定額減税はふるさと納税、iDeCo、住宅ローン減税などに影響はあるのか?

岸田政権が鳴り物いりで導入することを決めた定額減税。

所得税と住民税を一定額減税する制度です。

仕組みが少々難解なこともあり、ちゃんと理解できている方は少ないかと思われます。

今回はふるさと納税、iDeCo、住宅ローン控除などへの影響について考えてみましょう。

なお、定額減税の仕組みやルールについてはこちらの記事を御覧ください。

定額減税のふるさと納税への影響

まずはふるさと納税への影響から見ていきましょう。

ふるさと納税とは

ふるさと納税を簡単に説明すると自分の好きな自治体を選んで寄附すると、税金の控除があったり、返戻品がもらえたりする制度です。

税金の使いみちなども選べますので、自分の信念にあったところや自分の故郷などに寄附をするというのが本来の目的です。

ふるさと納税がお得なと言われているのは以下の二つがあるからです。

  • 税金の控除
  • 返礼品

税金の控除は下記のような仕組みになっています。

イメージとしては1万円を地方自治体に寄付をしたら税金が8,000円安くなり、さらに地方の特産品の返礼品がもらえるといった感じですね。

自己負担2,000円で返礼品がもらえるためその返礼品が2,000円を超えていればお得となります。

ふるさと納税
出所:総務省  ふるさと納税ポータルサイト

ただし、この税金の控除には人それぞれ上限があるのです。

(ふるさと納税額-2,000円)×(100%-10%(基本分)-所得税率×復興税率)<住民税所得割×20%
それではこの上限額に今回の定額減税は影響在るのでしょうか?

定額減税はふるさと納税には影響を与えない仕組み

結論から言えば影響がない仕組みとなっています。

具体的にはふるさと納税は定額減税前の住民税所得割で計算するんですよ。

そのため、定額減税によりふるさと納税の上限額が変わることはありません。

ふるさと納税の上限額について詳しくはこちらの記事を御覧ください。




定額減税のiDeCoへの影響

次は個人型確定拠出年金(イデコ/iDeCo)への影響について見ていきましょう。

iDeCoとは

確定拠出年金(iDeCo)は簡単に言えば自分の老後生活のために老後資金を自分で作るための制度です。

具体的にはこんな感じの流れです。

・60歳までの間に自分で決めた金額を積み立て
・投資信託や定期預金、保険などの商品を選択して運用
・60歳以降にその運用した資産を受け取る
・掛け金全額が所得控除
・運用時の利益は非課税
・受け取るときに課税だが税制優遇あり

最大のポイントは掛け金全額が所得控除となり、所得税と住民税の節税効果を生むという仕組みです(小規模企業共済等掛金控除)

なお、詳細は以下の記事をご覧ください。

この記事をみれば「iDeCo(個人型確定拠出年金)制度」から「つみたてNISAとの違い」、「おすすめ金融機関」、「おすすめ商品」、「いくら積み立てればよいのか」などを網羅的に確認することができますよ。

それではこの節税額に今回の定額減税は影響在るのでしょうか?

iDeCoは定額減税の影響を受ける可能性がある

結論から言えばiDeCoで所得控除が多くなると定額減税が影響を受ける可能性があります。

たくさん節税されていればそのそもの所得税や住民税が少なくなっているからです。

その場合、定額減税を受けるはずの金額を受けられなくなる可能性があります。

しかし、損をするわけではありません。

定額減税ではありませんが、他の制度で補完するんですよ。

定額減税住民税非課税世帯の方への給付

出典:内閣官房

具体的には調整給付という仕組みで、定額減税しきれない金額を市町村から給付を受ける形となります。

ですからiDeCoで所得控除が多くなると定額減税が影響を受ける可能性がありますが、損はしないってことですね。

むしろ調整給付は1万円単位ですから、定額減税よりも少し多くなる可能性もあります。

調整給付等の仕組みについてはこちらの記事を御覧ください。

なお、iDeCoの節税は年末調整もしくは確定申告で反映されますので、月次での定額減税には影響を与えません。
※定額減税は月次の給料で仮で減税をしておいて、年末調整で最終調整する仕組みとなっています。



定額減税の住宅ローン減税への影響

次は住宅ローン控除への影響について見ていきましょう。

住宅ローン減税とは

住宅ローン減税(正式名称:住宅借入金等特別控除)とは、名前のとおり、住宅購入のために借り入れをしている方の年末時点のローン残高の1%or0.7%(利率は借り入れ時期による)を所得税や住民税から差し引く仕組みです。

借入金額が大きい方は所得税や住民税がかなり少なくなるくらいパワーが強い減税策なんですよ。

それではこの節税額に今回の定額減税は影響在るのでしょうか?

住宅ローン減税は定額減税の影響を受ける可能性がある

結論から言えば住宅ローン減税も定額減税が影響を受ける可能性があります。

所得控除と所得税の控除の違いはありますが、iDeCoと同様な話ですね。

住宅ローン減税で減税されれば当然ながら、定額減税の前提となっている所得税や住民税が少なくなっているからです。

その人の所得や住宅ローンの金額によっては定額減税が引ききれないということも起こり得るのです。

そうなれば、定額減税を受けるはずの金額を受けられなくなる可能性があります。

しかし、損をするわけではありません。

iDeCoと同様に調整給付に回る形ですね。

減税を受けるか、給付を受けるかの違いですから損をするというわけではないってことですね。

なお、住宅ローン減税は年末調整もしくは確定申告で反映されますので、月次での定額減税には影響を与えません。




まとめ

今回は「定額減税はふるさと納税、iDeCo、住宅ローン控除などに影響はあるのか?」と題して定額減税と各節税策との関係についてみてきました。

基本的にあまり影響はない(損はしない)形に制度設計されているようです。

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最後まで読んでいただきありがとうございました。

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