IPOの旨味が激減?公開価格について独占禁止法等の調査が開始

個人投資家に取ってちょっと嫌なニュースが流れてきました。

 公正取引委員会が金融庁と連携し、企業が新規上場する際の公開価格の設定プロセスについて、実態把握に乗り出したことが11日、分かった。市場で売買が初めて成立した「初値」との差額が欧米と比べ大きく、企業の資金調達額が少なくなっているとの指摘があることを踏まえた。独禁法や競争政策上の課題がないかどうかを調べる

出典:共同通信 上場価格設定の実態把握へ 公取委、金融庁と連携

私、個人的には価格設定についてはかなり前から疑問だった部分もありますのでいつか来るだろうな・・・とは思ってましたね、

今回はちょっと分かりにくいこのニュースを解説していきます。

IPOとは

今回のニュースはIPOをちゃんと理解していないとわからないと思います。

まずはIPOについて簡単に解説しておきます。

IPOとはInitial Public Offeringの略語で、「新規公開株」や「新規上場株式」の意味となります。

つまり、新しく上場する会社の株のことですね。

IPOはローリスク・ハイリターンな投資方法

ローリスク・ハイリターンというとかなり胡散臭い感じがあります。

しかし、株式投資の世界には存在しているんですよ。

それがIPOです。

IPOでは割安に設定して上場することも多く、成長期待が大きい銘柄も多いため高騰する可能性が高いんですよ。

また、まだ小さい会社の場合には発行している株がそもそも少ないため人気とのギャップもあることからマネーゲームとなりやすいという部分もあります。

そのため、銘柄さえちゃんと選別すればかなりのローリスクで利益を取ることが可能となっています。

ですから個人投資家に人気となっているんですよ。

IPOは人気で抽選となっている

ただし、IPOはローリスクで儲かる可能性が高いため申込みが殺到するんですよ。

そのため。多くの銘柄は抽選となっているので必ず買えるわけではありません。

つまり、かなりローリスクで儲かるんだけど抽選だからなかなか当たらないってことなのです笑

ちなみに私の2020年の当選及び利益はこんな感じです。

かなり当選確率が低いのがわかっていただけると思います。
証券会社も個人投資家への配分状況を発表していますが、銘柄によってはちょっとした宝くじ並の当選確率なのがわかるでしょう。
それだけ人気となっているということです。



公開価格の設定プロセスの実態調査って?

IPOの概要をわかっていただけたところで今回のニュースを見ていきましょう。

簡単に言えば

公開価格の設定プロセスに問題ない?
って疑っているということでしょう。

上場する会社は公開価格が高いほうが得

まず、前提として知っておいていただきたいのは新規上場する会社としては公開価格が高いほうが得ですよってこと。

公開価格で資金調達する形となりますので、売れ残りさえしなければできるだけ高いほうがよりたくさん資金調達ができて得なのです。

証券会社は安く売りたい

逆に証券会社からすればできるだけ安く売って顧客(個人投資家等)を喜ばせたいと考えます。

つまり、証券会社等としては公開価格は低くしたいということです。

割安な株を優良顧客に販売できてその顧客が儲かれば満足度をあげられますしね。

証券会社によってはIPOを営業ツールとして使っているケースもあります。

IPOの配分をあげるから・・・・国債買ってねとかですね。

そういう営業をしようとすればできるだけ上がる確率がより高くなるようにできるだけ安く上場してもらいたいのです。

日本は初値と公募価格の差が他国と比べて圧倒的に高い

米国株などをやっている方は認識されているでしょうが、アメリカなどでIPOは注目は集まりますが、公開価格がかなり高めで設定されます。

そのため、かなり注目の銘柄であっても公募価格よりも初値(上場後初めにつく株価)が倍とかになるようなケースは殆どありません。

初値が公募価格を下回るケースもしばしば。

これはアメリカだけでなくヨーロッパ各国も同じなんですよ。

日本だけ飛び抜けて公開価格と初値に差があるのです。

日経FTでグラフが紹介されていましたが、他国は平均すると10%いくかいかないかくらいでしたが、日本だけ50%近くのプラスとなっていましたね。

公開価格設定は証券会社が主導?

多くの場合、主幹事の証券会社が公開価格の決定に大きく関わっています

もちろん最終決定権は企業側にあるのでしょうが、そのあたりについて多くの場合、素人でしょうからおまかせになりやすいんでしょうね。

私も上場準備の業務に経理責任者として携わったことがありますが、ほんとにそんな感じでした。

そうなれば当然、証券会社として有利な価格。

つまりできるだけ安くしたいと考えるが普通でしょう。

そこに今回問題があるのではないか?ということだと思われます。

公開価格設定が変わるか?

もし、記事にあるように独禁法や競争政策上に問題があるとなればIPOの公開価格設定は大きく変わると思われます。

アメリカのように高めの価格設定となる可能性が高いでしょう。

そうなればIPOの旨味はかなり減る可能性がありますね。

それが本来の姿なんでしょうけどね。



まとめ

今回は「IPOの旨味が激減?公開価格について独占禁止法等の調査が開始」と題して公正取引委員会が金融庁と組んでIPOの公開価格について調査を開始したというニュースを見てきました。

まだ調査を開始した時点ですからすぐにどうこうなるわけではないでしょうが注視する必要があるニュースですね。

モダリスのロックアップの問題でも特にお咎めなしでしたし、IPOに関しては改善が必要な項目は他にもありそうです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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