報道に騙されるな!!GPIFの公的年金の積立金運用はうまく行っている。むしろ投資家は見習うべき

公的年金の積立金の管理・運用を行う機関のGPIF(年金積立管理運用独立行政法人)が2019年度(2019年4月〜2020年3月)、2020年1月〜3月の運用実績を発表しました。

2019年度は収益率-5.2%(-8.3兆円)2020年1月〜3月は収益率-10.71%(-17.7兆円)と大きなマイナス。

特に外国株式と国内株式が足を引っ張った感じですね。

この数字だけを見るとかなり厳しい数字です。

特に2020年1月〜3月が過去最大のマイナス幅となります。

当然のことながら新型コロナウィルスの影響を大きく受けた形。

これを受けてテレビ、新聞、雑誌、WEBメディア、などがこぞってこのマイナスを大きく報道しています。

GPIFがマイナスを計上すると毎回そうですが、年金を溶かした的な報道や年金が破綻するって話までされている状況です。

テレビに出ている自称経済評論家の中には日銀がETF買う話と混同している方まで・・・

ほらみたことか、株なんかで運用するからだ・・・ってニュアンスがかなり多く感じられますね。

たしかにこの期間だけをとればマイナスなのは事実なのですが、完全なミスリードな報道なんですよ。

今回はこれら報道の何が問題なのか、

GPIFの公的年金の積立金運用はうまく行っている。むしろ見習うべきという話を見ていきます。

長期的に見ると57兆円稼いでいる

GPIFの過去から運用実績
GPIFの過去から運用実績

出所:年金積立管理運用独立行政法人 2019年度業務概況書より

まずは今回の報道は完全な切り取り型のミスリードであることを考えてみましょう。

実は過去からの累計で見るとGPIFは株などを運用して2020年3月までで+57兆5,377億円の利益を稼ぎ出しているのです。

今回の新型コロナウィルスでのマイナスになりましたので収益が少し減ったに過ぎないのです。

運用開始以来の収益を年率で見ても2.58%となかなかの数字となっています。(名目賃金上昇率を差し引いた実質的な運用利回りでも2.39%

国民の年金を株で運用するのはけしからん!!という自称経済評論家の方はこの数字をどう考えているのでしょうか・・・

そのまま銀行で預けていたりしたら雀の涙ほどしか収益は稼げてないでしょう。


3月は新型コロナウィルス暴落の底だった

また、今回発表されたデータは2020年3月までのものです。

株は新型コロナウィルス関連で大きく下げましたが、その底となったのは2020年3月下旬なんですよ。

具体的にはNYダウが3月23日、日経平均は3月19日に底となっています。

そこから大きく反発していますので当然、GPIFが運用する公的年金の積立金も大きくプラスとなっているはずです。

つまり、切り取るタイミングが悪い発表だっただけなんですよ。

日米を代表する株式指標で見てみましょう

NYダウの推移

米国を代表するNYダウが最高値をつけたのは2020年2月12日です。(史上最高値)

そこから底になるのは3月23日です。

2/12:29,551.42→3/23:18,951.93(終値ベース)

1ヶ月ちょっとで10,599.49も下げているのです。

36%近く下げているのです。

しかし、そこから

3/23:18,951.93→7/2:25,826.36(終値ベース)

2/12の高値は更新できていませんが、3ヶ月ちょっとで6,874,43も上げています。

36%近くの上昇ですね。

日経平均の推移

日経平均も似たような推移です。

日経平均は直近の高値となったのは1/20でした。

そこから底になるのは終値ベースだと3月19日です。

1/20:24,083.51→3/19:16,552.83(終値ベース)

こちらも2ヶ月ちょっとで7,530.68円も下げています。

こちらも31%近くの下げとなっています。

しかし、

3/19:16,552.83→7/3:22,306.48(終値ベース)

こちらも1/20の高値を更新するところまではいけていませんが、5,753.65円の上げとなっています。

こちらも34%近くの上昇です。


GPIFはどんな運用をしているのか?

それではGPIFはどのような運用をしているのでしょうか?

分散投資、長期投資をベース

基本的な考えはインデックス投資です。

分散投資、長期投資が基本ベース。

具体的には

ア.特性の異なる複数の資産に分散して投資を行うという「分散投資
イ.長期的な観点から基本となる資産構成割合を決めて、これを維持するという「基本ポートフォリオの策定・管理

とされています。

ある意味理論的にも理想的な投資方法ですね。

目標とするリターン

GPIFは具体的にどの程度のリターンを取るのかを中期的に定められています。

具体的には

長期的に年金積立金の実質的な運用利回り(年金積立金の運用利回りから名目賃金 上昇率を差し引いたもの)1.7%を最低限のリスクで確保すること」

つまり、実質的な運用利回り1.7%を確保することが目標なんですね。

現在の実質的な運用利回りが2.39%ですから目標は大きく上回っている状況なのです。

基本ポートフォリオは4資産分散投資信託に近い

GPIF基本ポートフォリオ2020年3月
2020年3月運用資産額、構成割合

出所:年金積立管理運用独立行政法人 2019年度業務概況書より

2020年3月時点の基本ポートフォリオは以下のとおりです。

  • 国内債券35%+-10%
  • 国内株式25%+-9%
  • 外国債券15%+-4%
  • 外国株式25%+-8%

60%を国内資産、40%を外国資産、株が50%、債券が50%という形ですね。

2020年4月からの基本ポートフォリオ

ちなみに2020年4月からは以下のような基本ポートフォリオとなります。

国内債券の比率を下げて外国債券の比率を上げています。ただし、すでに上記の図の外側を見る限りこれに近い形で運用されていたようです。

  • 国内債券25%+-7%
  • 国内株式25%+-8%
  • 外国債券25%+-6%
  • 外国株式25%+-7%

ちょうど4資産分散タイプの投資信託とほぼ同じですね。

GPIFの投資を個人投資家が真似るのは容易

GPIFのサイトを見るとかなり難しい言葉が並んでいてどうしてこのような投資比率になっているのかが発表されています。

なんだか難しそうですね。しかし、個人投資家でもGPIFの投資をマネをすることはかなり容易なんですよ。

上記の比率になるようにインデックス投資信託を分散すればGPIFとほぼ同じアセットアロケーションで投資が可能。

それが面倒な方では大和証券投資信託の「iFree年金バランス」というGPIF基本ポートフォリオをベンチマークとする投資信託や4資産分散タイプの投資信託を買えばGPIFと似たような投資構成となるはずです。

ですから信託報酬の差等はあるでしょうが、基本的にGPIFと同じようなリターンを実現が可能となっています。


まとめ

今回は「報道に騙されるな!!GPIFの公的年金の積立金運用はうまく行っている。むしろ投資家は見習うべき」と題してGPIFの運用を巡っての報道について考えてみました。

このようにテレビで専門家が語っていることでも実際は全然違ったり、捉え方を間違えやすいケースが多いですからお気をつけくださいね。

実はGPIFは理想的な運用を行って公的年金の積立金を増やしてくれているんですよ。

むしろ、GPIFの運用方法こそ個人投資家は見習うべきでしょう。

特にiDeCoやつみたてNISAといった長期投資向けの制度はGPIFのような投資方法が向いていますので参考にしてみてください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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