最近、また仮想通貨(暗号資産)界隈が盛り上がってきていますね。
代表的な暗号資産であるビットコインもどんどん最高値を更新しており4月14日現在の1ビットコイン700万円前後
1月の時点でこんな記事を書きましたがそのときは422万円でした。
その他アルトコインも大きく上昇しているものもあります。
暗号資産の取引所であるコインベース(ティッカー:COIN)がNASDAQ上場しますし、今後も盛り上がりを見せそうです。
しかし、暗号資産は日本で売買するには税金面に大きなネックがあるんですよ。
今回は仮想通貨(暗号資産)売買で税金を抑える方法について考えて見ましょう。
暗号資産は税制面がかなり不利
暗号資産は株やFXと税金の計算が大きく異なります。
かなり不利な税制上の扱いなんですよ。
暗号資産を購入したことがない方も下記のようなキャンペーンなどいろいろな場面で仮想通貨を貰う機会が増えていますので、税金面の扱いは知っておくに越したことはないでしょう。
原則として売却等をした仮想通貨の引渡しがあった日の属する年分となります。参考:国税庁 暗号資産に関する税務上の取扱いについて(情報)(PDF)
暗号資産での利益は雑所得
まず暗号資産の売却等で得た利益は雑所得という扱いになります。
ビットコインは、物品の購入等に使用できるものですが、このビットコインを使用することで生じた利益は、所得税の課税対象となります。
このビットコインを使用することにより生じる損益(邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益)は、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分されます。
出典:国税庁 ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係
この雑所得というのはかなり厄介なんですよ。
雑所得は総合課税
雑所得が厄介な理由は総合課税となるということです。
つまり、給与所得などの他の所得の金額と合算して総所得金額を求めた後で納める税額を計算することになります。
所得税は、累進課税で、所得が高いほど税率が高く設定されています。
所得金額に応じて、税率が5%から45%まで7段階あります。
以下が所得金額による、税額表です。
所得金額に対して税率をかけ、控除額を差し引いて税額を算出します。
②195万円超330万円以下:所得金額x10% – 97,500円
③330万円超695万円以下:所得金額x20%- 427,500円
④695万円超900万円以下:所得金額x23% – 636,000円
⑤900万円を超1,800万円以下:所得金額x33% – 1,536,000円
⑥1,800万円超4,000万円以下:所得金額x40% – 2,796,000円
⑦4,000万円超:所得金額x45% – 4,796,000円
例えばビットコインで1億円の利益がでた場合を考えてみましょう。
暗号資産で1億円儲けた場合
計算がわかりやすいようにその他の所得や控除などがなかったとすると
100,000,000円✕45%ー4,796,000円=40,204,000円
さらに住民税が10%あります。
住民税は
100,000,000円✕10%=10,000,000円
となります。
合計すれば50,204,000円です。
つまり、約半分が税金に持っていかれるのです。
給料や事業所得が他にあればこの計算に合算することになりますのでさらに増えることに・・・
ちなみに株は所得税と住民税、復興特別所得税合わせて20.315%です。
かなり大きな違いがあるんですね。
雑所得は他の所得と損益通算できない
また、雑所得は損益通算ができません。
損益通算とは他の所得との相殺のことです。
例えば暗号資産で大きな利益がでて、事業で大きな損失がでたとしましょう。
しかし、損益通算できませんので暗号資産の利益分の税金そのまま支払う必要があるのです。
ちなみに雑所得どうしの損益通算はできます。
いくつかの暗号資産取引所でそれぞれ利益と損失が出ていた場合などは合算して考えることができます。
損失の繰越控除ができない
また、雑所得は損失の繰越控除もできません。
繰越控除とは今年損失がでたので来年の利益以降の利益と相殺しようという考え方です。
今年の損失はそこで終わり。来年利益がでたらその分の税金を払ってくださいとなります。
株などは繰越控除が可能となっていますが、雑所得はそれができないんですよ。
2017年ころには仮想通貨で億り人が大量に発生しましたが、翌年に大暴落したなんてこともありました。
年度毎の波は大きいですから繰越控除ができないのは大きいですね。
暗号資産の売買で税金を抑える方法
上記のように暗号資産は税制上かなり不利な状況となっています。
しかし、やりようによっては税金を抑えることも可能なのです。
法人で売買する
まず考えられるのが法人で売買するということです。
最近ではテスラがビットコインの購入を発表して話題となりましたが、法人で暗号資産を保有するケースが増えています。
法人での売買なら前述した暗号資産のデメリットが解消できるんですよ。
まず法人で暗号資産を売買すれば事業所得という扱いとなります。
事業所得は赤字の繰越が10年できます。
損益通算もできます。
さらに必要経費の参入も雑所得と比較して範囲が広くなります。
また、税率も違います。
前述したように個人の場合は所得税となりますので50%近く税金でもっていかれます。
しかし、法人の場合には最高で税率は35%程度ですから15%近くの節税に繋がるのです。
さらに小規模ならば20%ほどの税金となりますからこの差はかなり大きいです。
デメリットも
ただし、法人化すれば当然様々な設立にかかる費用があります。
また、毎年いくつかの手続きが必要となります。
申告も個人の比ではなく面倒になりますから税理士を頼むようになり方が多いです。
さらに赤字でも税金が必要です。(年約7万)
そのあたりも加味して考える必要があるでしょう。
すでに法人を持っている方は選択肢にしやすいでしょうね。
仮想通貨トレード用の法人を設立するなら下記の本を読んでみることをおすすめします。
ビットコイン先物eワラントを売買する
もう一つ方法があります。
「ビットコイン先物eワラント」などを売買する方法です。
SBI証券などで取り扱いがある商品ですが、ビットコインの先物に連動するリンク債です。
eワラントは金融商品取引法上では有価証券という扱いとなっており、申告分離課税の対象となります。
簡単に言えばFXなどと同じ扱いとなるのです。
損失が出た際に3年間繰越が可能ですし、税率は約20%となります。
ただし、レバレッジが効いたちょっとリスク高めの商品となっていますのでご利用は慎重に
SBI証券で取り扱いがあるのは以下の2本です。
- ビットコイン先物リンク債のプラス5倍の値動きをする「プラス5倍トラッカー型」
- ビットコイン先物リンク債のマイナス3倍の値動きをする「マイナス3倍トラッカー」
今後はビットコインETFなんかも噂ではありますね。
このあたりがでてこればかなり税金面でも敷居が低くなってきます。
暗号資産関連銘柄を買う
暗号資産に直接投資をするとかなり税金面で不利ですから関連銘柄を買うという方法もあります。
例えば前述したテスラなどはかなりのビットコインを保有していますのである意味暗号資産関連銘柄でしょう。
また、日本でいえばマネックス証券などは暗号資産取引所のコインチェックを運営しています。
こういった銘柄を購入して間接的に投資もするのも選択肢になります。
まとめ
今回は「仮想通貨(暗号資産)売買で税金を抑える方法」と題して暗号資産の税金について考えてみました。
今の税制ではなかなか暗号資産の購入には踏み出しづらいです。
せめてFXなどと同じ税制に改正してほしいところではありますね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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