特定投資家(プロ投資家)制度の要件が見直し?特定投資家制度ってご存知ですか?制度を解説

特定投資家制度ってご存知ですか?

この制度がかなり緩和されて改正されそうです。

2021年6月に公表された金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」第二次報告において、「個人の特定投資家の要件の弾力化等」について提言が行われて、現在2022年5月1日までパブリックコメントの手続き中です。

>>「金融商品取引業等に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令(案)」の公表について

所要の手続を経て公布、施行の予定とのこと。

つまり、個人の特定投資家の要件の弾力化等の見直しが行われる予定ってことです。

今回は特定投資家制度および要件見直しについてみていきます。

特定投資家(プロ投資家)制度とは

それでは、まず特定投資家制度について解説していきましょう。

簡単に言えばプロ投資家という扱いの方のことです。

金融商品取引法では、その知識・経験・財産の状況から、「特定投資家」と特定投資家以外の「一般投資家」に区分しています。

「特定投資家」に対しては、規制内容の柔軟化が図られているんですよ。

特定投資家と一般投資家の扱いの違い

特定投資家と一般投資家の大きな違いは金融商品取引法上の行為規制の一部が除外されることです。

一般投資家は個人投資家など特定投資家以外の方で逆に金融商品取引法上の行為規制を受けることになります。

簡単に言えば「一般投資家」に対しては投資家保護を十分に図ることを目的に証券会社の販売・勧誘ルールを強化されていますが、「特定投資家」に対しては販売・勧誘ルールを軽減し円滑な資金運用ができるようになっているのです。

もう知ってるよってことに対して余分な説明等が不要になるってことですね。

その分だけより自己責任の度合いは高くなってくると思いますが・・・

具体的には以下の規制の適用がされなくなります。

  • 広告等の規制(法第37条)
  • 取引態様の明示義務(法第37条の2)
  • 契約締結前の書面交付(法第37条の3)
  • 契約締結時の書面交付(法第37条の4)
  • 適合性の原則(法第40条第1号)
  • 最良執行方針等記載書面の事前交付義務(法第40条の2第4項)
  • 顧客の有価証券を担保に供する行為等の制限(法第43条の4)
  • 保証金の受領に係る書面の交付(法第37条の5)
  • 不招請勧誘の禁止(法第38条第3号)
  • 勧誘受諾意思の確認(法第38条第4号)
  • 再勧誘の禁止(法第38条第5号)

契約締結時の書面交付とか契約締結前の書面交付が面倒だな・・・って思われている方にとっては特定投資家になることにメリットが有るわけです。

現在の特定投資家と一般投資家の区分

なお、金融商品取引法では以下の4つの投資家区分に分けられています。

特定投資家区分

出典:auカブコム証券 投資家区分について より

つまり、(1)の適格機関投資家や日本銀行は問答無用で特定投資家
(2)に該当する資本金5億以上の株式会社などは特定投資家ですが、一般口座へ手続きを得れば移行が可能。
(3)の条件を満たす方は一般投資家という扱いですが、こちらも手続きをとれば特定投資家へ移行が可能。
 それ以外の方は一般投資家という扱いになります。

個人投資家の場合の条件

前述のように個人投資家が特定投資家になるためには以下の条件を満たしている必要があるってことですね。

純資産額が3億円以上かつ投資性資産額が3億円以上で申出者が1年以上の取引経験を有していること。
逆にいえばこの条件を満たしている方は国からプロの投資家と認められているということになります。

1年の取引経験でいいんだ。。という気もしますが笑



特定投資家制度の要件が見直し内容

ここからは改正予定の内容を確認していきましょう。(まだパブリックコメントの手続き中ですが)

簡単に言えば特定投資家になる敷居が低くなった形ですね。

具体的には以下の要件です。

特定投資家変更内容

出典:金融庁 事務局説明資料(成長資金の供給の在り方に関する検討(プロ投資家関係))

ちょっとわかりにくいんので順番に見ていきましょう。

単独属性の条件

まず単独属性で特定投資家になれるのが

  • 年収1億円以上
  • 投資性金融資産5億円以上
  • 純資産5億円以上

この一つでも満たす方はそれだけで特定投資家になれるということになります。

今までは純資産額が3億円以上かつ投資性資産額が3億円以上で申出者が1年以上の取引経験を有していること。

という複数の要件が必要でしたからこの時点でも少しハードルが少なくなっていますね。(純資産等の金額は5億と増えていますが)

取引頻度4回/月以上

次は今までの条件である純資産額が3億円以上かつ投資性資産額が3億円以上で申出者が1年以上の取引経験が少し変形した形のものです。

純資産額が3億円以上かつ投資性資産額が3億円以上ではなく、どちらかかだけです。

そのかわり、年平均取引頻度が4回/月以上が必要となります。

今までの条件だと相続等で投資性資産額が3億円以上得た1年口座を開いてて取引もほとんどしたこと無い人でもなれてしまうわけですからこちらのほうがより実態に即したものかもしれませんね。

保有資格や職業経験

次は保有資格や職業経験も条件に加わりました。

  • 年収1,000万円以上
  • 投資性金融資産1億円以上
  • 純資産1億円以上

いずれかを満たした上で特定の職業経験や保有資格があると特定投資家になれるようになります。

具体的には以下となります。

職業経験のうち、以下のものに1年以上従事
• 金融機関業務(金融商品の販売・商品企画業務/法人への投融資業務/金融資産の運用業務/金融資産の運用アドバイス業務/その他業務)
• 会社経営のコンサルティング・アドバイス/経済・経営に関する教職・研究職
• 証券アナリスト
• 証券外務員(1種、2種)
• 1級・2級FP技能士・CFP・AFP
• 中小企業診断士

中小企業診断士は意外?かもしれませんね。

中小企業診断士は私も保有していますが、ファイナンス理論や株式用語等は多少試験範囲ですけど・・・レベルです。

CAPMやPER、ROE程度・・・

今回のルール変更は様々な条件で金融リテラシーに関する設問を解いてもらって、特定投資家(個人)と同等以上の金融リテラシー(平均正答率)があると推定される投資家属性を調査をしたものに基づいたものとのこと。

中小企業診断士の方は株をやっている方も多いですし、点数が高かったのでかもしれません。



まとめ

今回は「特定投資家(プロ投資家)制度の要件が見直し?特定投資家制度ってご存知ですか?制度を解説」と題して特定投資家制度についてみてきました。

まだ正式決定したわけではありませんが、特定投資家制度の対象となれる方が大幅に増えることになりそう。

該当する方は検討してもよいかもしれませんね。

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