住宅ローン減税(控除)を3年余分に受けたいなら2021年までの契約が最後のチャンスかも

様々な節税対策がありますが、その中でもサラリーマンの方が使えるものとして最強と言っても良いのが住宅ローン減税(控除)とiDeCoです。

今回はそのうち住宅ローン減税についてみていきましょう。

実は住宅ローン減税には特例があり、その条件が2021年の契約という条件となっているんですよ。

特例の対象となると住宅ローン減税の期間が3年伸びるというボーナスステージなのです。

つまり、家の購入を考えている方は特例期間内の契約を目指したいところなんですよ。

住宅ローン減税(控除)制度とは

まず住宅ローン減税(控除)制度の概要から見てきましょう。

住宅ローン減税(控除)は住宅ローンを借入れて住宅を取得する場合に、取得者の金利負担の軽減を図るための制度です

具体的には毎年年末時点の住宅ローン残高又は住宅の取得対価のうちいずれか少ない方の金額の1%がに当たる金額を税金額から控除できます。

住宅ローンの金額は大きいですから1%でもかなり多くの節税となるのです

それが10年間あるのです。

なお、正式名称は「住宅借入金等特別控除」と言います。

住宅ローン減税は税額控除で効果が大きい

住宅ローン減税は税額控除となります。

iDeCoなど他の節税策の多くは所得控除です。

掛けることで所得を減らすことに繋がり、税金が減りますよって仕組みですね。

住宅ローン減税はそうではなく直接税金を減らすのです。

所得控除の場合の節税効果の例

例えばイデコに月2万3千円掛けていた方がいるとしましょう。

年間にすると276,000円ですね。

ここにその方の税率を掛けた分が節税効果となります。

所得税と住民税合わせて30%の方は82,800円の節税、20%の方は55,200円の節税となります。

つまり、所得控除の場合の節税効果は以下の計算となります。

所得控除✕税率=節税額

税額控除場合の節税効果の例

税額控除は所得税額の金額から直接控除する形となります。

例えば所得控除が20万円ある方なら所得税を減らす金額は20万円です。

つまり、所得控除の節税効果は以下のとおりです。

税額控除=節税額
税額控除の方は税率に関係なくそのまま税金を減らせますから効果が大きいのです。

住宅ローン減税の計算

住宅ローン減税イメージ

出典:国土交通省 住宅ローン減税制度の概要 より

住宅ローン減税の税額控除の基本的な計算方法は以下のとおりです。

毎年年末時点の住宅ローン残高又は住宅の取得対価のうちいずれか少ない方の金額の1%(上限40万円)
殆どの場合、毎年年末時点の住宅ローン残高の方が住宅の取得対価より少ないでしょうから年末時点のローン残高の1%が控除対象ということになります。
例えば2,000万円が毎年年末時点の住宅ローン残高ならその1%ですから20万円が所得税から控除できるのです。
また、所得税から控除しきれない(所得税より控除額が多い)場合は住民税から控除もされます。
なお、住民税からの控除の上限は年13.65万円(前年度課税所得✕7%)となっています。
年末時点の住宅ローン残高で控除額が決まりますから返済をすればするほど控除額が減ります。
ですから繰上げ返済などをする際もこのあたりのことは考慮する必要があるでしょうね。
また、現在の低金利を考えると、家は現金で買ってしまうよりもローンで買って住宅ローン控除の適用を受けたほうが得となるケースが多いですね。

住宅ローン減税の対象

なお、住宅ローン減税の対象となるのはいくつかの上限があります。

1.減税を受けようとする人自身が、住宅の引渡し日から6ヵ月以内に居住すること

2.特別控除を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下であること

3.対象となる住宅の床面積が50平方メートル以上であり、床面積の2分の1以上が自身の居住用であること

4.対象となる住宅に対して10年以上にわたるローンがあること

5.居住用にした年とその年の前後2年ずつを合わせた計5年間に、居住用財産の譲渡による長期譲渡所得の課税の特例といった適用を受けていないこと

出典;国税庁 No.1213 住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)

この条件を満たさない場合は対象とならないのでお気をつけください。

特にローン期間や床面積で引っかかってしまう人が多いみたいなんですよ。

また、特例期間については少し条件が内容が緩和されています。

具体的には控除を受ける年分の合計所得金額1,000万円以下の者について床面積40㎡以上50㎡未満の住宅も対象とされます。

今までは50㎡以上が条件となっていましたのでこの改正でワンルームなどの購入も住宅ローン控除が使えるようになります。

※スマートフォンの方はスクロールしてお読みください。

現行延長部分
40㎡以上50㎡未満対象外合計所得金額1,000万円以下なら対象
50㎡以上合計所得金額3,000万円以下なら対象合計所得金額3,000万円以下なら対象

所得制限が合計所得金額1,000万円以下と現行の50㎡以上と比較して少々厳しいのは投資用の転売で利用されるのを防ぐためのようです。

特例期間なら3年控除が伸びる

また、2021年は特例があります。

前述したように住宅ローン控除が受けられるのは本来10年間です。

しかし、消費税が8%から10%に増税される際に住宅需要が大きく落ち込まないように時限付きで13年間控除が受けられる特例が導入されています。

ちなみに3年間分の控除が受けられると消費税増税の2%分くらいの金額となる計算となっています。

つまり、消費税は増税されていますが、消費税増税の分の控除を増やしてくれているのです。

ただし、これは期限付きなんですよ。

2021年9月、11月までの契約が対象

もともとの期限は新築は令和2年9月、それ以外は令和2年11月末までに契約した方まででしたが、新型コロナウィルスの影響もあり、新築(注文住宅)の場合は令和2年10月から令和3年9月末まで、それ以外の場合は令和2年12月から令和3年11月末までに契約した場合は令和4年末までに入居した方も特例の対象となっています。

ちょっとわかりにくいので表にまとめると以下の通りとなります。

※スマートフォンの方はスクロールしてお読みください。

契約入居
注文住宅の新築の場合令和2年10月1日から令和3年9月30日まで令和3年1月1日から令和4年12月31日
分譲住宅の取得等の場合令和2年12月1日から令和3年11月30日まで令和3年1月1日から令和4年12月31日

つまり、注文住宅の新築の場合は2021(令和3年)9月30日まで、分譲住宅の取得の場合、2021年(令和3年)11月30日までに契約をして入居を2022年(令和4年)12月31日までに終えれば13年間控除できるのです。

3年間の控除があるかないかはかなり大きいですよね。。。

現在も新型コロナが蔓延していますのでこの制度が延長するの可能性もありますが、今の所そのような話はでていないようですね。

つまり、3年長く控除を受けたいならこの期間中に契約して入居する必要があるのです。

ただし、住宅価格がそれを狙う人の駆け込みで値上がりする可能性もありますのでトータルで考える必要はあるでしょうが・・・

11年目から13年目の控除額

ちなみに11年目〜13年目の控除額は以下の計算となります。

11年目~13年目は、以下の①②のうちいずれか少ない方の金額が3年間に渡り所得税の額等から控除される。

住宅ローン残高又は住宅の取得対価(上限4,000万円)のうちいずれか少ない方の金額の1%

建物の取得価格(上限4,000万円)の2%÷3

13年でどのくらい減税できるのか?

それでは13年間でどれだけ減税できるのでしょう?

下記は国土交通省のシュミレーションです。

住宅価格5,000万円、借り入れ4,250万円、固定金利2%、35年ローン、収入675万円の設定となっています。

住宅ローン減税シュミレーション

出典:国土交通省 住宅ローン減税制度の概要 より

13年間で456万円の節税効果があるのです。

10年間だと376万円でしたから3年増えることで80万違いますからかなり大きいですね。

ただし、前述したようにこの特例を適用がしたいがために駆け込みで住宅を契約する人が増える可能性があります。

そうなれば住宅価格も上がるでしょう。

その値上がりが上記の80万円を超えるようなら今回はスルーして値下がり後に買うという方法もあります。

判断が難しいところですけどね。

住宅ローン減税の注意点

ここからは住宅ローン減税を活用する際の注意点を見ていきましょう。

iDeCoやふるさと納税など他の節税策との併用

まず気をつけなればならないのが他の節税策との併用です。

住宅ローン減税はかなり強力ですからこれを使うことで所得税、住民税がかなり減らせます。

そうなれば他の節税策の意味がなくなったり、効果が薄くなったりするんですよ。

特にイデコは途中解約ができませんので使っている方はその点も考えたいところです。

もし、まだ住宅ローンを組んでいないなら夫婦ふたりで住宅ローンを組むこともおすすめです。

そうすれば住宅ローン控除が二人に分散されます。

そのため個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)の加入などもしやすく所得控除も税額控除も活かせる可能性が高くなります。

ふるさと納税も同様ですね。住宅ローン控除を加味した分を利用するようにしましょう。

控除の上限を超えても良いことは殆どありません。

繰上げ返済に気をつけよう

日本人は借入金を悪とする方が多いため、お金に余裕があれば繰上げ返済をしようとする方が多いです。

しかし、住宅ローン控除が利用できる期間は借りた金利にもよりますが、多くの場合は繰上げ返済をしないほうが得です。

繰上げ返済をするなら住宅ローン控除が終了する10年or13年後にしましょう。

せっかく減税が受けられるわけですから支払う金利との比較で検討してみてくださいね。

お金に余裕があってもローン額は大きくしたほうがよい

また、基本的に年末時点の住宅ローン残高で控除額が決まりますから、頭金をたくさんいれる余裕があっても住宅ローンをたくさん組んだ方が有利なケースも多いです。

金利との兼ね合いとなりますが、そのあたりも考慮していくら頭金を入れるか検討しましょう。

現在は低金利ですから多くの場合はローン残高増やしておいたほうが住宅ローン控除を考えれば得ですね。

住宅ローン控除額が支払利息を配慮へ(令和4年度以降での改正)

もう一つ住宅ローン控除にとって大きな注意点があります。

それは令和4年度税制改正予定されているものなんですよ。

現在、低金利で住宅ローン控除の控除率(1%)を下回る借り入れ金利で借りている人も多くいます。

そのため、住宅ローン控除の方が住宅ローンの支払利息額より上回っている方も多いことから、1%を上限に支払利息額を考慮した控除額の設定することなどを令和4年度税制改正で見直しすることとされました。

つまり、今まで年末の住宅ローン残高の1%が住宅ローン控除金額でしたが、支払利息がそれを下回っているようならそちらに合わせる形に変更されそうです。

中には住宅ローン残高以上に預金を預けておけば利息がかからない銀行なんかもありましたが、その方法だと住宅ローン控除が受けられない可能性が出てきてしまいます。

まだ令和4年度税制改正ですから日はありますが注意が必要な部分ですね。

まとめ

今回は「住宅ローン減税(控除)を3年余分に受けたいなら2021年までの契約が最後のチャンスかも」と題して住宅ローン減税についてみてきました。

住宅ローン減税がかなりお得な制度であることがわかっていただけたと思います。

現在は低金利が続いていますので現金で買うよりも住宅ローンを組んで減税を受けたほうが得のケースが多いでしょう。

テレワークの普及もあって郊外に家を建てることを検討している方が増えているという話もあります。

家を建てることを検討している方は3年控除が伸びる特例期間に買うほうが得なのか、住宅価格の高騰が収まった来年以降に買うのが得なのかの選択が必要になってきますね。

賃貸との比較も含めて考えてみてください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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