厚生年金のパート適用拡大で主婦の働き方がどう変わるのか?

厚生年金に加入しなければならないパートの適用範囲が大幅に拡大されそうです。まだ検討段階ではありますが・・・。

厚生労働省は26日、これまで厚生年金の加入義務がなかった従業員500人以下の企業のパートなど短時間労働者にも対象を広げる検討に入った 出所:共同通信

今回はその厚生年金が変更になった場合の影響とそれによる主婦の働き方について考えて見たいと思います。

※加筆修正を加えました

厚生年金適用範囲変更へ


厚生年金に加入しなければならない人が今回の改正が実現すれば大幅に増えることになります。

特に影響が大きそうなのが主婦を中心としたパートやアルバイトの方でご主人の扶養に入っていた人たちです。

まずは現状のルールから確認していきましょう。

大企業に勤めている方:106万円の壁

現在のルールでは厚生年金に加入しなければならないルールは俗に106万円の壁と呼ばれていました。

これは大企業にお勤めの方のだけに該当するルールで具体的には下記の条件を満たす場合、勤め先の厚生年金に加入することになります。

つまり、これに該当すると旦那さんの扶養に入れなくなり厚生年金に加入することになるのです。

1. 1週あたりの所定労働時間が20時間以上
2. 給料が月額8万8000円以上
3. 社会保険の対象となっている従業員(被保険者)数501人以上の企業に勤めていること。
4. 雇用期間が1年以上の予定
5. 学生以外(夜間・定時制は除く)

「従業員数(被保険者)が501人以上」の条件は事業所ではなく会社単位で判断します。

大企業の店舗でアルバイトしている場合にはこちらに該当することが多いでしょう。

それ以外の方

上記のルールに該当しない方は「週あたりの勤務時間が正社員の4分の3以上もしくは、月あたりの勤務日数が正社員の4分の3以上」か否かで加入しなければならないかが判断されます。

このあたりは会社の正社員の勤務条件により異なってきますが、例えば週の正社員の方の所定労働時間が40時間の場合には週30時間以上働けば厚生年金の対象者に該当しますし、月の場合には正社員の月22日勤務であれば16日以上勤務すれば厚生年金の対象者に該当することになります。

今回の変更案

今回の変更案は、まず現状の従業員(被保険者)数501人以上の企業に勤めていること。という条件を緩和することです。

つまり、現状の大企業に勤めている方向けのルールが中小企業に勤めている方にも適用されることになります。

また、現状は対象となるのが月額8万8000円となっていましたが、月額6万8000円以上とだいぶ引き下げれることとなります。

まだ正式に決まった話ではありませんので、それ以外の詳しい情報は出ていません。現状出ている点だけ変わるとすると下記が厚生年金の適用条件となることになります。

1. 1週あたりの所定労働時間が20時間以上
2. 給料が月額6万8000円以上
3. 社会保険の対象となっている企業にお勤めのこと
4. 雇用期間が1年以上の予定
5. 学生以外(夜間・定時制は除く)

給料が月額6万8000円ですから年間にすると81万6000円と現状の106万円からだいぶ下がって来ることになりますね。

月額6万8000円は例えば時給1000円で6時間働くとすると12日働けば達成してしまう数字ですから、かなりの方が厚生年金の対象となることになりますね。

厚生年金の加入は損なのか?

実は厚生年金の加入は一概に損とは言えないのです。

たしかに勤め先の厚生年金に入ることになると旦那さんの社会保険の扶養になれなくなります。

また、厚生年金を払うことになりますのでもちろん手取り収入は減ることになります。

しかし、メリットもあるのです。

将来の年金が増える

厚生年金に加入すると将来の年金が増えます。単純に自分が積み立てた場合と比較して厚生年金は半分を会社が負担してくれる仕組みです。

そのため半額でお金を貯めることになると思えばかなりラッキーですね。

ただし、個人型確定拠出年金(イデコ)のように自己勘定でお金を積み立てる仕組みではなく、賦課方式といって現在の加入者が今もらっている人を支える仕組みですから自分が掛けた分以上もらえるのかは微妙な世代間格差といった構造的な問題を抱えてはいますが。。。半分負担してもらえるので実際分がもらえる可能性は高そうですがこればかりは今後の状況次第ですからなんとも言えないところがあります。

様々な手当がある

また、遺族年金や障害年金なども手厚くなり、健康保険にも加入していれば怪我等で働けなくなったときも傷病手当、出産手当金なんかがもらえるようになります。

また、雇用保険の適用にもなるでしょうから失業保険なんかももらうことができます。

以上見てきたように社会保険に加入するメリットもたくさんあるのです。

そのため加入しない方がいいのか、加入した方が良いのかは一概にどちらが得とは言えないのです。

つまり、簡単にまとめると厚生年金などの社会保険の適用になると日々の手取り収入は減るけど、老後資金が増えたり、その他の手当を受けられるってことですね。ですから一概に損とは言い切れないところもあるということです。

今後の主婦の働き方を考える

今回の改正案が実現するとかなりのパート主婦の方が厚生年金加入者となります。

手取り収入は減ってしまうでしょう。そこで考えたいのが働けるならば少しでも多く働いた方が良いってことです。少しでも収入を増加させることで老後の生活も安定しますしね。

今回の厚生年金以外にも日本には主婦が働くのに障壁になる壁がいくつかあります。

100万の壁(住民税の壁)、103万の壁(税金上の壁)、130万の壁(社会保険上の壁)などなど・・・

他の壁については詳しくはこちらの記事をご覧ください。

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これらを考えると中途半端に働く状況が結構損になる可能性が高くなってきます。(一番損なのが年間150万程度働くケース)

ある程度フルに働けるならば思い切って160万を超えて働いたほうが、こういう細かいことを考えるよりもたくさん働いたほうが家計面ではプラスになりますね。(160万円を超えると世帯全体の手取り収入が増える)

まとめ

今回は「厚生年金のパート適用拡大で主婦の働き方がどう変わるのか?」と題して厚生年金のパート適用拡大の内容と今後の主婦の働き方について考えて見ました。

まとめるとこんな感じです。

中途半端に働く状況が損になる可能性が高い。ですからある程度フルに働けるならば年間160万を超えて働こう

また、パートさんでも有給休暇ってもらえるんですよ。特に2019年4月からはルール改正があります。詳しくは下記記事を御覧ください。

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