前に急に改善した企業は個人的にはあまりいい印象をもっていませんが・・・
キャッシュフロー計算書の簡単な見方はこちらからどうぞ。
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安全性まとめ
安全性、キャッシュフローともとりあえず問題はなさそう。
HEROZの株価
PER、PBR
PER、PBRをみると大きな問題はなさそうな水準です。
しかし、直近の利益の伸び方が一時的かどうか・・・
このあたりで大きな判断が変わりそうな感じもあります。
既存株主
ベンチャーキャピュタルの保有分はあり、90日or1.5倍のロックアップとなっています。
ストックオプションがあります。上場時には198100株が行使期間にはいっていますね。
前述の藤野英人さんや片山晃さんの持ち分も90日or1.5倍のロックアップとなっています。
また、ゲーム関連の会社である株式会社ハーツユナイテッドグループについてはロックアップが掛かっていません。
このあたりはちょっと気になる所。
まとめ
今回はHEROZの財務を中心に分析してみました。
株価的にはマザーズ上場、それなりに小型、公募株かなり少ない
AI分野で将棋のプロ棋士にはじめて勝ったという話題性など上がる要素が満載です。
しかし、財務面でみるとちょっと気になる点が多数あります。
個人的にはIPO的には当たれば大きく儲けることができるでしょうから参加しますがそれ以外は様子見かな・・・・
また、IPOをこれから始める方は下記ページを読んでいただくことをおすすめします。
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