先日、親族から退職金について相談を受けました。
その方の勤める会社は65歳の誕生日が定年退職日となります。
そしてあと1年くらいでその日を迎えるのです。
相談内容としては誕生日を迎えるより早く今年の年末に退職したら退職金どうなるのか?
年金はどうなるのか?って相談でした。
こういう悩みを抱えている方はとても多いと思います。
老後の生活を考える上で、年金と同様に重要なポジションとなる退職金ですが、知ってるようで知らない方が多いです。
なにかと話題が多い退職金について詳しく見ていきましょう。
※加筆修正しました
いろいろ複雑な退職金制度の事業
退職金制度の細かい事情を知るのには厚生労働省の統計資料が最適です。
退職金についでデータがあるのは最新の調査は平成25年就労条件総合調査ですのでこちらをもとに見ていきましょう。
退職金制度の有無
退職金制度は当たり前と考えている方も多いかもしれませんが、全部の企業があるわけではありません。
最近では退職金を廃止する企業も増えています。
有名なところではソフトバンクは退職金を廃止して「確定拠出年金」に一本化していますね。
厚生労働省の統計データには企業規模、産業別に退職金制度の有無が集計されています。
抜粋してご紹介しましょう。
退職金のある会社は全体で75.5%です。
逆に言えば24.5%の企業には退職金制度がありません。
つまり、4人に1人の方は退職金がないのです。
特に従業員100人未満の企業は72%しか退職金制度がつくられていません。
ちなみに平成20年の段階では83.9%の会社に退職金制度がありました。
それが5年で8.4%も減っています。
働き方改革などもあり、今後も退職金制度がある会社は減り続ける可能性が高そうです。
また、「確定拠出年金」に移行する企業も多そうです。
まずは、自社が退職金制度があるのかは確認しておきましょうね。
制度があれば就業規則やその別表に記載されているはずです。
退職金はいくらもらえるのか?
次に退職金はいくらもらえるのかを考えてみましょう。そもそも退職金はいろいろな制度があります。これは会社によってかなりの違いがあります。例えば中小企業のための退職金制度である中小企業退職金共済という制度や特定退職金制度という制度もあります。また、業界ごとに制度があるところもあります。もちろん自社で運営している会社もあり様々です。
平成 24 年(又は平成 23 会計年度) 1年間における勤続 20 年以上かつ 45 歳以上の退職者で見てみるとこんな感じになっています。
定年の方の数字を抜粋するとこんな感じです。
大学卒 1,941万円
高校卒 1,673万円
高校卒(現業)1,128万円
高校卒の方の方が勤務年数は長いと思いますが、後述する計算方法で考えると大学卒のほうが退職金が多くなるケースが多くなります。
一般的に退職金は逓増な形になりますので勤務年数がとても重要だったりしますけどね。
退職金の計算方法
退職金の計算方法も会社によりまちまちです。
多いのが退職時の給料から算定する方式だったり、
別テーブルが用意されており計算する方式、
退職までの過去の役職期間などでポイントがつくポイント方式です。
私が勤めていた会社はポイント方式でしたね。
平成25年就労条件総合調査によると退職時の賃金で計算する会社が55.6%、別テーブル方式が14.6%、ポイント方式が19%、定額方式が7.8%、その他が4.2%となっています。
これも退職金制度があれば就業規則やその別表に記載されているはずですので確認しておきましょう。
例えば最終賃金で計算するタイプだと退職前に役職を外されて給料減らされて退職金も減るってケースがあったりします・・・
この場合、役職外されるまえに退職したほうが退職金多かったりするんですよね。
あとは自己都合だと加減されるような方式や定年だと加算されるような方式も多いですのでこのあたりも確認しておきたい所。
私がいた会社は定年だと何ポイントか加算、自己都合だと全体のポイントが何割か減となる制度でした。
退職金の税金
退職金は大きな金額の支給となりますので税金が心配ですよね。
ただし、退職金は老後資金ということもありますので税金面ではかなり優遇されています。
下記の控除が受けられるのです。
勤続年数が20年以下の場合:40万円×勤続年数
勤続年数が20年より長い場合:800万円+70万円×(勤続年数-20年)
例えば大学卒業から定年まで働けば43年になります。
この場合、平均の1,941万円退職金をもらったとしましょう。
税金はどうなるかというと
控除が800万円+70万円×(43年-20年)=2,410万となります。
つまり、もらえる退職金より控除の方が大きいため税金はかからないということになります。
ここもポイントは勤続年数ですね。
勤続年数が長いほど税金面でも有利となります。
退職金と年金で老後生活を計画してみよう
自分が年金がいくらもらえるのかはねんきん定期便で書いてありますし、ねんきんネットでも見ることができます。
もらえる年金と退職金(と税金)が分かれば老後の生活(金銭面)がある程度予想できるはずです。
もしそれで老後資金が足りないようならiDeCoやつみたてNISAなどで自分で老後資金を準備しておくことも必要です。
とくに退職金制度がなかったり、金額が少ない企業にお勤めの場合には必須といってもよいかもしれません。
詳しくは下記の記事をご覧ください。
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まとめ
今回は退職金について考えてみました。
老後の生活を考える上で退職金は大きなウエイトを占めると思います。
早めに自分の退職金がいくら位になるのかを考えて老後の生活設計をしてみましょうね。
退職金の振込時期についてはこちらの記事を御覧ください。
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読んでいただきありがとうございました。
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