最近日本でも個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)が会社員に開放されたりつみたてNISAがはじまったこともあり、インデックス投資の人気が高まっています。
インデックス投資を行うのは他の株式投資法と違い特別な才能はいりません。必要なのは経済成長を信じ買いつづけることだけです。過去の実績であれば勝率もリターンも大きくなります。
しかし、それだけでお金持ちになれるのでしょうか?
今回はインデックス投資だけでお金持ちになれるのか?について考えてみましょう。
インデックス投資とは
インデックス投資を知らない方もいるでしょうからまずはインデックス投資とはなにかというところから見ていきましょう。
インデックス投資とは日本の日経平均、TOPIX、アメリカのダウ平均、S&P500のようなインデックス(株価指数)に連動する動きを目指す投資法のことです。例えば日経平均ならばそのままですが日本の株式市場の平均値です。それと同じ連動を目指しますので経済成長を信じる感じの運用方法ですね。つまり、市場平均を目指す運用方法です。
一般的にはそれらの指数ごとにインデックス投資信託がありますのでそれを買うことで実現します。
アクティブ対インデックス
インデックスの逆の運用方法が「アクティブ」です。アクティブは平均を目指すのではなく平均値に勝つことを目指す運用方法です。
これだけを聞くとアクティブのほうが良さそうですよね。平均値に勝つことを目指すのですから・・・
しかし、ポイントはあくまで目指すだけなのです。実際に平均を上回るアクティブ投資信託はそれほど多くはありません。一時的に上回っても長期的な観点から見ると負けてしまうケースが多かったりします。これは手数料の負担が大きいためです。
インデックスの場合には平均を目指すだけですから機械的な運用が可能です。つまり、インデックスは運用にお金がかかりにくいのです。対してアクティブは市場平均に勝つためにファンドマネージャーが頑張らなければなりません。そうなればそれ相応の費用がかかりますよね。それらが手数料に跳ね返ってきているのです。つまり、アクティブは運用にお金がかかるのです。
投資を初めて始める方がハマってしまうのがこのアクティブの罠です。銀行などは自行が得られる手数料が大きいことからアクティブ投資を勧めるんですよね。平均値に勝つことを目指す運用方法と言えば受けが良いのもあるでしょう。
先日、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、りそな銀行といった大手銀行が発表した共通KPIの記事、ファンドラップを買っては駄目という記事を書いたところ銀行員と思われる方から怒りのメッセージがありました。内容を簡単に言うと「共通K[…]
インデックス投資だけでお金持ちになれるのか?
それではインデックス投資だけでお金持ちになれるのかについて考えてみましょう。
お金持ちの定義
そもそもお金持ちとなどのような人を指すのでしょう。下記は野村総合研究所が2016年に公開した資料です。この資料だと世帯の純金融資産が3000万円未満がマス層。3000万円以上5,000万未満がアッパーマス層。5000万円以上1億円未満を準富裕層。1億円以上5億円未満が富裕層。5億円以上が超富裕層と定義しています。
出所:野村総合研究所 「日本の富裕層は122万世帯」より抜粋
一般的にお金持ちは富裕層を指すケースが多いですから資産1億円以上がお金持ちと定義されていることになります。日本には2015年時点で7.3万世帯の超富裕層と114.4万世帯の富裕層がいるということになります。意外といるんですよね。
資産1億円をインデックス投資で達成するには
それではお金持ちの定義である資産1億円以上をインデックス投資で実現しようとすればどれだけの期間や金額で運用すればよいのでしょうか。
これは年金終価係数や減債基金係数で計算すればわかります。年金終価係数は毎年一定金額を積立いていく場合、将来の積立総額(元利合計)の計算に利用します。減債基金係数は将来の一定期間後に目標金額を得るために、毎年の積立額の計算に利用します。先に目標金額を決めてやる場合は減債基金係数。先に積立金額を決める場合には年金終価係数って感じですね。
例えば1億円を実現するためのパターンをいくつかシュミレーションしてみましょう
年率3%で40年積立
この場合、年利3%の場合には年130万円の積立てを行えば40年後には1億円を達成することができます。月に換算すれば108,333円となります。積立てた金額の元本は5千2百万円ですから40年でほぼ倍になった計算となります。
ちなみに利回り3%というのは現実的な数字です。例えば国民年金などを運用している日本最大の運営機関であるGPIFの過去からの年あたりの平均収益率がそれくらいとなっています。リーマンショックなどの時期を含めてもこれだけで運用できているんですよね。GPIFはアセットアロケーションを公開していますのでそれを真似していればこれくらいの収益率が得られたことになります。
年率7%で40年積立
それでは年7%で回せた場合にはどうでしょう?この場合は年50万円の積立てを行えば40年後には1億円を達成することができます。月に換算すれば41,666円となります。積立てた金額の元本は2千万円ですから40年で5倍になった計算となります。
7%なんて現実的ではないじゃないか?って思われる方もいるかもしれません。しかし、実はそうでもありません。アメリカを代表する企業の株式指標であるダウの過去からの平均的利回りは7%くらいなんですよね。リーマンショックやいろいろなショックを含んでもこれだけ成長しているのです。
年率3%で20年積立
つみたてNISAの期限である20年で見たらどうでしょう。まずは3%からです。この場合には年370万円の積立てが必要となります。つみたてNISAは年間40万円までですからこれだけでは到底1億円には到達できないことがわかると思います。
年率7%で20年積立
それではダウの平均利回りの7%で20年を回したらどうでしょう。この場合でも年240万円の積立て投資が必要となります。月にすれば20万円です。こちらもつみたてNISAの上限はかなり超えてしまいますね。
時間と投資額と運用利率が重要
つまり、インデックス投資でお金持ちの基準である1億円を達成するには時間と投資額と運用利率の3つが大事であることがわかっていただけたと思います。
例えばまだ若く時間が充分にある方は投資期間がそれだけ長くとれますので投資額をいかに増やすのかと運用利率をどれだけを目指すのかを考えます。この場合には1億円を達成するのはそれほど難しくありません。
ある程度の歳にすでになっている場合には投資期間があまり取れないでしょうから、そのあたりを考えて目標を決めましょう。無理に1億円を目標としても投資額が多くなりすぎて生活が苦しくなったり、無理な運用利率を目指してリスクが高くなっても意味はないですしね。この場合には実現するためには投資額を増やせるだけの入金額を増やすことが重要でしょうね。仕事を頑張るのもそうでしょうし、転職する、起業する、副業するなどもいいでしょう。元の資金を増やすことが重要となります。
高齢者のほうがアクティブ投資の比率が高くなっているのはこのような部分が大きいのかもしれません。
詳しくは下記の個人型確定拠出年金(iDeCo)の統計資料を御覧ください。
久しぶりに運営管理機関連絡協議会の確定拠出年金の統計データが更新されました。前回発表されたときは預金や保険を選択する人が圧倒的に多く投資信託が35%しかいないというかなり衝撃的なデータでしたね。詳しくは下記記事を御覧ください。[[…]
税金も考えよう
今のシュミレーションはあくまで机上のお話です。運用利率によって大きく変わってきます。
また、もう一つ考えなくてはいけないのが税金の影響です。利益がでればそれだけ税金が課金されるのです。
現在の証券税制では20%が取られますのでそのあたりは加味してシュミレーションをしておかないといけませんね。(今回は未考慮)
非課税の投資をうまく活用する
それでは少しでも税金面の影響を減らすにはどうしたらいいのでしょうか?
それは簡単です。非課税でできる投資をうまく活かせばよいのです。
今日本では貯蓄から投資へというスローガンの元投資を活発にするための有利な投資制度がいくつか用意されています。
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)
つみたてNISA
NISA
ジュニアNISA
などです。特に個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)とつみたてNISAはインデックス投資用に設計されていますので始めるのには最適ですね。
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)
まずいの一番に検討したいのがこのサイトでも何度もご紹介している個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)です。2017年から自営業やフリーランスだけでなくサラリーマンや公務員にも開放され知名度があがったので知ってる方も多いかもしれません。
この制度は老後資金を作るために非常に有効な方法です。
こちらは掛金が全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象になります。それにより所得税や住民税の節税をすることができます。また、運用時は非課税です。
また、貰うときも一時金として貰えば退職金控除、年金として貰えば公的年金等控除が受けられますから有利に受け取ることができます。
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)について詳しくは下記のページを御覧ください。
日々の生活でなかなか貯金できない方、投資に回すお金なんてないって方も多いかもしれません。しかし、なにより優先すべきと私が考えるのが個人型確定拠出年金、通称iDeCo(イデコ)です。iDeCoは月に5,000円から始めることが[…]
つみたてNISA
もう一つがつみたてNISAです。こちらも毎月(毎日や毎週も設定できる証券会社もあります)決まった金額を預金口座から引き落とし設定した投資信託を買う仕組みです。
(年間40万円まで)
つみたてNISAは20年間は非課税で運用することができます。個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)と似た制度ですが大きく違う点としていつでも引き出せる点があります。そのため強制力としてはちょっと弱めですがいざという時に使える安心感はありますよね。
そのかわりに個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)であった掛けた金額が所得控除の対象というのはありません。
つみたてNISAについて詳しくは下記のページを御覧ください。
2018年からつみたてNISAなる制度がはじまりました現状のNISAは2014年からはじまっていますので4年たって改良された感じです。それではつみたてNISAは現状のNISAとどのように違うのか?積立NISA[…]
まとめ
今回は「インデックス投資だけでお金持ちになれるのか?」と題してインデックス投資について考えてみました。時間と投資額と運用利率が揃えば充分インデックス投資だけでもお金持ちの水準まで資産を増やすことができることがわかっていただけたと思います。
ただし、時間がもうそれほど無い方はちょっとリスクをとって運用利率を高くするのか、投資額を増やすしか難しいこともわかっていただけたと思います。どうしても運用利率を高くすればリスクも上がりますからあまりインデックス投資の意味がなくなってしまう感はあります(そもそもインデックス投資で高運用利率を目指すのは難しい)。そのため投資額を増やす、つまり投資に回すお金を用意する必要があります。そのあたりも考えておきましょう。
もちろんインデックス投資だけでお金持ちになる必要はありませんので他の投資や労働の対価なんかも併用しつつお金持ちを目指したいところですね。
また、インデックス投資はなにも株価の暴落に強いわけでもないことは知っておきましょう。
最近、株価が下がり気味で、為替もかなり動いています。それもあるのか、ちょっと違和感を感じる発言をブログやツイッターなどネットで見ることが多くなってきています。それが「株価暴落対策はインデックス投資で安心」的なやつです。[…]
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)に加入するならこの5社から選ぼう
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)を始めるならまずは金融機関を決める必要があります。
しかし、たくさんあってどこにしたらよいのかわからない方も多いでしょう。
簡単に決めてしまう方もおおいかもしれませんが、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)の場合、金融機関ごとの違いがとても大きいですから慎重に選びたいところです。
私が今もし、新たに加入するならSBI証券、マネックス証券、松井証券、大和証券、楽天証券の5択の中から決めます。
(※私が加入しているのはSBI証券です)
この5つの金融機関は運営管理機関手数料が無料です。※国民年金基金連合会の手数料等は各社共通で掛かります。
また、運用商品もインデックスファンドを中心に信託報酬が低い投資信託が充実しているんですよ。
順番に見ていきましょう。
SBI証券
まずイチオシはSBI証券「個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)」です。
SBI証券は信託報酬も最安値水準のeMAXIS Slimシリーズを始めとしたインデックスファンドから雪だるま全世界株式、ひふみ年金、NYダウ、グローバル中小株、ジェイリバイブといった特徴ある投資信託をたくさん揃えているところが最大の魅力です。
選択の楽しさがありますよね。
また、確定拠出年金を会社員に解禁される前から長年手掛けている老舗である安心感も大きいですね。
SBI証券は運営管理手数料が無条件で0円ですし、なにより運用商品が豊富で選択の幅が広いです。現状最強のラインナップを誇ることになります。
また、他の証券会社に先んじて確定拠出年金の取扱をはじめてますから安心感が強いですね。
マネックス証券
次点はマネックス証券 iDeCoです。
こちらも後発ながらかなりiDeCoに力をいれていますね。
iDeCo初でiFreeNEXT NASDAQ100 インデックスを取扱い開始したのに興味をひかれる人も多いでしょう。
マネックス証券はeMAXIS Slimを多く取り扱っており、信託報酬がほとんど最安値水準でスキがありません。また、iDeCoでいち早くiFreeNEXT NASDAQ100 インデックスの取り扱いをはじめたところも大きなポイントになりますね。
松井証券
松井証券のiDeCoは35本制限まで余裕があるというのは後発の強みですね。
その35本制限までの余裕を生かして他社で人気となっている対象投資信託を一気に採用して話題になっていますね。
こちらも有力候補の一つですね。
2020年10月18日から取り扱い商品が大幅拡充されました。
人気となっているeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)や楽天・全世界株式インデックス・ファンドなども採用され最強ラインナップといっても過言ではない充実ぶりですね。
大和証券
大和証券 iDeCoは大手証券会社でありながら、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)にもかなり力を入れています。
他のネット証券と違い店舗が全国各地にたくさんあります。そこに魅力を感じる方にはおすすめできますね。
また、取扱商品もダイワつみたてインデックスシリーズなど信託報酬が安めの商品を取り揃えています。
運営管理機関手数料が無条件で無料ですし、商品も充実したことで選択肢となりえる金融機関になりましたね。中国株、ロシア株、ブラジル株のファンドへ投資できるなど特徴的な商品があるのが他との差別化要因かな。あとはiFreeシリーズ、とくに米国株さえ入れば十分に他と競争できると思いますので期待したいところです。
楽天証券
楽天証券は楽天・全世界株式インデックス・ファンドや楽天・全米株式インデックス・ファンドといった自社の人気商品の取扱が大きなポイントとなっています。
この2つのファンドは人気ですね。
楽天証券は楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド、楽天・S&P500インデックス・ファンド、楽天・全世界株式インデックス・ファンド、楽天・全米株式インデックス・ファンドといった楽天ブランドの人気商品の取扱が大きなポイントとなっています。今後は楽天SPUの対象になったりしたらかなり面白い存在ですね。
総合して考えるとこの5つの金融機関に加入すれば大きな後悔はないかなと思います。
他の運営管理機関もぜひがんばってほしいところですが・・・
つみたてNISAに加入するならSBI証券が有力
つみたてNISAは個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)ほど証券会社の差はありません。
選ぶ際のポイントは取扱商品と注文の仕方です。
SBI証券
SBI証券もクレジットカードでの購入等はできませんが、商品ラインナップや注文の仕方などは一番優れていますので楽天カードを使っていない方には筆頭候補となるでしょう
なにより注文の自由度がかなり高いのがいいですね。
SBI証券の資料請求等はこちらから
SBI証券は商品ラインナップや注文の仕方などが優れています。
また、三井住友カードとの連携で投資信託購入でのポイントが貯まるのも嬉しい。
ネット証券開設するなら持っておきたい口座の筆頭でしょう。
読んでいただきありがとうございました。
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