最近、上場準備中の企業がかなり増えている感じがします。
私が転職活動していたのは10年以上前ですが、その時に登録した人材紹介会社や関わったことがあるヘッドハンティングの会社などから続々と上場準備中企業の経理責任者や上場準備担当者の案件が舞い込んでくるからです。
特に今月に入ってからがすごいですね。
実は昨日だけで4件来たんですよ。。。それでこの記事を書くことにしたのです(笑)
10年以上前に登録してそこからまったく活動してない人に連絡してくるくらい上場準備中の企業が多いのでしょう。
また、この分野の人材が枯渇していることもわかりますね。
上場準備中の企業というとなんか夢がある気がしますが、お気をつけてください。
上場準備中の企業が実際にIPO(新規株式公開)できる確率ってかなり低いんですよ。
ボロ株(低位株)企業で経理責任者だったり、上場準備をした経験がある私がこのあたりの話を解説していきます。
なお、ボロ株の中の人だったときの話はこちらの記事を御覧ください。
なぜ企業は上場を目指すのか?
まずは今回の話の前提となる上場を目指す企業の論理を考えてみましょう。
なぜ多くの企業が上場を目指すのでしょう。
上場の最大のメリットは資金調達
上場することで得られる最大のメリットであり目的は資金調達でしょう。
株を発行することで大きなお金を得ることが出来ますから、うまくそのお金を使えば企業が成長することに繋がります。
知名度、信用度アップ
また、上場することで一定の信用度が得られますし、一部の人に対しての知名度はあがります。
このあたりも大きいでしょう。
知名度や信用度がアップすれば今まで難しかった企業との取引の可能性が広がります。
また、採用時も有利に働きます。
上場することで優秀な人が来てくれる可能性が増えるのです。
このあたりも大きなメリットでしょう。
創業者の利益
もう一つ大きいのが「上場ゴール」とも言われますが創業者の利益確定の意味合いも大きいです。
上場時に新たに株を発行するだけでなく、創業者の株を一緒に売却するケースも多いですね。それにより創業者は多額の利益を得ることが出来ます。
また、上場してしまえば株を売り払いやすくなります。上場時に売却しなくてもその後に売るというケースもあります。
非上場の会社と違って株価が目に見えてわかりますから売りやすくなるのです。
最近上場を目指す企業が多くなっているのは新型コロナの影響もあって「上場ゴール」を目指す企業が増えているのかな?って気が個人的にはしています。
上場ゴールの企業は上場後に下方修正したりするところも多いですし、業績が伸びないケースがほとんどですからお気をつけくださいね。
上場準備中の会社が実施にIPOにたどり着ける確率
それでは実際に上場準備中の会社が実際にIPOにたどり着ける確率はどれくらいなのでしょう?
これは統計データ等があるわけではありませんので正確にはわかりません。
知り合いの上場を目指す企業を担当している監査法人の方に聞いた話だと東証等の審査段階まで行った企業でも1割から2割しか実際に上場にたどり着けないとのこと。
前述の上場ゴールのような企業が多発したことでかなり厳しくなっているようです。
また、審査に行く前の段階で断念する企業もかなりありますので上場準備中という企業がIPOになれる確率はもっともっと低くなる計算となります。
実際に何年たっても上場準備中の会社ってありますからね・・・
上場準備中の企業が最終的にIPOにたどり着けない理由はいろいろあります。
業績が上場条件を満たさない
まずいちばん多いのが上場条件を満たせないパターンです。
ちなみに以下が各市場の上場条件です。
純資産額や利益などで条件があります。
IPO企業に粉飾決算が多いのはこの基準を満たすというのが大きな目的だったりします。
ですからIPOの場合はある程度の財務分析しないと怖いんですよ。(短期売買を除く)
また、株主数などにも条件があります。
その達成のために従業員などに株を売ったりするケースも多いですが、上場しなければ売るに売れないというちょっとつらい状況となります。
下記は上場廃止の場合の話ですが、上場できなかった場合でも基本的に同じです。
JASDAQの場合(スタンダード)
株券等の分布状況 (上場時見込み) |
|
流通株式時価総額 (上場時見込み) | 5億円以上 |
純資産の額 (上場時見込み) | 2億円以上 |
利益の額又は時価総額 (利益の額については、連結経常利益金額に少数株主損益を加減) | 次のa又はbに適合すること
|
JASDAQの場合(グロース)
株券等の分布状況 (上場時見込み) |
|
流通株式時価総額 (上場時見込み) | 5億円以上 |
純資産の額 (上場時見込み) | 正 |
利益の額又は時価総額 (利益の額については、連結経常利益金額に少数株主損益を加減) | ー |
マザーズの場合
株主数 (上場時見込み) | 200人以上 (上場時までに500単位以上の公募を行うこと) |
流通株式 (上場時見込み) |
|
時価総額 (上場時見込み) | 10億円以上 |
事業継続年数 | 新規上場申請日から起算して、1年前以前から取締役会を設置して継続的に事業活動をしていること |
純資産の額(上場時見込み) | ー |
利益の額又は時価総額(利益の額については、連結経常利益金額) | ー |
東証二部(一部)
株主数 (上場時見込み) | 800人以上(東証1部は2,200人以上) |
流通株式 (上場時見込み) |
|
時価総額 (上場時見込み) | 20億円以上(東証一部は250億円以上) |
事業継続年数 | 新規上場申請日の直前事業年度の末日から起算して、3か年以前から取締役会を設置して、継続的に事業活動をしていること |
純資産の額(上場時見込み) | 連結純資産の額が10億円以上 (かつ、単体純資産の額が負でないこと) |
利益の額又は時価総額(利益の額については、連結経常利益金額) | 次のa又はbに適合すること
(最近1 年間における売上高が100 億円未満である場合を除く) |
内部統制の基準を満たせない
もう一つが内部統制の基準を満たせないパターンです。
これも本当に多いですね。
上場するために必要な内部統制を満たそうとするとそれなりに能力のある管理部門の社員が複数人必要です。
しかし、上場準備中の企業にそれだけの人材を集めるだけの資金や魅力がなかなかないですし、管理部門へのコストが掛けられず頓挫するというケースが多くなっています。
管理部門って利益を直接生み出すわけではありませんから後回しにされがちなんですよ。
そのあたりの理解のある企業以外はこれは無理と途中で頓挫してしまうのです。
上場してからも監査や株主優待、配当金、招集通知、株主総会など上場維持にはお金がかなり掛かりますから、上場ゴール企業だと上場を維持できなくなってしまうケースもあります。
その他の条件にひっかかる
また、他にも様々なケースがあります。
私が実際に見たのは社長や役員に問題のある人がいるようなケースがありましたね。
役員が過去に暴力事件で捕まっていたのです。(本人以外誰も知らなかった)
まとめ
今回は「上場準備中の会社が実際にIPO(新規株式公開)できる確率はどれだけあるのか?」と題して上場準備中の企業の話を見てきました。
上場準備中といっても様々で実際にIPOできる企業はあまり多くないことはわかっていただけたと思います。
ですから上場準備中の企業への投資(自社株の場合含む)や上場準備中の企業への転職などは慎重に検討するようにしましょうね。
これは最近流行りの株式投資型のクラウドファンディングでも同じですよ。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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