新総理がほぼ菅官房長官に決まりそうな情勢となってきました。
そこで気になるのが菅総理大臣の考えです。
先日、出馬会見が開かれましたし、テレビにも出演をされていました。
そこで気になったのが携帯電話料金引き下げに対する熱意です。
他の話のときと違いかなり熱を帯びて話されていました。
ということはかなり本気だと思われるのです。
そこで今回、実際に菅新総理が携帯電話料金が引き下げを行った場合に携帯電話大手3社(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク)の業績はどこまで下がるのか?について考えて見たいと思います。
結論から言えばかなり大きな業績悪化となるでしょう。※今回の話はイメージを掴むためのものでかなり大雑把な計算となりますのでご了解ください。
菅総理大臣の考える携帯電話の適正料金
菅氏の携帯電話料金に対しての発言でのポイントは2つありました。
- 4割程度引き下げる余地がある。
- 営業利益20%は高すぎる
とくに大きいのが営業利益の話でしょう。(4割程度引き下げは営業利益から逆算した話だと思われます)
国民の共有の財産である電波を使って商売しているのに営業利益20%は高すぎる。
電力会社は営業利益10%程度で利用者に還元している。
通信会社も同様にすべきだ。。。っという主張です。
つまり、携帯電話会社の営業利益を10%程度まで抑えるつもりのようです。
今回はこの話をベースに今回の値下げ規模、それによる携帯電話大手3社の業績への影響を考えてみます。
携帯電話大手3社の営業利益率
それでは今回の話の前提となる携帯電話大手3社の営業利益率から見ていきましょう。
なお、営業利益とは本業での儲けだと思っていただければよいでしょう。
詳しくはこちらの記事を御覧ください。
NTTドコモの営業利益
まずはNTTドコモです。
2020年3月期
NTTドコモの2020年3月期の決算は以下の通り
営業利益854,650百万円△15.7%
2021年3月期第一四半期(2020年4月1日〜2020年6月30日)
一番直近の開示データでは以下のとおりです。
営業利益280,536百万円 +0.7%
営業利益8,800億円
KDDI(au)の営業利益
次はKDDI(au)です。
2020年3月期
KDDIの2020年3月期の決算は以下の通り
営業利益1,025,237百万円1.1%
2021年3月期第一四半期(2020年4月1日〜2020年6月30日)
一番直近の開示データでは以下のとおりです。
営業利益290,718百万円 +13.7%
営業利益10,300億円
ソフトバンクの営業利益
次はソフトバンクです。
ちょっとややこしいですが、孫正義氏が社長のソフトバンクグループではなく、携帯電話の「ソフトバンク」(9434)の決算を見ていきます。
2020年3月期
ソフトバンクの2020年3月期の決算は以下の通り
営業利益911,725百万円 +11.4%
2021年3月期第一四半期(2020年4月1日〜2020年6月30日)
一番直近の開示データでは以下のとおりです。
営業利益279,947百万円 +4.1%
営業利益9,200億円
こちらの営業利益率は18.7%とこちらはちょっと低めに算定されています。
営業利益率が10%になるまで引き下げられたら・・・
もし、営業利益が10%程度になるまで引き下げられて営業利益以降の経費等がそのままだったらどうなるでしょう?
NTTドコモの営業利益が10%まで下げられたら
NTTドコモの2020年3月期の営業収益(一般的に言えば売上)を元に営業利益を10%まで落とされた場合を見てみましょう。
営業利益465,129百万円
株主還元
自己株式:300,000百万円
株式指標
PERも現在の株価2,908円からみれば27.6倍とそれなりに高くなりますね。
利益が減らされていますから当然ですが・・・
KDDI(au)の営業利益が10%まで下げられたら
KDDIの2020年3月期の営業収益(一般的に言えば売上)を元に営業利益を10%まで落とされた場合を見てみましょう。
営業利益523,722百万円
株主還元
自己株式:150,094百万円
株式指標
PERも現在の株価2,999円からみれば19.3倍とそれなりに高くなりますね。
NTTドコモよりはマシですが・・・
ソフトバンクの営業利益が10%まで下げられたら
最後はソフトバンクの2020年3月期の営業収益(一般的に言えば売上)を元に営業利益を10%まで落とされた場合を見てみましょう。
営業利益486,124百万円
株主還元
自己株式:68,709百万円
株式指標
PERも現在の株価1,382円からみれば24.9倍とそれなりに高くなりますね。
ソフトバンクは近々PO(公募増資・売出)を実施しますが、今回の菅氏の発言はかなり痛手となりそうです。
まとめ
今回は「菅総理大臣の肝いり?携帯電話料金引き下げで大手3社の業績はどこまで下がるのか?」と題して菅氏の肝いりである携帯電話料金の引き下げを営業利益10%程度実施されたら実際にどれだけ業績に影響を与えられるのかを見てきました。
かなり大きな影響があるのがわかっていただけたと思います。
私見
ただし、個人的な感想としては営業利益は人件費など様々な要素が加味されますし、3社とも携帯電話事業以外も行っていますので営業利益をターゲットとして基準を設けるのはちょっと違うかな・・・って思います。
やるとすれば携帯電話部門だけの売上総利益を基準とすべきだと思うのですが・・・
まだ、あくまで総理候補の一意見くらいですからどこまで実現するかはわかりませんけどね。ただし、菅氏の話には携帯電話料金のはなしだけはかなり熱が入っていましたのである程度の値下げは行われると思いますが。
また、もし大手3社の携帯電話料金の大幅値下げが実現すれば楽天や日本通信なども大きなダメージを受けそうです。格安SIMなどを使う必要が少なくなるからです。
最後まで読んでいただきありがとうございましたた。
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