「NISA、iDeCoはやった方がいい」。
この結論自体は、多くの人に当てはまります。
ただし本当に大事なのは、“制度を使うこと”ではなく、老後に必要な金額から逆算して、毎月の積立金額を決めることです。
積立は、少なすぎても多すぎても続きません。続かない積立は、たいてい「最悪のタイミングでやめる」ので、あとから後悔が残りやすい。ここは、感情より設計です。
老後資金はいくら必要?まずは「不足額」をつかむ
まずはゴール設定が重要です。
総務省の「家計調査年報」などの一次情報を参照すると、高齢夫婦無職世帯の平均的な支出と、公的年金等の実収入の間には、恒常的な月額数万円単位の不足が生じているケースが多く見受けられます。
現状を把握しよう(不足額の確認)
まず「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で将来の年金見込額を確認しましょう。
次に退職金や企業年金の有無と見込額を把握します。
年金収入と希望する生活費との差額が、自助努力で準備すべき金額のベースとなります。
平均データで見ると、老後は“毎月ちょっと足りない”が基本
生命保険文化センターの整理(総務省 家計調査をもとにした集計)では、高齢夫婦無職世帯で月の消費支出約25.7万円に対し、可処分所得約22.2万円で約3.4万円不足とされています。
単身でも不足が出る形です。
この「不足」は平均です。住宅費、医療・介護、趣味、車、子への支援で上下します。
だからこそ、最初は平均で良いので“物差し”を持つのが合理的です。
「老後2000万円問題」は“脅し”ではなく、計算の例
一時期大きな話題となった「老後2000万円問題」の金融庁の報告書では、夫65歳以上・妻60歳以上の夫婦のみ無職世帯について、毎月不足約5万円×20〜30年=約1,300万〜2,000万円という“単純計算の例”が示されています。
これは脅しではなく、実際にそれくらい必要な方が多いんですよ。
ただし、全員が一律に2,000万円必要かといえば、そうではありません。
退職金の有無、持ち家か賃貸か、あるいは想定するライフスタイルによって、必要額は大きく変動します。
重要なのは、ご自身の「ねんきん定期便」を確認し、将来の受給見込額を把握することです。
その上で、老後に希望する生活費(月額25万円〜35万円程度が一般的)から年金見込額を差し引き、その不足分に「老後の期間(例:25年〜30年)」を掛け合わせたものが、あなたが準備すべき金額となります。

必要資金から逆算する「積立金額」の決め方
ここからが本題です。考え方はシンプル。
- 老後の不足見込み(月)を置く(例:3万円、5万円など)
- 不足が続く年数を置く(例:20年、30年)
- 不足総額を目標にして、現役期の積立金額(毎月)へ逆算する
目安シミュレーション:目標額から月いくら積み立てる?
たとえば「老後資金として2,000万円を作りたい」とします。
年率3%で運用できた“仮”の前提だと、目安はこうなります。
- 30年で2,000万円:月 約3.4万円
- 20年で2,000万円:月 約6.1万円
- 15年で2,000万円:月 約8.8万円
- 10年で2,000万円:月 約14.3万円
同じ2,000万円でも、時間が短いほど毎月が重くなります。ここが積立の本質です。
(運用利回りは確実ではありません。あくまで「積立金額の感覚」をつかむための試算です)
金融庁も、必要資産から積立を考える枠組みとして、NISAの年間枠拡大(最大年360万円)と生涯枠(最大1,800万円)を示しています。
積立金額を決める際の3つの原則
また、以下の要素も考える必要があります。
無理のない金額から始める
投資は継続することが大切です。
生活費や緊急時の備えを確保したうえで、残った余裕資金の中から積立金額を設定しましょう。
長期・積立・分散を意識する
長期間にわたって定額を積み立てることで「ドル・コスト平均法」の効果が働き、価格変動リスクを抑えやすくなります。
ライフステージに合わせて見直す
昇給や転職、結婚、出産など、ライフイベントに応じて積立金額の見直しを検討しましょう。
NISAもiDeCoも、変更手続きはそれほど難しくはありません。(iDeCoは変更に時間は掛かりますが)

iDeCo 積立金額は「上限」と「60歳まで引き出せない」を軸に決める
iDeCoは老後資金に特化した制度です。
最大の特徴は2つ。
iDeCoは月5,000円から。だが原則60歳まで引き出せない
iDeCoは月5,000円から始められ、1,000円単位で設定できます。
掛けた金額は所得控除が受けられるという税制優遇もあります。
一方で、年金資産は原則として60歳以降の受取が前提です。
この「資金拘束」はデメリットと捉えられがちですが、投資家心理としては「強制的に老後資金を確保できる」というメリットにもなり得ます。
つまり、iDeCoの積立金額は「節税できるから上限まで」ではなく、生活防衛資金・近い将来の支出を別で確保したうえで決めるのが安全です。

iDeCo 上限(拠出限度額)の考え方:職業・企業年金で変わる
iDeCoの掛金には上限があり、加入区分で異なります(自営業者は月6.8万円枠、会社員は企業年金の有無等で月2.0〜2.3万円目安、配偶者は月2.3万円目安など)。
さらに、確定給付型の企業年金等に加入している方(公務員含む)は、令和6年12月分の掛金から拠出限度額が月1.2万円→最大2万円へ引上げされています。
※さらに拠出限度額を第1号で月7.5万円、第2号で月6.2万円へ引上げるなど制度改正は続きます。詳しくはこちらの記事を御覧ください。

NISA 積立金額は「上限」と「いつでも使える自由度」を軸に決める
NISAも“資産形成の主戦場”になりやすい制度です。
理由は、老後だけでなく教育費や住み替えなどにも使える柔軟性です。
iDeCoと違い、所得控除は受けられませんが、売却時の利益には税金はかからず、いつでも売却・現金化ができるというのがメリットになります。
NISA 上限:年間360万円・生涯1,800万円が「制度の天井」
新NISAは、つみたて投資枠が年120万円、成長投資枠が年240万円で合計年360万円。
生涯の非課税保有限度額は最大1,800万円(成長投資枠は1,200万円まで)です。
ただし、ここは“目標”ではなく“制度の天井”。
ここで重要なのは、「最短で1,800万円を埋めることが必ずしも正解ではない」ということです。
無理をして生活防衛資金を削ってまで投資に回すことは、中小企業の経営で言えば、運転資金を削って設備投資をするようなもので、リスクが高すぎます。
NISAは少額から始めやすく、売却もしやすい
積立は金融機関にもよりますが毎月1,000円など少額から始められることが多く、積立金額も変更しやすいです。
また、NISAは売却・解約が可能で、売却した分は翌年以降に非課税枠が再利用できる(いわゆる“枠の復活”)点も重要です。

結局、iDeCo 積立金額と NISA 積立金額はどう配分する?
私は実務上、次の順番が“事故りにくい”と考えています。
原則:iDeCoは「無理のない範囲で上限まで」→残りをNISAへ
- iDeCoは掛金が所得控除になりやすく、節税メリットが強い(ただし60歳まで原則引き出せない)。
- NISAは柔軟に使えるので、積立の本丸になりやすい。
ためです。
ただし例外もあります。
たとえば、数年以内に住宅購入や独立など大きな支出があるなら、流動性(いつでも使えるお金)を優先してNISA比率を上げた方が合理的なケースもあります。
リスク分散とポートフォリオ
iDeCoとNISA、それぞれの口座内でどの商品を買うかという点も重要ですが、資産全体(預金、保険、不動産、証券)のバランスを見ることが最優先です。
例えば、日本の公的年金は日本円での支給であり、日本経済の動向に左右されます。
したがって、iDeCoやNISAでは「海外資産(外国株式や外国債券)」の比率を高めることで、通貨分散(円安リスクへの備え)を図るのが合理的です。
インフレリスクへの対抗
現金のまま保有し続けることは、インフレ局面においては「実質的な価値の目減り」を意味します。
ここ数年の物価上昇を見れば明らかです。NISAやiDeCoで積立を行うことは、将来の購買力を維持するための「防衛策」でもあります。

まとめ:上限より先に「老後の不足額」と「積立の継続」を設計しよう
NISAとiDeCoの積立金額に、万人に共通する唯一の正解はありません。しかし、「iDeCoで節税メリットを確保しつつ、流動性の高いNISAで補完する」という基本戦略は、どの年代・属性にも通じる黄金律です。
まとめると以下のとおり。
- 老後資金は「不足額×年数」でだいたいの輪郭が見えます。平均でも不足が出るのが現実
- 積立金額は、必要資金から逆算するとブレにくい。
- iDeCoは“節税メリット”が強い反面、60歳まで引き出せない。
- NISAは上限(年360万円・生涯1,800万円)はあるが、少額から始めやすく売却も柔軟。
重要なのは、完璧な金額設定を求めて立ち止まるのではなく、少額からでも市場に参加し、時間を味方につけることです。
一度設定した積立金額は、年に一度、源泉徴収票やねんきん定期便が届くタイミングで見直せば十分です。
最後に。
積立で一番避けたいのは「生活が苦しくなって、相場が荒れたときにやめる」ことです。
積立金額は、“勝つため”ではなく、やめないために決めましょう。
今すぐできるアクションプラン
最後に、読者の皆様への具体的なアクションプランを提示して締めくくりたいと思います。
- 「ねんきん定期便」を確認する: 将来の受給見込額を把握してください。
- iDeCoの加入資格と上限を確認する: 勤務先の総務担当者に確認するか、iDeCo公式サイトで簡易診断を行ってください。
- まずはネット証券に口座を開く: 手数料の安いSBI証券などで、iDeCoとNISAの口座開設(またはNISAの積立設定)を完了させましょう。
投資は、未来のあなたへの仕送りです。今日という日が、一番若い日です。賢い資産配分で、安心できる未来を設計していきましょう。
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)に加入するならこの3社から選ぼう
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)を始めるならまずは金融機関を決める必要があります。
しかし、たくさんあってどこにしたらよいのかわからない方も多いでしょう。
簡単に決めてしまう方もおおいかもしれませんが、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)の場合、金融機関ごとの違いがとても大きいですから慎重に選びたいところです。
私が今もし、新たに加入するならSBI証券、マネックス証券、松井証券の3択の中から決めます。
(※私が加入しているのはSBI証券です)
この3つの金融機関は運営管理機関手数料が無料です。※国民年金基金連合会の手数料等は各社共通で掛かります。
また、運用商品もインデックスファンドを中心に信託報酬が低い投資信託が充実しているんですよ。
順番に見ていきましょう。
SBI証券
まずイチオシはSBI証券「個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)」です。
SBI証券は信託報酬も最安値水準のeMAXIS Slimシリーズを始めとしたインデックスファンドから雪だるま全世界株式といった特徴ある投資信託をたくさん揃えているところが最大の魅力です。
選択の楽しさがありますよね。
また、確定拠出年金を会社員に解禁される前から長年手掛けている老舗である安心感も大きいですね。
マネックス証券
次点はマネックス証券 iDeCoです。
こちらも後発ながらかなりiDeCoに力をいれていますね。
iDeCo初でiFreeNEXT NASDAQ100 インデックスを取扱い開始したのに興味をひかれる人も多いでしょう。
松井証券
松井証券のiDeCoは35本制限まで余裕があるというのは後発の強みですね。
その35本制限までの余裕を生かして他社で人気となっている対象投資信託を一気に採用して話題になっていますね。
こちらも有力候補の一つですね。
さらに2024年8月1日(木)より投資信託の保有でポイントが貯まるようになり、現在の条件なら本命といっても良いでしょう。
総合して考えるとこの3つの金融機関に加入すれば大きな後悔はないかなと思います。
他の運営管理機関もぜひがんばってほしいところですが・・・
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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