暗号資産の申告漏れで2億円の追徴が話題に。暗号資産の課税される場合とされない場合

暗号資産(仮想通貨)を巡った所得税の取締が強化されているようです。

中には年収900万円の会社員の方が追徴課税2億円が発生したけど、すでに暗号資産は下落しており、納められなくて困っているという事例まで・・・

男性は2016年、ビットコインを購入し、他の暗号資産にも取引を広げた。17年末には1か月弱で保有するリップルの価値が約10倍に高騰し、資産価値は4億円以上に膨れあがった。一部は現金にしたが、大半は別の暗号資産に交換した。交換分の申告が必要とは思わず、現金化した分を除いて確定申告しなかったが、昨年9月、税務署から申告漏れの指摘を受け、過少申告加算税を含む追徴税額は2億円以上になった。男性は妻と幼い子どもの3人家族で、会社員としての年収は900万円程度。同12月に修正申告したが、保有する暗号資産の価値が大きく落ちていたため、現金化しても全く足りず、税務署に納税の猶予を申請中だ。男性は「働いて納められる金額ではなく、家族に申し訳ない」と話した。
出典:読売新聞オンライン 2/20 より

一時期、ビットコインを始めとした暗号資産で億り人が続出したと言われています。急激な高騰を見せましたのでおかしな話ではありません。

しかし、実際に億超えの申告をした方は331人しかいなかったということで、前述の男性のように無知による無申告の方が多かった可能性も指摘されています。

さらに最近では暗号資産の仕組みもかなり複雑になってきました。

そこで今回は暗号資産はどういうケースで課税となるのかをみておきたいと思います。

暗号資産の課税される場合とされない場合

それでは暗号資産がどういうケースで課税されるのか、課税されないのかをみておきましょう。

なお、今回の解説のソースは暗号資産に関する税務上の取り扱いについて(FAQ)など国税庁のWEBサイトとなります。

なお、暗号資産の税金計算の基本はこちらの記事を御覧ください。

暗号資産は雑所得で総合課税ですね。

暗号資産を売却した

まずは当たり前ですが、暗号資産を売却して利益が出た場合に課税となります。

ちょっとややこしいのが所得の計算です。

所得の計算は譲渡価格(売った金額)から譲渡原価(購入した金額)となります。

譲渡原価は以下のように求められます。

総平均法又は移動平均法のうちいずれか選択した方法により計算した金額
・その他の必要経費がある場合には、その必要経費の額を差し引いた金額
最近は大手暗号資産取引所なら計算も簡単にできるようになっています。
しかし、海外の取引所などだと自分で計算しないといけないところも多いです。頻繁に取引する方はそのあたりも予め認識しておきましょう。

暗号資産で商品を購入した

この認識が無い方もみえますが、暗号資産で商品を購入した場合も課税対象となるケースがあります。

保有する暗号資産で商品を購入したということはその時点で譲渡(売却)したと扱われますから、前述の暗号資産を売却したケースと同じように利益が出ていれば課税対象となります。

所得の計算は暗号資産を売却したときと同じで譲渡価格(売った金額)から譲渡原価(購入した金額)となります。

暗号資産同士の交換を行った場合

次は暗号資産同士の交換を行った場合です。

前述した会社員の方が申告漏れになったのはこのケースですね。

これも基本的に考え方は同じなんですよ。

保有する暗号資産を他の暗号資産と交換した場合、暗号資産で暗号資産を購入した ことになりますので、暗号資産を商品を購入した場合とおなじ扱いです。

つまり、保有する暗号資産で商品を購入したということはその時点で譲渡(売却)したと扱われますから、その時点で譲渡価格が譲渡原価より高くなっていれば課税対象となります。

暗号資産の分岐により暗号資産を取得

次は暗号資産が分岐によって新たに暗号資産を取得するケースです。

暗号資産では分岐で暗号資産を貰えるケースが結構あるんですよ。

このケースでは

暗号資産の分裂(分岐)により新たに誕生した暗号資産を取得した場合、その時点では課税対象となる所得は生じません

出典:国税庁 暗号資産に関する税務上の取り扱いについて(FAQ)問5

となります。

課税されないんですね。

ただし、もらった暗号資産を売却したらその時点で取得が発生します。

その際の取得価額は0円となりますので所得はかなり大きくなりますね。



マイニングで暗号資産を入手

次はマイニングで暗号資産を入手した場合です。

ビットコインなどの暗号資産の売買を記録することに協力することでその対価として暗号資産を得ることを指します。

一時期は企業が暗号資産のマイニング工場なんかを作るなんてケースもありましたね。

ただし、電気がかなり食うので割があわないという話もよく聞きますが・・・

そんなマイニングの場合は、その取得に伴い生ずる利益は所得税の課税対象となります

マイニングにより暗号資産を取得した場合、その取得した暗号資産の取得時点の価額 については所得に算入されます。

なお、マイニング等に要した費用については必要経費となります。

ステーキングで暗号資産を入手

次はステーキングで暗号資産を得たケースです。

暗号資産を保持することでリターンとして暗号資産を得る仕組み
ここ1年〜2年で結構メジャーとなってきたステーキング。
特定の暗号資産をもつことでリターンとして暗号資産がもらえるんですよ。

そんなステーキングの場合は、その取得に伴い生ずる利益は所得税の課税対象となります

ステーキングにより暗号資産を取得した場合、その取得した暗号資産の取得時点の価額 については所得に算入されます。

なお、ステーキングに要した費用については必要経費となります。

レンディングで暗号資産を入手

次はレンディングで暗号資産を得たケースです。

暗号資産を貸して利息で暗号資産を得る仕組み
株でも貸株ってありますが、その暗号資産バージョンです。

そんなレンディングの場合も、その取得に伴い生ずる利益は所得税の課税対象となります

レンディングにより暗号資産を取得した場合、その取得した暗号資産の取得時点の価額 については所得に算入されます。

なお、レンディングに要した費用については必要経費となります。

暗号資産に代えて金銭補償を受けた場合

暗号資産が取引所などから流出してしまったというニュースは定期的にありますが、そのようなケースで暗号資産ではなく金銭で補償が受けられることがあります。

このようなケースはイレギュラーなのでかなりややこしいですが、国税庁では以下の回答をしています。

顧客と暗号資産交換業者の契約内容やその補償金の性質などを総合勘案して判断することになりますが、一般的に、顧客から預かった暗号資産を返還できない場合に支払われる補償金は、返還できなくなった暗号資産に代えて支払われる金銭であり、その補償金と同額で暗号資産を売却したことにより金銭を得たのと同一の結果となることから、本来所得となるべきものまたは得られたであろう利益を喪失した部分が含まれているものと考えられます。したがって、ご質問の補償金は、非課税となる損害賠償金には該当せず、雑所得として課税の対象となります。

出典:国税庁 暗号資産交換業者から暗号資産に代えて金銭の補償を受けた場合

基本的の課税となるようですからお気をつけください。

NFT、Play to Earn、DeFiは明確な指針なし

暗号資産では日々新しい仕組みが誕生しています。

NFT、Play to Earn、DeFiなどです。

ちなみにNFTは暗号資産に使われているブロックチェーン技術を使って偽造が不可能で鑑定書や証明書がついているデジタルデータのこと
最近は様々なものがNFT化して売買されてたりしますね。
Play to EarnはNFTゲームをプレイして暗号資産を稼ぐこと。
DeFiは中央管理者のいない金融仲介アプリのことです。DeFi内で暗号資産を増やすいろいろな仕組みがあるんですよ。

これらはまだ国税庁から明確な指針等がでていないようです。

今年の確定申告で該当する人は悩みそうですね・・・

とりあえずできることと言えば行った取引はすべて自分で記録しておいて、どのような計算方法となっても対応できるようにしておくことでしょうか。

基本的に暗号資産と同じく雑所得で総合課税となるとおもわれますが・・・




まとめ

今回は「暗号資産の申告漏れで2億円の追徴が話題に。暗号資産の課税される場合とされない場合」と題して暗号資産の課税についてみてきました。

暗号資産も税金計算はかなりややこしいですね。

また、まだルールが明確化されていないものもあります。

ですから不明点等があれば税務署、暗号資産に詳しい税理士などにご相談されることをおすすめします。

暗号資産の取引をするなら今回ご紹介したような基本的な課税ルールを知っておかないとご紹介した会社員の方のように大きな税金を後日請求されるなんてことにもなりかねませんよ。

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暗号資産は政治資金規正法の対象外
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