議決権行使書を出さないとどうなるのか?罰則やデメリットはある?

株を買って株主になっていると送られてくる書類がいくつかあります。

株主総会に招集する案内である(参加できる)「株主総会招集通知」、決算内容がわかる「決算関係書類」、配当金の金額がわかる「配当金計算書」、「株主優待」など。

多くの場合、招集通知と一緒についてくるのが「議決権行使書」です。

簡単に言えば株主総会で決議が必要な事項について株主総会に参加できない人は賛否を事前に送っておいてくださいという書類ですね。

敵対的買収が行われる際なんかには大きな話題になる書類でもあります。

実は招集通知などの書類を作ってたことあるんですよ笑

先日、少し前から株を始めた知人から議決権行使書って送らないとなんか罰則あるの?という質問をもらいました。

同じ疑問を持っている方も見えるかもしれませんので今回は議決権行使書を出さないとどうなるのかについて解説していきたいと思います。

結論から言えば

議決権行使書を出さなくても罰則はない。
しかし、デメリットが生じる可能性がある
です。詳しく見ていきましょう。

議決権行使書とは

議決権行使書は前述したように株主総会で決議が必要な事項について株主総会に参加できない人は賛否を事前に送っておいてくださいという書類です。

ちなみにこちらは株だけの話ではありません。

例えば私は社会保険労務士の資格を持っていますが、毎年社会保険労務士会から同様の書類が届きます。

やってることは株主総会と同じで決議が必要な事項について総会に参加できない人に事前に申請をしてもらっているのです。

また、マンションの管理組合なんかも同じような仕組みをとっているところが多いですね。

それでは議決権行使書を出さないことの影響はどのような点にあるのかを見ていきましょう。

まずは大前提となる株主総会で決議される仕組みを簡単に解説します。

普通決議

取締役の選任、監査役の選任、利益処分の方法や内容など会社法や定款などに特別の定めがない通常の決議は普通決議で行われます。

普通決議は議決権の過半数を有する株主が出席(議決権行使書を含む)し、出席株主の議決権の過半数の多数決議されます。

特別決議

会社にとってちょっと大きな事項を決議される際は特別決議が行われます。例えば株式の併合や資本金の減少などですね。

特別決議は議決権の過半数を有する株主が出席(議決権行使書を含む)し、出席株主の議決権の3分の2以上の多数決議されます。

特殊決議

さらに会社にとって大きなことが決議されるのは特殊決議です。

例えば吸収合併などですね。

こちらは議決内容によって2つのパターンになっています。

議決権の過半数を有する株主が出席(議決権行使書を含む)し、出席株主の議決権の3分の2以上の多数決議されるものと、総株主の半数(議決権行使書を含む)であって、総株主の議決権の4分の3以上の多数で決議されるものです。

前者は通常の特別決議と同じですね。

後者は株主ごとに異なる権利内容を設ける場合の定款変更がそれにあたります。


議決権行使書が集まらないと決議できない

今まで見てきたように株主総会で決議するためには一定の投票数が必要なのです。

もし、株主総会で出席者が議決権の半数(議決権行使書を含む)を集められなければそもそも議決ができないのです。

そうなれば会社の意思決定が遅れることになりますから、株主側にも間接的なデメリットは発生する可能性があります。

上場企業でもしそんなことになれば当然株価は下がるでしょうしね。

普通は大株主が参加しないとかいうようなことがなければそんなことにはなりません。

ただ、個人株主が大半の会社だと議決権行使書を集めるのがけっこう大変だったりしますが・・・

そのため、最近ではインターネットで簡単に議決権行使できるような仕組みを導入している企業もありますね。

私は会社員時代、招集通知を作って議決権行使書を集める立場だったので「出してほしい」って切実に思ってました(笑)

議決権行使書を出さないと株主優待を渡さないぞという企業も

また、議決権行使書を出すことが株主優待を出す条件としているところもあったりします。

実際に議決権行使書や招集通知の案内と一緒に「議決権行使書を出した方に株主優待を進呈します」と書かれていたこともあります。

前述のように議決権の半数を集めるための苦肉の策なのでしょう。

議決権行使書を出さなければ株主優待がもらえないという事になってしまいます。

もし、そうなればかなりのデメリットが・・・

株を持っている会社から届いた書類はちゃんと目を通しておきましょうね。

前は株主優待の条件が議決権行使書の提出という企業はそれなりにありましたが、最近はほとんど聞かなくなりましたね。

議決権行使書を出すとメリットを提供(隠れ株主優待)

最近はむしろこちらが多くなっています。

「議決権行使書を出した方に株主優待を進呈します」というやり方ではなく株主優待は全く別で「議決権行使書を提出された方にプレゼントを提供します」という隠れ株主優待を提供しているパターンです。

中にはクオ・カードなど実用的なものも提供されている会社もありますから結構大きいんですよ。

株主総会に参加した際に提供されるお土産と同じようなものですね。

それだけ議決権の過半数を集めるのが大変なんでしょうが・・・

注意:議決権行使書と株主優待が同封されているケースも

また、議決権行使書と株主優待が同封されているケースも多いですので気をつけましょう。

見ずにそのまま捨ててしまと株主優待も放棄してしまうことに・・・

特に株主優待が金券だったり、割引券だったりと紙のタイプのものは一緒に同封されてくるケースが多いです。

私も何度かやらかしてしまっています・・・


まとめ

今回は「議決権行使書を出さないとどうなるのか?罰則やデメリットはある?」と題して議決権行使書についてみてきました。

まとめると以下のとおりです。

議決権行使書を出さなくても罰則はない。
しかし、議決権が集まらず決議されないことで起こる間接的なデメリットがある。
また、議決権行使書の提出が株主優待の提供の条件となっているケース、議決権行使書を提出するとプレゼントがもらえるケースもあるので出しておくに越したことはない
つまり、議決権行使書を出さなくても罰則はない。しかし、デメリットが生じる可能性があるということです。

議決権行使書って大層な名前となっていますので、大変そうですが書類自体は賛成か反対かに丸をつけて提出するだけです。

極力協力してあげましょう。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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