先日、読者の方から質問がありました。同じように疑問を感じている方もおみえでしょうからそれを元に記事を書いてみたいと思います(もちろん許可はもらってます)
いただいた質問は下記の通りです。(一部要約)
つまり、少額でも個人型確定拠出拠出年金(iDeCo/イデコ)に入った方がよいのか?ってことです。今回はこの件を考えてみましょう。
そもそも個人型確定拠出年金ってなに?って方はこちらの記事を御覧ください
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)はかなりお得で良い制度です。その反面、株式投資などの資産運用などの経験がないとかなりわかりにくく難しい制度でもあります。そのため「お金に生きる」でもかなり力を入れて記事を書いてきました[…]
※一部加筆修正を加えております。
少額からでも個人型確定拠出拠出年金(iDeCo/イデコ)に入ったほうがよい理由
結論から申し上げると少額なら家計に無理がないならぜひ入ったほうがよいです。
ただし、少額でも家計的に無理しているならやめておいたほうがよい。と考えます。理由をみていきましょう。
まずは個人型確定拠出拠出年金(iDeCo/イデコ)とはなにか、なぜお得なのかから考えてみましょう。
個人型確定拠出拠出年金(iDeCo/イデコ)とは
個人型確定拠出年金(iDeCo)は簡単に言えば自分の老後生活のために老後資金を自分で作るための制度です。具体的な流れはこんな感じになります。
○そのお金で投資信託や定期預金、保険などの運用商品を買う
○60歳以降にその運用したお金を受け取ることができる
つまり、老後の資金を積み立てていき、それを運用して、また自分で受け取るってことですね。国民年金や厚生年金の上乗せ制度として考えるとわかりやすいでしょう。
出所:厚生労働省 iDeCo説明ページ
ここからは個人型確定拠出年金(iDeCo)のメリットについて考えてみましょう。
個人型確定拠出拠出年金(iDeCo/イデコ)のメリット。少額でも・・・
イデコのメリットは多いです。具体的に見ていきましょう。
国民年金、厚生年金より高い納得性
国民年金、厚生年金と大きく違う点が2つあります。
一つは個人型確定拠出年金(iDeCo)は個人の積立方式であることです。
つまり、自分の積み立てた金額はすべて自分のものですし、自分で使うことができます。対して国民年金や厚生年金は個人ごとにいくら支払ったのかは記録がされていますが、
現役世代のときに支払った保険料はそのときの年金受給者が受け取る賦課方式という仕組みになっています。支え合いの仕組みといえばそうですが、現状では世代間格差がかなり問題になっています。
その点、自分の掛けたお金はすべて自分で使える確定拠出年金(iDeCo)は納得性が高いと言えるでしょう。
また、運用面も違います。国民年金、厚生年金はGPIFが運用しています。
対して個人型確定拠出年金(iDeCo)は自分でどの運用商品買うのかというところから選択することになります。おまかせするのか、ある程度自分で選択できるのかの違いですね。
自己責任ではありますが、他人に丸投げするよりも納得性は高いでしょう。
これは少額で掛けようが多額に掛けても同じですよね。金額の大小ではありません。
所得税・住民税の節税効果
個人型確定拠出年金(iDeCo)の最大のメリットといってもよいのが所得税と住民税の節税効果です。
掛け金全額が所得控除となるのです。(小規模企業共済等掛金控除)所得控除とは税金計算するときにその金額を控除して税金計算できるようになるってことです。
つまり、所得を減らしたことと同じ効果が得られます。その結果、所得税及び住民税が減るのです。
もちろん節税効果も少額でも発生します。
例えば課税所得が500万のサラリーマンの場合でみてみましょう。
個人型確定拠出年金(iDeCo)に月5,000円積み立てたとします。
すると年間で60,000円の掛け金です。
それがそのまま全額所得控除となり12,000円もの節税となります。
(6万円✕20%)所得税率10%、住民税10%で計算
年間60,000円積み立てると所得税と住民税で12,000円(所得税10%の場合)の節税効果が生まれます。
率にすると20%もの利回りが節税効果だけで得られるのです。
これだけでも掛ける価値がありますね(笑)
運用で得た利益が非課税
もう一つのメリットが個人型確定拠出年金(iDeCo)内での運用について売却益や分配金が出た場合でも全額非課税となることです。
投資信託や株などに投資をして売却益や配当が出た場合や定期預金の利息をもらった場合には税金が20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)が掛かります。
それが個人型確定拠出年金(イデコ/iDeCo)の中で運用すれば税金が掛からないのですからこちらもかなりオトクです。
もちろん少額でもそれは同じですね。
年利3%で運用した場合
例えば30歳から月5,000円積み立て、かなり固く運用して平均年3%の運用をしたとしましょう。するとこれだけの運用益を得る計算となります。
運用益1,113,684円
合計金額2,913,684円
1,113,684円もの利益が得られるんですね。それに税金は掛かりませんからかなり大きいと言えるでしょう。
ちなみに3%というのは国民年金を運用しているGPIFの過去からの平均収益率くらいです。
GPIFの過去からの収益率(年率)は3.18%となっています。
リーマンショックなどの時期を含めてもこれだけで運用できているんですよね。
GPIFはアセットアロケーションを公開していますのでそれを真似していればこれくらいの収益率が得られたことになります。詳しくは下記記事を御覧ください。
突然ですが、日本最大の投資機関をご存知でしょうか?投資機関といってよいのかはわかりませんが、最も大きいのは国民年金や厚生年金を運用しているGPIF(年金積立管理運用独立行政法人)という団体です。テレビのニュースや新聞などでは[…]
年利5%で運用した場合
さらに運用が平均5%でできたとするとこうなります。
運用益2,361,293円
合計金額4,161,293円
5%で運用できれば元金の倍超えの2,361,293円もの利益が得られるんですね。
ちなみに米国を代表する株式指標のダウの過去平均利回りが7%ですから5%というのか決して絵に書いた餅レベルではなく実現可能な範囲です。ダウなどの指標の過去の実績は下記記事を御覧ください。
2017年から個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入が緩和されほぼ全員が加入できるようになりました。また、2018年からはつみたてNISAが始まり投資をはじめる方が増えています。両方の制度ともかなりお得な制度ではありますが、[…]
受け取る際も税制優遇あり
個人型確定拠出年金(iDeCo)の給付を受取るときも一時金として受け取れば「退職所得控除」が受けられます。
また、年金として受け取る場合も「公的年金控除」がうけられます。
受け取る際は自身の他の退職金や年金の金額と合わせて検討しより有利な方法で受け取るといいでしょう。
これも少額でももちろん受けられるメリットとなります。
また、退職所得控除の計算は個人型確定拠出年金(iDeCo)の場合、掛金を拠出していた期間を勤続年数と考えます。
つまり、少額でも早く加入しておいた方が得なのです。ちなみに退職所得控除の計算は下記のとおりです。
20年を超える場合: 退職所得控除額=800万円+70万円×(勤続年数-20年)
ちなみに会社から退職金を受け取る場合にはちょっと工夫することで税金を限りなく減らす(0にも)にすることができます。こんなルールがあるのです。
下記の2つの条件で受け取るならば退職所得控除の計算を重複して使うことができます。
2.退職一時金よりも個人型確定拠出年金(iDeCo)を後で受け取る場合、最後に受け取った退職一時金等から15年以降
たとえば1であれば60歳で個人型確定拠出年金(iDeCo)を受け取り。
会社を65歳で退職し退職金を受け取るならば重複している期間も含めて退職所得控除の勤続年数として計算できます。
かなり有利に受け取ることができるのですね。
このあたり知っているかどうかでかなり税金がかわりますから押さえておきたいところ。
自己破産時、離婚時に・・・
個人型確定拠出年金(iDeCo)には他にもメリットがあります。
それは自己破産時に没収されなかったり、離婚時に年金分割の対象とならない点です。
詳しくは下記記事をご覧ください。
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)にはもう1つ隠されたメリットがあることをご存知でしょうか?今回はこの隠されたメリットについて見ていきたいとおもいます。とくに自営業者の方やフリーランスの方は必見ですよ。個人型確[…]
これについても少額でも条件は同じです。
つまり、今まで見てきた個人型確定拠出年金(iDeCo)のメリットはほとんど少額でも問題なく受けることができるのです。
ではデメリットはどうでしょうか?
個人型確定拠出拠出年金(iDeCo/イデコ)のデメリット。少額では・・・
イデコにも当然、デメリットもあります。
具体的に見ていきましょう。
原則として60歳まで引き出せないこと
個人型確定拠出年金(iDeCo)最大のデメリットといえるかもしれないのが原則として60歳まで積み立てた資産を引き出すことができないことです。
また、途中で解約もできません。逆に言えば「老後資金」を貯めるためにはそのくらい強い覚悟が必要ですから、強制的に貯める手段として個人型確定拠出年金(iDeCo)を使うと考えると良いかもしれませんね。
もし、自由に引出したいのならつみたてNISAがおすすめです。
これは少額の方がある意味デメリットが薄いかもしれませんね。
たくさんかけていればそれだけ引き出せないデメリットは大きくなります。しかし、少額ならその影響はすくなくなるからです。
ただし、前述したように家計ギリギリで5000円を拠出するのが厳しいのにメリットだけをみて加入すると引き出せないデメリットは大きくなりますのでかならず余裕資金で掛けるようにしましょう。
損益通算できないこと
個人型確定拠出年金(iDeCo)のもう一つのデメリットは個人型確定拠出年金(iDeCo)内で損失が発生しても他の株等の利益との損益通算はできないことです。
ただし、個人型確定拠出年金(iDeCo)は積極的に売買する仕組みではないです。
長期的な目を考えて取引するならこの点はそこまで問題ないかもしれませんね。
運用次第であること
もう一つが当たり前といえば当たり前ですが運用次第によっては損失がでたり、思ったように増えない可能性もあることもデメリットといえるかもしれません。
手数料負担
少額の場合には手数料負担の面も考えておきたいところです。
いくらお得でも手数料負けしてしまったら意味がありませんからね。個人型確定拠出年金(iDeCo)の手数料はいくつかに分かれています。
まずは加入時の手数料です。これは必ず掛かりますし、どこの金融機関を選んでも変わりません。
2,777円
次に運用時の手数料です。これは金融機関により変わるケースがあります。(月額)
国民年金基金連合会手数料
103円
信託銀行手数料
64円
運営管理機関手数料
0円〜(運営管理機関による)
運用商品信託報酬
商品により異なる
つまり、かならず掛からる手数料は加入時の2,777円と運用時の国民年金基金連合会の手数料、信託銀行手数料合計で167円になります。
この辺りは少額しか掛けなくても所得税や住民税の節税効果でペイできるレベルですね。
運営管理機関手数料や運用商品信託報酬は金融機関や運用商品によって変わってきます。少額で掛けるならこの辺りの手数料にはこだわりたいですね。(おすすめを後述しておきます)
まとめ
今回は「個人型確定拠出拠出年金(iDeCo)は月5,000円など少額からでも今すぐはじめるべき理由」と題して少額でも個人型確定拠出年金(iDeCo)はお得ですよってお話をみてきました。
まとめるとこんな感じです。
・家計に無理がないなら早めに入ったほうがお得(節税効果や退職金控除計算上)
・少額でも家計的に無理しているなら余裕ができるまではやめておいたほうがよい
・余裕資金で加入しよう
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)に加入するならこの5社から選ぼう
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)を始めるならまずは金融機関を決める必要があります。
しかし、たくさんあってどこにしたらよいのかわからない方も多いでしょう。
簡単に決めてしまう方もおおいかもしれませんが、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)の場合、金融機関ごとの違いがとても大きいですから慎重に選びたいところです。
私が今もし、新たに加入するならSBI証券、マネックス証券、松井証券、大和証券、楽天証券の5択の中から決めます。
(※私が加入しているのはSBI証券です)
この5つの金融機関は運営管理機関手数料が無料です。※国民年金基金連合会の手数料等は各社共通で掛かります。
また、運用商品もインデックスファンドを中心に信託報酬が低い投資信託が充実しているんですよ。
順番に見ていきましょう。
SBI証券
まずイチオシはSBI証券「個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)」です。
SBI証券は信託報酬も最安値水準のeMAXIS Slimシリーズを始めとしたインデックスファンドから雪だるま全世界株式、ひふみ年金、NYダウ、グローバル中小株、ジェイリバイブといった特徴ある投資信託をたくさん揃えているところが最大の魅力です。
選択の楽しさがありますよね。
また、確定拠出年金を会社員に解禁される前から長年手掛けている老舗である安心感も大きいですね。
SBI証券は運営管理手数料が無条件で0円ですし、なにより運用商品が豊富で選択の幅が広いです。現状最強のラインナップを誇ることになります。
また、他の証券会社に先んじて確定拠出年金の取扱をはじめてますから安心感が強いですね。
マネックス証券
次点はマネックス証券 iDeCoです。
こちらも後発ながらかなりiDeCoに力をいれていますね。
iDeCo初でiFreeNEXT NASDAQ100 インデックスを取扱い開始したのに興味をひかれる人も多いでしょう。
マネックス証券はeMAXIS Slimを多く取り扱っており、信託報酬がほとんど最安値水準でスキがありません。また、iDeCoでいち早くiFreeNEXT NASDAQ100 インデックスの取り扱いをはじめたところも大きなポイントになりますね。
松井証券
松井証券のiDeCoは35本制限まで余裕があるというのは後発の強みですね。
その35本制限までの余裕を生かして他社で人気となっている対象投資信託を一気に採用して話題になっていますね。
こちらも有力候補の一つですね。
2020年10月18日から取り扱い商品が大幅拡充されました。
人気となっているeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)や楽天・全世界株式インデックス・ファンドなども採用され最強ラインナップといっても過言ではない充実ぶりですね。
大和証券
大和証券 iDeCoは大手証券会社でありながら、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)にもかなり力を入れています。
他のネット証券と違い店舗が全国各地にたくさんあります。そこに魅力を感じる方にはおすすめできますね。
また、取扱商品もダイワつみたてインデックスシリーズなど信託報酬が安めの商品を取り揃えています。
運営管理機関手数料が無条件で無料ですし、商品も充実したことで選択肢となりえる金融機関になりましたね。中国株、ロシア株、ブラジル株のファンドへ投資できるなど特徴的な商品があるのが他との差別化要因かな。あとはiFreeシリーズ、とくに米国株さえ入れば十分に他と競争できると思いますので期待したいところです。
楽天証券
楽天証券は楽天・全世界株式インデックス・ファンドや楽天・全米株式インデックス・ファンドといった自社の人気商品の取扱が大きなポイントとなっています。
この2つのファンドは人気ですね。
楽天証券は楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド、楽天・S&P500インデックス・ファンド、楽天・全世界株式インデックス・ファンド、楽天・全米株式インデックス・ファンドといった楽天ブランドの人気商品の取扱が大きなポイントとなっています。今後は楽天SPUの対象になったりしたらかなり面白い存在ですね。
総合して考えるとこの5つの金融機関に加入すれば大きな後悔はないかなと思います。
他の運営管理機関もぜひがんばってほしいところですが・・・
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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