読者様からご質問をいただきましたので今回はそちらに回答していきましょう。
日本に住んでいる20歳から59歳までの人は国民年金保険料を納付する義務があります。
しかし、20歳だとまだ大学生や専門学生だったりする方も多いでしょうし、卒業しても大学院に行く方もみえます。
その方たちからすれば国民年金の負担は大変厳しいですよね。
学生納付特例とは
まず学生の国民年金の定番である「学生納付特例」のルールから見ていきましょう。
学生納付特例は名前のとおり、学生の方は特別に年金の納付を猶予(延期)しますよって制度です。
「支払いしなくても良いよ」ではなくて、あくまでも「年金の支払いが猶予しますよ」というだけというのがポイントですね。
基本的に猶予された部分は働きだしてから追納する必要があります。
追納すればその期間払った方と同じ扱いですね。
ちなみに学生納付特例を適用を受けた方が追納しなくても罰則等があるわけではありませんが、老後にもらえる年金が少なくなるのです。
つまり、実質的に今は払わなくてもよいよってだけなのです。
学生納付特例のメリット・デメリット
ただし、意味がないわけではありません。
メリットして以下の点があります
- 未納とはみなされない
- 受給資格期間に含まれる
- 障害基礎年金の受給権が得られる
特に未納の扱いが最近とても厳しいのでその部分はメリットですね。
また、何か障害等がでてしまったときに受給権があるかないかでは大きな差となりますのでこちらも大きなメリットですね。
ただし、デメリットとしてイデコに加入できない等のメリットもありますのでそのあたりも勘案してご検討ください。
詳しくはこちらの記事でまとめております。
合わせて御覧ください。
学生納付特例制度を受けられる条件(対象者)
次に対象となる方をみてみましょう。
まずは本人のその年度の所得が以下の基準以内である必要があります。
ちなみに親や家族の所得については関係ありません。
あくまでも本人の所得が上記基準を満たしているのかどうかってことです。
例えば月にアルバイトで月に8万円稼いでいる場合であれば年間の所得は8万×12ヶ月で96万円となります。
上記基準以内に収まりますので所得部分については学生納付特例制度の対象となるのです。
逆に言えば学生でもアルバイトをかなり頑張っていたりすると基準を超えてしまいますから対象とはなりませんのでご注意ください。
もう一つ条件があります。
大学(大学院)、短期大学、高等学校、高等専門学校、特別支援学校、専修学校及び各種学校、一部の海外大学の日本分校に在学する方という条件です。
なお、夜間・定時制課程や通信課程の方も含まれますので、ほとんどの学生の方が対象となります。
各種学校や海外大学の日本分校については条件がありますので対象となる学校は下記でご確認ください。
学生納付特例制度を受けるには申請が必要
ただし、この学生納付特例制度の適用を受けるためには申請が必要となります。
申請しないと条件を満たしていても国民年金の納付は猶予されませんのでお気をつけください。
申請自体は簡単です。
学校によっては学生納付特例の代行事務を行う許認可を受けていますので、その場合は学校でも手続きが可能です。
それ以外でも年金事務所や市役所の国民年金担当窓口に必要書類を提出するだけです。
申請書と以下の書類を添付するだけです。
申請書は窓口にありますし、以下の日本年金機構サイトからダウンロードが可能となっています。
・学生等であることまたは学生等であったことを証明する書類(学生証など)
親が子供の国民年金を支払う場合
次に親が子供の国民年金を支払う場合を考えてみましょう。
本来であれば本人が払うべきなのでしょうが、大学院にいくとか安定した職業に付けないなんてケースはこれを選択する方は親が払うという選択をするケースもあります。
実はこれもメリットが有る話なんですよ。
親が子供の国民年金を払うと所得控除の対象に
実は親が子供の国民年金を支払うと「社会保険料控除」として所得控除の対象となるのです。
つまり、所得税と住民税が安くできるんですよ。
なお、条件があります。
生計を一にする親族であるということです。
日常の生活のお金を一緒にしてるという意味ですね。詳しくは下記の定義を御覧ください。
日常の生活の資を共にすることをいいます。
会社員、公務員などが勤務の都合により家族と別居している又は親族が修学、療養などのために別居している場合でも、①生活費、学資金又は療養費などを常に送金しているときや、②日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇には他の親族のもとで起居を共にしているときは、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。出典:国税庁 生計を一にする
ちなみに年金について贈与税や相続税の対象とはならないという見解となっています。
そもそも国民年金は以下のように定められているためです。
世帯主は、その世帯に属する被保険者の保険料を連帯して納付する義務を負う
つまり、親等(世帯主)は子供が払えないなら払わないといけないものなんですよ。
高額所得者が支払ったほうがオトクなのが年金
ちなみに税金のことだけ考えるなら所得の多い方が払った方が得なのが年金ってことも知っておきましょう。
国民年金はイデコなどと同じように全額所得控除の対象です。
例えば2021年の国民年金は月額16,610円。これを全額親が負担すれば199,320円。
所得税と住民税で30%の方なら59,796円の節税となります。
所得税と住民税で15%の方が払うと29,898円の節税にしかなりません。
共働きなら両親のどちらが払うのかというのも考える必要があるのです。
所得控除受けるためには年末調整OR確定申告
なお、子供の年金を支払った場合に所得控除を受けるためには年末調整もしくは確定申告での手続きが必要です。
手続きといっても年末調整であれば給与所得者の保険料控除申告書の社会保険料控除の欄に金額等を記載するだけなんでけどね。
確定申告も同じです。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。イデコ用に書いてますが、書く欄がちがうだけで基本は同じです。
まとめ
今回は「子供の国民年金保険料を親が払ってもいいの?所得税や住民税を減らせるメリットも」と題して読者様の質問についてみてきました。
学生納付特例を受けるか、親が変わりに払うのかどちらにもメリットがあるのがわかっていただけたと思います。
お金の面だけ考えるなら「親が変わりに払う」方がメリットがあるケースが多そうです。
学生納付特例を受けて後に追納しても所得控除は受けられますが、働きはじめは給料が安いケースが多いですからね。
ただし、これについては考え方次第の部分が大きい話ですからよくお子さんと話し合って考えましょう。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。