株主総会シーズンとなってきますが、株主招集通知等に「株主パスポート」という謎なアプリの案内が入っていませんでしたか?
うちにも何社か入っていました。
聞き覚えのない「株主パスポート」をみてこれってなんだ??って方も多いと思いますので、今回は株主パスポートについて詳しく解説していきます。
株主パスポートの主な特徴
「株主パスポート」とは三井住友信託銀行(以下、三井住友信託)が2025年に正式リリースした株主向けスマホアプリです。
保有銘柄の株主総会情報や配当・優待情報を一元管理でき、議決権行使もアプリ上で完結。しかも利用料は完全無料というのが最大の売りです。
株主パスポートの主な特徴は以下の通り。
機能 | できること | 補足 |
---|---|---|
スマホで一括管理 | 総会招集通知、配当金情報、優待情報をタイムライン表示 | 追加料金なし |
議決権行使 | 「スマート行使」「議決権行使ウェブサイト」へワンタップで遷移 | 紙の行使書も引き続き送付される |
生体認証ログイン | 指紋・FaceID対応でセキュリティ強化 | 端末側設定が必要 |
ポイント還元 | 議決権行使やアンケート回答で株主ポイントを付与 | 後述 |
簡単に言えばスマホで招集通知が見えたり、議決権行使が簡単にできるサービスです。
議決権行使×ポイント還元――「議決権行使企画」のしくみ
株主パスポートでは、所定の条件で議決権を行使した会員にポイントを付与するキャンペーンなどを実施しています。
現在は100名につき1名に1,000ポイントを付与する「議決権行使企画」を実施しているようです。(WEB上では情報は見つかりませんでしたが、チラシが招集通知に入っていました)
付与されたポイントはアプリ内マーケットでギフトカードや電子マネーと交換可能とのこと、
早期行使を促すことで企業側は議決権確保、株主側は「ポイ活」できるWin-Win設計ですね。
おそらく今後も会社ごとにキャンペーンは実施されるでしょう。
株主総会の新しい参加スタイル
私は株をやりだしてから長いですが、投資家として株主総会に参加したことはありません(笑)
ボロ株の中の人として運営側では参加していましたが。

しかし、株主パスポートのような仕組みなら「議決権行使」をしやすいですね。
さらにハイブリッド総会との相性が高いと思われます。
現地参加者の入退場QR、オンライン質問フォームへのリンクなども将来実装予定とのこと。
また、郵送コストや紙資源の削減に寄与すると思われます。
個人株主の投票率向上が見込まれます。
これは海外で活発化する株主提案トレンドとも合致しますね。
今後の新しいカタチとなりそうです。
株主パスポートのメリット
メリットをまとめるとこんな感じですね。
メリット |
---|
総会・配当・優待等のIR情報がワンアプリ完結 |
議決権行使が数タップ、郵送不要 |
ポイ活で実質的なリターン向上 |
利用料無料、固定費ゼロ |
株主パスポートの導入手順と利用の流れ
株主パスポートの導入はかなり簡単です。
マイナンバーカードがあれば10分程度で完了します。(銘柄登録が少々面倒)
主な流れは以下の通り
アプリストアで「株主パスポート」をダウンロード(iOS/Androidとも提供)
ユーザー登録
・氏名・生年月日・メールアドレスなどを入力。
・マイナンバーカードを使えば自動的に氏名、住所などが反映されます。
銘柄登録
・銘柄登録は手動で行う必要があります。
・複数銘柄を制限なしで追加可能。
議決権行使
・招集通知リンク → 議案閲覧 → 「賛否」ボタンで完了
・期限前に行使するとポイント抽選の対象に(次章で解説)。
株主パスポートのリスク・デメリット
ちょっと気になるのが株主パスポートのリスクやデメリットです。
主なリスクは以下の通り
リスク・デメリット | 内容 | 対策・留意点 |
---|---|---|
対応銘柄の限定 | 三井住友信託が名簿管理人の企業で株主パスポート採用会社のみ | 他行管理銘柄は従来通り紙行使書で対応 |
個人情報登録 | 氏名・住所・メールアドレスをアプリに保存 | 生体認証+端末ロックで漏えいリスクを低減 |
システム障害 | サーバーダウン時に議決権行使ができない可能性 | 早めの行使、紙行使書をバックアップ |
ポイント失効 | 付与ポイントに有効期限あり | 期限のリマインドを活用 |
招集通知の紙削減は未完 | 電子招集を承諾していない場合、行使書は郵送され続ける | 郵送停止設定を検討 |
個人的に一番大きなデメリットに感じたことは株主パスポートに保有銘柄登録ができる銘柄は、三井住友信託銀行が株主名簿管理人である銘柄のうち、株主パスポート採用(参加)会社に限るってことですね。
2025年6月時点で登録銘柄数は約1,200社(三井住友信託の名簿管理先の約9割が対応)とのこと。
国内の上場銘柄は約4,000社なので、三井住友信託の名簿管理先以外も対応するなどもう少し増えるとありがたいのですが・・・難しいかもしれません。
証券口座への不正アクセスは大丈夫?
昨今証券会社への不正アクセスが増加しています。


そこで「株主パスポート」を使うことで証券口座での不正アクセスを心配される方も多いと思います。
この点は「株主パスポート」のパスワードを証券会社のものと違うものにすればよほど大丈夫だと思われます。
「株主パスポート」は直接、証券口座のデータを覗いてくる仕組みではないからです。
仮に株主パスポートのパスワードが流出して不正ログインできたとしても、議決権を行使したりしかできないので大きな実害はなさそうです。
ただし、名前、住所などの個人情報や保有株が漏れてしまいますのでその部分はちょっと怖いですけどね。
安全なパスワードを設定して、フィッシングなどに気をつけましょう。
パスワードは会社毎に変えて専用のスマホアプリか、下記のような専用のノートに記載して保管するのが良いでしょう。

まとめ――「議決権行使もポイ活も、スマホひとつで」
今回は「株主パスポートとは?――株主総会・議決権行使をスマホで完結する新サービスの仕組みとリスクをやさしく解説」と題して株主パスポートについて見てきました。
株主パスポートは「株主総会はハードルが高い」「議決権行使が面倒」という個人投資家の悩みを解決し、投資リターン+ポイントという新たなインセンティブを提供するサービスです。
今後はオンライン質問機能やAI議案要約が追加予定。さらに金融DX推進法案とも連動し、紙行使廃止の流れが加速する見込みです。
ただし、情報管理のリスクを理解したうえで、早めの行使・紙書面のバックアップを忘れずに。
賢く使って、株主ライフをよりスマートに楽しみましょう!

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