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IPO激減で広がる“主幹事難民”時代――ひふみ投信・藤野英人氏の警鐘

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IPO激減で広がる“主幹事難民”時代――ひふみ投信・藤野英人氏の警鐘

ひふみ投信の藤野英人氏が 2025 年 5 月 18 日に Facebook へ投稿した内容が物議をかもしています。

「来年は上場予定企業が“主幹事難民”となり、IPO 件数は半分から 3 分の 1 まで減るかもしれない――」

というのです。

この率直な警鐘は、IPO(新規株式公開)を楽しみにしてきた個人投資家にとって看過できないニュースです。

本稿では IPO が減る背景・影響・具体的な投資戦略 をやさしく解説します。

目次

いま何が起きているのか

まずは数字で今何が起きているのかを見ていきましょう。

数字で読み解く IPO 減少

まず、2024 年の国内 IPO は 86 社

2019 年以来はじめて 90 社を下回りました。

すでに昨年の時点でIPOは減少傾向にあるんですよ。

さらにアナリストの間では 2025 年の IPO 件数は「40~60 社」程度 とする予測もでています。

藤野氏が危惧する「半分から 3 分の 1」に重なりますね。(藤野氏は来年と行っていますので2026年の話かと思いますが)

藤野氏はIPO企業と近い場所でお仕事をされているでしょうからかなり実際に近い数字だと思われます。

また、「主幹事証券会社が見つからない=主幹事難民」という言葉が既に業界で浸透し、下記のようなセミナーまで開かれている状況となっています。(セミナー自体はすでに終了しています)

>>主幹事証券難民にならないための3か条

100億円ルール、オルツなど“主幹事難民”を生む要因

それではなぜ主幹事難民なんて話がでてくるのでしょう。

おもな要因は以下の3つです。

要因概要投資家への示唆
(1) スモール IPO 批判と選別強化小規模上場は流動性が乏しく“IPO ゴール”になりやすいとの批判。証券会社は案件を厳選。抽選倍率がさらに上がり、当選確率が低下
(2) 東証グロース新基準:時価総額100 億円未満は“上場廃止予備軍”東証は〈上場5年経過後に時価総額100 億円以上〉への引き上げ方針を示し、2030年適用を目指す。満たさない企業は“整理銘柄”経由で上場廃止となる可能性がある。上場パイプライン縮小+M&A誘発。VC は早期 EXIT を諦め、未上場の大型化が進む
(3) 不祥事・会計問題の連鎖直近の オルツ粉飾決算疑惑 などがマーケットのガバナンス意識を一段と高め、審査が長期化/主幹事が及び腰。デューデリジェンス重視 で IPO コスト増大

特に大きいのが東証グロースの時価総額100億円未満は上場廃止という話です。

証券業界ではこの基準を「100 億円ルール」と呼び、スタートアップの資金計画を大きく揺さぶっています。

上場を延伸して大型化を目指す企業が増える一方、100 億円未満の既上場スタートアップは M&A に動くとの観測もあり、投資家は 上場前後だけでなく“出口戦略の多様化” に目を配る必要があります。

また、先日あったオルツの疑惑で主幹事や監査法人がより厳しい目で見るようになったという話もあります。(これは良いことかと思いますが。。。)

オルツの詳細は当サイトの解説記事もあわせてどうぞ

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IPO 減少で個人投資家はどう困る?

それではIPOが減少するとどういう影響が出てくるのでしょう。

個人投資家への影響を見ていきます。

より当選確率が落ちる

元々、宝くじみたいなものと言われたIPOですが、上場する会社が減ればそれだけ主幹事枠が絞られ、ブックビルディング倍率がさらに跳ね上がる見通しとなります。

本当に宝くじレベルの当選確率になってくるかもしれません笑

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流動性プレミアムの縮小

小粒案件が減る一方で、大型 IPO への資金集中が進むため、短期の初値上昇メリットは小さくなるかもしれません。

つまり、急激な高騰をするような銘柄は減るかもしれないってことですね。

元々そういう方向に動いていたのもありますしね。

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成長セクターへの早期アクセスを逃しやすい

非上場期間が長期化すると、成長の果実の多くをベンチャーキャピタル(VC)が取ってしまい、個人が参加できるのは“成熟後”というケースが増えます。

つまり、個人投資家が美味しい部分をゲットできる可能性が低くなるということ。

未上場株に手を出す人が増えるかもしれませんね。

実践的 5 つの対策

それでは個人投資家ができる対策について考えてみましょう。

海外 IPO まで視野を広げる

まず、考えられるのが海外のIPOにも視野を広げるということです。

2025 年 1Q の Americas では IPO 件数が前年同期比 +51% と活況なんですよ。

クロスボーダー案件も 58%。

国内証券でも買える ADR海外株式取り扱い口座 を準備しておくとよいでしょう。

セカンダリー戦略を磨く

上場直後ではなく、決算 1~2 期分の実績が確認できるタイミング で参入する“ポスト IPO”投資に比重を置く。

上場ゴールのIPOも多いです。

いきなり上場時の予想がぜんぜん実際は違ったなんて話はよく聞きます。

数年見ればそういう銘柄回避して本当に成長志向がある会社の中から選ぶ事ができるでしょう。

ただし、オルツの件のようなこともありますので怖い部分もありますが・・・

未上場株ファンド・クラウドファンディングを活用

国内でも小口で VC 投資に参加できる仕組みが登場しています。

それはそれでかなりハイリスクではあるのですが(ハイリターンでもあります)

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“主幹事に選ばれる企業像”を逆算する

  • 売上 50 億円以上
  • ガバナンス体制が整備済み
  • バリュエーションが過度に割高でない
    これらを満たすスタートアップをピックアップすると、上場延伸局面でも投資妙味 が残ります。

テーマ型インデックス・アクティブファンドを併用

ひふみ投信など 小型成長株ハンター を自認するファンドへ“外注”し、市場全体の失速リスクを抑えるという手もあるでしょう。

ひふみ投信ではひふみクロスオーバーproという非上場企業も対象としたファンドもあります。

レオスのひふみ投信

まとめ ― IPO の「量」から「質」へギアチェンジする時代

今回は「IPO激減で広がる“主幹事難民”時代――ひふみ投信・藤野英人氏の警鐘」と題してIPOが減るかもという話をみてきました。

主幹事難民 が示すとおり、スタートアップは“上場して終わり”の時代を脱し、上場後にこそ真価が問われるステージ に突入しています。

個人投資家は「当たりくじ(大型案件)だけ買う」発想を捨て、情報・時間・銘柄を分散するポートフォリオ運用 が欠かせません。

ひふみ投信の藤野氏が例えに使った「サバンナでシマウマやジャッカルを狩っても象は増えない」という一節は、スタートアップ生態系の多様性こそが大企業=象を生む肥沃な土壌 だというメッセージ。

今こそ私たち投資家も、象だけでなく草原全体を見渡す広い視野を持ちたいですね。

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