長生きに備えるための保険「トンチン年金」を比較検討してみた。

あまり聞き慣れないかもしれませんが「トンチン年金」(トンチン保険ともいう)という保険商品があります。

個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)と少し毛色は違いますが老後に備えるという点では同様の商品です。

今回はこの「トンチン年金」について比較検討してみたいと思います。

※追記:一部加筆修正、追記をしております。

長生きに備える保険「トンチン年金」

まずは、そもそもトンチン年金とは何かをみていきましょう。

トンチン年金とはイタリアの銀行家の「トンティ」Lorenzo Tonti(1630‐95)が考案した年金制度のことです。

当時のフランスは財政難でそれを改善するためにトンティが考案しました。

国庫に融資すると元利の支払いに代えて、終身年金を与えるものです。

出資者の年齢郡によって集団を作り、集団毎に出資に対する利子を毎年支給します。

メンバーは徐々に亡くなっていきますが、生存者が受け取ることができます。

つまり、長生きすれば得ですが早く亡くなれば保険は掛け捨てになってしまうという保険です。

長生きのための保険と言った感じですね。

多少違いますが日本の年金制度(国民年金・厚生年金)もこれと同様の考え方に基づいています。


長生きリスクに備える

日本は世界でも有数の平均寿命が長い国です。

女性の2人に1人、男性の4人に1人は90歳まで生きるといったデータもあります。

つまり、長生きすることも加味した生活設計をしておく必要があるんです。

最近では標準生命表が改定されるほどになっていますね。

標準生命表についてはこちらを御覧ください。

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標準生命表改定の影響

しかし、なかなかお金を貯蓄するのって難しいといったこともあるでしょう。

そこで「トンチン年金」を使えばその長生きリスクを担保できるのです。

トンチン年金のメリット・デメリット

トンチン年金にもメリット・デメリットがあります。

それぞれみてみましょう。


トンチン年金のメリット

トンチン年金のメリットは長生きへの対応が可能なことでしょう。

例えば個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)や小規模企業共済、個人年金保険のような商品の場合には一括でもらうか年金形式でもらうことになります。

しかし、将来長生きした場合に増えるわけではありません。

国民年金基金のように終身年金でもらえる制度もありますが、国民年金基金は準備金不足が申告だったり、反則的にお得な付加年金に入れなくなったり、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)と枠が同じだったり、インフレに対応できなかったり、世代間の不公平さという大きなデメリットがいくつもありますのであまりオススメできない商品です。

それがトンチン保険なら担保できますので長生きの備えとしては有効な手段の一つと言えるでしょう。

トンチン年金のデメリット

トンチン年金のデメリットは元をとろうと思えばかなりの長生きが必要なことです。

保険制度って制度自体がそういう仕組みなのでしかたありませんが・・・

例えば後述する「グランエイジ」という商品の場合には50歳で加入して70歳で受取を始めた場合、

もとが取れるのは男性で90歳、女性で95歳となります。

つまりもとが取れるのは男性の場合4分の1ってことなのです・・・

自動車保険などでも毎年掛けている方がほとんどだと思いますが、保険料の元が取れた方は事故した方だけですから仕組みとしては同じといえば同じなのですが・・・

日本で出ているトンチン年金

日本ではそれほどの種類トンチン年金が出ているわけではありませんが、代表的な商品をご紹介しておきましょう。


日本生命【グランエイジ】

グランエイジの特徴としては

死亡保証を行わない
解約返戻金が低い
年金の原資が大きい

ということです。

例えば年金額60万円(5年保証期間付き終身年金)の場合で50歳で加入すると

男性で50,790円、女性で62,526円で70歳まで払う事になります。

ですから男性の場合、20年間で12,189,600円の支払いとなります。

年間でもらえる年金が60万円ですから支払った金額で割ると約20。20年もらうと元がとれます。

つまり、90歳まで生きる必要があるということです。

女性の場合には20年間で15,006,240円の支払いとなります。

年間でもらえる年金が60万円ですから支払った金額で割ると約25。25年もらうと元がとれます。

つまり、95歳まで生きる必要があります。

5年保証期間付き終身年金ですから早くなくなっても5年間分はもらえます。

この商品は個人年金保険の一種ですから個人年金保険料控除が使用できます。

第一生命【ながいき物語】

次は第一生命のながいき物語です。

こちらも商品としてはほぼ同様の商品となっています。

たとえば年金額が男性50.19万円、女性40.40万円の10年間保証期間月終身年金の場合

年間の払込料は54000円(男性・女性同じ)

50歳から70歳まで加入したとすると

男性は89歳、女性は94歳で元がとれます

仮に100歳までいきると男性の返戻率は160%、女性は128.8%とかなり儲かる感じになります。

グランエイジとの差は支払う保険料が男性女性同様で、貰える金額は男性の方が多くしてあるという違いがありますね。

この商品はグランエイジと同様に個人年金保険の一種ですから個人年金保険料控除が使用できます。

その他新商品続々登場

その他にも最近外貨建てのタイプを中心にトンチン年金の新商品が続々発売されます。

今後も長生きリスクは大きな問題となるでしょうから増えていくかもしれませんね。

年金だけでは老後資金が足りない問題もありましたし・・・

詳しくはこちらをどうぞ

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個人型確定拠出年金との比較

個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)との大きな違いは終身年金か否かと節税額にあります。

個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)の掛金は全額所得控除の対象ですが、トンチン年金は個人年金保険料控除となり払込金額の一部しか控除対象となりません。

詳しくはこちらを御覧ください

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個人年金保険とイデコ比較

また、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)は貰える金額が自分の運用次第ですがトンチン年金はあらかじめ決まっているという違いもあります。

どちらがいいのかは好みですが、節税額の差は大きい気がしますね、

まとめ

今回は、トンチン年金の話をみてきました。

トンチン年金は商品として考えるとそこまで戻りもよくありませんし、元がとれるためにはかなり長生きしなくてはいきません。

そのため、そこまで魅力的な商品とはいえないかもしれませんが

長生きのための保険と考えるとないこともないかな・・・って感じですね。

個人年金保険料控除の金額はだいぶ超えてしまいますので節税としての効果は薄いというのもポイントです。

ですから基本は個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)や小規模企業共済のような商品で老後に備えること

国民年金や厚生年金をもらうのを遅らせて(繰り下げ受給)もらう金額を減らすことでトンチン性を高めるのがよいと思います。

国民年金や厚生年金はもらうのを1年遅らせれば8.4%増、5年遅らせれば42%増します。

さらに75歳まで繰り下げ出来るようになるって話もありますしね。そうなればさらに受給額を増やすこともできます。

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