NISA制度の変更、寡婦控除の見直しなど令和2年度税制改正大綱の概要をわかりやすく解説。

令和2年度「税制改正大綱」が発表されました。

税制改正大綱とは自民党、公明党の税制調査会を中心に翌年度以降にどのように税制を変えるべきかを話し合いまとめたものです。

これを元に国会に税制改正法案を提出する形となります。

現在、衆議院・参議院とも与党が過半数となっていますので、この税制改正大綱の方向に来年度の税制が進んでいくと思われ大変重要なものです。

今回は令和2年度税制改正大綱の中で特にこのサイトに訪れる方が興味ありそうなお金に関わりそうな内容を抜粋して見ていきましょう。

平成31年度の税制改正大綱についてはこちらの記事を御覧ください。

ほとんどこの通りに改正されていますね。

NISA

まずはNISAから見ていきましょう。

事前にでていた通りでしたね。複雑な制度となっており、個人的にはどうなんだろう??って感じもありますが、そのまま令和2年度税制改正大綱に盛り込まれてしまいましたのでこのまま決まっていくのでしょう。


つみたてNISAの非課税期間を5年間延長

まずはつみたてNISAの非課税期間が令和 24 年 12 月 31 日まで5年延長されます。

また、いつ始めても20年間非課税になるように改められます。

これも事前にでていた情報のとおりですね。

ただし、今回の改正は制度の期限が5年伸びたのといつ始めても20年間非課税になるように改められただけで制度の恒久化ではありません
金融庁などは恒久化を要求していましたが・・・
NISAのモデルとなったイギリスのISAなどはすでに恒久化されていますからちょっ中途半端な感がありますね。

ちなみにつみたてNISAの開始年は令和 24 年 12 月 31 日(2037年)が最後となります。

NISAの新制度

現行のNISAの終了期間(23年)に合わせて新しいNISA制度を創設することが盛り込まれました。

元の資料ではややこしい書き方をしますのでポイントをまとめると以下のようになります

つみたてNISAとの選択制(現行と同じ)
5カ年間の譲渡益、配当等が所得税・住民税非課税(現行と同じ)
特定累積投資勘定(つみたて枠)20万円、特定非課税管理勘定(現行のNISA枠)102万円が上限
高レバレッジ商品不可

基本の仕組みは大きくは変わっていません。つみたてNISAとの選択制ですし、5カ年間非課税で運用できる制度です。

20万+102万円合計122万円が非課税の2階建ての仕組み

変わったのは非課税枠が現行の120万円から20万+102万円の2階建ての仕組みになったことです。

特定累積投資勘定として現行のつみたてNISAと同様の商品が対象の20万円までの枠が新設されます。そこに現行のNISAと同様の枠として特定非課税管理勘定が102万円を合わせたものが今回の非課税枠です。

つまり、合計で最大年間122万円まで非課税で投資できるようになるってことですね。

現行よりも年間2万円だけ増えましたが、仕組みとしてかなり複雑になってしまっています。

また、2階建て枠は原則として1階を使った人が対象となりますが、株式投資の経験がある人などは、1階の「つみたて枠」に投資しなくても株式に投資できる例外措置が設けられます。

つまり、投資信託に投資したくない人は今までどうりの使い方もできるけどちょっと枠が減ってしまったよってことですね。

詳しくはこちらを御覧ください。

高レバレッジ商品は不可へ

また、今までは特に制限がありませんでしたが、この制度からは対象商品として高レバレッジ投資信託など安定的な資産形成に不向きな一部の商品を除くこととすると明記されています。これはつみたてNISA商品対象の1階のみでなく102万円の2階部分もとのこと。

具体的な対象外とされる商品は明記されていませんが、NISAでよく売買されていたダブルインバースとかが買えなくなるのでしょう。

最近人気が高いレベレッジを掛けているグローバル3倍3分法ファンドとか楽天米国レバレッジバランス(USA360)などはどう判断されるのでしょうかね・・・

ジュニアNISA

ジュニアNISAは利用実績が乏しいことを理由として延長されず終了となりました。

また、終了に合わせて払い出しのルールが明記されています。

令和6年1月1日以後は、課税未成年者口座及び未成年者口座内の上場株式等及び金銭の全額について源泉徴収を行わずに払い出すことができることとする。

下記記事にも書きましたが、ジュニアNISAの売買ランキングなんかをみているとダブルインバースが上位にきたりとかしてかなり短期売買の様相となっており、制度の趣旨と照らしてどうなんだ??という状況でしたから終了も仕方ないでしょうね。

ちなみに新規口座開設は2023年まで可能です。

確定拠出年金

次はiDeCo(個人型確定拠出年金)などの確定拠出年金です。


企業型確定拠出年金加入者iDeCOに加入しやすく

今まで企業型確定拠出年金加入者がiDeCo(個人型確定拠出年金)に加入するにはルール変更して規約を作り直し、労使で合意を取り付けるなどかなりの労力が必要でした。

このルールを撤廃して、企業型定拠出年金制度は厚生年金被保険者であれば、個人型確定拠出年金制度及び農業者年金制度は国民年金被保険者であれば、それぞれ加入可能とする。とされました。

つまり、一律で会社単位で加入の是非を決めるのではなく、個人単位での判断になるってことですね。

詳しくはこちらの記事を御覧ください。

加入可能年齢・受給開始年齢の見直し

加入できる年齢が見直されます。

iDeCo(個人型確定拠出年金)は65歳まで、企業型確定拠出年金の場合には70歳までが加入対象に変更になります。

また、受給開始年齢は60歳〜70歳までとされていましたが、70歳以降も可能となります。

下記記事のときに話し合われていた掛金上限拡大は今回は盛り込まれなかったようですね・・・

iDeCo+の範囲拡大

退職金の代わりや福利厚生目的などの目的で従業員のiDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金を会社が上乗せできるiDeCo+(イデコプラス)が適用できる会社の条件も緩和されました。

今までは従業員数100人以下の企業でしたが300人以下の企業まで広がります。

これで導入する企業が増えるとよいのですが・・・

iDeCo+(イデコプラス)について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

特別法人税は廃止されず

金融庁などが毎回要望を出している特別法人税の廃止については今回も盛り込まれていませんね。

特別法人税とは企業年金(厚生年金基金、確定給付年金、確定拠出年金)の積立金(拠出金+運用益)に対して年率1.173%(国税1%、地方税0.173%)を課税するという税金です。

これは確定拠出年金が対象となっていますので個人型だろうが、企業型だろうが関係なく課税される仕組みです。

ただし、この特別法人税は日本経済がバブル崩壊の影響により企業年金の運用環境が悪化したことにより、1990年から課税凍結されています。

ちなみに確定拠出年金制度は2001年10月からスタートしていますのでこの特別法人税を課税されたことは過去一度もありません

しかし、廃止もされておらず、凍結が解除されれば課税されることになります。

これが課税されてしまったらiDeCoはかなり不利となり、やらないほうが良いだろう制度となってしまいます。

おそらく凍結は延長されるでしょうが、気持ち悪いので早く廃止してほしいものなのですが・・・

特別法人税について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

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