先日、日経新聞に注目すべき記事が載っていました。
それはAI(人工知能)をつかった投資信託の成績が奮わないとの話です。
最近、急激にAI(人工知能)をつかった投資信託が増えています。
しかし、どれも成績が悪いのです。
2019年6月時点でAI(人工知能)を使った投資信託で1年以上経過した商品は10本あるそうですが、すべて1年騰落率がマイナスとのこと。
まだ1年ですからなんとも結果を語るには早いですが市場の平均を目標としたインデックス投資どころか人にも勝てていないという・・・
今回はこの件を考えてみましょう。
※なお、AI関連の投資信託といってもいろいろなパターンがあります。
AIが意思決定をして株などの投資先を決める投資信託、AI関連企業に投資をする投資信託、自動的にインデックス投資信託を選択するロボアドなどです。
この3つではかなり毛色が違います。
今回取り上げているのは前者のAIが意思決定をするタイプの話です。
実際のAI(人口知能)VSインデックスの成績比較
それではまずは実際のAIを使った投資信託の成績をインデックスと比較してみましょう。
全世界株式(日本を除く)
まずは日本を除く全世界に投資をする2つの投資信託を比較してみましょう。
一つは日本を除く世界の株式を実質的な投資対象とし、AIを運用に生かした日本初のファンド「AI(人工知能)活用型世界株ファンド」もう一つが信託報酬が最安値水準を維持し続けるインデックス投資信託として大変人気の高いeMAXIS Slimシリーズの全世界株式(除く日本)版。
まずはそれぞれの投資信託の詳細からです。
AI(人工知能)活用型世界株ファンド
「AI(人工知能)活用型世界株ファンド」は日本を除く世界の株式を投資対象とし、アセットマネジメントOneが独自に開発したディープラーニングモデルを用いて、相対的に投資魅力度が高いと判断される銘柄を抽出します。モデルの解析結果に、ファンドマネジャーの判断によりニュースフロー等のテキスト解析や個別企業のファンダメンタルズ分析を融合させ、ポートフォリオを構築する投資信託です。
難しいことが書いてありますが、簡単に言えばAIが投資判断をして日本を除く世界の株式を投資します。
買付手数料:なし
信託財産留保額:0.3%
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)
「eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)」は日本を除く先進国ならびに新興国の株式に投資し、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(除く日本、配当込み、円換算ベース)に連動する投資成果をめざして運用を行います。
つまり、市場平均を目指すインデックス投資ですね。
買付手数料:なし
信託財産留保額:なし
成績比較
それでは実際に成績をみてみましょう。なお、成績の基準は2019年6月30日時点のトータルリターンの比較です。
1ヶ月 | 6ヶ月 | 1年 | |
AI(人工知能)活用型世界株ファンド | 3.50% | 10.47% | -2.77% |
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本) | 3.8% | 14.35% | 4.21% |
1ヶ月はAI(人工知能)活用型世界株ファンドが3.5%のプラス、eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)が3.8%プラスとeMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)の勝ちです。
6ヶ月ではAI(人工知能)活用型世界株ファンドが10.47%のプラス、eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)が14.35%プラスとこちらもeMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)の勝ちとなっています。
1年ではAI(人工知能)活用型世界株ファンドが-2.77%、eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)が4.21%プラスとこちらもeMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)の勝ちとなっています。
すべての期間でeMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)が勝つ結果となっています。
先進国株式(日本を除く)
次は投資信託の花形である先進国株式(日本を除く)で比較してみましょう。
一つはゴールドサックスマンの「GSビッグデータ・ストラテジー(外国株式)」もう一つが信託報酬が最安値水準を維持し続けるインデックス投資信託として大変人気の高いeMAXIS Slimシリーズの先進国株(除く日本)版。
まずはそれぞれの投資信託の詳細からです。
GSビッグデータ・ストラテジー(外国株式)
「GSビッグデータ・ストラテジー(外国株式)」は日本を除く先進国の株式を主な投資対象とし、ビッグデータやAI(人工知能)を活用したゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント独自開発の計量モデルを用い、多様な銘柄評価基準に基づいて幅広い銘柄に分散投資します。
簡単に言えばこちらもビッグデータやAI(人工知能)で投資を決めますよってことですね。
買付手数料:なし
信託財産留保額:なし
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」はMSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース)と連動する投資成果をめざして運用を行います。つまり、市場平均を目指すインデックス投資ですね。
買付手数料:なし
信託財産留保額:なし
成績比較
それでは実際に成績をみてみましょう。なお、成績の基準は2019年6月30日時点のトータルリターンの比較です。
1ヶ月 | 6ヶ月 | 1年 | |
GSビッグデータ・ストラテジー(外国株式) | 2.83% | 11.83% | -2.84% |
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス | 3.59% | 15.19% | 4.77% |
1ヶ月はGSビッグデータ・ストラテジー(外国株式)が2.83%のプラス、eMAXIS Slim 先進国株式インデックスが3.59%プラスとeMAXIS Slim 先進国株式インデックスの勝ちです。1月でもかなり差が付いていますね。
6ヶ月ではGSビッグデータ・ストラテジー(外国株式)が11.83%のプラス、eMAXIS Slim 先進国株式インデックスが15.19%プラスとこちらもeMAXIS Slim 先進国株式インデックスの勝ちとなっています。
1年ではGSビッグデータ・ストラテジー(外国株式)が-2.84%、eMAXIS Slim 先進国株式インデックスが4.77%プラスとこちらもeMAXIS Slim 先進国株式インデックスの勝ちとなっています。1年で6%近く差が開いていますね。
先進国株式部門でもすべての期間でeMAXIS Slim 先進国株式インデックスが勝つ結果となっています。
日本株
最後は日本株へ投資をする投資信託です。
一つは三菱UFJ国際の「AI日本株式オープン(絶対収益追求型)」もう一つが信託報酬が最安値水準を維持し続けるインデックス投資信託として大変人気の高いeMAXIS Slimシリーズの国内株式(TOPIX)版。今回は同じ会社の商品なんですよ。
まずはそれぞれの投資信託の詳細からです。
AI日本株式オープン(絶対収益追求型)
「AI日本株式オープン(絶対収益追求型)」はわが国の株式に投資を行うと同時に株価指数先物取引等を行い、特定の市場に左右されることなく収益の獲得をめざします。AI(人工知能)のノウハウを活用したモデルを運用に活用します。株式個別銘柄戦略と先物アロケーション戦略の2つを組み合わせることで、絶対収益の追求を目指す商品です。
こちらもAIを使って日本株に投資をするってことですね。名前がすごいですね。絶対収益追求ですから
株だけでなく株価指数先物取引等も行うのがおもしろいところです。
買付手数料:2.16%
信託財産留保額:なし
eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)
「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」は東証株価指数(TOPIX)(配当込み)と連動する投資成果をめざして運用を行う投資信託です。
つまり、TOPIXとの連動を目指すインデックス投資ですね。
買付手数料:なし
信託財産留保額:なし
成績比較
それでは実際に成績をみてみましょう。なお、成績の基準は2019年6月30日時点のトータルリターンの比較です。
1ヶ月 | 6ヶ月 | 1年 | |
AI日本株式オープン(絶対収益追求型) | -0.59% | -2.1% | -7.33% |
eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX) | 2.75% | 5.13% | -8.37% |
1ヶ月はAI日本株式オープン(絶対収益追求型)が-0.59%、eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)が2.75%プラスとeMAXIS Slim 先進国株式インデックスの勝ちです。1月でもかなり差が付いていますね。
6ヶ月ではAI日本株式オープン(絶対収益追求型)が-2.1%、eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)が5.13%プラスとこちらもeMAXIS Slim 先進国株式インデックスの勝ちとなっています。
1年ではAI日本株式オープン(絶対収益追求型)が-7.33%、eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)が-8.37%とこちらはAI日本株式オープン(絶対収益追求型)の勝ちとなっています。
国内株式部門だと1年トータルリターンでAIが勝つ結果となっています。これは恐らくAI日本株式オープン(絶対収益追求型)が株価指数先物取引等も行うことでマイナス局面での立ち回りが良かったのかもしれません。ただし、それ以降についてはeMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)にかなり負けていますね。。
また、AI日本株式オープン(絶対収益追求型)はすべての期間でマイナスとなっているのが気になるところです。
なぜAI投資信託はインデックス投資信託に負けるのか?
今回人気の3つのカテゴリーで比較してみましたが、国内株式部門の1年トータル以外はすべてインデックス投資の勝ちとなっています。
これだけ差があるのはまず、信託報酬率が年1%も違うことが大きいでしょう。
ただし、1年で6%近くの差が付いていますので信託報酬だけの差とは考えにくいです。
ですからAIの投資選択はまだまだ精度がこれからなのもあるんでしょう。
日経新聞の記事だとトランプのツイッターに株への影響などアナログな動きが反映できていないのが大きいと出ていましたね・・・
今後こ精度がどれだけ改善していくのかってところに掛かっていますね。
今回の結果を見る限り今の時点ではAIを使った投資信託を買うのは時期尚早な気がします。
まとめ
今回は「AI(人工知能)を使った投資がインデックス(市場平均)に負け続けてる理由」と題してAI(人工知能)やビックデータを使った投資信託についてみてきました。
今の時点ではインデックス投資信託を買うのが正解ですね。
AI(人工知能)をつかった投資信託は信託報酬は軒並みかなり高いですしね。成績が伴っていないならばわざわざ選択することもないでしょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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