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アメリカが外国人に「ドル保有税」導入か?米国債の30%源泉税が復活の可能性

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アメリカが外国人に「ドル保有税」導入か?米国債の30%源泉税が復活の可能性

トランプによる追加関税で大揺れの株式相場ですが、今回新たにかなり衝撃的なニュースが飛び込んできました。

アメリカで「ドルや米国債を保有している外国人」に対して新たな課税が検討されているというのです。

これが実現すれば、日本を含む多くの国の政府系ファンドや投資家にとって、米ドル資産のリスクが大きく変わる可能性があります。

本記事では、

・今回の政策案の概要
・どのような背景で出てきた話か
・私たちの資産運用にどんな影響があるのか?

をやさしく解説していきます。

目次

外国人の米ドル保有に「課税」の動き

アメリカ・トランプ政権の経済チームに所属するEliot Miran(エリオット・ミラン)氏が、外国人によるアメリカ資産の保有に対して「負担を分担すべきだ」と発言しました。

この発言の中で特に注目されたのが以下のポイントです。

「外国は米ドル資産を保有し続けてもよいが、その見返りとして財務省に直接お金を支払ってもらう形も考えられる」

これはつまり、「米ドル資産を保有するなら税金を払ってください」という新しい考え方です。

これはこれまで表立って議論されていなかった内容で、「隠された爆弾(Hidden in plain sight)」と表現されています。

しかもこの提案、かなり具体的に進んでいる可能性があり、近く議会に提出される「税制改正案(2025年5月ごろ)」には、かつて存在していた30%の源泉税の復活が盛り込まれる見通しが高いと報じられています。

ちなみに「Dollar’s Dilemma(ドルのジレンマ)」および「Sovereign Wealth Effect(ソブリン・ウェルス効果)」の中で、今回のような動きが起こることをすでに予測されていたとのこと。

分析レポートはこちらで公開されています(英語)→ The Sovereign Wealth Effect

そもそも「30%源泉税」って何?

アメリカでは、かつて外国人投資家が受け取る米国債の利子などに対して、30%の源泉税がかけられていました。

この制度は1984年に廃止され、それ以降、海外の中央銀行や政府系ファンドなどが無税で米国債を買えるようになったため、ドルは「安全で便利な資産」として世界中に広まりました。

しかし、今回の提案が実現すると、再びドル資産に対するコストが増えることになります。

利子に対してだけの課税か?

今回報道されている内容は利子に対しての課税です。

もし、今回検討されている外国人の米ドル保有に「課税」という話が、債券や株などのドル資産の残高に課税されるとなったらとても大きな影響となりそうです。

ちなみにiDeCoなどで懸念されている特別法人税は残高に対してです。

シュミレーションなどもありますので、残高に課税される場合の影響を知りたい方はこちらの記事を御覧ください。

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なぜ今、アメリカは「ドル保有に課税」しようとしているのか?

背景には、アメリカが長年抱えている「貿易赤字と財政赤字のダブル赤字」があります。

ドルが基軸通貨であることで、外国はアメリカからモノやサービスを輸入したあと、その代金として受け取ったドルをアメリカの資産(米国債など)に再投資してきました。

これによりアメリカは、

・輸入超過(=貿易赤字)
・財政赤字の補填(=米国債の購入)

という構造を続けてこられたわけです。

でも最近、この構造がアメリカにとって一方的に不利だと感じる声が強まっています。

特に中国や日本など、アメリカの赤字を生みながら「米国債で稼いでいる国々」に対して「もっと責任を持って負担を分担してほしい」と考えた結果、今回のようなドル資産への課税というアイディアが浮上してきたのです。

ドル保有に課税が実現すると何が起こる?

この税制が本当に導入されると、世界の金融市場には以下のようなインパクトがあります。

1. 外国人による米国債購入の意欲が低下

税金がかかるなら、「わざわざ米国債を買わなくても…」と考える投資家も出てくるでしょう。

特に、

・政府系ファンド(日本・中国・中東など)
・国際的な大口投資家

などにとっては、投資先の再検討を迫られる事態になるかもしれません。

2. ドル離れの加速の可能性も

ドルに依存しすぎるリスクを回避するために、円、ユーロ、人民元、金(ゴールド)、暗号資産(ビットコインなど)への分散が進む可能性もあります。

3. アメリカの金利上昇圧力

米国債を買う人が減れば、アメリカ政府は買ってもらうために金利を上げざるを得なくなります。

これはアメリカ国内の住宅ローン金利や企業融資金利にも波及するため、景気にとっても影響が出てきます。

個人投資家に影響はあるのか?

では、この政策が導入された場合、私たち日本の個人投資家にはどんな影響があるのでしょうか?

現時点では、「外国人全体への課税」=「海外の個人投資家も対象」になるとは限りません。

政府系ファンドや大規模な機関投資家がメインターゲットとなる可能性もあります。

そうなった場合でも以下のような間接的な影響は十分に考えられます。

どちらにしても個人投資家にとって関係ない話とは言えないんですよね・・・

為替相場への影響

米国債の魅力が下がる → ドル売りが進む → 円高になる可能性も

投資信託・ETFの構成見直し

ドル建て資産が多いファンドは、リスク分散のために運用方針を変える可能性があります。

日本の年金を運用しているGPIFや日銀などもアメリカの債券たくさん持ってますしね。

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債券投資の選択肢が変わる

これまで安全資産とされてきた米国債が、思わぬコストリスクを抱える時代に入るかもしれません。

まとめ

今回は「アメリカが外国人に「ドル保有税」導入か?米国債の30%源泉税が復活の可能性」と題してドル保有税について見てきました。

「ドル保有税」導入の可能性は、今後の資産運用においてアメリカ一強からのシフトを考えるきっかけになりそうです。

私たち個人投資家にとっても、

投資先の地域分散(米国一辺倒ではなく)通貨の分散(円、ドル、ユーロなど)投資対象の分散(株式、債券、不動産、金など)を意識することが、今後ますます大事になってくるでしょう。

特に、米国債やドル建てMMF・ETFを保有している方は、今後の動向に注目しておくことをおすすめします。

また、実施されれば株を始め様々なものの暴落は待ったナシでしょう・・・

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