日産とホンダの合併を政府が目論むも失敗報道。なぜ政府は両社の合併を勧めたのか?

ファイナンシャル・タイムズがかなり興味深い報道をしています。

日本政府が日産自動車とホンダを合併させようと試みたけど失敗したというのです。

日本政府当局者は今年に入って、日産自動車とホンダに合併を協議させようと試みたが実現しなかった。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が事情に詳しい複数の関係者の話を引用して伝えた。同案が両社に最初に持ちかけられたのは2019年末だったが、取締役会に達する前に拒否されたという。

日産とホンダ、首相官邸はコメントを控えた。

出典:Bloomberg

今回の合併は結局失敗に終わりましたが、日産自動車は歪な資本構成になっていますし、業績も厳しいため今後もこのような話がでてきそうですね。

今回は日産とホンダ合併失敗に絡んで日産自動車の今後について考えてみたいと思います。

ルノーからの脱却

今回の合併を日本政府が目論んだのには大きく2つの意味があったと思われます。

いちばん大きな目的はルノーからの脱却でしょう。

現在、日産の資本構成はかなり歪な形となっています。

日産よりも売上規模が小さいルノーが日産株43.4%(2020年3月末時点)を保有し筆頭株主となっているのです。(日産も議決権はありませんが15%のルノー株を保有)

さらに日産は三菱自動車の株を34.03%(2020年3月末時点)を保有し筆頭株主となっています。

これでルノーを中心とした日産、三菱自動車の3社アライアンスを組んでいます。

逮捕されたカルロス・ゴーン氏はルノー出身で日産、三菱とルノーの経営統合を目指していたとも言われています。

ルノーの筆頭株主はフランス政府

さらに歪なのがルノーの株主です。

ルノーの筆頭株主はフランス政府なんです。

フランス政府が人事などルノーの経営にかなり関与しているんですよ。

つまり、このまま日産自動車と三菱自動車がルノーと経営統合すれば下手すれば日本企業からフランス企業になりかねないような状況だったんですね。

日本政府としては日産がフランス企業になってしまうのは避けたいと考えるのは当然なのかもしれません。

ただし、逆に言えばフランス政府は日産が欲しいでしょうから、もし話が進んだとしてもルノー側が今回の合併を簡単に容認したとは思えませんけどね。


日産業績悪化の救済

日産はかなりの業績不振に陥ってます。

カルロス・ゴーン氏の逮捕によるイメージ悪化や新車開発への投資が滞っており、各モデルが高齢化したことで販売不振。

値引きしないと売れない→値引きすることでブランド価値低下→さらに値引きしないと売れない。という悪循環化していたのです。

高配当株として有名でしたが無配当化したことでも話題になりましたね。

三菱やルノーも業績がよろしくありません。

また、三菱、ルノー2社とのアライアンスもあまりうまく行っていなかったようです。

ですから今回の話は日産や三菱の救済という部分も大きいでしょう。

新型コロナウィルスでさらに業績悪化

ちなみに今回の話は2019年末に持ちかけられたとのことですが、その後、さらに追い打ちを掛けるように新型コロナで業績がかなり厳しい状況となっています。

下記は自動車メーカーの第一四半期の決算情報です。

他の国内自動車メーカーも悪化していますが、特に日産と三菱は厳しい状況なのがわかりますね・・・
※スマートフォンの方はスクロールしてお読みください。

2020年4月〜6月期 売上高 前年同期比 営業利益 前年同期比
トヨタ 4兆6,007億円 -40.4% 139億円 -98.1%
ホンダ 2兆1,237億円 -46.9% -3,661億円 赤字転落
日産 1兆1,742憶円 -50.5% -1,539憶円 赤字転落
スズキ 4,822億円 -53.1% 13億円 -97.9%
スバル 4,580億円 -49.3% -157億円 赤字転落
マツダ 3,766億円 -55.6% -452億円 赤字転落
三菱 2,296億円 -57.2% -533億円 赤字転落

ちなみに今話題の電気自動車メーカーテスラの同期間の業績はこちらの記事を御覧ください。

売上規模は小さいですが営業利益ではトヨタを上回っていますね。

ルノーの業績悪化でチャンス?

ちなみにルノーも上期決算は純損益が9,010億円(72億9,200万ユーロ)のマイナスと過去最高の赤字となっています。

ルノーの経営状況がかなり厳しいですからある意味、日産をルノーから引き離すよいチャンスであるとも言えるかもしれませんね。

ルノーの業績が悪ければ条件次第によっては日産株を手離してくれる可能性が出てくるのでしょうからね。

ホンダにメリットはあるのか?

今回の合併話はルノーからの脱却や日産の救済の意味合いが強いと思われますが、ホンダ側にメリットはあったのでしょうか?

昨今、自動車に求められることが急激に変化しています。

CASE(コネクティッド、自動化、シェアリング、電動化)と呼ばれる新技術への対応なんかはその代表例でしょう。

テスラがトヨタの時価総額を超えたなんて話はその部分が大きいですね。

また、ヨーロッパなどでの排ガス規制なんかの対応もかなり大変だという話をよく聞きます。

つまり、まったく新しい分野での研究開発がこれからさらに重要になってきます。

そうなると自動運転で進んでいると言われる日産自動車と組むことはホンダにとってもメリットはなくはないのです。

ただし、ホンダは今までトヨタや日産と違い、あまり他社と組んでいません。

独自路線で戦っていた企業です。

今まで独自で戦ってきた企業が子会社化ならまだしも、政府主導でライバル企業と合併となるとなかなかYESとは言いにくいのは当然でしょうね。

日産自動車は今後どうなる?

今回のホンダと日産の合併の話はうまくいかなったようです。

しかし、日産自動車のフランス企業化の問題はそのままとなっていますし、新型コロナでさらに業績は悪化しています。

ですから今後も同様の話が出てくる可能性はありそうです。

ただし、日産自動車の規模になると自動車業界ではトヨタかホンダくらいしか合併とはなりにくいでしょうから、他業界も含めて合併などの話は出てくる可能性はありそうですね。

今後、自動車の家電化が加速する可能性も言われていますからITや電機メーカーあたりが特に注目ですね。

ソニーなんかはCES(ハイテク見本市)で電気自動車の試作車を公開していますしね。


まとめ

今回は「日産とホンダの合併を政府が目論むも失敗報道。なぜ政府は両社の合併を勧めたのか?」と題して日産とホンダの合併話をみてきました。

今回の話は流れましたが日産自動車・三菱自動車を巡っては今後の同様の話が出てくる可能性はあるでしょう。

注目しておきたいところですね。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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