住宅ローン控除対象拡大、退職控除の改正など令和3年度税制改正大綱の概要をわかりやすく解説

令和3年度「税制改正大綱」が発表されました。

税制改正大綱とは自民党、公明党の税制調査会を中心に翌年度以降にどのように税制を変えるべきかを話し合いまとめたものです。

これを元に国会に税制改正法案を提出する形となります。

現在、衆議院・参議院とも与党が過半数となっていますので、この税制改正大綱の方向に来年度の税制が進んでいくと思われる大変重要なものです。

今回は令和3年度税制改正大綱の中で特にこのサイトに訪れる方が興味ありそうなお金に関わりそうな内容を抜粋して見ていきましょう。

なお、iDeCoの改正、企業向けの改正はこちらで解説しています。

平成31年度、令和2年度の税制改正大綱についてはこちらの記事を御覧ください。

ほとんどこの通りに改正されていますね。

ワンルームも対象へ住宅ローン控除の改正

まずは住宅ローン控除です。

住宅ローン控除は消費税が8%から10%に増税されるときにその影響を少なくするために時限付きで特例が設けられていました。

それが延長される形となります。

また、制度利用の条件も緩和されます。

住宅ローン控除等の控除期間の特例を延長

住宅ローン控除は本来10年間です。

しかし、前述のように消費税が8%から10%に増税される際に住宅需要が大きく落ち込まないように時限付きで13年間控除が受けられる特例が導入されています。

ちなみに3年間分の控除が受けられると消費税増税の2%分くらいの金額となる計算となっています。

かなり大きいですよね。

その期限が新築は令和2年9月、それ以外は令和2年11月末までに契約した方まででしたが延長されるのです。

具体的には「新築(注文住宅)の場合は令和2年10月から令和3年9月末まで、それ以外の場合は令和2年12月から令和3年11月末までに契約した場合は令和4年末までに入居した方も特例の対象」となります。

つまり、特例が2年伸びたってことですね。

住宅ローン控除の条件が緩和:40平米以上へ

住宅ローン控除の対象となるには広さの条件がありました。

2年延長した部分についてはその広さ条件が緩和されます。

具体的には控除を受ける年分の合計所得金額1,000万円以下の者について床面積40㎡以上50㎡未満の住宅も対象とされます。

今までは50㎡以上が条件となっていましたのでこの改正でワンルームなどの購入も住宅ローン控除が使えるようになります。

※スマートフォンの方はスクロールしてお読みください。

現行 延長部分
40㎡以上50㎡未満 対象外 合計所得金額1,000万円以下なら対象
50㎡以上 合計所得金額3,000万円以下なら対象 合計所得金額3,000万円以下なら対象

所得制限が合計所得金額1,000万円以下と現行の50㎡以上と比較して少々厳しいのは投資用の転売で利用されるのを防ぐためのようです。

住宅ローン控除額が支払利息を配慮へ(令和4年度以降での改正)

もう一つ住宅ローン控除にとって大きな要素が令和3年度税制改正大綱にあります。

それは住宅ローン控除の控除率(1%)を下回る借り入れ金利で借りている人も多くいます。

そのため、住宅ローン控除の方が住宅ローンの支払利息額より上回っていることから1%を上限に支払利息額を考慮した控除額の設定することなどを令和4年度税制改正で見直しすることとされました。

つまり、今まで年末の住宅ローン残高の1%が住宅ローン控除金額でしたが、支払利息がそれを下回っているようならそちらに合わせる形に変更されそうです。

中には住宅ローン残高以上に預金を預けておけば利息がかからない銀行なんかもありましたが、その方法だと住宅ローン控除が受けられない可能性が出てきてしまいます。

まだ令和4年度税制改正ですから日はありますので注意が必要な部分ですね。

短期勤務の高額退職金の扱いが改正:退職控除

次は退職控除です。

こちらも地味な変更ですが影響が出てくる方もいると思いますので退職前に確認をしておいてください。

特にiDeCoや企業年金にはいっている方は要注意です。

勤続5年以下の方の300万円超の部分は2分の1課税が廃止

退職所得は以下の計算を行って計算するのが一般的です。

(収入金額 - 退職所得控除額) × 1 / 2 = 退職所得の金額

退職所得金額×所得税率=所得税額

つまり、退職所得控除額からはみ出たぶんについては半分が課税対象となるってことですね。

今までは勤続年数5年以下の役員以外はすべてこの半分が課税対象になっていましたがそれが改定されます。

具体的には勤続5年以下で退職所得が300万円を超えている場合は2分の1課税の適用がなくなります。

つまり、退職所得控除額からはみ出たぶんすべてが課税対象となります。

勤続5年以下で退職所得が300万円を超えるということはあまり多いケースではないと思いますが・・・

なお、この改定は2022年以後の所得税について適用されます。

iDeCoを利用している方はこちらの記事も合わせて御覧ください。

参考:退職所得控除の計算方法

参考までに退職所得控除はどのように計算されるのかも見ておきましょう

勤続年数(=A) 退職所得控除額
20年以下 40万円✕A(80万円に満たない場合には、80万円)
20年超 800万円+70万円✕(Aー20年)

勤続年数で上記に当てはめて計算を行います。

長く働けば働くほど控除が大きくなる計算です。

教育・結婚・子育て資金贈与が相続税対象へ

住宅ローン控除の特例と同じく特例となっていた教育・結婚・子育て資金を贈与する際の特例も延長となります。

ただし、少々制度変更が加えられています。

教育・結婚・子育て資金贈与特例2年延長

親や祖父母から教育資金を贈与する場合に1,500万円まで非課税とする「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置」、親や祖父母から結婚・子育て資金を一括贈与する場合に1,000万円まで非課税とする「直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置」は令和3年3月31日までが期限でした。

それが令和5年3月31日までと2年間延長されます。

しかし、少々制度変更が加えられました。

教育資金は相続財産の対象に

現行制度では、贈与者が死亡したとき、この特例による贈与から3年を経過していれば、死亡時点の残額は相続税の課税対象となりません

しかし、今回の改正から贈与者死亡前3年以内贈与にかかわらず、その残額が相続財産に加算されるように変更となりました。

つまり、相続税の対象となる場合はそこで課税されるようになるのです。

ただし、受け取る側が以下の条件を満たしている場合は対象外です。

  • 23歳未満
  • 学校等に在学
  • 教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合

また、贈与者死亡時の残額について、受け取った側の孫等に相続税が課せられる場合は相続税額の2割加算となります。

この制度を使った相続税逃れが多かったのかもしれませんね・・・

結婚資金・子育て資金も2割加算

結婚資金・子育て資金は前述の教育資金と違い現行でも贈与者死亡時の残額は相続財産に加算されるため3年云々の変更はありません。

ただし、教育資金と同じく

贈与者死亡時の残額について、受け取った側の孫等に相続税が課せられる場合は相続税額の2割加算となります。

まとめ

今回は「住宅ローン控除対象拡大、退職控除の改正など令和3年度税制改正大綱の概要をわかりやすく解説」と題して令和3年度税制改正大綱を見てきました。

基本的には制度延長や拡張という話が多かったですが、退職金や相続税額へ2割加算など制度の穴埋めという部分が目立った制度改正となりましたね。

こういった制度改正は知っているか知っていないかで大きな差となります。

ぜひ頭の片隅においておいてくださいね。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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