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ソニーファイナンシャルグループの株は買いか?パーシャル・スピンオフの仕組みと株価150円の妥当性を徹底解説

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ソニーファイナンシャルグループは買いか?パーシャル・スピンオフの仕組みと株価150円の妥当性を徹底解説

ソニーグループの金融子会社「ソニーファイナンシャルグループ」が東証プライムに上場します。

通常のIPOと違うパーシャル・スピンオフという手法を取られた上場で大きな注目を集めています。

今回は「ソニーファイナンシャルグループ」の新規上場について考えてみましょう。

目次

ソニーファイナンシャルグループの新規上場の概要

まずは今回の「ソニーファイナンシャルグループ」の上場の基本的な情報からみていきましょう。

「制度初の直上場」×「株主還元コミット」で“需給の読み”がカギ

  • 上場日2025年9月29日(月)、市場は東証プライム証券コードは8729
  • 参考値段150円(初値形成の気配値参考)。IPOの公開価格に相当するものではない点に注意。
  • 分配比率は1:1の設計(ソニー株1株につきSFGI株1株を現物配当)。
  • 権利付最終日9/26(金)上場日9/29(月)=権利落ち日配当基準日9/30(火)。効力発生日は10/1(水)
  • 還元方針:2025年度末250億円の配当(年換算500億円)2027年3月末までに1,000億円の自己株式取得目途
  • 親会社ソニーGが80%超をスピンオフし、20%弱を継続保有

投資判断の軸は「上場直後の需給(配当・自己株買いの吸収力)」と「利益成長×ディフェンシブ特性(生保・損保・銀行の複合体)」の見立てです。

パーシャル・スピンオフとは

今回の上場でも最も注目されているのが直上場のパーシャル・スピンオフ制度であるという点です。

定義と今回の特徴

それでは今回のパーシャル・スピンオフの内容を確認しておきましょう。

パーシャル・スピンオフとは、親会社が子会社株の一部現物配当で株主に直接分配し、子会社は直接上場する手法。

既存株主に新株が配られるため、一般的なIPOのような新株発行・売出(公募・売出)がない、もしくは限定的である点が特徴。

2023年の税制改正等を背景に制度整備。

今回のソニーファイナンシャルグループは「直上場」となります。

配当の受け取り・売買の実務

今回の新規上場は9/26(金)にソニーG株を保有をしている方に対して、ソニーファイナンシャルグループの株が付与される形となります。

9/29(月)権利落ち・SFGI上場→9/30(火)基準日までに権利確定。

投資家側では特段の手続き不要です。

カーブス/コシダカのスピンオフ事例との違い

スピンオフ上場といえば女性向けフィットネス「カーブスホールディングス」と「コシダカホールディングス」の事例がありました。

このときもかなり注目されましたが、ちょうどコロナ禍の状況だったのでかなり安くなってしまったんですよ。

カーブスはちょうど新型コロナでダメージを受ける業態でしたしね・・・

私も「コシダカホールディングス」の株を「カーブスホールディングス」目当てに買って損をしました笑

その時との違いも見ておきましょう。

カーブス=“フル”スピンオフ(親は完全に手放す)、今回のソニーFG=“パーシャル”スピンオフ(親が一部を残す)。制度も目的も微妙に違います。

観点カーブスHD(子)×コシダカHD(親)ソニーフィナンシャルグループ(子)×ソニーG(親)
方式スピンオフ(株式分配型)=フル分離。親の保有株を株主に現物配当し、子を上場。パーシャル・スピンオフ。親の保有株の80%超だけを株主に現物配当。親が<20%を継続保有
制度・税制当時のスピンオフ税制の初適用の事例子会社株“全部”を分配する前提。2023年度税制改正で可能になった“部分的分配”国内初の本格適用ケースと位置づけられる。
親子の資本関係(実施後)資本関係を解消(子は独立上場会社に)。親が持分を維持→子は持分法適用関連会社
分配比率1:1(コシダカ1株につきカーブス1株)。1:1(ソニー1株につきSFGI1株)。ただし親は<20%を持ち続ける点が大きな差。
上場時期・市場2020/3/2 東証1部に上場(のち市場再編)。子の証券コード70852025/9/29 東証プライムに上場。子の証券コード8729参考値段150円が告知。
目的の色合い異なる事業(カラオケと女性向けフィットネス)の分離独立で集中と機動性を高める金融事業を切り出しつつ還元方針(配当・自社株買い)を前面に出し、資本効率・透明性を高める。親ブランド連携も維持。
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ソニーファイナンシャルグループの概要

次に今回上場するソニーファイナンシャルグループについて詳しく確認してきましょう。

上場スケジュール

  • 2025/09/26(金)権利付最終日(この日の大引けまでにソニー株を保有)。
  • 2025/09/29(月)SFGI上場・権利落ち日。東証プライム。参考値段150円。成行は禁止ルール等あり(初値決定まで)。
  • 2025/09/30(火)現物配当の基準日
  • 2025/10/01(水)スピンオフ効力発生日(会社・証券会社案内)。

事業ポートフォリオ

事業としては以下の4つの子会社の持株会社としての統括となります。

  • ソニー生命(ライフプランナー・チャネル)
  • ソニー損保(ダイレクト損保)
  • ソニー銀行(インターネット銀行)
  • ライフケア(介護)

生保、損保、銀行、介護と幅の広い事業を行っているんですね。

売上ベースでみると9割近くがソニー生命

利益ベースで見ると生命=約44%、損保=約15%、銀行=約40%ライフケア=約1%くらいの割合です。(2025年3月期)

ちなみに私も車の保険でソニー損保は使っています。

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沿革のポイント

1979年の生命保険事業に端を発し、2007年に一度上場

その後2020年に親会社の完全子会社化

今回2025年に再上場という流れです。

配当・自社株買いのコミットメント

配当:2025年度は半期分として250億円。以降は年2回(中間・期末)を想定。

自己株買い上場後〜2027年3月末までに1,000億円目途。→ 上場後の需給緩和資本効率改善(PBR、ROE是正)に寄与。

配当性向:IFRS修正純利益x配当性向40~50%

参考株価の150円の意味合い

参考株価150円というのは東証の初値気配形成の参考であり、企業価値そのものを示すものではないです。

今回はかなり注目度がありますので、需給・投資家次第で初値〜当面のボラティリティは高くなり得るでしょう。

前述したカーブスはコロナ禍だったのでタイミングがわるかったですが、今回のソニーファイナンシャルグループでどのような評価が付くのかで今後このような上場が増えるかもしれません。

150円が妥当な株価なのかを考えてみた

それでは実際のソニーファイナンシャルグループの株価がどれくらいが妥当なのかを考えてみましょう。

結論から言えば同業他社との比較で考えると105〜130円が妥当かなってところ。(簡単な計算ではありますが)

150円は今回の話題性や将来性を加味してそれなりに期待値が乗った価格ですね。

自己資本・BVPS(簿価)

まず、SFGIは自己株除き約71.49億株(会社公表の自己株買い枠資料に明記)

最新の四半期短信(2026年3月期・第1四半期)で純資産 6,298億円

1株当たり簿価(BVPS)=約88.1円(6,298億円÷71.49億株)。

利益水準・EPS(実力の目安)

同短信・説明資料で連結修正純利益 203億円(Q1)

機械的に年率化すると約812億円。→ EPS(推定)=約11.36円(812億円÷71.49億株)。

※あくまで“平準化の目安”。生保は金利・解約・評価差額のボラが大きく、四半期×4の年率化は過小/過大になる場合があります(今回は便宜的にQ1年率化)。

同業ベンチマーク

P/B(簿価倍率)

  • MS&AD:P/B ≈ 1.27x(2025年9月時点)
  • 第一生命HD:P/B ≈ 1.26x(同)
  • 東京海上HD:P/B ≈ 2.38x(同)

※損保大手(トレーディング含むグローバル展開)のP/Bは1.2〜1.5xも珍しくありませんが、純粋な生保や銀行は0.8〜1.2xに収まりやすい傾向にあります。

SFGIは生保(ソニー生命)+損保(ソニー損保)+銀行(ソニー銀行)の複合体という点が特徴なので、単純な同業者比較は難しいですけどね。

なお、ソニーファイナンシャルグループは前述のように生保の比率が高い会社です。

P/E(利益倍率)

  • MS&AD:P/E(TTM)おおむね 10x(2025年9月時点)
  • 第一生命HD:P/E(TTM)おおむね10x(同)
  • 東京海上HD:P/E(TTM)おおむね~19x(同)

国内生保・損保の混合バスケットの“実務的な中央値”としてはP/E 10倍前後は妥当。

SFGIの事業ミックス(生保比重・銀行含む)を考えると、このP/E帯の方が基礎体温に近いと考えます。

妥当株価のレンジ算定

P/Bアプローチ

国内生保・損保の実勢P/Bが~1.2x前後で推移(第一生命・MS&AD)し、SFGIは銀行も含むディフェンシブ複合、かつ1,000億円の自己株買いを掲げるため、ディスカウントはやや縮小と見る構えで考えると以下のとおり。

  • BVPS ≈ 88.1円 × P/B 1.0〜1.3x
    約88〜114円のレンジ。
    (SFGIはディフェンシブ×自己株買いあり=1.0xを下限、損保を抱える分、1.2〜1.3xも視野と評価)

P/Eアプローチ

東京海上(海外P&C強者)の高倍率は別格。

SFGIは国内偏重+生保比重が高いため、2桁前半〜半ばの範囲を採用

  • EPS(年率化)≈ 11.36円 × P/E 10〜14x(国内保険・銀行混合のミッド)
    約114〜159円のレンジ。
    (東京海上のような高P/E(~19x)は現時点で過大、10〜14xが実務的)

統合レンジ(中央値重視)

  • P/Bレンジ中心値:約101円(1.15x相当)
  • P/Eレンジ中心値:約136円(12x)
  • 調停レンジ:おおむね「105〜130円」

短期は需給(現物配当で受け取った売り vs 自己株買い・配当取り)でブレ、中期は還元コミット×複合金融の安定性が評価軸。

結論

P/B(簿価倍率)とP/E(利益倍率)の同業者との比較で考えた現時点の妥当レンジ:105〜130円(重心120円前後)です。

ですから150円の参考株価は少し割高ですね。

上場時の一般の株主がソニー株保有者のみという状況で、通常のIPOと違い売り圧力がどの程度あるのかの予想は難しいので、なかなか判断は難しいところですね。

知名度が高い企業かつ、直上場のパーシャル・スピンオフ制度の目新しさという上振れ要因も多いのでそのあたりも加味して検討しましょう。

東京海上HDくらい評価されて200円台前半くらいといった感じですね。

まとめ

今回は「ソニーファイナンシャルグループは買いか?パーシャル・スピンオフの仕組みと株価150円の妥当性を徹底解説」と題してソニーファイナンシャルグループの上場について考えてみました。

ソニーファイナンシャルグループという企業は面白いと思いますが、株価150円の時点で少し乗っている形。

需給によっては大きくあがる局面もありそうですが、個人的な感想としては妥当な金額までは手を出さないかな・・ってところですね。

※本記事は一般的な情報提供であり、特定商品、株の勧誘ではありません。実際の投資判断は最新の目論見書・販売会社ページをご確認のうえでご自身で行ってください。

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