株式投資に必須の知識?誰でも簡単に分かる損益計算書(PL)の読み方

このサイトでも時折、めぼしいIPO銘柄については財務分析を行っています。

財務分析は貸借対照表(BS)と損益計算書(PL)とキャッシュフロー計算書(CF)の財務3表及びビジネスモデルの分析が中心に行うのが普通です。

財務分析が自分でできるようになれば、その企業の経営状況や財務状況などが分かるようになりますし、粉飾決算などの怪しい数字にも気づけたりもします。

特にIPO銘柄は怪しい会社も多く混じっていますので、本当の意味でのIPO投資をされる方にとってはぜひ知っておきたい知識です。

抽選にあたってすぐ売る方はそこまで必要ないと思いますけどね。

また、財務分析ができるようになれば株式投資だけでなく、転職や就職先の状況がわかりますし、自社の分析もできるようになるでしょう。

今回はそんな財務分析の1つ損益計算書(PL)の読み方について見ていきたいと思います。

貸借対照表(BS)及びキャッシュフロー計算書(CF)の読み方はこちらをご覧ください。

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損益計算書の見方
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キャッシュ・フロー計算書の読み方

誰でも簡単に分かる損益計算書(PL)の読み方

損益計算書は前に読み方を解説した貸借対照表キャッシュフロー計算書と比較して読み方はかなり簡単です。

基本さえ押さえておけばそれで十分です。

株式投資だけのことを考えれば書き方や仕訳などのルールを知っておく必要はありません。

今回は株式投資をするための損益計算書の読み方に特化して見ていきたいと思います。

損益計算書(PL)とは

損益計算書とは別名Profit and Loss statement(PL)と呼ばれている書類で、企業の会社の収益力を見ることができます。

一定期間における費目別の収益(売上げ)と費用(経費)とを対照表示し、当期純損益がわかるようにまとめてあるのです。

貸借対照表はある時点の状況を見る表だったのに対して、損益計算書は一定期間における集計を見ることになります。

例えば3月決算ならば貸借対照表は3月31日時点の財産や借金が表記されることになります。

対して損益計算書は4月1日〜3月31日の間の売上げや経費の集計を見ることになります。

4半期決算なら3ヶ月、中間決算なら6ヶ月分の集計ということですね。

損益計算書概要

出所 中小企業庁:中小企業の会計31問31答より

それではもう少し細かく見ていきましょう。

損益計算書の作り

損益計算書は営業損益の部、営業外損益の部、特別損益の部にパートが分かれています。

一般的な損益計算書の作りでは縦に順番に表記される形となります。

上から順番に見ていくだけですか見方としてはかなり簡単ですね。

ちなみに下記の損益計算書は先日IPO時にいきなりテンバーガーになったHEROZのものです。

HEROZ損益計算書

出所 HEROZ 目論見書

HEROZの財務分析はこちらでまとめてありますので興味有る方はどうぞ

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HEROZ財務分析

営業損益の部

営業損益の部は本業の収益力をみるパートとなります。

いくら最終利益がたくさんでている会社でもこのパートが弱い企業の将来性はどうしても疑問視してしまうところがありますね。

売上高を見るポイント

売上高をみる際のポイントは過去との比較と同業他社との比較をすることです。

過去から売上高の伸びはどうだ

同業他社と比較してどうなのか

などです。

また、複数の事業をやっている会社の場合には部門別の売上げ高毎に過去との比較、同業他社との比較をするとよいと思います。

とくに怪しい新規上場企業(IPO)などは最近流行りのAIとかクラウドとかITとかをやってますよって大きくうたっているものの、実は売上げに占める比率はかなり少ないというケースも多くあります。

このあたりは部門別を確認しないとわからないところですね。

そういう株は上場時にお金を集めるのが目的の上場ゴールの会社も多いため上場後の業績に苦労して株価が上がらないケースがほとんどです。

売上総利益を見るポイント

次に確認したいのが売上総利益です。俗に言う粗利益ですね。

売上高から売上原価をひいたものです。

売上高ー売上原価=売上総利益

これをみると本業の商品力がわかります。

商品力が高い企業ほど売上総利益の割合(売上総利益率)が高くなるケースが多いです。

ただし、これはビジネスモデルの違いも大きいですから単純にこれだけで判断することはできません。

例えば株価がかなりあがった、「いきなりステーキ」などは粗利をかなり落として原価率を上げました。

その代わり回転率を上げて利益をあげる方法をとっています。

ビジネスモデルの違いだけですから売上総利益率が低いからどうだってものでもないってことなんですね。

ですから売上総利益(売上総利益率)も過去との比較と同業他社との比較が重要となります。

営業利益を見るポイント

次に営業利益です。

営業利益は本業の収益力を見ることができます。

これが高ければ高いほど本業が順調であるってことですね。

前述の売上総利益から経費に当たる販売費及び一般管理費を引いたものがこれにあたります。

売上総利益ー販売費及び一般管理費=営業利益

販売費及び一般管理費は人件費や家賃、広告宣伝費、試験研究費など事業に必要な経費が計上される項目です。

特に新規上場前にこの項目があがる企業が多いです。

これは上場時に必要な人材の確保や監査法人などへの支払いが膨れ上がるからです。

それらはほとんど一時的ではなく継続してかかる費用となりますので確認しておく必要がある項目でしょう。

営業外損益の部

営業外損益の部は本業以外の副業の収入や費用を支払ったりしたものが表される箇所になります。

ここで最も注目したいのが支払利息ですね。

経常利益を見るポイント

経常利益は前述の営業利益から本業以外で掛かった経費や収入をプラスマイナスしたものとなります。

企業はこの指標をもっともベンチマークとして経営をしているところが多いと多いですね。

営業利益+営業外利益ー営業外費用=経常利益

新規上場株式(IPO)を見るときに気をつけたいのが上場時のお化粧です。

投資家も経常利益の伸びや同業者比較をする方が多いためここに一時的な収益を入れることで嵩上げしているケースを良く見ます。

営業利益から極端に経常利益が増えている場合は要注意ですね。

あくまでも営業外収益ですから副業です。

よくあるのが補助金助成金収入などがここに多額に入っているケースや為替差益が入っているケースですね。

これらは一時的ですからその部分を加味して判断する必要があります。

また、支払利息にも注意が必要でしょう。

企業規模と比較して多額の利息を払っている場合などは調子が良いときはよいですが、業績が悪くなると途端に資金面が不安になったりするケースが多いです。

キャッシュフロー計算書や貸借対照表と併用してみてそのあたりは確認する必要があります。

特別損益の部

特別損益の部は特別な利益や損失をが表される箇所になります。

特別なもので急に利益や損失は単発のケースなのか今後も大きな影響を及ぼすものなのかを考える必要があります。

ここに入る項目としては例えば固定資産の売却益や災害による損失などがあります。

私はここがあまりに毎年のように出てくる企業はあまり良い状態でないと判断していたりもします。

損益計算書の読み方、チェックポイント

損益計算書を眺めただけではなかなかその企業がよいのか悪いのか判断するのは難しいと思います。

前述の項目別でもかきましたが、チェックするポイントはズバリ、過去との比較同業者の比較です。

また、数字そのものを比較するのではなく経営指標と言われる計算で出てくる数値を比較するのをおすすめします。

ここでは損益計算書を見るのに便利な指標をいくつかご紹介しましょう。

これらを過去、同業者と比較することで見えてくるものがあります。

売上高総利益率

売上高総利益率とは売上高を売上総利益利益で割ってパーセンテージで表したもので本業の商品力を見ることができます。

計算式は下記のとおりです。

売上高総利益率=売上総利益利益÷売上高✕100

この指標は何パーセントだとよいなどの比較は余り意味はありません。

過去との比較同業者の比較で見えてくるものがあります。

また、ビジネスモデルの違いもこの指標を見ることでわかるでしょう。

ここで気をつけたいのが急激に過去と比較して売上高総利益率が変化しているケースです。

その場合に、部門別を見て割合などの変化がなかったのかを確認してください。

そこに大きな変化がない場合には、最悪なケースとして循環取引など架空売上が計上されている可能性が疑われます。

(もちろんなにかしらの理由があるケースもあるでしょうが、その場合には決算書に記載されるのが普通です)

売上高営業利益率

売上高営業利益率とは売上高を営業利益で割ってパーセンテージで表したもので本業の収益力を見ることができます。

計算式は下記のとおりです。

売上高営業利益率=営業利益÷売上高✕100

この指標は何パーセントだとよいなどの比較は余り意味はありません。

過去との比較同業者の比較で見えてくるものがあります。

これが高ければ高いほど効率的にお金が稼げる会社ってことですね。

売上高経常利益率

売上高経常利益率とは売上高を経常利益で割ってパーセンテージで表したもので本業以外の部分も含めて会社の収益力をみることができます。

この指標をベンチマークとして経営している会社が多いです。

計算式は下記のとおりです。

売上高経常利益率=経常利益÷売上高✕100

この指標も何パーセントだとよいなどの比較は余り意味はありません。

過去との比較同業者の比較で見えてくるものがあります。

これが高ければ高いほど本業以外も含めて効率的にお金が稼げる会社ってことですね。

逆に低い場合にはどこに原因があるのかを見ておく必要があります。

まとめ

今回は損益計算書の基本的な読み方と見る際のポイントを見てきました。

損益計算書を読むことでわかることは

・その会社がどれだけ売上があり、どれだけ利益がでているのか
・その会社のどこに強みがあり、どこに問題があるのか

です。

しかし、粉飾もしやすいのが損益計算書ですがから、キャッシュフロー計算書や貸借対照表と併用することでより正確に把握することができるようになります。

とくにIPO銘柄は怪しい決算書がほんとうに多いですから見る目を養っておきたいところですね。

粉飾決算の件についてはこの本が詳しいですよ。

株式投資をやっている方はぜひ読んでおきたい本です。

読んでいただきありがとうございました。

損益計算書の読み方
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