未公開株詐欺に気をつけて。上場準備中の会社が実際にIPOできる確率はどれだけあるのか?

最近、また未公開株詐欺が増えてきているそうです。

また、上場準備中の企業がかなり増えている感じがします。

上場準備中の企業というとなんか夢がある気がしますが、お気をつけてください。

上場準備中の企業が実際にIPO(新規株式公開)できる確率ってかなり低いんですよ。

ボロ株(低位株)企業で経理責任者だったり、上場準備をした経験がある私がこのあたりの話を解説していきます。

なお、ボロ株の中の人だったときの話はこちらの記事を御覧ください。

なぜ企業は上場を目指すのか?

まずは今回の話の前提となる上場を目指す企業の論理を考えてみましょう。

なぜ多くの企業が上場を目指すのでしょう。

上場の最大のメリットは資金調達

上場することで得られる最大のメリットであり目的は資金調達でしょう。

株を発行することで大きなお金を得ることが出来ますから、うまくそのお金を使えば企業が成長することに繋がります。

知名度、信用度アップ

また、上場することで一定の信用度が得られますし、一部の人に対しての知名度はあがります。

このあたりも大きいでしょう。

知名度や信用度がアップすれば今まで難しかった企業との取引の可能性が広がります。

また、採用時も有利に働きます。

上場することで優秀な人が来てくれる可能性が増えるのです。

このあたりも大きなメリットでしょう。

創業者の利益

もう一つ大きいのが「上場ゴール」とも言われますが創業者の利益確定の意味合いも大きいです。

上場時に新たに株を発行するだけでなく、創業者の株を一緒に売却するケースも多いですね。それにより創業者は多額の利益を得ることが出来ます。

また、上場してしまえば株を売り払いやすくなります。上場時に売却しなくてもその後に売るというケースもあります。

非上場の会社と違って株価が目に見えてわかりますから売りやすくなるのです。

最近上場を目指す企業が多くなっているのは新型コロナの影響もあって「上場ゴール」を目指す企業が増えているのかな?って気が個人的にはしています。

上場ゴールの企業は上場後に下方修正したりするところも多いですし、業績が伸びないケースがほとんどですからお気をつけくださいね。



上場準備中の会社が実施にIPOにたどり着ける確率

それでは実際に上場準備中の会社が実際にIPOにたどり着ける確率はどれくらいなのでしょう?

これは統計データ等があるわけではありませんので正確にはわかりません。

知り合いの上場を目指す企業を担当している監査法人の方に聞いた話だと東証等の審査段階まで行った企業でも1割から2割しか実際に上場にたどり着けないとのこと。

前述の上場ゴールのような企業が多発したことでかなり厳しくなっているようです。

また、審査に行く前の段階で断念する企業もかなりありますので上場準備中という企業がIPOになれる確率はもっともっと低くなる計算となります。

実際に何年たっても上場準備中の会社ってありますからね・・・

私の知り合いでも勤め先の会社が上場するからと自社株買いを勧めてきて、結構な金額の株を買ったのはよいけど業績悪化してきて上場できなくなった人とかも聞いています。

その方も会社が上場できれば儲かった可能性の方が高いんですけどね・・・

にじさんじなどは従業員30人超が資産億超えしていますからね。

上場準備中の企業が最終的にIPOにたどり着けない理由はいろいろあります。

業績が上場条件を満たさない

まずいちばん多いのが上場条件を満たせないパターンです。

ちなみに以下が各市場の上場条件です。

純資産額や利益などで条件があります。

IPO企業に粉飾決算が多いのはこの基準を満たすというのが大きな目的だったりします。

ですからIPOの場合はある程度の財務分析しないと怖いんですよ。(短期売買を除く)

また、株主数などにも条件があります。

その達成のために従業員などに株を売ったりするケースも多いですが、上場しなければ売るに売れないというちょっとつらい状況となります。

下記は上場廃止の場合の話ですが、上場できなかった場合でも基本的に同じです。

プライム市場

項目プライム市場への新規上場
  1. 株主数
    (上場時見込み)
800人以上
  1. 流通株式
    (上場時見込み)
  1. 流通株式数 2万単位以上
  2. 流通株式時価総額 100 億円以上
    (原則として上場に係る公募等の価格等に、上場時において見込まれる流通株式数を乗じて得た額)
  3. 流通株式比率 35%以上
  1. 時価総額
    (上場時見込み)
250 億円以上
(原則として上場に係る公募等の価格等に、上場時において見込まれる上場株式数を乗じて得た額)
  1. 純資産の額
    (上場時見込み)
連結純資産の額が 50 億円以上
(かつ、単体純資産の額が負でないこと)
  1. 利益の額又は売上高(利益の額については、連結経常利益金額又は連結経常損失金額に非支配株主に帰属する当期純利益又は非支配株主に帰属する当期純損失を加減)
次のa又はbに適合すること

  1. 最近2年間の利益の額の総額が 25 億円以上であること
  2. 最近1年間における売上高が 100 億円以上である場合で、かつ、 時価総額が 1,000 億円以上となる見込みのあること
  1. 事業継続年数
3か年以前から株式会社として継続的に事業活動をしていること
  1. 虚偽記載又は不適正意見等
  1. 最近2年間の有価証券報告書等に「虚偽記載」なし
  2. 最近2年間(最近1年間を除く)の財務諸表等の監査意見が「無限定適正」又は「除外事項を付した限定付適正」
  3. 最近1年間の財務諸表等の監査意見が原則として「無限定適正」
  4. 新規上場申請に係る株券等が国内の他の金融商品取引所に上場されている場合にあっては、次の(a)及び(b)に該当するものでないこと
    1. (a)最近1年間の内部統制報告書に「評価結果を表明できない」旨の記載
    2. (b)最近1年間の内部統制監査報告書に「意見の表明をしない」旨の記載
  1. 登録上場会社等監査人による監査
最近2年間の財務諸表等について、登録上場会社等監査人(日本公認会計士協会の品質管理レビューを受けた者に限る。)の監査等を受けていること
  1. 株式事務代行機関の設置
東京証券取引所(以下「東証」という)の承認する株式事務代行機関に委託しているか、又は当該株式事務代行機関から株式事務を受託する旨の内諾を得ていること
  1. 単元株式数
単元株式数が、100株となる見込みのあること
  1. 株券の種類
新規上場申請に係る株券等が、次のaからcのいずれかであること

  1. 議決権付株式を1種類のみ発行している会社における当該議決権付株式
  2. 複数の種類の議決権付株式を発行している会社において、経済的利益を受ける権利の価額等が他のいずれかの種類の議決権付株式よりも高い種類の議決権付株式
  3. 無議決権株式
  1. 株式の譲渡制限
新規上場申請に係る株式の譲渡につき制限を行っていないこと又は上場の時までに制限を行わないこととなる見込みのあること
  1. 指定振替機関における取扱い
指定振替機関の振替業における取扱いの対象であること又は取扱いの対象となる見込みのあること
  1. 合併等の実施の見込み
次のa及びbに該当するものでないこと

  1. 新規上場申請日以後、基準事業年度の末日から2年以内に、合併、会社分割、子会社化若しくは非子会社化若しくは事業の譲受け若しくは譲渡を行う予定があり、かつ、申請会社が当該行為により実質的な存続会社でなくなる場合
  2. 申請会社が解散会社となる合併、他の会社の完全子会社となる株式交換又は株式移転を基準事業年度の末日から2年以内に行う予定のある場合(上場日以前に行う予定のある場合を除く。)

スタンダード市場

項目スタンダード市場への新規上場
  1. 株主数
    (上場時見込み)
400人以上
  1. 流通株式
    (上場時見込み)
  1. 流通株式数 2,000単位以上
  2. 流通株式時価総額 10億円以上
    (原則として上場に係る公募等の価格等に、上場時において見込まれる流通株式数を乗じて得た額)
  3. 流通株式比率 25%以上
  1. 事業継続年数
3か年以前から株式会社として継続的に事業活動をしていること
  1. 純資産の額
    (上場時見込み)
連結純資産の額が正であること
  1. 利益の額(利益の額については、連結経常利益金額又は連結経常損失金額に非支配株主に帰属する当期純利益又は非支配株主に帰属する当期純損失を加減)
最近1年間における利益の額が1億円以上であること
  1. 虚偽記載又は不適正意見等
  1. 最近2年間の有価証券報告書等に「虚偽記載」なし
  2. 最近2年間(最近1年間を除く)の財務諸表等の監査意見が「無限定適正」又は「除外事項を付した限定付適正」
  3. 最近1年間の財務諸表等の監査意見が原則として「無限定適正」
  4. 新規上場申請に係る株券等が国内の他の金融商品取引所に上場されている場合にあっては、次の(a)及び(b)に該当するものでないこと
    1. (a)最近1年間の内部統制報告書に「評価結果を表明できない」旨の記載
    2. (b)最近1年間の内部統制監査報告書に「意見の表明をしない」旨の記載
  1. 登録上場会社等監査人による監査
最近2年間の財務諸表等について、登録上場会社等監査人(日本公認会計士協会の品質管理レビューを受けた者に限る。)の監査等を受けていること
  1. 株式事務代行機関の設置
東京証券取引所(以下「東証」という)の承認する株式事務代行機関に委託しているか、又は当該株式事務代行機関から株式事務を受託する旨の内諾を得ていること
  1. 単元株式数
単元株式数が、100株となる見込みのあること
  1. 株券の種類
新規上場申請に係る内国株券が、次のaからcのいずれかであること

  1. 議決権付株式を1種類のみ発行している会社における当該議決権付株式
  2. 複数の種類の議決権付株式を発行している会社において、経済的利益を受ける権利の価額等が他のいずれかの種類の議決権付株式よりも高い種類の議決権付株式
  3. 無議決権株式
  1. 株式の譲渡制限
新規上場申請に係る株式の譲渡につき制限を行っていないこと又は上場の時までに制限を行わないこととなる見込みのあること
  1. 指定振替機関における取扱い
指定振替機関の振替業における取扱いの対象であること又は取扱いの対象となる見込みのあること
  1. 合併等の実施の見込み
次のa及びbに該当するものでないこと

  1. 新規上場申請日以後、基準事業年度の末日から2年以内に、合併、会社分割、子会社化若しくは非子会社化若しくは事業の譲受け若しくは譲渡を行う予定があり、かつ、申請会社が当該行為により実質的な存続会社でなくなる場合
  2. 申請会社が解散会社となる合併、他の会社の完全子会社となる株式交換又は株式移転を基準事業年度の末日から2年以内に行う予定のある場合(上場日以前に行う予定のある場合を除く。)

グロース市場

項目グロース市場への新規上場
  1. 株主数
    (上場時見込み)
150人以上
  1. 流通株式
    (上場時見込み)
  1. 流通株式数 1,000単位以上
  2. 流通株式時価総額 5億円以上
    (原則として上場に係る公募等の価格等に、上場時において見込まれる流通株式数を乗じて得た額)
  3. 流通株式比率 25%以上
  1. 公募の実施
500単位以上の新規上場申請に係る株券等の公募を行うこと
(上場日における時価総額が250億円以上となる見込みのある場合等を除く)
  1. 事業継続年数
1か年以前から株式会社として継続的に事業活動をしていること
  1. 虚偽記載又は不適正意見等
  1. 「上場申請のための有価証券報告書」に添付される監査報告書(最近1年間を除く)において、「無限定適正」又は「除外事項を付した限定付適正」
  2. 「上場申請のための有価証券報告書」に添付される監査報告書等(最近1年間) において、「無限定適正」
  3. 上記監査報告書又は 四半期レビュー報告書に係る財務諸表等が記載又は参照される有価証券報告書等に「虚偽記載」なし
  4. 新規上場申請に係る株券等が国内の他の金融商品取引所に上場されている場合にあっては、次の(a)及び(b)に該当するものでないこと
    1. (a)最近1年間の内部統制報告書に「評価結果を表明できない」旨の記載
    2. (b)最近1年間の内部統制監査報告書に「意見の表明をしない」旨の記載
  1. 登録上場会社等監査人による監査
「新規上場申請のための有価証券報告書」に記載及び添付される財務諸表等について、登録上場会社等監査人(日本公認会計士協会の品質管理レビューを受けた者に限る。)の監査等を受けていること
  1. 株式事務代行機関の設置
東京証券取引所(以下「東証」という)の承認する株式事務代行機関に委託しているか、又は当該株式事務代行機関から株式事務を受託する旨の内諾を得ていること
  1. 単元株式数
単元株式数が、100株となる見込みのあること
  1. 株券の種類
新規上場申請に係る内国株券が、次のaからcのいずれかであること

  1. 議決権付株式を1種類のみ発行している会社における当該議決権付株式
  2. 複数の種類の議決権付株式を発行している会社において、経済的利益を受ける権利の価額等が他のいずれかの種類の議決権付株式よりも高い種類の議決権付株式
  3. 無議決権株式
  1. 株式の譲渡制限
新規上場申請に係る株式の譲渡につき制限を行っていないこと又は上場の時までに制限を行わないこととなる見込みのあること
  1. 指定振替機関における取扱い
指定振替機関の振替業における取扱いの対象であること又は取扱いの対象となる見込みのあること

内部統制の基準を満たせない

もう一つが内部統制の基準を満たせないパターンです。

これも本当に多いですね。

上場するために必要な内部統制を満たそうとするとそれなりに能力のある管理部門の社員が複数人必要です。

しかし、上場準備中の企業にそれだけの人材を集めるだけの資金や魅力がなかなかないですし、管理部門へのコストが掛けられず頓挫するというケースが多くなっています。

管理部門って利益を直接生み出すわけではありませんから後回しにされがちなんですよ。

そのあたりの理解のある企業以外はこれは無理と途中で頓挫してしまうのです。

上場してからも監査や株主優待、配当金、招集通知、株主総会など上場維持にはお金がかなり掛かりますから、上場ゴール企業だと上場を維持できなくなってしまうケースもあります。

その他の条件にひっかかる

また、他にも様々なケースがあります。

私が実際に見たのは社長や役員に問題のある人がいるようなケースがありましたね。

役員が過去に暴力事件で捕まっていたのです。(本人以外誰も知らなかった)



まとめ

今回は「上場準備中の会社が実際にIPO(新規株式公開)できる確率はどれだけあるのか?」と題して上場準備中の企業の話を見てきました。

上場準備中といっても様々で実際にIPOできる企業はあまり多くないことはわかっていただけたと思います。

ですから上場準備中の企業への投資(自社株の場合含む)や上場準備中の企業への転職などは慎重に検討するようにしましょうね。

これは最近流行りの株式投資型のクラウドファンディングでも同じですよ。

お知らせ:You Tubeはじめました。

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You Tubeでも少しでも皆様のお役に立てる動画を定期的に発信していきますのでチャンネル登録をぜひよろしくお願いいたします。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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