日本証券業協会による「外国証券の取引に関する規則」等の一部が改正されました。
これにより2022年7月から日本国内でも米国株の信用取引が可能となりそうです。
今回は米国株の信用取引について各社の対応を見ていきましょう。
米国株で可能となる信用取引って?
令和3年9月14日付で日本証券業協会による「外国証券の取引に関する規則」等の一部が改正されました。
今まで制定されていなかった外国上場株式の信用取引のきめ細かな取引ルールの整備がされたのです。
なお、この改正は令和4年(2022年)7月1日から施行されます。
これにより多くの米国株を扱う証券会社で信用取引が開始される予定となりました。
具体的な改正内容はこちらを御覧ください。
信用取引とは
信用取引とは簡単に言えば借金をして株を買ったり、売ったりする取引です。
例えば国内株式の信用取引を例にどのような仕組みなのかを見てみましょう。
証券口座に100万円入っている場合に、その100万円を委託保証金とするとそれを元手に3.3倍※まで株を買うことができます。
※国内株の委託保証金は約定代金の30%以上となっています。米国株は規約改正内容を見る限り50%以上?各社の正式発表待ち。
つまり、信用取引だと100万円で借金230万円と合わせて330万円分の株が買えるんですよ。
計算をわかりやすくするため100万円元出で信用取引を使って300万円分の株を買ったとして考えて見ましょう。
もし、株価が倍になれば600万円です。その時点で売れば利益は300万円ですから現物取引の約3倍ですね。(わかりやすくするため手数料等は考慮しません)
かなり大きな利益を得られました。
しかし、逆にその会社の会社の株価が半分になったとしたらどうでしょう?株の価値は150万円になります。
損失は150万円です。借金200万円していますのですべて売っても50万円足りない計算となってしまうのです。
この部分が借金です。
その会社が倒産したとすると株の価値が0円になるだけですから損失300万円。借金200万円分が残り、元の100万円を失ったことになります。
なお、通常は委託保証金が20%を下回ってしまった場合は、追加保証金(追証)を差し入れなければなりませんのでよっぽど急落がない限りそこまではいかないのですが・・・
つまり、よりハイリスクハイリターンとなるのが信用取引なのです。
米国株で空売りも
ちなみに信用取引を使えば株を持っていなくても株を売る事ができます。
いわゆる信用売り(空売り)です。
証券会社から株を借りて株を売却して、あとから買い戻して証券会社に株を返すという取引となります。
例えば100万円分の株を信用売りしたとします
もし株価が下がって50万円になったところで買い戻せば50万円の利益を得ることができます。100万円で借りた株を50万円で返したということです。(わかりやすくするため手数料等は考慮しません)
現物取引では買いから入ることしかできませんから基本的に株価があがることを予想して買うしかありません。
しかし、信用取引では株価が下がることを予想した場合でも儲けることができるんですよ。
ここだけ聞くとかなり魅力的な仕組みと感じられると思います。
しかし、信用売りはリスクはかなり高いので上級者向けと言われるのです。
例えば100万円の株を信用で300万円で買った場合はもし価値が0円となっても借金200万円分が残り、元の100万円を失ったのが上限となります。
しかし、信用売りの場合はその上限がないのです。
もしその会社の株が10倍となっても決済期限が来たらその金額で買い戻す必要があるのです。
有名な相場格言に「買いは家まで、売りは命まで」というものがあります。
買いなら失っても家までだけど、信用取引の売りは命まで取られかねないぞってことです。
信用売りはそれくらいリスクが大きいことを知っておきましょう。
ですから初心者の方にはあまりおすすめしません。
詳しくはこちらの記事を御覧ください。
米国株信用取引各社の対応状況
それでは各社の米国株信用取引の対応状況を確認してみましょう。
なお、以下の予定は2022年1月31日時点の各社が公表している情報によるものとなります。
SBI証券
SBI証券では以下の発表をしています。
多くのお客さまよりサービス開始のご要望をいただいておりました米国株式信用取引サービス!日本国内での米国株式信用取引が2022年7月から提供可能となります。SBI証券は同月よりお客さまに米国株式信用取引を提供できるよう、鋭意準備を進めております!
出典:SBI証券 SBI証券の米国株式信用取引!2022年7月より開始予定 より
同月つまり、2022年7月から提供予定ですね。
楽天証券
楽天証券は公式に発表したものではありませんが
楽天証券は7月に、米国株の信用取引に対応する。1月8日に行ったオンライン講演会で、楠雄治社長が明かした。
出典:ITメディアビジネスオンライン 楽天証券、7月に米国株信用取引を開始
社長がオンライン講演会で7月からの信用取引対応を明かしたとのこと。
マネックス証券
マネックス証券は以下の発表をしています。
日本証券業協会の定める「外国証券の取引に関する規則」等の一部改正により、2022年7月より日本国内における外国上場株式の信用取引が可能となることを受け、マネックス証券では、多くのお客様からご要望をいただいておりました米国株信用取引サービスの提供を開始いたします。
米国株信用取引サービスの提供開始は、2022年7月中を予定しております。サービスの詳細につきましては、今後ウェブサイト等で随時ご案内してまいります。
出典:マネックス証券 米国株信用取引のサービス提供開始(2022年7月)予定について
こちらも7月中予定ですね。
auカブコム証券
先日、2022年1月24日から米国株式の取り扱いを開始したauカブコム証券。
松井証券
2月下旬から米国株式の取り扱いを始める松井証券
CFDを使えば今でも米国株の空売りが可能
ちなみに今でもCFDを使えば今でも米国株の空売り等は可能です。
CFDとはContract for difference の略で日本語にすると「差金決済取引」です。
差金決済取引とは簡単に言えば「差額だけやり取りする」取引のことで、利益が出たら利益分のみ受取、損失が出たら損失分のみを支払う形で取引を行います。
実際には現物を買うことなく取引ができるんですよ。
CFDではIG証券なんかが有名ですね。
IG証券のCFDなら米国ETFに力を入れている日本の大手ネット証券会社「SBI証券」、「楽天証券」、「マネックス証券」とも取り扱いが無い商品なんかも買うことができるものがあったりします。
まとめ
今回は「2022年7月から規制緩和で米国株での信用取引が可能に。各社の対応を調査してみた」と題して米国株の信用取引について各社の対応予定をみてきました。
米国株の取引手数料もかなり低くなっていますし、米国株へ投資をする環境は整ってきていますね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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