先日、ゆうちょ銀行が投資信託の不適切な取り扱いに関する社内調査結果を発表しました。
なんと違反件数がゆうちょ銀行と日本郵便合わせて19,591件と2万件近くもあるとのことでした。
実は私もこれを受けて知り合いの方から相談を受けたのです。
要約するとこんな感じです。
どうしたらよいのか?
今回はその件を記事にしてきます。
投資信託ってなんだっけ?って方はまずこちらからどうぞ。別に投資信託だからといって悪い金融商品とは限らないんですよ。
「投資信託」って言葉は聞いたことがある方が多いと思います。このサイトでも何度も出てきた言葉です。読者様より投資信託とはなんぞや?って質問をいただきました。意外に投資信託がどういったものかちゃんと理解しているかたはそれ[…]
ゆうちょ銀行の投資信託の不適切販売の概要
それではまず今回の話の前提となるゆうちょ銀行の投資信託の不適切な取り扱いに関する社内調査結果から見ていきます。
出典:株式会社ゆうちょ銀行「投資信託の不適切な取り扱いに関する社内調査結果および今後の対応について」より
件数が19,591件とかなり多いことも驚きですが、投資信託取り扱い店舗数のうち91%が今回の違反店に該当するのがびっくりです。
ほとんどのゆうちょ銀行で今回の不適切販売が行われていたとうことになります。
これは会社ぐるみと言われてもおかしくないでしょう。
なにが不適切な販売だったのか?
それでは今回不適切な販売と言われているのはなぜなのでしょうか?
銀行なども下記の通り、地雷な商品を売りまくっていますが何が違うのでしょうか?
金融庁が金融機関が顧客本位の業務運営をしていないことを問題視。昨年から、客観的に評価できるようにするための成果指標(比較可能な共通KPI)を公表を求めたことで金融機関各社がその結果を発表しました。昨年の発表内容はこの記事を御[…]
これは2013 年 10 月に日本証券業協会から出された「高齢顧客への勧誘による販売に係るガイドライン」を守っていないということです。
このガイドラインに書いてある内容で今回の問題となったポイントは以下の点です。
つまり、自分で判断ができないような勧誘すべきでないお客様には勧誘しない必要があるのです。
それが出来ていなかったようなのです。
ゆうちょ銀行はこのガイドラインを受けて「高齢のお客さまに対して、「申込受付前」に加えて、新たに 「勧誘前」にこの観点からの管理者承認を行うことを社内規則に追加していたにもかかわら ず、この取扱いを多数怠っていた」とのこと。
つまり、ルールはちゃんと作ったけどそれが運用されおらず、勧誘すべきでないお客様に管理者承認を行うことなく勧誘していたということになるでしょう。
91%もの店舗で行われていた話ですからそもそものルールが周知されていなかった、もしくは組織ぐるみで守る気がなかったとしか思えない状況ですね。
高齢者の定義
ちなみにこのガイドラインによると高齢顧客の定義を定めなさいとされています。
ゆうちょ銀行が何歳と設定していたのかは不明ですが。ガイドラインでは以下を目安としています。
2022年の日本人の平均寿命は女性が87.09歳、男性が81.05歳となっています。多少ピークよりは下がっていますが、世界的に見てもトップとなっています、合わせて健康に暮らせる寿命「健康寿命」は女性が75.38歳、男性が72[…]
高齢者に売っていい商品、売らないほうがよい商品
ちなみにこのガイドラインには高齢者に勧誘して販売してよい商品と勧誘すべきでない商品が具体的に明記されています。
ゆうちょ銀行がどんな投資信託を実際に販売していたかはわかりませんが、この部分に違反していたこともありそうです。
株や株に投資をする投資信託なんかはここにあたるでしょうね。
また、銀行が力をいれているファンドラップや外貨建保険なんかもこちらと考えられます。
2.普通社債(いわゆるSB)
3.「公社債を中心に投資し、比較的安定的な運用を指向する」投資信託
4.上記①②③に相当する「知名度や流動性が高い通貨建て(平成 25 年9月現在、 米ドル、ユーロ、オーストラリアドルが該当すると考えます。)」の債券及び投資信託
債券は問題なしとされていますね。
投資信託でも債券中心の商品なら問題ないとされています。
債券投資について詳しくはこちらの記事を御覧ください。
債券投資ってご存知ですか?昔からある投資先で厚生年金や国民年金などを運用するGPIFでも50%(残りの50%が株式)が投資されています。株式投資と比較して地味なためあまり注目されていません。しかし、今年に入り逆イール[…]
家族が販売されてしまっていたらどうしたらよいのか?
今回のゆうちょ銀行による投資信託の不適切販売。
もし家族や親戚、友達などが勧誘され契約してしまっていたらどうしたらよいでしょうか?
ゆうちょ銀行が発表した対応策
ゆうちょ銀行の発表では以下の対応をするとしています。
出典:株式会社ゆうちょ銀行「投資信託の不適切な取り扱いに関する社内調査結果および今後の対応について」より
具体的な内容というよりも確認して個別対応って感じの書き方ですね。
交渉が必要か
前述のようにゆうちょ銀行は一律に対応すると言うよりも個別に対応するという感じのようです。
ですから問題を解決するためには交渉が必要となると思われます。
その際の交渉先はゆうちょ銀行の窓口ではなく「投資信託コールセンター」が無難でしょう。
投資信託の不適切販売の件で・・・といえば話は早いと思われます。
まずは現状を確認しよう
表面化した以外にも同様のケースもありえますので高齢の家族がいる場合にはゆうちょ銀行との契約関連や預けているお金を確認してみましょう。
また、どのような投資信託を購入しているのかを確認することも大事です。
たしかに今回のゆうちょ銀行の販売の仕方は問題ですが、実際に買っている投資信託が問題無い商品ならあえてそのままという選択肢もありえます。
つまり、どのような投資信託を買わされたのかの確認も重要ってことですね。
どのような投資信託がよいのかは詳しくはこちらの記事をご覧ください。
このサイトでも何度かご紹介していますが金融庁が統計資料を発表しました。また、銀行各社(三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、りそな銀行)ネット証券4社、ひふみ投信などもそれに合わせた統計資料を出しています。これによると銀行で投資[…]
ひどい商品を売りつけられているなら解約できないか交渉
今回のご相談いただいた件では、定期貯金の満期がきた際に、利率が高い元本保証の商品(少なくとも本人はそう理解していた)として投資信託に切り替えされていたようです。ちなみに契約した商品の内容を見ると手数料が高めの投資信託で元本保証とは全然違った商品でした・・・
このようなケースでは勧誘時の説明にも大きな問題がありますので 契約自体を無効にするように交渉するのがよいでしょう。
また、商品によっては解約が途中で不可のものや解約をすると損が発生するものもあります。
契約してしまった商品の内容をしっかり把握した上で交渉しましょう。
もし、契約が無効にできないとか解約を途中で行うと損失が発生するような場合には手数料や価格変動によるマイナス部分の補填も交渉してみてもよいでしょう。
今回の件は全面的にゆうちょ銀行に問題がありますし、大きな報道となってしまっているのである程度こちらの要求を飲んでくれる可能高いと思われます。
まとめ
今回は「家族がゆうちょ銀行の投資信託の不適切販売を受けていたらどうしたらよいのか?」と題してゆうちょ銀行の投資信託の不適切販売への対応をみてきました。
ゆうちょ銀行では下記のようなことも過去にはありました。
先日、一部メディアで衝撃的な報道がありました。銀行でiDeCo(個人型確定拠出年金)の開設をしようとしたら「iDeCoを始めるには特定口座の開設が必要」という案内をされて「つみたてNISA」も一緒に開設させられたというのです。[…]
基本的に投資についてはあまり信用しないのが無難ですね。
これは銀行や保険会社でも同じで結局は自社や自行が儲かるものを売ることになります。
自行が儲かるものは基本的に手数料が高いものですから、投資をする方からしたら儲かりにくいものなんですよ。
ただ、ゆうちょ銀行も他の銀行も基本的に営利団体で慈善団体ではないからあまり責められないところではあります。
最近は老後の生活は年金だけでは2000万円足りない問題なんかもありましたからこういう話が増えていく可能性も高いと思われます。
最終的には自分のお金は自分で守るしかありませんね。
先日、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、りそな銀行といった大手銀行が発表した共通KPIの記事、ファンドラップを買っては駄目という記事を書いたところ銀行員と思われる方から怒りのメッセージがありました。内容を簡単に言うと「共通K[…]
投資信託が辞めたほうがよいというわけではない
また、今回のような事件が起こると投資信託は悪い商品、悪徳な商品と勘違いしてしまう方が多いです。
それはぜんぜん違うんですよ。
確かに地雷と呼ばれる投資信託もあります。
しかし、最近はかなり優良な商品もでてきていますので、それらを吟味して投資する分には初心者にオススメの投資方法なんですよ。
詳しくはこちらを御覧ください
新NISAや個人型確定拠出年金(iDeCo)といった積み立てを基本にした制度の登場で投資信託がかなり身近なものになってきました。しかし、まだ投資信託についての理解が足りず大きな勘違いをしている人も多いのです。先日も知り合いか[…]
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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